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Page 1: Coin Manufacture Manufacture 造幣局では、1円アルミニウム貨幣から 500円ニッケル黄銅貨幣までの6種類の通常 貨幣を製造しています。 貨幣は、材料を溶解し、圧延・圧穿・圧印・

《オリンピック・パラリンピック記念貨幣》

 500円貨幣には、最新の偽造防止技術が採用されています。

貨幣の偽造防止と安定供給

 造幣局は、高度な偽造防止技術及び厳格な管理

体制をもって経済活動に必要な貨幣を安定的かつ

確実に製造し、通貨制度の安定に寄与しています。

 特に500円貨幣には、潜像加工、斜めギザ、微細

点や微細線という最新の偽造防止技術が採用され

ています。

貨 幣 の 製 造

時代は変わっても、貨幣づくりに対する姿勢は変わりません

Coin Manufacture

 造幣局では、1円アルミニウム貨幣から500円ニッケル黄銅貨幣までの6種類の通常貨幣を製造しています。 貨幣は、材料を溶解し、圧延・圧穿・圧印・検査工程を経て製造されます。当局では純正画一で偽造されない貨幣の安定供給のため技術の向上に努めています。

貨幣の安定供給と人々の暮らしに役立つために

圧印工場

 造幣局では、過去に行われたオリンピック(東京、札幌、長野)の記念貨幣を製造してきました。 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会についても、開催までに複数種類の記念貨幣の発行が予定されており、平成28年には東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣(リオ2016-東京2020 開催引継記念)が発行されました。引き続き、今後の記念貨幣の製造に向けて、素材・デザイン等の幅広い調査・検討を行うとともに、財務省・大会組織委員会など関係機関との対外的な連絡調整を行うなど、鋭意準備を進めています。

 造幣局では国家的な事業を記念して発行される記念貨幣を製造しています。

記念貨幣の製造

Point 1

■ 偽造防止技術①(微細線・微細点)

■ 偽造防止技術③(斜めギザ)

■ 偽造防止技術②(潜像)

▲微細線

▲微細点

微細線・微細点の概念図

大量生産型貨幣では世界初の斜めギザ

潜像の概念図

Ⓐ Ⓑ

Ⓒ Ⓓ

Ⓐ東京オリンピック記念(1,000円銀貨幣)Ⓒ長野オリンピック記念(10,000円金貨幣)

Ⓑ札幌オリンピック記念(100円白銅貨幣) Ⓓ地方自治法施行60周年記念貨幣(大阪府) (1,000円銀貨幣)

Ⓔ第8回アジア冬季競技大会記念(1,000円銀貨幣)

切削加工、微細加工の限界に挑んだ技術 見る角度によって、数字等が見え隠れする技術

左上方向から見ると青い部分に施された模様が見える。

右上方向から見ると赤い部分に施された模様が

見える。

潜像部断面

貨幣の側面のギザを斜めにすることで偽造抵抗力を向上

貨幣製造量の推移(通常貨幣 - 貨種別)

500円

百万枚 1,2001,1001,0009008007006005004003002001000

合計

1円

100円

50円5円

10円

500円100円

50円10円

5円1円合計

平成25年度2106100.5251200.52526

967.05

平成26年度150528151501051601,108

平成27年度1904104020010053.51993.51

平成28年度29545060190300.55

1,025.55

平成29年度4505448115331.00

1,151.00(注)平成29年度は見込み

03 04JAPAN MINT Recruiting Guide

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ⒻⒹ

 造幣局は、内閣府賞勲局からの発注を受けて、勲章・褒章を

製造しています。

 勲章・褒章は国家または公共に対し功労のある方や、各分野

において優れた行いのある方

に授与されるものであり、美麗・

尊厳・品格を兼ね備えている

ことが要求されます。このため、

熟練した職員が細心の注意を

払って製造しています。

匠のこだわりが生み出す勲章̶ それは世界に誇れる芸術です

勲章・褒章の製造

Production of Orders & Medals of Honor

国民栄誉賞 東京オリンピック入賞メダル(金) 札幌冬季オリンピック入賞メダル(金)

茨城県名誉県民章 七宝章牌「エイサーまつり」 国宝章牌「元離宮二条城」(銀) 平成29年桜の通り抜け記念メダル(金)

長野冬季オリンピック入賞メダル(金)

Ⓐ桐花大綬章(正章)Ⓑ大勲位菊花大綬章(正章)

Ⓒ旭日大綬章(正章) Ⓓ宝冠大綬章(正章)Ⓔ文化勲章 Ⓕ瑞宝大綬章(正章) Ⓖ褒章

皆様のニーズに ̶ 伝統の技が応えます

 造幣局では、公共性の高い金属工芸品を受注製造するほか、偽造防止技術をはじめとする貨幣製造技術の維持・向上のため、金属工芸品の製造を行っています。

勲章の製造工程

■ 金属工芸品の数々

材料板に勲章の模様をプレスし、形にそって切り抜きます。

《機械の導入による効率化》 勲章の製造については、培われてきた伝統技術の確実な維持・継承に取り組むとともに、機械の導入などによる一層の効率化を図っています。

自動研磨機による羽布作業羽布作業とは、布に研磨剤をつけて部品の表面を研磨する作業です。自動研磨機を導入して作業しています。 七宝自動盛付機七宝ゆう薬をシリンダに詰め込み、コンピュータ制御により指定された位置に定量の七宝ゆう薬を盛り付ける機械です。

Point 2

1 ヤスリで形を整えます。2 七宝が入る部分に「ゆう薬」を盛り付けます。その後、電気炉に入れて

「ゆう薬」を焼き付けます。

3 羽布で研磨して光沢を出し、必要な部分には金メッキをします。部品を組み立てて完成です。

4ば ふ

■ 機械の導入例

貨幣製造技術の維持・向上をめざして

金属工芸品の製造

Production of Metallic Art Objects

平成22年桜の通り抜け記念金メダル

実用化段階(平成22年)

技術の向上の推移

造幣東京フェア2011プルーフ貨幣セット用925位銀メダル

工業化段階(平成23年)

第67回国際通貨基金・世界銀行グループ年次総会記念千円銀貨幣

貨幣へ適用(平成24年)

少量生産で実用性を確認 生産性を確認 貨幣へ適用

〔虹色発色技術の場合〕

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《行事等を記念した貨幣セット》

 造幣局は、国家的な事業を記念して発行される記念貨幣を製造しており、金融機関を通じて引き換えるものに加えて、素材に貴金属を含み、製造に要する費用がその額面を超えるプレミアム貨幣を販売しています。 また、500円から1円までの未使用の貨幣を美しいケースに収めた貨幣セット及び特殊な技術を用いて表面に光沢を持たせ、模様を鮮明に浮き出させたプルーフ貨幣セットの販売も行っています。

貨幣セット等販売

あの日、あの時の『感動』をカタチに̶ 永遠に刻む力があります

 貨幣の偽造防止技術の維持向上、貨幣・勲章

等製造技術の一層の高度化及び製造工程の効率

化を図るため、研究所において素材、生産技術、

機械、工芸技術、試験分析と多岐にわたる分野

の研究開発業務を行っています。

新たな技術に挑むとき、先端技術はロマンになります

Sales of Coin Sets

研 究 開 発

Research & Development

公平・中立な科学の眼 ̶ それが安心を提供します 貴金属製品の品位証明業務は、製造・販売を行っている業者からの依頼に応じて品位試験を行い、この試験に合格したものには、証明記号(マーク)を打刻してその品位を証明しています。 この品位証明記号を通称「ホールマーク」といい、国民の皆様からの信頼も厚く貴金属製品の取引の安定と消費者保護に貢献しています。 また、貨幣材料の分析及び試験で培ってきた技術を応用した各種分析及び試験を行っています。

Point 3 「リカちゃん」は、昭和42年に誕生した着せ替え人形で平成29年に誕生から50周年の節目を迎えました。また、夏目漱石は慶応3年(1867年)東京に生まれ、平成29年に生誕150年を迎えました。 造幣局では、これらを記念して、貨幣セットの製造及び通信販売を行いました。 いずれも多数のお申し込みをいただくなど、皆様からご好評をいただきました。

通常プルーフ貨幣セット

高度な偽造防止技術の導入

■ 虹色発色技術 ■ バイカラー・クラッド貨幣

貴金属製品の品位証明等

Fineness Certification of Precious Metal Wares,etc.

夏目漱石生誕150周年貨幣セットリカちゃん50周年

2017プルーフ貨幣セット

 夢の超特急と呼ばれ、戦後日本の成長を支えてきた新幹線鉄道が、平成26年10月1日に開業50周年を迎えたことを記念して新幹線鉄道開業50周年記念貨幣が発行されました。この記念貨幣には、千円銀貨幣と100円クラッド貨幣があります。 このうち千円銀貨幣には、虹色発色技術が採用されており、これにより虹のように輝く0系新幹線を描いています。虹色発色技術とは、貨幣表面に非常に微細な溝を作ることによって、光の回折・干渉を起こし、虹色に輝いて見えるようにする加工技術です。貨幣を見る角度が変わると、加工部が7色にキラキラと輝きながら変化するため、通常の着色などでは表現できない視覚効果を可能としています。 虹色発色技術は見た目で判別しやすい偽造防止技術です。

 平成20年から、地方自治法施行60周年を記念して、47都道府県ごとのデザインをあしらった地方自治法施行60周年記念貨幣を順次発行しています。この記念貨幣は、千円銀貨幣と500円バイカラー・クラッド貨幣があります。 このうち500円バイカラー・クラッド貨幣には、バイカラー技術とクラッド技術を組み合わせた技術が採用されています。「クラッド」技術は、異なる種類の金属板をサンドイッチ状に挟み込む技術です。「バイカラー」技術は、リング状の金属の中に、ちょうど入る大きさの材質の異なる金属をはめ合わせる技術です。この2つの技術を組み合わせて、1枚の貨幣を作っています。

〔虹色発色のイメージ(記念貨幣裏面)〕新幹線鉄道開業50周年記念千円銀貨幣 バイカラー・クラッド技術の仕組み

金属B

金属C

金属A

1枚に組み合わせ

 記念貨幣には、現行の通常貨幣で使用している偽造防止技術に加え、さらに高度化された種々の偽造防止技術を導入しています。

©TOMY

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ニュージーランド

インドタイ

バングラデシュ

ジョージア

ネパール

中 華 人 民 共 和 国日本

《外国一般流通貨幣製造》

注 目 Point 4MDCバンコク2016

TICC2017

〔表面〕中尊寺金色堂と中尊寺ハスと毛越寺浄土庭園

〔裏面〕雪月花(各都道府県共通)

地方自治法施行60周年記念千円銀貨幣(岩手県)記念貨幣(金貨以外)最も美しい貨幣賞(2012年)

〔表面〕アンコールワット 〔裏面〕「日本カンボジア友好60周年」の公式ロゴマーク及びキャッチフレーズ

(Trust we built, Future we share(かさねた信頼、きずく未来))

日本カンボジア友好60周年記念銀貨幣

世界の造幣技術の発展のために情報交換を行っています

 世界造幣局長会議をはじめとした国際会議に積極的に参加し、最新の貨幣製造・偽造防止技術等について、各国の造幣局や通貨当局等との情報交換を行っています。 さらに、海外の友好国への貨幣の受注活動を積極的に展開し、外国貨幣の製造を通して友好国との関係を深めています。 また、海外で開催される貨幣フェアでは、当局製品をブース出展し、当局製品の海外販売の拡大に努めています。

海 外 業 務

世界に学び学ばれ、海外に広めたい技術と熱意があります

Overseas Business

 世界造幣局長会議(Mint Directors Conference)に付随するイベントとして、メンバー造幣局が製造した貨幣のコンペティションが行われます。このコンペにおいて、当局が製造した記念貨幣が「記念貨幣(金貨以外)最も美しい貨幣賞」に選ばれました。

(2012年:平成24年)

 TICCは、海外の造幣局等が自国の文化を色濃く伝える貨幣の展示を行い、各国の貨幣を通してそれぞれの文化に対する理解を深め、国際文化交流の促進を図ることを目的として開催されています。造幣局は第1回(平成2年)から後援・出展を行っています。

 造幣局は、国内のみならず広く海外からデザインを募ることにより、貨幣デザインの芸術性の向上に寄与すべく平成10年から国際コイン・デザイン・コンペティション

(International Coin Design Competition)を開催しています。

 海外の友好国へ貨幣の受注活動を積極的に展開しています。その結果、平成24年に戦後初めて一般流通貨幣であるバングラデシュ 2タカ貨幣の製造を受注したほか、多くの国々の記念貨幣を製造しています。海外から貨幣を受注し、製造することは、その国との友好関係を深めることに大いに貢献するものであり、造幣局の存在意義は大変高まっています。

 平成24年のバングラデシュ2タカ貨幣の製造においては、日本の

貨幣とは異なるステンレス素材への挑戦をはじめとして、バングラ

デシュとの交渉、種印、極印、成形、圧印、梱包、出荷、それら全体の調整、

あらゆる段階でこれまでにない挑戦をしました。2タカ貨幣を組み込

んだ貨幣セットは首脳会談において安倍総理からシェイク・ハシナ・

バングラデシュ首相に贈呈されました。

 この経験を糧に、平成28年にはジョージア20テトリ貨幣の製造を

受注しました。造幣局は、「もう無理かもしれない、もうできないか

もしれない」ということでも、一生懸命考えて、知恵を出して、み

んなで乗り越えていく、そういう力を持っています。この経験、自信、

誇りは、造幣局全体の宝であり、次世代にも引き継がれていきます。

新たなる挑戦で得たゆるぎない自信と誇り 2タカ硬貨

〔表面〕バングラデシュ初代大統領ムジブル・ラーマン氏の肖像

20テトリ硬貨

〔表面〕牡鹿(ジョージアの著名な画家であるニコ・ピロスマニ(1862年-1918年)の作品をモチーフにしたもの)

〔裏面〕バングラデシュ人民共和国の国章

〔裏面〕ボルジュガリ(ジョージアにおける太陽のシンボル)、最初の製造年(1993年)及び国名

平成19年 日本ニュージーランド友好記念銀貨幣

平成24年 バングラデシュ2タカ貨幣(一般流通貨幣)

平成24年 日本スリランカ国交樹立60周年記念銀貨幣

平成25年 バングラデシュ国立博物館100周年記念銀貨幣

平成25年 日本カンボジア友好60周年記念銀貨幣

平成26年 日本ブルネイ外交関係樹立30周年記念銀貨幣

平成26年 日本ミャンマー外交関係樹立60周年記念銀貨幣

平成26年 オマーン第44回国祭日記念銀貨幣

平成27年 日本ラオス外交関係樹立60周年記念銀貨幣

平成27年 オマーン「ニズワ・イスラム文化の首都2015」記念銀貨幣

平成28年 ジョージア20テトリ貨幣(一般流通貨幣)

平成28年 アラブ首長国連邦「殉職者の日」記念銀貨幣

(参考)過去の海外からの貨幣の受注状況

ICDC2016の表彰式ICDC2016の表彰式

ワールド · マネー · フェア · ベルリン 2014ワールド · マネー · フェア · ベルリン 2014

■ MDCコイン・コンペティション

■ 国際コイン・デザイン・コンペティション(ICDC)

■ 東京国際コイン・コンヴェンション(TICC)

国内外からデザインを募り、貨幣デザインの芸術性の向上に寄与しています

外国貨幣の製造を通して、海外の友好国との関係を深めています

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