Transcript

屋上緑化大賞:国土交通大臣賞

オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎

駐車場棟 屋上緑化施設

(所在地)神奈川県川崎市 (受賞者)設計・施工:株式会社 長谷工コーポレーション

施 工:株式会社 日比谷アメニス

■作品の概要

隣接する2つの集合住宅オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎(全体で 860 戸)の高層住

棟に囲まれた中庭に配置された駐車場棟は、戸当り1台分の駐車場を確保しつつ、荷重制限が厳しい鉄

骨造の大規模な立体駐車場の屋上部に広場や遊び場、花壇など約 3,600 ㎡の住民のコミュニティスペー

スを生み出し、安全で潤いのある住環境を創出している。所有者の異なる住宅地計画を一体で計画する

ことにより、公開空地を共有し、統一感のある街並景観を実現する一方、パブリックな地上部とプライ

ベートな屋上部にそれぞれの役割とコンセプトを基に個性的で多彩なコミュニティスペースを整備して

おり、集合住宅における鉄骨造の立体駐車場屋上緑化の好事例として高く評価された。

緑化施設の整備においては、舗装や工作物の基礎下に発泡スチロール製嵩上げ材を敷きコンクリート

打設を極力少なくし、発泡成形材の土留め・縁石、パーゴラ柱の鉄骨梁との連結等細かいところにまで

配慮して荷重を低減し、植栽基盤の確保に努めている。

上階からの俯瞰景を意識したデザインや、圧迫感と景観面でのインパクトを軽減するため階段状にセ

ットバックした駐車場躯体の段差を活用し、それぞれの段での特徴ある植栽デザインや遊具等の設置に

より、全体として楽しめるように計画されている。

また、維持管理・運営においては、デッキの広場でのティーパーティの開催や年間の管理計画書に基

づいた管理など、今後の緑とコミュニティづくりの発展が期待されている。

■全景:オーチャードプラザ(手前)/オーベルグランディオ(奥)駐車場棟

■オーチャードプラザ駐車場棟屋上

■オーベルグランディオ駐車場棟屋上

■緑化技術の概要

オーチャードプラザ/オーベルグランディオ川崎 駐車場棟 屋上緑化施設における技術的な諸元は以下のとおりである。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の3点があげられる。

①鉄骨構造の立体駐車場屋上緑化のための荷重抑制

鉄骨構造である駐車場棟の積載荷重が300㎏/㎡以下といった条件の中で、荷重を抑制

するため、基本的な断面構成として極力シンダーコンクリートを打たず、スラブ上に発泡成

形材の排水層及び嵩上げを敷設し、ラス網を貼った上にモルタルを下塗り(ラスモル)した

後、各種の舗装材を設置する構造にしている。その他、縁石や植え込みの土留め、プランタ

ーウォールに発泡成型材を使うなど細かいところまで軽量な緑化資材の有効利用を行ない積

載荷重を抑制している。

また、重量のあるパーゴラを設置するにあたり、柱部と駐車場躯体の鉄骨梁をジョイント

させて一体化を行い荷重の軽減を図っている。

②多彩なコミュニティスペースの整備

圧迫感と景観面でのインパクトを抑えるため、階段状にセットバックした駐車場躯体の段

差を利用し、それぞれの段での特徴ある植栽デザインや遊具等の設置により、多彩なコミュ

ニティスペースを提供している。

③合理的な潅水システム

潅水用の地下貯水ピットが設けられない条件にあった中で、各階にそれぞれの緑化施設に潅水する小規模な貯水ピットを設けることにより、各設備スペースを最小限に抑え、屋上緑

化施設全体の意匠的な配慮をしながら合理的な潅水システムを構築している。

緑化施設面積 1,100 ㎡(オーチャードプラザ) 2,480 ㎡(オーベルグランディオ)

設計上の荷重条件 300kg/㎡ 階数 4 階 3 階

土壌厚 600 ㎜(max) 土壌の種類と名称 再生セラミック人工軽量土壌 土壌の比重 0.8

オーチャードプラザ 高木:36 本 中木:17 本 低木:75 株 地被:743.6 ㎡ 植栽数量 オーベルグランディオ 高木:75 本 中木:147 本 低木:3532 株 地被:373.9 ㎡

灌水方法 タイマー制御による点滴式自動潅水

発泡成型材

■舗装部断面図 ■縁石断面図

屋上緑化大賞:環境大臣賞

若松総合事業所 サービスビル屋上緑化施設 (所在地)福岡県北九州市 (受賞者)所有・管理:電源開発 株式会社 若松総合事業所

施工・管理:株式会社 ジェイペック 若松環境研究所 設 計:有限会社 緑花技研 施 工:株式会社 日比谷アメニス

■作品の概要

電源開発㈱の事務所、研修・研究施設である若松総合事業所サービスビルの屋上緑化施設は、企業の

社会貢献活動のひとつである「環境教育の場」としての機能を持たせることを目的として整備されたも

のである。設計から施工・管理運営まで環境教育の場を創出する理念が示され、水田・畑による収穫体

験区画やビオトープ池を中心とした自然観察区画、自然エネルギー学習区画などそれぞれは小面積では

あるが、環境教育の教材となる多様な緑化空間を作り出している。全体で 160 ㎡程度と小規模ではある

ものの質の高い屋上緑化施設の好事例として高く評価された。

既存建築物屋上にビオトープ緑化を行うための軽量化の工夫のほか、動植物の飛来・定着を促進する

工夫として、在来種の樹木や草本類を積極的に活用した緑化を行うことで、ビオトープ空間の早期実現

化を図っている。また、流れ、池、水田の水循環には、風力や太陽光発電等の自然エネルギーと貯留し

た雨水を利用したシステム化がなされている。

維持管理・運営については、剪定や除草は極力抑え、化学肥料・農薬は使用せず、現地発生材からの

堆肥利用や雨水利用による灌水システムの導入など、省資源・生物の多様性を重視した管理を徹底して

実施しており、屋上緑化空間の質を更に高めている。

■緑化技術の概要

若松総合事業所サービスビル屋上緑化施設における技術的な諸元は以下のとおりである。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の3点があげられる。

①緑化施設の軽量化及び高低差処理

既存建築物の屋上であるため積載荷重が 180 ㎏/㎡という条件の中で、ビオトープをコン

セプトとした屋上緑化施設整備を実施するにあたり、人工軽量土壌を利用するとともに、植

栽植物の規格や種類にあった必要最低限の土壌厚を設定して施設の軽量化を図っている。ま

た、水中ポンプが露出しないような池の水深設定をもとにして池周辺の高低差処理を発泡ス

チロール材の嵩上げで行ない、人工軽量土壌によって地形にアンジュレーションを加えるな

ど自然景観の創出を実現した。

②自然エネルギー利用

緑化施設の流れ、池、水田の水循環を、風力及び太陽光発電の自然エネルギーを利用し

て、ポンプを稼動させるシステム化を採用している他、隣接する会議室屋上の雨水をタンク

に貯留し、流れなどの水施設の補給水として活用できる仕組みとしている。

③在来種を主とした植栽

施設は海に近接するため、耐潮性に配慮した植物種の導入を図るとともに、地域固有の植

物種(在来種)を積極的に導入し、周辺環境と調和した緑化計画としている。その他、植栽

管理について、化学肥料、農薬は使用せず、屋上施設内から発生する落葉・落枝、藁を堆積

発酵させた堆肥利用や竹酢液や割り箸による害虫駆除を行なうなど、ビオトープ的な屋上施

設としての位置づけを守っている。

緑化施設面積 157.8 ㎡ 設計上の荷重条件 180kg/㎡ 階数 3 階

土壌厚 50~150mm 土壌の種類と名称 再生セラミック人工軽量土壌 土壌の比重 0.8

植栽数量 高木:7本 中木:25 本 低木:254 株 地被:83 ㎡

灌水方法 タイマー制御による点滴式自動潅水

■池部断面図 ■縁石断面図

壁面・特殊緑化大賞:国土交通大臣賞

東京プリンスホテル パークタワー 芝公園 (所在地)東京都港区 (受賞者)所 有:株式会社 プリンスホテル

設 計:株式会社 丹下都市建築設計 施 工:鹿島建設 株式会社 設計・施工・資材・工法開発:西武造園 株式会社

■作品の概要

東京プリンスホテルパークタワー芝公園は、東京都の特許事業※により、隣接する都立芝公園及び港

区立芝公園と本計画地を一体化し、芝公園の機能性・利便性の向上に大きく寄与している。両公園や増

上寺の緑、東京タワー等周辺の景観との調和を図りながら、古い歴史と新世紀の開発が融合する開かれ

た公園を創出する計画で進められ、ホテルの宴会場及び駐車場上部の人工地盤(17,480 ㎡)を完全に覆

土することにより、良好な植栽基盤を確保し、永続性のある公園緑地として整備している。

緑化施設としては、隣接する丸山古墳や増上寺等の既存緑地と連続する地域の骨格となる緑を永続的

に創出するため、土壌厚 700mm 以上の植栽基盤を確保している。客土材は、環境への配慮とコスト縮減

の観点から現場発生土を改良して使用している。芝生広場や草花ゾーンなど植栽計画に合わせた植栽基

盤と灌水システムの整備を行い、灌水には井水と中水を利用し、降雨センサー付の自動灌水装置により

節水に努めている。

また、防水・防根層の劣化防止のためアスファルト防水の上に防根シートを敷設しシンダーコンクリー

トを打設していることや目詰まりの発生しにくいリサイクル材を雨水排水に使用するなど、大規模な人工

地盤の緑の量と質を永続的に維持・確保するための技術的な工夫がなされ総合的に高く評価された。 都市計画法では、都道府県知事の許可を受けて民間事業者が都市計画施設の整備に関する事業(特許事業)を施行することが

できるとされている。(都市計画法第59条4項)

■緑化技術の概要

東京プリンスホテルパークタワー芝公園における技術的な諸元は以下のとおりである。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の3点があげられる。

①緑化施設の永続性に配慮した植栽基盤

当人工地盤緑化施設は、公園として永続性のある緑地を保持することが要求される一方、

大面積の緑化に必要とされる客土について、環境に配慮した工法やコスト縮減が課題とな

り、現有土壌の植栽基盤としての適合性等を調査したうえで土壌改良を行い、植栽基盤とし

て使用している。改良材には現有土壌の肥沃度改善のためのバーク堆肥、微生物活性化の改

善のための下水汚泥コンポスト、排水性改善のためのリサイクル人工軽量土壌を現有土壌と

混合している。土壌厚は、丸山古墳等の周辺の既存の緑と連続し骨格の緑を形成する緑地に

対し 700mm 以上とするなど、植栽計画に合わせて植栽基盤を整備している。

②防水・防根層の劣化防止

人工地盤上の緑化施設としての永続性を勘案し、防水層及び防根層の劣化を防ぐための工

夫を行っている。人工地盤となるスラブ上にアスファルト防水を施した後、防根シート、補

強用のワイヤーメッシュを敷設し、シンダーコンクリートを打設している。また、将来の管

理用車両の進入や公園の用途変化に伴う新設構造物設置が可能となるようシンダーコンクリ

ートは厚 100 ㎜としている。

③排水システムに関する技術

大規模人工地盤緑化における排水層の機

能性を考慮し、雨水が停滞せずに流出する

1000 分の 1 乗以上の透水係数で目詰まり

しにくい粒径組成を有するリサイクル資材

を、排水材としての性能を測定・確認した

うえで採用している。また、一般的な排水

ドレーンの敷設以外に一部で施工性、耐久

性、通水性を勘案しポリエチレン面状排水

材を採用している。

特殊緑化空間面積 17,480 ㎡ 設計上の荷重条件 平均 1120kg/㎡

土壌厚 平均 430mm 土壌の種類と名称 下層基盤:現場発生土+改良材 表層基盤:エコ黒土 土壌の比重 1.6

植栽数量 高木:1303 本 中木:2414 本 低木:15428 株 地被 5639 ㎡

灌水方法 雨センサー付自動潅水(ドリップホース、スプリンクラー、ポップアップライザー)

透水シート

リサイクル排水材 面状排水材

シンダーコンクリート

壁面・特殊緑化大賞:環境大臣賞

下北沢成徳高等学校

既存傾斜屋根面を利用した斜面緑化

(所在地)東京都世田谷区 (受賞者)所有・管理:学校法人 成徳学園

設計・施工・資材・工法開発:大成建設 株式会社 施工・資材・工法開発:東邦レオ 株式会社

■作品の概要

下北沢成徳高等学校の既存傾斜屋根面を利用した斜面緑化施設は、「下北沢の地に根ざした学校づく

り」を進めるうえで、「緑化」を重要で効果的な要素として捉え、限られた敷地の中で積極的に緑を確

保するため、鉄骨フレームで既存校舎屋根を覆うように緩やかに湾曲する斜面を地面まで構築し、その

全面を緑化したものである。隣接する新校舎窓からの景観と教職員や生徒の癒し効果の向上、既存校舎

の銅板葺屋根面からの強い照り返し防止等を目的としている。

蒲鉾状で最大斜度は55度を超え、耐荷重が最大で70kg/㎡である傾斜屋根面の緑化技術として、

軽量で急勾配面でも崩壊しない緑化工法が必要であり、芝生生育に必要な植栽基盤の確保と土壌流出防

止のためのズレ落ち防止技術など設計、施工から維持管理まで多くの工夫がみられる。厳しい条件下に

おいて積極的にチャレンジし、新しい工法で斜面緑化を実現しており高く評価された。

高密な既成市街地に「奈良の若草山」を連想させる緩やかな広がりを感じるデザインで貴重なまとま

りのある緑を創出しており、地域の景観の向上と環境改善に貢献している。

■緑化技術の概要

下北沢成徳高等学校 既存傾斜屋根面を利用した斜面緑化施設における技術的な諸元は

以下のとおりである。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の2点があげられる。

①急傾斜屋根面への緑化技術

緑化が実施された蒲鉾状の傾斜屋根は、施設上部の緩傾斜部と最大で55度ある急傾斜部

に分けられ、緩傾斜部への緑化は、植栽基盤支持材の上へ土壌陥没防止ネットを設置し、透

水フィルターを設置後に保水性を上げるための植栽用ロックウールマット(t=40 ㎜)を敷

設し、人工軽量土壌を設置している。急傾斜部の植栽基盤は、不織布による円筒状の土嚢袋

(W=250 ㎜、L=1500 ㎜、t=60 ㎜)に有機含有人工軽量土壌を詰めたものとし、これを

地面と鉛直方向に並べている。これにより土壌の流出を防ぐとともに緑化が困難な場所にお

ける施工性の向上を実現し、安定した植栽基盤の固定を可能とした。

②傾斜屋根面緑化の基盤固定技術

当施設においては既存の傾斜屋根に鉄骨製の曲線フレームを設置し蒲鉾状の傾斜屋根を造

っている。このフレームに溶接金網を設置し、その上にポリエチレン製の土壌陥没防止ネッ

ト、ポリエステル製の透水シートを敷設した後に植栽基盤を設けることとしているため、緑

化施設は空中に浮いた形となっている。また、緩傾斜部、急傾斜部ともに植栽基盤がズレ落

ちないよう 1,200 ㎜、

1,500 ㎜のピッチでス

テンレス製のズレ防止

金具及び芝生用目串等

により植栽基盤を固定

している。

緑化施設面積 1,210 ㎡ 設計上の荷重条件 70kg/㎡

土壌厚 60 ㎜ 土壌の種類と名称 人工軽量土壌 土壌の比重 0.6~0.8

植栽数量 高木:0本 中木:0本 低木: 0 株 地被:300 ㎡

灌水方法 ドリップ式自動潅水システム

屋上緑化部門:日本経済新聞社賞

株式会社 タジマ 埼玉工場 彩の葉ファクトリーガーデン (所在地)埼玉県鶴ヶ島市 (受賞者)設計・施工:田島緑化 株式会社

資材・工法開発:田島ルーフィング 株式会社

■作品の概要

タジマ埼玉工場は、屋上緑化事業を手がけている企業の工場における屋上緑化事例であるが、約

1,900 ㎡を緑化した大面積かつ意欲的な取り組みで、工場の屋上緑化の先駆的な事例となっている。

工場の屋上という「荷重の制限」「対象面積の広さ」等の様々な制約条件がある中で、土壌厚 100mm

の薄層緑化で多種類(104 種類)の地被を使い、屋上に樹木の地上絵を描くデザインで大面積の緑化

を行い、「他の建物に比べ熱がこもっていない」等のより良い労働環境を提供している。また、屋根

軽量スラブ+防水から緑化までの一貫した施工により、コンクリートスラブを打設する工法と比較し

て、軽量・短工期な屋上緑化を実現している。

維持管理・運営については、定期的な緑地観察や生育状況の確認を行い、負担感の少ない維持管

理計画の提案をするなどの工夫も見られる。また、工場見学を通じて外部の人達とのコミュニケーシ

ョンの促進を図るファクトリーツアーを実施するなど、工場の屋上緑化のあり方を先取りした姿勢は

企業のイメージアップにもつながり、今後の工場の屋上緑化の好事例として高く評価された。

■緑化技術の概要

株式会社 タジマ 埼玉工場 彩の葉ファクトリーガーデンにおける技術的な諸元は以下

のとおりである。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の2点があげられる。

①多種多様な地被植物の導入

積載荷重100kg/㎡以下、土壌厚100㎜といった条件下で生育可能な地被植物を、1

年目には約70種、2年目には30種追加して約100種選定し、これらの品種をカラーリ

ーフ、グラス、ターフ、フラワー、ハーブなどのテーマに分けて植栽することにより、それ

ぞれのテーマ性のある葉型緑地帯を創出し、植物の多様性と地被植物による樹木の地上絵と

なるデザインの融合を実現している。

②軽量・短工期の屋上緑化システム

柱の無い大規模屋内空間を必要とする工場の屋上において、十分な積載荷重をとることが

不可能な条件の中で、当屋上緑化施設の整備にあたって独自の軽量緑化システムを採用して

いる。基盤は、仕上げがフラットになる鋼製デッキの上に硬質ウレタン断熱材をを貼り、ア

スファルト防水を施工する。次に耐根層を全面密着

するよう貼り付け、その後発泡スチロール製の保水

排水パネルを設置し、人工軽量土壌及び植栽を施し

ている。この工法により、コンクリートの打設を必

要としないことにより軽量となり、また、乾燥を必

要とする湿式工法がないため天候に左右されにくい

工程管理が可能となった。

緑化施設面積 2,277 ㎡ 設計上の荷重条件 100kg/㎡ 階数 3 階(14.3m)

土壌厚 100 ㎜ 土壌の種類と名称 湿性多孔質人工軽量土壌 土壌の比重 0.8

植栽数量 高木:0本 中木:0本 低木: 0 株 地被:1924.6 ㎡

灌水方法 タイマー制御式電磁弁と点滴式ドリップホースによる自動潅水

壁面・特殊緑化部門:日本経済新聞社賞

第二吉本ビルディング GREEN CASCADE (所在地)大阪府大阪市 (受賞者)設 計:株式会社 竹中工務店

設 計:有限会社 オンサイト計画設計事務所

■作品の概要

第二吉本ビルディングは大阪駅前に位置す

る商業・オフィスからなる複合ビルである。

大阪駅に向かって開かれたエントランス広

場と建築を繋ぐ吹き抜け空間に挿入された

「GREEN CASCADE」は、広場を取

り囲むように配置され、「光と緑」が来館者

を心地良く迎えるように計画されている。広

場側からは、十分な緑のボリューム感が感じ

られ、カスケードが向かい側の店舗への見通

しの妨げにならず、下から見ても緑の存在感

があるように工夫されたデザインで、新しい

アイデアが活かされた面白い緑の空間を創出

しており高く評価された。

緑化技術としては、ビル風にさらされる

「外部」と乾燥する「内部」という異なる環境

にまたがって緑を連続させるため、2 年半にわ

たる高層ビル直下と室内での育成実験から選

定した植物を採用し、適度なボリュームと連

続感を実現するとともに、季節ごとの花によ

る演出により、地下空間に季節感を生み出し

ている。

維持管理においては、緑のカスケードの美

しさを持続的に維持していくため、水耕栽培

の自動灌水など極力人手のかからないシステ

ムを構築し、維持管理の省力化と管理費の低

減を図っている。

■緑化技術の概要

第二吉本ビルディング GREEN CASCADEにおける技術的な諸元は以下のと

おりである。

ここで導入された技術のうち特徴的なものとして以下の2点があげられる。

①屋内・外の環境に適した植物の選定

当施設は、緑化される環境がビル風にさらされる外部と乾燥する内部という異なった環境

にまたがって連続させたみどりを演出するため、これらの環境に適した植栽植物の選定が必

要とされ、約2年半にわたる高層ビルの直下と室内での植栽植物の育成実験を行ったうえで

生育が良好で、景観上適したものを選定し、適度なボリュームの緑量の確保している。

②植栽基盤および維持管理技術

当緑化施設は、エントランス広場と建築を緑によって連結させる緑化プランターをカスケ

ード状にレイアウトしている。植栽基盤となるプランターは、まわりが商業施設であること

から水耕栽培方式を採用することによって臭気対策を行い、また、結露を含めた漏水対策と

して水密されたプランター(ステンレスボックス及びFRP製)を2重に設け、この中に水

耕栽培用植栽ポットを入れるシステムとしている。給水については、カスケードに自動灌水

される水が流下する構造をとっており、給水に液肥を配合し植物の生育状況を確認しながら

一体的に施肥を行なうなど、管理費用と手間の省力化を図っている。

特殊緑化空間面積 180.1 ㎡ 設計上の荷重条件 44 ㎏/㎡

土壌厚 内容器:190~220 ㎜ 植栽基盤 発泡煉石(水耕栽培用) 土壌の比重 0.6

植栽数量 低木:2216 株 地被:50.3 ㎡

灌水方法 底面給水方式による自動潅水

都市緑化技術開発機構理事長賞

■屋上緑化部門

赤坂インターシティ・ホーマットバイカウント

赤坂インターシティ・ホーマットバイカウントは、赤坂の商業オフィス地区と高台の閑静な住宅地の中間領域に立地する住宅・オフィスの複合施設である。周辺の地形や緑と調和した環境づくりがテーマであり、敷地北側にある既存の斜面緑地を残し、これと連続する一体的な緑地を駐車場の屋上緑化により整備している。敷地の南北で建物一層分以上の高低差があり、発泡スチロール製かさ上げ材を利用して荷重の低減を図るとともに既存斜面緑地との地形の一体化、連続性を再現している。 東京都総合設計制度の活用による公開空地としての公開性と、住民等の散策のための静かな環境を両立させるため、緑と水景を利用し、周辺の住民やオフィスワーカーも訪れる憩いの場を提供している。既存の緑と一体となった豊かな緑量が都市景観の緑の背景となり、新設区画道路の緑と連続させることで、潤いと賑わいの街並み形成にも大きく寄与しており評価された。

京都光華女子大学短期大学部5号館 HIKARU-COURT 屋上庭園「HIKARU-COURT」は、「環境・デザイン・エコロジー教育の実習施設」「学生の憩いの

場」「開かれた大学を実現する場」として、築 38 年の校舎屋上に設けられたものである。大学から幼稚園までの学生・教職員や園児のほか、近隣町内会等にも開放されており、地域の人々の憩いの場としても利用されている。 90 種類を越える樹木・ハーブ・草花などを植え込み、一年を通して講座や教材として使用できるように配慮し、学生が配色計画を学習できる色彩をテーマにした整形式庭園や幼児が自然を身近に感じられるような実のなる植物やバードバスを設けている。さらに、屋上緑化による省エネ(断熱)効果や太陽光発電による発電状況をリアルタイムに確認できるシステムも導入する等、「教育・実習施設」として幅広い利用者に対応できるように工夫されており、コンパクトな屋上庭園を多様な目的に利用できるようにデザインされた好事例として評価された。

(所在地)京都府京都市 (受賞者)所 有:京都光華女子大学 短期大学部

設 計:環境デザイン事務所 EMIプロジェクト 施 工:松下電工ビルマネジメント 株式会社

(所在地)東京都港区 (受賞者)所 有:興和不動産 株式会社

設 計:株式会社 日本設計

審査委員会特別賞

■屋上緑化部門

目黒区総合庁舎本館 目黒十五庭(めぐろとうごてい)

目黒区総合庁舎本館屋上は、数寄屋建築の著名な建築家・村野藤吾氏の建築作品である建築と付帯する庭園の特徴を最大限に活かし、築 40 年の既設の建築物屋上を信楽焼陶製品や 120 年生の盆栽仕立てのゴヨウマツを多用した区民や職員の憩いの場となる和風モダンの庭園に全面改修(新設)されたものである。 工法や資材については、フォグ散水システム等最先端の技術を導入する一方、盆栽や焼き物など日本の伝統技術を極力取り込み、最先端の技術と伝統技術の融合を目指し、今までにない新しいアイデアが豊富に盛り込まれており評価された。 さらに特徴的な事項として、本庭園の設計・施工・管理の一切を大学研究室の教員と学生の手で行うという意欲的な取り組みも行われている。 維持管理・運営についても、設計意図とした景観を維持するため、必要な最低管理作業内容を予め管理指針として定め、その指針に基づき区職員のボランティアチーム、学生と業者委託のワークシェアを行うなどの工夫がなされている。

■壁面・特殊緑化部門

内神田サニービル 壁面緑化フジ 内神田サニービルは、神田の高密度地区に立地する商業・業務ビルであり、ビルおよび近隣地域の景観の向上と環境改善を目的として、接道しているビル南東面のコーナー部に露地植えのフジによる壁面緑化を行っている。植栽基盤が 40cm×70cm と狭小なスペースしかなく植物の生育には厳しい環境の中で、ステンレス製の登はん補助資材を使用してビル 8 階部分まで生育させ、緑の少ない地域に見える緑として大きな面積の緑化を実現している。 維持管理においても、避難階段から管理作業ができるようになっており、高所作業車などを必要とせず、コスト低減と作業の安全性を図る工夫がなされている。 高密な都市空間において、小規模であるが効果的な緑を生み出す壁面緑化の意欲的な好事例として評価された。

(所在地)東京都世田谷区 (受賞者)所 有:目黒区

設計・施工:東京農業大学 地域環境科学部造園科学科 都市緑化技術・ 造園地被学研究室

(所在地)東京都千代田区 (受賞者)所 有:所有・施工・管理:株式会社 久保工


Recommended