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緊急時対応ノンテクニカルスキル訓練

の開発と試行

株式会社 原子力安全システム研究所

金山 正樹

平成28年10月31日

シンビオ社会研究会 H28年度第2回研究談話会

現場幹部リーダーシップの必要性

現場幹部に求められる具体的スキル

政府事故調(平成24年7月23日)

事故対処に当たって求められる資質・能力の向上を目指した実践的な教育・訓練を実施するよう強く期待する.(p.403)

入手した情報からあらゆる可能性を考えて取捨選択し、次にいかに対処すべきかについて判断し、行動する力である。

東電事故調(平成24年6月20日)

実際の事故の状況に応じて対応ができるようにするための訓練を(それぞれ)実施(p.342)

緊急時の人間行動特性等緊急時対応の一般的な知識付与、緊急時の指揮命令等のプログラムもあわせて構築していく.(p.92)

学会事故調(平成26年3月8日)

危機管理能力開発のための研修を定期的に行う必要がある。(p.292)

幹部は知識、俯瞰力、判断力、問題解決力、全体を牽引するリーダーシップなどが要求される。

INPO特別報告書(平成24年8月)

事故の発生時に、意思決定に影響を及ぼし、人員の能力を低下させる感情的な問題に対処する緊急時対応策、訓練、ガイダンスを確立する。(P.19)

必要に応じ正しい意思決定をするための準備をしておいた方が良い

※ 国会事故調(平成24年7月5日)、民間事故調(平成24年2月27日)の報告書では、本店役員への言及に限られており、現場幹部の「ノンテクニカルスキル」に対する記載は認められなかった。

1事故調査報告書(1F事故報告書にみる教訓)

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原子力災害対策充実に向けた考え方 2

原子力災害対策充実に向けた考え方

関西電力 プレスリリース 平成28年4月15日

※ 出典:「Sitting in the Hot Seat」(Flin,1996), 「現場安全の技術」(小松原ら訳,2012)

文献調査 (緊急時対応する現場指揮者が持つべきスキル)

【ノンテクニカルスキル※9項目】 【育成実践例】

リーダーシップ能力 講師によるリーダーシップ理論の紹介等

行動方針の計画と遂行 自身のリーダーシップスタイルに対する気づき,リーダーシップ評価測定フィードバック等

権限委譲 事例学習,シミュレーション等

チーム管理 振り返り訓練,ファシリティ訓練,CRM等

ストレス下での意思決定 戦略的意思決定ゲーム,事例学習等

状況評価(状況認識) 事例学習,認知に及ぼす影響の紹介

コミュニケーション コミュニケーション演習,CRM,クロス演習

ストレス管理 振り返り訓練,認知に及ぼす影響の紹介

非常事態への事前 計画準備 指揮統制訓練,事例学習等

3

※ノンテクニカルスキル(NTS):テクニカルスキル(業務に直結した専門知識や技量)に対比される言葉であり,「状況認識」,「コミュニケーション」,「リーダーシップ」など,ヒューマンエラーを避け,安全を確保していくための現場スタッフが持つべきスキルである.ノンテクニカルスキルの草分けは航空機の運航乗務員らにおいて発展してきたCRM(crew resource management)スキルである.(なお,CRMスキルはノンテクニカルスキルの一形態である)

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4今回開発した研修のねらい

ノンテクニカルスキル(NTS)に着目

休日の深夜に緊急時対応する当番を対象

参加型の行動演習(アクティブラーニング)

現場で実施が可能

上記を踏まえた訓練(プロトタイプ)を開発し,現場適用への課題を抽出するための検証(テスト)を行う.

INSSが開発した「ノンテクニカルスキル訓練」の特徴

比較項目 従来の発電所での訓練(テクニカルスキル中心)

今回INSSが開発した訓練(ノンテクニカルスキル中心)

訓練目的 シナリオに対し、定められた手順書通りに事故対応が行えること、制限時間内にその行動ができること等を習熟。

事故対応する発電所幹部に求められるノンテクニカルスキル (ストレス時の人間特性、状況認識等)を理解し、醸成。

リアリティ 発電所の実態(役割分担、人、手順、リソース)とほぼ同じ。

発電所の実態とは乖離。(リソースは制限される)

阻害要因 ポンプ不動作、弁固着などの機械不具合、夜間・悪天候・同時発災など、人的ではないこと。

自然災害や人為災害以降に発生する、人間の不適切な行動や誤解などによるもの。

サクセスパス

手順書に従って行動すること、制限時間内に行動すること。(目標達成・見込時点まで)

失敗から学ぶことを期待しており、100点満点はない。(途中でも時間で打ち切り)

5

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6開発した訓練

プレイヤーは,初期事象発生までの経緯を説明する動画を視聴した後,演習を開始する

プレイヤーは,約40分間にわたり,初期事象への対処を求められるとともに,次々と付与される阻害事項への対応も求められる 阻害事項(状況)は,別室のコントローラ(演習実施者)6名が,電話を通じて

付与した

プレイヤーの状況確認・判断・対応に応じて,コントローラ側も臨機応変な対応が求められる

初期事象発生動画視聴

約40分間の演習

事後討議

・初期事象への対処・阻害事項への対処

・気づいた点・良好/反省点

開発した訓練の流れ

【演習① 自然災害編】巨大地震と大津波により、全交流電源喪失と

小LOCA(1次冷却材喪失事故)が同時発生

【演習② 人為災害編】航空機が墜落し、火災発生

いずれも,土曜日深夜を想定

7初期事象発生動画

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8休日体制と訓練役割体制 合計

本部指揮 1

6名通報連絡 2

ユニット指揮 2

現場調整 1

運転員 24 24名

電源確保 4

40名

運転支援 2

消防活動 7

ガレキ撤去 4

給水確保 13

設備対応 10

合計 70 70名

プレイヤー(訓練参加者)

コントローラ(訓練実施者)

本店当番,守衛,自治体,住民その他 第81回福井県原子力安全専門委員会

(平成27年7月22日)資料一部修正

9阻害事項の検討

公開されている「吉田調書」から得られた教訓を,NTS分類に基づいて整理した.

教訓を”主語 (所長,幹部ほか)”別に集約したところ,8分類103項目に集約された.

分類毎に教訓を選択し,演習で10個程度の阻害事項を挿入した.

【ノンテクニカルスキル】(8分類)

1.コミュニケーション

2.ストレス下の意思決定

3.ストレス下の人間特性

4.権限委譲

5.状況把握

6.状況認識

7.組織管理

8.非常事態への事前準備

【参考文献】

彦野・作田・松井・後藤・金山(2016):政府事故調聴取記録からのノンテクニカルスキル教訓の抽出,

INSSジャーナルVol.23,153-159

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被聴取者

聴取日時 聴取内容 聴取結果書

変換

サイ

文字数 ページ

数 氏名 調書上の所

吉田

昌郎

東京電力福

島第一原子

力発電所長

2011/7/22 事故時の状況とその対応について (PDF:7,010KB) 3374 78821 59

2011/7/29 事故時の状況とその対応について (PDF:7,170KB) 3430 80547 61

2011/8/8 事故時の状況とその対応について 1 (PDF:3,639KB) 1686 37807 37

2011/8/9 事故時の状況とその対応について 2 (PDF:3,514KB) 1639 37956 33

事故時の状況とその対応について 3 (PDF:3,513KB) 1643 36717 35

事故時の状況とその対応について 4 (PDF:6,870KB) 3180 73720 68

事故時の状況とその対応について (資料) (PDF:5,298KB) 2359 36359 48

2011/8/9 汚染水への対応について (PDF:536KB) 264 5404 5

2011/10/13

高濃度汚染水の存在についての3月24日

以前の想定について

4月4日統合本部会議における発言の趣

旨・背景について

(PDF:625KB) 289 5846 7

2011/11/6 事故時の状況とその対応について (PDF:7,481KB) 3482 79478 66

2011/11/6 事故時の状況とその対応について (PDF:4,233KB) 1977 45141 37

http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai_4/hearing_list_4.html

吉田調書は、2014年夏に公開されており、上記のURLから入手した。現在でも公開されており、引続き入手可能である。

吉田氏(元発電所長、故人)が被聴取者である上記10個のPDFファイルを作業対象とした。

※ 網掛けの「資料」は、聴取の際に配布した参考資料のため分析対象外とした。

10文献調査2 (吉田調書の入手)

吉田調書の入手

吉田調書は、2014年夏公開されたものをWeb上から入手した。現在でも公開されており、引続き入手が可能である。

吉田氏(元所長、故人)を被聴取者とする10編のPDFファイル(政府事故調)を作業対象とした(全408ページ)。

作業方法

ヒューマンファクター研究センターの研究員 6名[関電出向者 4名(発電・保守・建設経験者)、INSSプロパー 2名(認知心理・社会心理専門家)]により、各人の視点を活かして教訓抽出を実施。

特に吉田氏の発言内容について、各研究者が「問題点もしくは良好」と思われる気づき箇所をマーキングし、マーキング箇所の背景となる教訓について各自でコメント文を加えた。

各人のコメント文を、短い言葉「キーワード」に整理したうえで、それらを全員討議により整理した。

マーキング箇所教訓

コメント キーワード

吉田調書より、各研究者が気づき箇所としてマーキングした部分を抽出 (マーキング色は研究者毎に変えてある)

各人の教訓コメントを全員の協議によりキーワードに集約

11吉田調書からの教訓抽出(INSSにおける分析)

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ノンテクニカルスキル (教訓)

12

全体で777箇所の気づき箇所を抽出、このうち今回の研修ターゲットである発電所長および円卓に係わるリーダーシップに関して、412件の教訓(良好事例と課題)を得ることができた。さらに、KJ法による集約作業を行った結果、8項目のノンテクニカルスキルに整理できた。

(件)

(ノンテクニカルスキル分類)

【参考】 教訓(課題と良好)のノンテクニカルスキル8分類毎の分布

【検証目的】

A:現場適用への課題抽出

B:プレイヤーの

作業負荷評価

【方法】

プレイヤー 5名(緊急時対策本部経験者)

コントローラー 6名(現場勤務経験者)

手続き 右上表参照 全体で3時間半(210分)

実施場所 原子力安全システム研究所 実験室

検証データ (A,B)質問紙 精神的作業負荷(メンタルワークロード)

演習に対する評価,自由記述(課題・気づき)

(A)事後討議での意見(発言記録)

(B)生理指標(簡易心拍測定)

13検証実験計画

内容 説明演習①

演習②

事後討議

合計

時間 35分 55分 55分 65分210分

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14方法 心拍測定と生理指標

簡易心拍計

同期させ計測

測定画面

生理指標 〇心拍数 (1分間あたりの心拍数 bpm)〇LF/HF LF成分(0.04~0.15Hz) 交感神経活動

HF成分(0.15~0.45Hz) 副交感神経活動

演習①(演習室) 15

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演習①(コントローラー室)16

17

プレイヤ-ルームカメラ3

コントローラ-カメラ別室から

電話による情報提供と阻害の付与

プレイヤ-ルームカメラ1

プレイヤールームカメラ2

演習①手前右から

ユニット指揮者通報連絡者通報連絡者

奥右からユニット指揮者

本部指揮者現場調整者

方法(例:演習①4画面分割録画)

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プレイヤー番号 1 2 3 4 5

Q1 目的 5 4 5 5 5

Q2 意義 5 5 5 5 5Q3気づき例

本部全体として認識をとる時間を設けた,ID3のとっ

た行動は良かった

テロ対応訓練は初めて.何に注意して対応したらよいか悩んだ

リソース(人)

が少ないと,優先順位をつけないといけないことを実感した

状況把握の難しさ,コミュニケーションの重要性は気づきになった

対外連絡のお作法(内容や会話術)の

知識不足を感じた

Q4

今後現場適用に向けた課題やあり方について

プラント状況が理解できる人間がコントローラには必ず必要である

まずは演習①を改善して,試行するのが良い

発電所の緊急対策室を使って実施すれば良い.その場合,リアリティを強化すべし

班長クラス(課長級)以

上の訓練として有効.他の訓練との関連を整理すべし

一人一人の行動を観察し,組織としての行動力がどうであったかを知りたい

18結果A(質問紙 演習の評価と気づき)

19結果A(事後討議 プレイヤー意見)

現場は色々な訓練を行っているので,棲み分けを明確にすべき.

我々の最終責務は原子力安全の確保であり,そのための訓練を限られた時間の中で実施している.ハイブリッド型(現状のテクニカル訓練にノンテクニカル訓練の要素を取り入れる)研修として整備すべき.

今回の訓練は全然ストレスは感じなかった.ストレスはもっと加えてもよいのではないか.

参加者のバランス(テクニカルスキルのレベル、キャリア)を考慮しつつ、コントローラーも含めた関係者全てを対象とした訓練とすべき.

セルフチェック、ピアチェック、第三者チェック等,評価方法の改善と訓練での検証が必要.

リアリティ

フィクション

テクニカルスキル訓練(防災訓練,要素訓練)

ノンテクニカルスキル訓練

ハイブリッド訓練(テクニカルの中にノンテクの要素)

INSSノンテク訓練(今回開発)

CRM訓練(航空ノウハウ、他電力・他業種)

JANSI(消防ノウハウ)

クロスロード課題(ゲーム理論) etc.

プレイヤーの意見

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20考察A(現場適用への課題)

事後討議でのプレイヤー意見に,「テクニカルな知識を有するコントローラの必要性」「よりリアリティを増すこと」があった.• 現場固有の条件(例:設備配置,特定箇所の作業空間の

狭さ,日常業務の基本ルール)を反映することで,プレイヤーが引き込まれ演習に没入する効果が期待できる.

一方で,参加者意識を導くことも重要と意見あり.• 演習シナリオ(状況設定と阻害事項)に求める適切なリアリ

ティを探る必要がある.

現場の職員と,演習シナリオを共考し,コントローラ役を協働することが重要である.

プレイヤー番号 1 2 3 4 5

本部内役割 本部指揮/通報連絡 ユニット/ユニット ユニット/本部指揮 通報連絡/ユニット 現場調整/通報連絡

精神的作業負荷

知的知覚的 ①50②80

①75②80

①50②85

①65②35

①40②70

身体的 ①75②50

①45②25

①0②55

①65②45

①15②60

時間圧力 ①60②20

①85②85

①50②80

①75②65

①60②30

作業成績 ①50②60

①45②25

①75②10

①50②65

①60②70

努力 ①75②70

①55②75

①50②90

①60②55

①70②70

フラストレーション ①45②65

①75②95

①60②90

①60②55

①30②30

全体的負担感 ①50②50

①75②85

①50②90

①60②65

①20②60

生理指標

心拍数/平常心拍数

①1.11②1.13

欠損値①1.19②1.11

欠損値①1.05②0.97

交感系指標LF/HF

①3.68②3.99

欠損値①7.30②7.59

欠損値①3.50②2.43

21結果B 作業負荷評価(①自然災害/②人為災害)

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【ID 1】

【ID 3】

【ID 5】

0

5

10

15

20

25

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LF/HF

0

10

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30

40

50

60

LF/HF

0

5

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0 5 10

15

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25

30

35

40

LF/HF

経過時間

【演習② 人為災害40分33秒】

結果B 生理指標LF/HF

0

5

10

15

20

LF/HF

0

5

10

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30

35

40

LF/HF

0

5

10

15

20

25

0 5 10

15

20

25

30

35

40

LH/HF

経過時間

【演習① 自然災害42分53秒】

23

【ID 1】 本部指揮者役

結果B 生理指標LF/HF(標準化得点化)

【ID 3】 ユニット指揮者役 【ID 5】 現場調整者役

‐2

‐1

0

1

2

3

4

5

0 5 10

15

20

25

30

35

40

【演習①】

【演習②】

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24考察(作業負荷評価)

作業負荷は演習①より②が高かった.演習②シナリオは経験がない(とまどい)ことから比較的高く評定されたと考えられる.

「演習①は本当に負荷が不足していたのか」などの検討を行う必要がある.逆に,負荷が高過ぎる場合は,「できなくて当たりまえ」という気分を醸成しかねない.今後さらに多くの現場職員に試行を重ね,適切な負荷の高さを検討する必要がある.

25今後の展開

現場の訓練に適用するための主な課題も明らかとなった.① 現場での訓練実施とデータ蓄積② スキル向上評価方法の確立③ 適正なストレスやリアリティの程度

の検討• 生理指標データの検討

今後は,これらの課題を踏まえ,現場で訓練を実施する.現場に応じた実施体制やより効果的なカリキュラムへの改良など具体化を図っていく.

背景と目的

演習の開発

検証実験

現場適用

ユーザー評価

展開・発展

改善

フィードバック

【参考文献】彦野・松井・金山(2016):緊急時対応訓練を行う参加者の作業負荷測定,日本人間工学会第57回大会講演集,370-371


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