2017年3月13日(月曜日) 6174号
1980年7月18日 第三種郵便物認可 毎週月、水、金曜日の週3回発行(但し、祭日を除く)
トーク & TALK『食品リサイクルと地方創生コラボ』
「カロリー・リサイクル社会を目指すアーキアエナジー社は、第一弾として静岡県牧之原市で食品廃棄物を活用するバイオガス発電所(650kw)を完成させ、3月13日(月)には竣工式を執り行うのですが、編集長、なんとも食品リサイクルと地方創生の融合を旗印に、2020年までに全国7ヵ所で運転を始め、”完全なる地産地消の実現”という中々ユニークな取り組みをご紹介しますよ」と環境担当記者K (→最終ページに続く)
《石炭/コークス・ガス・流通・エネルギー統計》
◇17年度積み第1四半期積み原料炭交渉に大きな進展はなく、今週に本格交渉入りに …………3豪州サプライヤーの価格オファ~出ず、日本側はマーケットに沿った値決めレベルを求める
◇仙台パワーステーションの10万KW級石炭発電所が予定通り10月から操業開始 …………1仙台市など地元自治体に環境対策や発電所概要など説明会、32万t/年の石炭消費
◇中国一般炭マーケットは、中国政府の石炭操業減産政策の行方不透明で模様眺め …………1◇一般炭市況に軟化気配強まる、豪NC港積みがUS$80切れ、南アR/B港もUS$82レベル …………2
中国政府の石炭操業再減産見通し不透明、原油価格急落などが市況を弱める◇特集◇
*「産業界の2017年1月の一般炭通関実績」--貿易統計/本紙編集部 …………4-約1,000万tの入着で、電力が600万t/発電180万t/化学110万t/セメント30万t--Jパワー/東電などは豪州炭をベースにネシアなどソース多様化、セメントはすべてロシア炭-
*「全国主要港湾の2016年輸入炭通関実績」--貿易統計/本紙編集部 …………2-16年輸入炭通関量は原料炭8,165万t/一般炭1億225万t/無煙炭580万tの1億9,000万t-
《環境・廃棄物・RPF(RDF)・バイオマス》
◇特集◇「H28年度、全国自治体におけるペレットストーブ成約状況」(9) 本紙集計 …………11-北海道音更町・長野県岡谷市など/1台上限補助額10万円、山梨県都留市500万円予算計上--熊本県南小国町など、4県5市町ですでにペレットストーブ14台を成約(H29年1月末時点)-
◇ビーエム長野(東京)、マレーシアのパーム油大手フェルダーと提携し輸入販売事業に進出 …………9◇苫小牧森林組合(北海道)、28年度ペレット製造量約500tと想定/来年度製造目標も同規模程度に…………9◇神奈川県秦野市里山ふれあいセンタ-、今年度におけるペレット製造量約500kgの見込み …………8
自然観察施設「くずはの家」・上小学校の石村工業製薪・ペレット兼用ストーブクラフトマン向け実証実験◇北海道浦幌町、今年度木質ペレットストーブ補助金制度で3/10現在成約実績なし …………8
ハマナス券5万円含む1台あたり限度額20万円補助も、4年間で申請数1件と人気低迷如実◇神奈川県秦野市、木質バイオマスストーブ購入費補助事業で3/10現在薪ストーブ5台(ドブレ他)成約………8
27年度導入実績薪ストーブ4台(ドブレ2台・ダッチウエスト1台・ホンマ製作所1台)、4年間で18台に達する◇長野県、28年度自然エネルギー普及拡大を図る「1村1自然エネルギープロジェクト」登録事業一覧…………10
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仙台パワーステーション(仙台PS)の10万KW級石炭発電所が予定通り10月から操業開始
仙台市など地元自治体に環境対策や発電所概要など説明会、32万t/年の石炭消費
仙台港隣接地に10万KW級石炭火力発電所建設計画を進めてきた仙台パワーステーション(仙台PS、
本社・東京)は8日、仙台市など地域住民ら 仙台PSの石炭発電所位置図
に同プロジェクトの住民説明会を行った。
仙台PSは伊藤忠商事系のエネクス電力(伊
藤忠エネクス)と関電エネルギーソリュー
ション(Kenes)の共同出資で設立され、仙
台港の鉄鋼跡地に11万2000KW級の石炭火力
発電所を立ち上げる計画で、環境省が求め
る環境アセス作業は不要であるが、2016年3
月2日に 宮城県,仙台市,塩竈市,名取市,
多賀城市,七ヶ浜町及び利府町の地元自治体
と「公害防止に関する協定書」を取り交わし
ている。
8日の説明会の席上で、発電所事業の目的
や、発電所概要/環境対策設備や環境評価
などの説明を行った。
同発電所の建設は2015年3月から開始され、2017年10月から営業運転を開始し、電力は伊藤忠エネクス
とKenesに販売する予定。 石炭の年間所要量は32万t。
なお仙台港は、2001年(平成13年)に仙台塩釜港と改称して重要港湾から特定重要港湾(現・国
際拠点港湾)に格上げさた。
中国秦皇島積み一般炭マーケットは、中国政府の石炭操業減産政策の行方不透明で模様眺め
中国秦皇島積み大同一般炭の先週末マーケットは高品位炭(6000Kcalベース)が5元アップの635
元となり、5500Kcal/4500Kcalなどその他石炭は横ばいを付けいている。
中国政府が再び、石炭操業の減産体制に移行(330日→276日)するとの方針が打ち出されて、急騰し
たが、まだ減産体制が実施されていなく、その方向も不透明になっているところから、マーケットも静
観している状態だ。
A B C D6000Kcal/kg. 5800Kcal/kg. 5500Kcal/kg. 4500Kcal/kg.
Vol:30%, S:0.5% Vol:29%, S:0.5% Vol:28%, S:0.5% Vol:26%, S:1.0%
2017/1/4 650 600 495
2017/1/11 640 600 490
2017/1/18 640 600 490
2017/1/25 635 600 485
2017/2/8 630 595 485
2017/2/15 625 595 485
2017/2/22 625 595 485
2017/3/1 630 600 485
2017/3/8 635 600 495
時期
スペックおよびグラフ内の記号
秦皇島積み大同一般炭スポット価格動向(2015年10月15日現在のドル・元レート:RMB6.34/$)
単位:元
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一般炭市況に軟化気配強まる、豪NC港積みがUS$80切れ、南アR/B港もUS$82レベルに落ち込む
中国政府の石炭操業再減産見通し不透明、原油価格急落などが市況を弱める
堅調な推移を見せてきた一般炭スポットマーケットだが、先週末にやや弱含みの様相を帯びてきて
おり、豪州NC港積みはFOB:US$80を切り、更にUS$78~78.00レベルまで落ち込むのではないかとの見方
も出てきた。
一方、US$84~85を推移していた南アRB港積みも弱まり、US$8~83にまで軟化の気配となってきた。
今週のトレンドがどうなるかが注目されているが、先週までの軟化の背景は①中国政府の石炭操業の減
産方針が不透明である②供給過剰による原油価格の落ち込みがエネルギー価格全般のマーケットを弱気
にしている-などの事情がありそうだ。
◇特集◇
「全国主要港湾の2016年輸入炭通関実績」--貿易統計/本紙編集部
-16年輸入炭通関量は原料炭8165万t/一般炭1億225万t/無煙炭580万tの1億9000万t-
本紙は財務省/貿易統計に基づいて、全国主要港湾の2016年の輸入炭通関実績をまとめた。
それによると、2016年の輸入炭(原料炭/一般炭/無煙炭)の通関量は約1億89000万tで、このうち瀬
戸内地区に鉄鋼/電力の工場・発電所が集中する中国・四国地区港湾が約27%、5120万tの通関量とな
っており、2位は九州・沖縄の3640万t。
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2017年度積み第1四半期積み原料炭交渉に大きな進展はなく、今週に本格交渉入りに
豪州サプライヤーの価格オファ~出ず、日本側はマーケットに沿った値決めレベルを求める
先週、豪州炭シッパー各社が来日して新日鉄住金など高炉各社と2017年度第1四半期(4~6
月積み)原料炭ベンチマーク交渉が行われたが、関係筋の情報を総合すると、交渉の大幅な前進は見ら
れず、本格交渉は今週に持ち込まれたようだ。豪州Anglo Coal社など主要なサプライヤーが来日して
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いたが、2017年1~3月積みベンチマーク価格(強粘炭US$285、PCI用炭US$180、非微粘炭US$171)
と足元のマーケット(原料炭US$164~165、PCI:US$105~107、非微粘炭US$94~95.00)とのかい離が
大きく、サプライヤーサイドのオファー価格が出されなかった模様だ。
関係筋によると、日本側鉄鋼業界は4~6月積みではマーケットレベルを追及していくとの強い意向
を見せていると言われ、これに沿った短期交渉での豪州サイドのオファ~はUS$120レベルの大幅値下げ
になり、オファー提示に躊躇していると言われる。
◇特集◇
「産業界の2017年1月の一般炭通関実績」--貿易統計/本紙編集部
本紙は財務省/貿易統計に基づいて2017年1月の一般炭通関実績をまとめた。
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北海道浦幌町、今年度木質ペレットストーブ補助金制度で3/10現在成約実績なし
ハマナス券5万円含む1台あたり限度額20万円補助も、4年間で申請数1件と人気低迷如実
北海道浦幌町によると、地球温暖化防止及び環境負荷低減に寄与するための町の補助制度事業の一
環として「ペレットストーブ購入費補助事業」を立ち上げ、実施しているが、平成29年3月10
日現在、成約には至っていないと言う。
町の産業課担当者の話では、面積の74%を占める森林を活用し、化石燃料の代替によるco2排出
削減及び地域資源循環システムの構築に向け、地域材を利活用を推進する事で、環境にやさしいま
ちづくりの一助とすることを目的で、木質ペレットストーブ普及のため補助金制度を平成23年度
より実施しており、導入者に対して購入総額の1/2(上限15万円)を補助していて、町内業者
からペレットストーブを購入した場合は、プラス5万円分のハマナス商品券と合わせて上限で20
万円となる。
町内には、ペレットストーブを取り扱う販売店が数カ所あり、ハマナス券も町内の店舗のほとんど
で使用できる。
浦幌町では、今年度「新エネルギービジョン」の一環として、ペレットストーブ5台分(計100
万円)を予算化している。
平成27年度導入実績は成約なし、26年度もゼロ台、25年度実績は1台(金子農機)であった。
この制度は、平成23年度より実施されており、公共施設へのペレットストーブ導入実績では、同
年には浦幌中学校にペレットストーブ1台を導入している。また、リニューアルに伴い「うらほろ
留真温泉」にも、ペレットストーブ1台(トヨトミ製エンバイロ3Bi)を設置している。
町内にはペレットを製造する(株)エムケイ(800t以上/年)があり、10kg入り「うらほろ
ペレット」を製造・販売するなど、町民にとって燃料供給面では問題はない。
町の担当者によると、今年度は2月10日で申請受付を締め切ったため、今年度導入実績ゼロ台が
確定した。すでに来年度も同規模でのペレットストーブ導入支援事業補助金を継続する方針だが、
町民からの問い合わせ等もなく、現状からするとペレットストーブ成約も厳しい状況だという。町
では、広報誌を通じてさらなるPR作戦を展開するしか方策はないという。
神奈川県秦野市里山ふれあいセンタ-、今年度におけるペレット製造量約500kgの見込み
自然観察施設「くずはの家」・上小学校の石村工業製薪・ペレット兼用ストーブクラフトマン向け実証実験
神奈川県秦野市の里山ふれあいセンターでは、今年度のペレット製造量を約500キログラムと見
込んでいる。これは、2014年1月よりペレット製造を開始した実証実験で、ペレット年産70
0kg以上、成型設備30~70kg/時で、ダレスサンドロ社のペレタイザーを使用している。
現在では、県森林組合連合会等の指導を受け、製造されたペレットは、平成25年度に上小学校と
同施設内の「くずはの家」に導入された石村工業製のペレット・薪兼用ストーブ(クラフトマン)
の燃料として供給される。
市の環境保全課の担当者の話では、公共施設2ヶ所における使用分を製造する計画だが、現在、実
証実験と言う事もあり、職員が通常業務と兼務のため、なかなか生産量を増やせないのが実情で、
薪と併用しているため、薪燃料を使うことの方が多いという。
今後は、ペレット製造の余剰分を販売できればという思惑もあるが、まずは公共施設への安定供給
が第一と課題をあげた。今後、市民向けのペレットストーブ導入事業の成果が上がれば、安定的な
ペレット製造が必要となるため、製造体制も変わってくるのではないかと関係者は話す。
神奈川県秦野市、木質バイオマスストーブ購入費補助事業で3/10現在薪ストーブ5台(ドブレ1台他)成約
27年度導入実績薪ストーブ4台(ドブレ2台・ダッチウエスト1台・ホンマ製作所1台)、4年間で18台に達する
神奈川県秦野市は、「木質バイオマスストーブ購入費補助事業」を立ち上げ実施しているが、平成
29年3月10日現在、薪ストーブ5台(ドブレ1台、ダッチウエスト1台、ヨツール1台、岡部
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工業所1台他1台)の成約があった。
市の環境保全課担当者によると、木質バイオマスストーブ普及のため補助金制度を平成21年度よ
り実施しており、購入総額の1/3(上限10万円)を限度額として補助する。
秦野市では、今年度薪ストーブおよびペレットストーブ購入補助事業に50万円(5台分)を予算
計上していた。平成27年度導入実績5台、薪ストーブ4台(ドブレ2台、ダッチウエスト1台、
ヨツール1台、岡部工業所1台)、ペレットストーブ1台(さいかい産業)、26年度では、薪スト
ーブ4台(チャーンウッド1台、モキ製作所1台、バーモントキャスティングス1台、ドブレ1台)、
25年度には、薪ストーブ4台(ヨツール1台、山林舎1台他2台)の導入に至り、4年間で累計
18台(薪ストーブ17台)に達している。詳細は、以下の通り。
また、増加する薪ストーブ向けの薪燃料は、ストーブ販売店やホームセンター等で購入するなど、
購入市民が多いと言う。それに対し、ペレット燃料製造施設はないものの、里山ふれあいセンター
内(ペレタイザ-製造能力700kg/年)で2014年よりペレット燃料製造の実証実験を行っ
ており、公共施設2ヵ所向けに供給している。公共施設におけるペレットストーブ導入実績は、以
下の通り。
◇平成25年度 自然観察施設くずはの家 ペレット・薪兼用 石村工業(クラフトマン)
◇平成25年度 上小学校 ペレット・薪兼用 石村工業(クラフトマン)
市職員によると、今年度の申請開始は5月上旬より行っていたが、2週間後には好評につき予算達
成の5台に申請が達していたという。
市職員の話では、市民向けのペレットストーブ補助金事業の推進にあたり、ペレット燃料供給は今
後も不可欠で、公共施設へのペレットストーブの普及を進めるためにも、安定供給体制の確立が望
まれる中、なかなか打開策が見つからず、導入促進には結びついていないのが現状だという。
来年度も木質バイオマスストーブ購入補助金事業を継続する方針だが、ペレット製造における販路
拡大を目指して、市民向けや公共施設向けのペレットストーブ導入事業を促進させていきたいとし
ている。
ビーエム長野(東京)、マレーシアのパーム油大手フェルダーと提携し輸入販売事業に進出
ビーエム長野(東京都)が、バイオマス燃料の輸入販売事業に進出する。同社関係者の話では、マ
レーシアのパーム油大手であるフェルダーと提携し、第1弾として燃料となるPKS約1万tを福
島県相馬市の相馬港から荷揚げした。今後、東北地域のバイオマス発電所に供給する計画で、燃料
輸入事業において5年後をめどに50億円の売上高を目指す。
今回、日本のバイオマス発電事業者からの要請もあり、現地での調達ルートを確保し、新規事業と
して取り組むもので、PKSを始めとしたバイオマス燃料について、従来は他社の代行・支援を行
ってきた。
苫小牧森林組合(北海道)、28年度ペレット製造量約500tと想定/来年度製造目標も同規模程度に
北海道の苫小牧森林組合によると、28年度のペレット製造量を約500tと想定しており、来年
度も同規模程度を目標としている。
同組合担当者の話では、年度内にも苫小牧バイオマス発電所(5,800kw)の運転開始が計画
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されているが、現段階では、これによる木材調達や価格高騰などの影響などは出ていないという。
長野県、28年度自然エネルギー普及拡大を図る「1村1自然エネルギープロジェクト」登録事業一覧
長野県では、豊かな自然エネルギー資源を活用した自然エネルギー事業の創出や地域づくりを推進
する取り組みとして、「1村1自然エネルギープロジェクト」を推進している。今年度も、1年間
に3回にわけて募集しており、12月末時点で162件の登録数に達している。その中で、28年
に登録したエネルギー種別/バイオマスにおける10件は、以下の通り。
◇1村1自然エネルギープロジェクト・・1村1自然エネルギープロジェクトの趣旨に沿った取組で、
既存の取組も含めて、構想段階、事業実施段階、発展段階のものなど様々な段階に応じた取組を募
集する。
◇募集期間・・平成29年3月17日(金)まで
◇募集対象者・・県内で1村1自然エネルギープロジェクトに取り組む団体
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2017年3月13日(月曜日)環境エネルギー/COAL&POWER REPORT6174号第三種郵便物認可
◇特集◇
「H28年度、全国自治体におけるペレットストーブ成約状況」(9) 本紙集計
-北海道音更町・長野県岡谷市など/1台上限補助額10万円、山梨県都留市500万円予算計上-
-熊本県南小国町など、4県5市町ですでにペレットストーブ14台を成約(H29年1月末時点)-
本紙では、全国自治体におけるペレットストーブ・薪ストーブ等導入状況を継続的にフォローアッ
プしているが、今回、平成28年度ペレットストーブ補助金プロジェクトにおける29年1月末日
時点での自治体別成約状況をまとめた。本紙は連載する。本紙集計によると、長野県岡谷市6台、
熊本県南小国町4台、山梨県韮崎市2台、同県都留市1台、北海道音更町1台の計14台のペレッ
トストーブ導入実績があった。
また、1台当たりの補助額が上限10万円となっている北海道音更町では1台(さいかい産業)、
長野県岡谷市で6台(さいかい産業4台、トヨトミ2台)の導入があり、さらに、1台当たりの補
助額が上限15万円となっている熊本県南小国町では4台(さいかい産業2台、エディルカミン1台、
リンカル1台)の成約があがっている。
予算別に見ると、山梨県都留市が500万円(成約/メーカー不明1台)、韮崎市で76万円(成
約/さいかい産業1台他1台)を計上している。今回集計した4県5市町におけるペレットストー
ブ導入台数は14台であった。また、5市町において19台だった27年度と比較すると、導入台
数が5台減少する結果となった。詳細は、以下の通り。
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2017年3月13日(月曜日)環境エネルギー/COAL&POWER REPORT6174号第三種郵便物認可
トーク & TALK今年に入り、後を絶たない食中毒問題だが、その一方で飽食日本で発生する食品廃棄量も悩みのタネ
に?環境担当記者K:「そうなんですよ、農水省によると、年間約1,713万tの廃棄物が発生しているというのです。この不要物を肥料として再利用する取り組みはかつてからありましたが、最近では、農業や畜産業の縮小によって、ますます消費量は減少傾向にあるようです。そこで、脚光を浴びている新手のプロジェクトが、ようやく日の目を見るのです」
どうしてこの地が選ばれた?記者K:「これがですね、バイオガス事業関係者の話では、市がすでに2009年にバイオマスタウン構想を策定して、エネルギーの地産地消にかなり力を入れていたことなども、建設地として決め手となったみたいですよ」
ほぉ~、この厄介者をどのように有効利用していく?記者K:「早速ですが、今回お邪魔した静岡県牧之原市のアーキアエナジーは、カロリー・リサイクル社会を目指して、食品廃棄物を活用するバイオガス発電所を完成させたのですが、簡単に言いますと、これは、日本国内で大量に発生する食品残さを有効に活用して、飼料やエネルギーを生み出しながら農業など食物の生産に繋げる試みなのです」
で、概要は?記者K:「この牧之原バイオガス発電所では、近隣および静岡県内から受け入れた1日当たり80tの食品残渣をタンク内で微生物による分解発酵させて、メタンガス60%程度と二酸化炭素40%を発生させる。総工費約20億円をかけ、本日竣工式を迎えるもので、1日24時間運転を計画していて、発電能力はヤンマー社製発電機325キロワット2機の650キロワット、年間発電量は340万キロワットアワー、一般家庭の約600世帯分の電力に相当すると言う事ですから、市の総世帯数の6%にあたり周辺地域の全世帯を賄える、なんと東海地区最大規模という話ですよ」
その特徴は?記者K:「実は、この事業で拘っているのが、静岡県内の食品残渣をこの施設で処理し、原料収集から生産物の消費までを行う完全地産地消を実現していこうという革新的な挑戦なのです」:「さらには、公的な補助金は使わずに、全額を地元の静岡銀行や清水銀行、浜松信用金庫などからプロジェクト・ファイナンス方式で調達するなど、発電所の土木建設工事等もそうですが、地域内で経済とエネルギーを循環させる狙いもあるのです」:「事業者曰く、『このプロジェクトにあたっては、偶然派生したものではなく、食品系産業廃棄物処理からバイオガス発電所の運営に至る一連の高い技術力とファイナンス分野の高度なノウハウを組み合わせた結果、可能となったプロジェクトなのですよ』と」
なぜ、今回補助金を使わない?記者K:「ええ、そうなんですよ、この事業は、牧之原市も促進するもので、全面的に支援しているものですから、てっきり補助金ありきのものだと思っていました。ですが実際の所、年間約1,700万tの食品廃棄物のうち、約1,300万tは焼却される一方で、再生利用されているものはわずか400万tにとどまっているのが現状なのです。まだまだ未開発の分野であり、再生施設がなかなか増えてこないため、使わないと言うより使えないというのが実情らしいですよ」:「この理由としては、固定価格買取制度(FIT)によるバイオマス発電所では、許認可の手続きなどのハードルが高く、建設資金の調達が難しいことから、食品残渣のみを原料とする発電所は、皆無に等しいそうです」
まだ道半ばだが、苦労は絶えない?記者K:「もちろんですとも、どの事業でも苦労はつきものですが、こちらのプロジェクトでも地域住民に対して、懇切丁寧に説明会を開催したとのこと。『当初は、この事業化を好意にしてもらえず、反対されていた。だが、住民の不安を一つづつ取り除いていくことで、今では一番の良き理解者になって貰えた』と胸を張る」:「今回、地方創生の観点から地域貢献型で組成することを第一に考えたもので、単に事業性や経済効果だけを追求するのではないのです」:「この牧之原市のプロジェクトをモデルにして、食品リサイクルと地方創生の融合を合い言葉に他の地域でもバイオガス発電所を展開していく考えで、計画では南関東地区1件、東海地区1件、関西地区1件がいずれも2018年稼働を予定していて、さらに2020年の運転を目指す北関東地区3件の取り組みを含めると全国7ヵ所でプロジェクトが着々と進んでいるのです」:「今後、地方創生事業のモデルケースとしても食品廃棄物が、引く手あまたのプロジェクトになる可能性も十二分にありますよ、継続取材を期待して下さい、編集長!」