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63日立評論 2016.01-02

共生自律分散システム

社会・産業システム

共生自律分散コンセプト―共生のアプローチがひらく,オープンイノベーション―

1

オープンイノベーションの時代である今,社会の変化や技術の進化を背景に,個別のシステムどうしを「つなげる」ことで新たな価値が生まれている。例えば,スマートフォンのユーザー位置情報と配車システムの組み合わせで,タクシーを短時間で手配できるサービスなどが代表的な例である。システム連携によりイノベイティブなサービスを創造す

るには,「つなぎ方」がキーであり,データの型をそろえ,標準化されたインタフェースでセキュアに処理プロセスをつなぐ必要がある。同時に,アイデアを小さく生んで,試行錯誤を素早く繰り返しながら大きく育てる環境も重要で

ある。共生自律分散は,このようなイノベーションの協創のために日立が提案する考え方および手段である。日立は,顧客の経営KPI(Key Performance Indicator)向上に貢献する,「ひらめき」を協創する「しかけ」を提供し,顧客・パートナーとともにオープンイノベーションを共生自律分散のアプローチで実現していく。

共生自律分散システムアーキテクチャ2

製造業を中心に IoT(Internet of �ings)の活用が進む中,日立は共生自律分散コンセプトによる「つながる」システムで顧客価値を創生していく。従来,日立では自律分

共生自律分散システム

複数の仕組みをつないで, ひらめきを生み出す

さまざまな仕組みから生成されたデータ ・ コンテンツ

素材・ 情報システムに蓄積した業務データ・ センサーが生成するリアルタイムデータ など

ツール・ 分析などのITツール・ 契約の雛形 など, ビジネスに必要な機能群

・ コスト最適化・ リスク低減・ 売り上げ増

ひらめき

ビジネスの構想

発想

評価

構築

新しい価値

モデラー素材やツールを配置して,ビジネスのプロセスを構築

あなた新しい業務やビジネスの構想を抱く,ビジネス主体

1 共生自律分散コンセプト注:略語説明 IT(Information Technology)

サービスプラットフォーム

ITプラットフォーム

制御プラットフォーム

工場A 工場B 工場C

生産データ

各種データ収集

現場指示(AR活用)

生産データ

現場運用データ

診断

生産効率, 品質 環境負荷 リソース配分

原因抽出 計画最適化

制御システム

機器稼働データ

作業モニタリング

sense act

モニタリングデータ

各種データ収集

think

データ処理基盤

2 共生自律分散システムアーキテクチャ

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64 社会・産業システム

共生自律分散システム

社会・産業システム

散による高信頼かつスケーラブルな制御システムを開発し,交通,産業などさまざまな分野に適用してきた。共生自律分散では,この概念をシステムレベルに拡張し,現場の多様なデータを収集し(Sense),これをビッグデータ解析するとともにシステム,運用知識を基にした対策を立案し(�ink),得られた対策案を現場にフィードバックする(Act)ことで,全体最適化を図る。これを実現するために,映像など新たな現場センシング

の活用,多様なデータを柔軟に取り扱うためのデータ処理基盤,人工知能などを活用したビッグデータ解析手法,AR(Augmented Reality)を駆使した現場へのフィードバックなど,さまざまな技術をインテグレートし,顧客ニーズに応えていく。

共生自律分散システムにおけるセキュリティ3

絶えず進化する産業システムや社会インフラシステムでは,セキュリティについても継続的に進化することが重要である。このため,日立は「H-ARCコンセプト」に基づき共生自律分散システムを実現するセキュリティソリューションを提供する。このソリューションは IEC 62443などの基準に準拠した強じん性を確保するとともに,継続的な変化に的確に対応するPDCA[Plan(計画),Do(実行),Check(評価),Act(改善)]を実現する適応性,突発的に発生するインシデントに迅速に対応するOODA[Observe(監視),Orient(判断),Decide(決定),Act(行動)]を実現する即応性,システム間連携でのセキュリティを実現する協調性を提供する。このようなシステムを実現するためのエンジニアリング

とともに,EDSA(Embedded Device Security Assurance)認証を受けたコントローラ,セキュリティGW(Gateway),一方向中継装置,不正PC(Personal Computer)監視&強

制排除装置,セキュリティ監視・障害解析サービスなどを提供する。

共生自律分散システム技術4

日立は共生自律分散の考え方に基づき,複数の自律したシステムをつなぐことにより,オープンイノベーションを促し,顧客の価値を素早く創生する。この実現には「データ収集・蓄積」,「分析」,「対策立案」,「現場へのフィードバック」が重要な要素となる。データ収集・蓄積は IoT技術を,分析はビッグデータ分析(Pentahoなど)や人工知能技術(Hitachi AI Technology/Hなど)を,対策立案はシミュレーション技術や数理技術を,現場へのフィードバックは制御技術を用いて実現する。社会インフラ事業拡大を加速するため,日立のOT

(Operation Technology)× ITノウハウを基に,これら技術・製品・サービスを組み合わせてソリューションを迅速に創出し,セキュアに提供可能な共通プラットフォームを構築していく。

活用 ・ 制御

顧客の実業データ

データ収集 ・蓄積

対策立案

OT×ITノウハウ ・セキュリティ

分析

共生自律分散プラットフォーム

経営者, 事業企画者・ 制御技術 ・ 数理技術

・ シミュレーション技術

・ ビッグデータ技術・ 人工知能技術

計画立案

ひらめき

アプリケーション設備集中管理

最適物流管理

トレーサビリティ

品質要因分析

需給シミュレーション

油井稼働分析

運用提案

予兆検知

要因解析・ IoT技術

現場へのフィードバック

現場機器, 設備

現場システム

情報システム

4 共生自律分散プラットフォーム

自然災害

テロ攻撃サイバー攻撃

ヒューマンエラー

故障

時間組織

国 ・ 地域企業組織現場 監視

判断決定行動

計画実行評価改善

強じん性Hardening

適応性Adaptivity

即応性Responsivity

協調性Cooperativity

適応性Adaptivity

社会インフラシステム

継続して対処

連携して対処 迅速に対処即応性

Responsivity協調性

Cooperativity

盗電 ・ 盗水システム

3 社会インフラシステムにおけるセキュリティソリューション(H-ARCコンセプト)


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