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COOL THAILAND

Text and photos by Wataru Kitagawa

はじめに

車がびゅんびゅん行き交うバンコク市街の HIGH WAY で頭の上をかすめるように大型の旅客機が通り過ぎていった。旅客機はなんとか HIGH WAY 上に不時着した

が、可燃性のガスに引火する昔の飛行船事故のように、まもなく炎上した。爆風に促されるようにして、黒いスーツに身を包んだイスラエル系の男たちが機体からぞく

ぞくと飛び出してきた。彼らは機関銃を手にしていた。そのとき、これはただの事故ではないということがわかった。僕は HIGH WAY の降り口から一番近いオフィス

ビルに逃げ込んだ。オフィスビルにはこの事態をあらかじめ察知していたかのように武装した特殊部隊が待機していた。僕は特殊部隊の群れを掻き分けて階上へと避難

した。

しかし、黒いスーツの男たちも階上に侵入してきた。そのうち 1 人の男が僕に銃を向けた。銃声とともに点滴用のトンボ針がきりもみしながら飛び出し、僕の左太も

もに刺さった。このトンボ針に刺された者は一度小躍りしてから相手の質問に正直に答えてしまう作用があるようだった。近くに銃があったので僕はその男に応戦して

トンボ針を放った。相撃ちのような形になり、2 人とも相手に質問する余裕がなかったため、結局はお互い小躍りだけを繰り返していた。

やがて、この銃撃戦の目的が日本の 46 国立大学がそれぞれ保有する戦艦を争奪することであることを理解した。ほどなくして HIGH WAY 沿いの運河に巨大な戦艦

が姿を現した。ジンベイザメを模した形状とピンク色に塗装された船体を見て、僕はこれが最も力を有している東京大学の戦艦であることをすぐに察した。

これは私が以前に見た夢の内容です。ちょうど、この辺りで夢から覚めた記憶があります。私は過去に 6 回ほど仕事でタイを訪れています。この夢は 2 度ぐらいタイ

に行った後に見た夢だったと思います。もちろん、夢自体は荒唐無稽のものではありますが、舞台設定がバンコクであるということは、その街が何か映画のようにドキ

ドキさせる魅力を秘めているからに他ならないでしょう。

この写真集ではそんなタイの魅力を自然体の写真で描写しています。ほとんどの写真にはトリミングや明るさ調整のような基本的な画像処理さえ施していません。写

真集全体の構成でもあえて冗長さを取り入れたりしています。ぜひ、リラックスしながら楽しんでいただければと思います。また、写真ページには撮影時刻を表示して

います。日にちは異なる場合もあり、時系列に並んでいる訳ではありません。ただ、時刻情報を付加することにより、いろいろ想像しながら写真を鑑賞する道具として

の効果を期待しています。多くの皆様にこの写真集を楽しんでいただければ幸いに存じます。

北川 ワタル

17:32

古代インドの長編叙事詩『ラーマーヤナ』をモティーフにした壁画。HOTEL THE DAVIS BANGKOK にて。

18:24

バンコク随一の歓楽街パッポン通りの夕景。

7:22

雨の車窓。バンコク市街からサムットプラカーン県に向かう HIGH WAY。

13:05

ある工場の canteen(社員食堂)横の庭。

6:22

夜明け前のスクンビット 24。老夫婦が営む中国粥屋台。

サンプルでは省略

北川 ワタル

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