からだのどの部位でも,上記で述べた原因が起これば,褥瘡は発生します。
特に,発生しやすいのは骨が突出した部位です(図2)。出っ張っているた
めに外力を受けやすくなっています。
例えば,仰臥位であれば仙骨部が最も発生しやすい部位です。仰臥位に
なった場合,体重の40%以上が仙骨部にかかっているといわれています。ほ
かには,後頭部,肩甲骨部,肘,踵,下腿(足が外側に倒れやすい人だと特
に腓骨に沿って)などです。
側臥位だと,大転子部,肩外側,骨盤の腸骨部,膝,足関節外果,また耳
介部もしばしば発生する部位です。
腹臥位も,安心できません。前額部,前胸部,膝,足,特に足趾などに,
よく起こります。
褥瘡発生部位
{図2} 褥瘡の好発部位(からだを後面から)
後頭部
尾骨部
耳介
肩甲骨部
肘
腸骨部坐骨部
大転子部
膝
下腿外側
外果
踵
仙骨部
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圧迫への対処法の考え方 考え方としては,2つあります。1つは,からだの特定の部位に圧迫が持
続的に加わらないようにからだを保持する部位を移動させるという考え方,
もう1つはからだをできるだけ広い面積で受け止め,皮膚に加わる無理な力
を分散させるという考え方です(図3)。
保持部位移動の方法として,寝たきりの患者には体位変換と圧切替型エア
マットレスの利用があります。荷重分散の方法としては,静止型マットレス
があります。車いす利用者の患者では,保持部位移動としては車いす上での
姿勢の変化,荷重分散としては車いすでの正しい座位姿勢や車いす用クッ
ションの利用があります。最近,車いす用圧切替型クッションが製品化され
ました。これは,当然保持部位移動の考え方に入ります。
(1)体位変換 以前より,2時間ごとの体位変換が推奨されています。70 ~100mmHgの
圧が2時間以上持続すると,褥瘡が生じるといわれてきました。こう書くと
分かりにくいのですが,指先の爪をちょっと押さえると爪の下がピンクから
圧迫やずれへの対処の仕方
{図3} 圧迫への対処方法
保持(支持)部位移動 体位変換
姿勢の変化クッションの利用
正しい座位姿勢クッションの利用
圧切替型エアマットレス
静止型マットレス
体圧分散式マットレス
〈寝たきり〉 〈車いす〉
荷重分散
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