アセトニトリル中でフッ化カリウムからフッ化水素を定量的に生成する方法
芝浦工業大学 工学部 応用化学科
准教授 田嶋稔樹
説明内容
本研究(技術)の背景
新技術の紹介
実用化に向けた課題
有機フッ素化合物
部分フッ素化合物
ペルフルオロ化合物
部分フッ素化合物(医農薬品)
医薬品の約20%、農薬の約30%が部分フッ素化合物
しかし、天然にはほとんど存在しない
Lipitor(高脂血症治療薬)
K. Müller, C. Faeh, F. Diederich, Science 2007, 317, 1881–1886.
ミミック効果フッ素の(水素に次ぐ)小さなイオン半径
ブロック効果フッ素の最も大きな電気陰性度
フッ素化剤
安全安価有機溶媒に難溶
毒性腐食性爆発性
毒性腐食性
CaF2
HF
H2SO4
F2 KF
K2CO3electrolysis
フッ化カリウムの有機溶媒に対する低い溶解性:0.04 mM in MeCN
高温条件下または高価な相間移動触媒の利用
従来技術とその問題点
C. L. Liotta, H. P. Harris, J. Am. Chem. Soc. 1974, 96, 2250–2252.
T. Sawamura, K. Takahashi, S. Inagi, T. Fuchigami, Angew. Chem. Int. Ed. 2012, 51, 4413–4416.
固体酸(カチオン交換樹脂)
金属イオンを取り込む(水の浄化に利用され、安価)酸処理によって再生可能
KFと固体酸のカチオン交換反応
T. Tajima, A. Nakajima, Y. Doi, T. Fuchigami, Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 3550–3552.
新技術
従来技術
新技術
KFからHFが定量的に生成Amine-3HF錯体は単離可能
新技術の特徴アセトニトリル中でフッ化カリウムからフッ化水素が
わずか20分で定量的に生成
フッ化水素の生成に用いる固体酸は再生処理(酸処理)により再利用可能
特別な設備を必要とせず安全かつ安価にフッ化カリウム
からフッ化水素およびAmine-nHF錯体を合成可能
従来技術との比較
従来技術:フッ化カリウムを有機溶媒に溶解させるために、
クラウンエーテルなどの相間移動触媒が必要不可欠
新技術:クラウンエーテルの代わりに固体酸を用いることで、フッ化カリウムを有機溶媒に溶解
→ HFおよびAmine-nHF錯体を定量的に生成可能
Amine-3HF錯体を用いる電解フッ素化
想定される用途
必要とする時、必要とする場所で無水フッ化水素を生成
(安全な運搬、貯蔵)
新たな求核的フッ素化剤(Amine-nHF錯体)の合成
18Fを放射性核種とするPET検査用分子プローブ合成への応用
PET検査用分子プローブ合成への応用
18Fを放射性核種とするPET検査用分子プローブの合成(18Fの半減期は約110分)
K18Fから迅速かつ高効率で18Fを導入する必要性
本技術を応用
実用化に向けた課題
スケールアップ
自動化
フローリアクターへの展開
企業への期待
有機フッ素化合物の合成や新規フッ素化剤の開発に
興味がある企業との共同研究を希望
18Fを放射性核種とするPET検査用分子プローブの合成
に興味がある企業との共同研究を希望
フローリアクターや反応プロセスの自動化に関する共同研究を希望
本技術に関する知的財産権
発明の名称:フッ化水素のアセトニトリル溶液
を調製する方法
出願番号 :特願2016-257443出願人 :芝浦工業大学
発明者 :田嶋稔樹、山田真秀
お問い合わせ先
芝浦工業大学 研究推進室 研究企画課 担当 片野
TEL. 03-5859-7195
E-mail. [email protected]
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