私たちは、さまざまな食品を食べて栄養源とし、活動しています。栄養素の主なものは、炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂肪のほか、ビタミンやミネラル等ですが、野菜は主にビタミンやミネラル等を供給する重要な食材です。
また、野菜は、現在の日本で大きな問題となっているガンをはじめとする生活習慣病の予防に効果がある機能性成分を含むことがわかっています。 以下、私たちの健康にとって重要な野菜の主な栄養素と機能性成分について解説します。
ビタミンAは、視覚作用、粘膜の保護や発育に必要なビタミンです。ビタミンは、体内では合成することができないので、食物から摂取する必要があります。 野菜には、体内に入るとビタミンAに変わるプ口ビタミンA(α-力ロテン、β-力ロテン、γ-力ロテン、β-クリプトキサンチン等)が含まれています。特に、緑黄色野菜はプロビタミンAの一種であるβ-力ロテンを豊富に含んでいます。力ロテンは油に溶ける成分なので、油と一緒に調理をすると吸収が促進されます。 ビタミンAの多い野菜は、しそ、モロヘイヤ、にんじん等です。
ビタミンB1 ビタミンB1は、糖質を工ネルギーに変換するのに必要なビタミンです。人の運動機能に関係し、疲労回復や集中力を高める効果があります。ビタミンB1が不足すると、食欲減退や消化障害が起こりイライラしやすくなるといわれ、また、脚気になります。 ビタミンB1は、グリーンピースやえだまめ、そらまめ等豆類に多く含まれています。
ビタミンA
葉酸 ビタミンB群の仲間です。核酸やたんぱく質の合成にかかわる成分で、細胞の形成に必要です。また、造血に働きます。不足すると、貧血、潰瘍、口内炎等の症状が出やすくなります。特に妊娠中、授乳中は多くの葉酸が必要です。 葉酸は光に当たると破壊されやすいので、日光を避けて保存します。 野菜では、なばな、えだまめ、モ口へイヤ等に多く含まれています。
ビタミンC ビタミンCは、体内の物質の代謝や、コラーゲンの生成と保持等の働きをし、体の抵抗力を高めるので、風邪の予防や治療にも役立ちます。ビタミンCが欠乏すると、壊血病、歯肉からの出血、皮下出血等がみられます。 ビタミンCは運動や病気、ストレス、飲酒、喫煙等によって消耗されてしまいます。野菜のビタミンCは、一般に時聞がたつと徐々に失われます。また、水溶性なので水に溶け出したり、加熱により一部分解します。ビタミンCを多くとりたいときは、水に長くさらさないようにしましょう。また、煮込む場合は、煮汁を上手に利用するとよいでしょう。 ビタミンCの多い野菜は、ピーマン、芽キャベツ、ブロッコリー等です。
ビタミンK ビタミンKは、血液の凝固に関与し、不足すると止血しにくくなります。また、カルシウムとともに骨の形成にも関与しています。 ビタミンKは、緑黄色野菜に多く含まれているほか、植物油、豆類、海藻類等にも含まれています。ビタミンKは数種類ありますが、野菜に多く含まれるのはフィロキノンと呼ばれるビタミンKで、パセリ、しそ、とうみょう等に多く含まれています。
ビタミンE ビタミンEは、強い抗酸化作用があるため、細胞膜の酸化を抑制して細胞の老化を防ぐ効果があるとともに、動脈硬化の予防も期待されています。また、血行をよくする働きもあるため、冷え性の改善にも効果的です。 野菜では、とうがらし、モロヘイヤ、かぼちゃ等に多く含まれています。
注:栄養成分の数値は、文部科学省「日本食品標準成分表2010」に基づく。食事摂取基準は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2010年版)」に基づく。
栄 養 素
※近年、カロテンの抗酸化作用が注目され、ガンの予防に効果があると考えられています。 これは後述の「機能性成分」のところで解説します。
野菜の栄養素と機能性成分野菜の栄養素と機能性成分
ビタミン
プロビタミンA α-力ロテン、β-力口テン、γ-力口テン、β-クリプトキサンチン等は、植物に含まれる天然の色素である力ロテノイドの仲間です。これらは体内に入ると、ビタミンB群やメチオ二ン(アミノ酸)の助けを借りて、必要なだけビタミンAに変換されるため、「プロビタミンA」と呼ばれています。なお、変換されずに残ったものは、力ロテノイドのまま脂肪組織に蓄積されます。
ビタミンB1の多い野菜
ビタミンB1の食事摂取基準(18-29歳、1日) <推奨量> 男性:1.4㎎ 女性:1.1㎎
0.00
0.05
0.10
0.15
0.20
0.25
0.30
0.35
0.40
0.45(㎎/100g)
グリーンピース
えだまめ
そらまめ
とうみょう
芽キャベツ
にんにく
モロヘイヤ
あさつき
さやえんどう
スイートコーン
しそ(葉)
モロヘイヤ
にんじん
(根・皮つき)
パセリ
とうがらし
(葉・果実)
とうみょう
しゅんぎく
ほうれんそう
かぼちゃ(西洋)
だいこん(葉)
ビタミンAの多い野菜
(μg RE/100g) ビタミンAの食事摂取基準(18-29歳、1日) <推奨量> 男性:850μgRE 女性:650μgRE
(RE=レチノール当量)
0
200
400
600
800
1,000
100
300
500
700
900
葉酸の多い野菜
葉酸の食事摂取基準(18-29歳、1日) <推奨量> 男性:240μg 女性:240μg
0
50
100
150
200
250
300
350(μg/100g)
なばな
えだまめ
モロヘイヤ
芽キャベツ
パセリ
あさつき
ブロッコリー
ほうれんそう
アスパラガス
しゅんぎく
ビタミンCの多い野菜
0ピーマン(赤)
芽キャベツ
ピーマン(黄)
ブロッコリー
パセリ
カリフラワー
にがうり
ピーマン(青)
たかな
モロヘイヤ
20
40
60
80
100
120
140
160
180(㎎/100g)
ビタミンCの食事摂取基準(18-29歳、1日) <推奨量> 男性:100㎎ 女性:100㎎
ビタミンKの多い野菜
0
200
400
600
800
100
300
500
700
900
パセリ
しそ
とうみょう
ほうれんそう
だいこん(葉)
しゅんぎく
糸みつば
こまつな
かいわれ
だいこん
にら
(μg/100g)
ビタミンKの食事摂取基準(18-29歳、1日) <目安量> 男性:75μg 女性:60μg
ビタミンEの多い野菜
0
1
2
3
4
5
6
7
8
とうがらし
(果実)
モロヘイヤ
かぼちゃ(西洋)
ピーマン(赤)
じねんじょ
しそ(葉)
だいこん(葉)
バジル
パセリ
かぶ(葉)
(㎎/100g)
ビタミンEの食事摂取基準(18-29歳、1日) <目安量> 男性:7.0㎎ 女性:6.5㎎ (α-トコフェロールについて算定)
カルシウム 日本人はカルシウムの摂取が不足気味のため、積極的に摂取したい栄養素です。カルシウムの99%は骨や歯に存在し、残りの1%が血液中に存在していますが、血中のカルシウム濃度は一定に保たれているので、カルシウムの摂取量が不足すると骨からカルシウムが溶け出します。これが何年も続くと、女性に多いといわれる骨粗しょう症につながります。 また、カルシウムには、神経の興奮を抑える働きもあります。よく「カルシウム不足でキレやすくなる」等といわれますが、それは、この作用を指しています。そのほかにも、カルシウムは血液凝固、筋肉の収縮作用等に関与しています。 カルシウムの多い野菜は、とうがらし、パセリ、だいこん(葉)等です。なお、カルシウムの吸収率とビタミンDには密接な関係があることから、ビタミンDの多い魚介類やきのこ類と一緒にとるといいでしょう。
カリウム カリウムは、ナトリウムとともに細胞の浸透圧や細胞の活性に関係しており、カリウムが不足すると、細胞の活性が低下することが知られています。 日本人は、食塩(ナトリウム)をとり過ぎる傾向があります。食塩のとり過ぎは血圧を上昇させますが、カリウムにはナトリウムの排出を促進する働きがあるので、高血圧の予防に効果があります。また、利尿作用もあります。 カリウムを豊富に含む野菜は、パセリ、とうがらし、ほうれんそう等です。
鉄 鉄は、血液中のヘモグロビンの成分で、酸素を体中に運ぶのに不可欠です。鉄が不足すると、鉄欠乏性の貧血になります。 貧血になると、「ほうれんそうやレバーをとりなさい」とよくいわれますが、鉄は緑黄色野菜に豊富に含まれています。鉄はもともと吸収率の高いミネラルではありませんが、たんぱく質やビタミンCと一緒にとると、吸収率が高くなることが知られています。野菜にはビタミンCも豊富に含まれているので、効果的に鉄の摂取ができます。 鉄を豊富に含む野菜は、パセリ、だいこん(葉)、こまつな等です。
ミネラル
食物繊維
機 能 性 成 分 私たちは毎日食事をすることで、さまざまな成分を摂取しています。それらの中で、老化防止、発ガンの抑制、高血圧の予防、免疫力の向上等に効果のある成分を機能性成分と呼んでいます。機能性成分を日常的
に摂取することにより、健康の維持に役立っているのです。
食物繊維は、かつて、栄養的には価値のないものとされ
ていました。しかし、近年は健康維持に必要なものというこ
とがわかり、その重要性が注目されています。食物繊維は、
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に大別できます。水溶
性食物繊維は、野菜に多く含まれるペクチンや海藻に含ま
れるアルギン酸等です。不溶性食物繊維は、植物の細胞壁
に含まれるセルロースや力二の殻等に含まれるキチン等で
す。
食物繊維の効果としては、①コレステロールや脂質の吸
収を抑制し、排出を促進することによる血中コレステロー
ルの低下、②糖分の吸収を遅らせることによる糖尿病の予
防、③咀嚼回数の増加や胃の中で体積が増えることによる
食べ過ぎの防止、④腸内細菌のバランスを整え、腸の働き
を活発にして便通をよくすることによる大腸ガンの予防等
があります。
食物繊維を豊富に含む野菜は、工シャロット、とうがらし、
グリーンピース等です。
カルシウムの多い野菜
0
100
200
300
400
500
とうがらし
(葉・果実)
パセリ
だいこん(葉)
モロヘイヤ
かぶ(葉)
しそ
きょうな
こまつな
つるむらさき
さんとうさい
カルシウムの食事摂取基準(18-29歳、1日) <推奨量> 男性:800㎎ 女性:650㎎
(㎎/100g)
カリウムの多い野菜
0
200
400
600
800
1000
1200
パセリ
とうがらし
(果実)
ほうれんそう
さといも
切りみつば
芽キャベツ
えだまめ
やまといも
にんにく
カリウムの食事摂取基準(18-29歳、1日) <目安量> 男性:2,500㎎ 女性:2,000㎎
(㎎/100g)
鉄の多い野菜
0
1
2
3
4
5
6
7
8
だいこん(葉)
パセリ
こまつな
えだまめ
サラダな
そらまめ
ほうれんそう
サニーレタス
しゅんぎく
グリーンピース
鉄の食事摂取基準(18-29歳、1日) <推奨量> 男性:7.0㎎ 女性:(月経なし)6.0㎎(月経あり)10.5㎎
(㎎/100g)
食物繊維の多い野菜
0
2
4
6
8
10
12
とうがらし
(果実)
エシャロット
グリーンピース
しそ
パセリ
モロヘイヤ
ごぼう
にんにく
芽キャベツ
えだまめ
(g/100g)
食物繊維の食事摂取基準(18-29歳、1日) <目標量> 男性:19g以上 女性:17g以上
01
8
オリゴ糖 ブドウ糖や果糖等の単糖が数個結合した糖類で、ごぼうやたまねぎ等に含まれています。ビフィズス菌等の腸内の善玉菌を増やす作用があり、オリゴ糖と善玉菌によって腸の運動が活発になるため、整腸効果や便秘解消の効果が期待されます。
レシチン 脂質の一種で、えだまめ等に含まれています。脳細胞の活性化を促し、記憶力や集中力を増大させるため、老化予防に効果があるほか、余分な脂肪の排出を促し、動脈硬化や脂肪肝の予防にも効果があります。
キャベジン(ビタミンU)
キャベツから発見されたことからキャベジンと呼ばれ、胃かいようや十二指腸かいよう等の胃腸障害に有効な成分です。キャベツ、レタス、セルリー(セロリ)等に含まれています。胃腸の粘膜を正常に整える効果のほか、消化を助けて胃もたれを防止する効果が期待されます。
キシリトール 天然素材の甘味料で、いちご、レタス、ほうれんそう、カリフラワー等に含まれています。唾液の分泌を刺激し、中和を促進させて、唾液中のカルシウムがエ
ナメル質と結びつく再石灰化を活発にするため、虫歯を防ぐ効果があります。
01
9
ポリフェノール
ポリフェノールとは、フェノール基を2個以上含む構造を持つ成分の総称です。野菜や果実に含まれる色素成分であるアントシアニンやフラボノイド、種の中の渋み成分であるタンニンや力テキン等は、ポリフェノールです。ポリフェノールは、もともと植物が厳しい環境や外
敵から身を守る生体防御のために作り出した物質なので、抗菌作用があります。また、ポリフェノールは強い抗酸化作用があり、発ガンを抑制する効果や、老化防止作用、毛細血管を丈夫にする作用、抗アレルギー作用等が報告されています。 ポリフェノールは、えぐ味や独特の風味等野菜の味にも関与しており、含有量は野菜lこよって異なりますが、ほとんどの野菜に含まれています。
野菜では、赤じそ、紫キャベツ、なす、すいか、紫色のかんしょ等に含まれています。目の機能の向上や眼精疲労の回復に効果があるほか、強い抗酸化作用により、ガン等の生活習慣病の予防に効果が期待されます。
アントシアニン
野菜では、たまねぎやエシャロット等に含まれています。抗酸化作用や抗炎症作用があり、発ガンの抑制や動脈硬化予防、毛細血管の増強、花粉症抑制等の効果のほか、体内に摂取した脂肪の吸収を抑制する働きが期待されます。
ケルセチン
アミノ酸
アミノ酸は、たんぱく質を構成する20種類の有機化合物で、身体に欠かせない要素です。 このうち、体内で作ることができないものを必須アミノ酸(イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン、ヒスチジン)、体内で作り出すことができるものを非必須アミノ酸(チロシン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン酸、グルタミン、プロリン、グリシン、アラニン、アルギニン)と呼んでいます。 アミノ酸は、体内でそれぞれ重要な働きをするとともに、たんぱく質の栄養価を決定づけています。
えだまめ、そらまめ、にんにく、ほうれんそう等に含まれています。精神安定作用をもつ神経伝達物質セロトニンをつくり、不眠症の予防・改善や抑うつ症状の緩和の効果が期待されます。
トリプトファン
アスパラガスやトマト等に含まれています。エネルギーの代謝を活発にし、疲労回復作用やスタミナ増強作用があります。
アスパラギン酸
トマト、はくさい、ブロッコリー等に含まれています。脳や神経の機能を活性化するほか、尿の排泄を促す作用があります。
グルタミン酸 えだまめ、そらまめ、ブロッコリー、にんにく等に含まれています。体組織の修復に関与して体の成長を促進する作用があり、唇の荒れや皮膚炎を予防する効果が期待できます。
リジン
野菜では、ケール、ほうれんそう、アスパラガス等に含まれています。毛細血管を丈夫にし、高血圧や動脈硬化等の生活習慣病を予防する作用があります。
野菜では、そらまめやえだまめ等の豆類に含まれています。更年期症状を和らげたり、骨粗しょう症や冷え症を予防する働きがあり、女性ホルモンの欠乏を補う効果が期待されます。
ルチン
イソフラボン
野菜では、しょうがに含まれています。強い抗酸化作用があり、ガンや動脈硬化、老化等の予防効果があるほか、胃液の分泌を促進して消化吸収を助けたり、血行促進作用により体を温める働きや新陳代謝を活発にして発汗作用を高める働きもあります。
ジンゲロール
野菜では、セルリー(セロリ)やパセリ等に含まれています。イライラや不安感を取り除いて精神を安定させる働きがあるほか、頭痛改善や抗ガン作用、肉や魚の臭みを消して食欲を増進させる効果も認められています。
野菜では、かんしょ、ごぼう、なす等に含まれています。抗酸化作用によりガン予防や老化防止に効果的なほか、日焼けによるメラニンの生成を阻害する働きがあります。また、肝臓での脂肪燃焼を促進する作用や糖の吸収を遅らせる働きもあり、生活習慣病予防の効果が期待されます。
アピイン(アピノール)
クロロゲン酸
野菜では、レタスやチコリに含まれています。自律神経のバランスを整え、鎮静作用や睡眠促進効果があるほか、食欲を増進し、肝臓や腎臓の機能を高める効果も期待されます。
ラクチュコピクリン
02
0
02
1
抗 酸 化 作 用 人や動物が生きていくうえで、酸素は必須です。しかし、体内で活性酸素(注)が過剰にできてしまうと、細胞に含まれる脂質やたんぱく質、核酸に障害を与えてしまいます。活性酸素は、喫煙やストレスにより過剰に作られてしまい、細胞の老化促進や炎症、白内障や糖尿病、ガン等の疾患とつながっていると考えられています。この活性酸素の発生を抑制又は消去する作用のことを抗酸化作用といいます。カロテン(ビタミンA)、ビタミンC、ビタミンE等のビタ
ミンやカロテノイド、ポリフェノール等には抗酸化作用があります。抗酸化作用のある成分を多く含む野菜は、生活習慣病の予防に効果があると期待されています。
キサントフィル類
α-カロテン・β-カロテン α-力ロテン・β-力ロテンともに、抗酸化作用によって細胞の老化を防ぎ、ガンの発生を抑制します。特にα-力ロテンはβ-力ロテンより効力があるといわれています。ともに緑黄色野菜に多く含まれ、油と一緒に調理すると吸収率が高まります。
力口テノイドの仲間で、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチン、ルテイン等があります。ゼアキサンチンやルテインは、ほうれんそうに多く含まれ、目の老化を防ぎ、視力の低下を抑える働きがあります。β-クリプトキサンチンは、みかんに多く含まれますが、野菜ではとうもろこしに多く、強い抗ガン作用があると報告されています。
リコペン
カプサンチン 赤ピーマンの赤い色素で、力口テノイドの一種です。リコペンと同じくらい強い抗酸化作用があるといわれており、ガンを抑制し、動脈硬化をはじめとする生活習慣病を予防します。また、老化にともなう記憶力の衰えを防ぐ効果もあるといわれています。
リコペンはトマトの赤い色素で、力ロテノイドの一種です。活性酸素を除去する効力は、β-力ロテンより強く、特に消化器系のガンの発生を抑えるといわれています。ただし、トマトの熟成度によってリコペンの含有量は大きく違うので、完熟した真っ赤なトマトか、完熟トマトの加工品を利用するとよいでしょう。
アスコルビン酸(ビタミンC)
アスコルビン酸(ビタミンC)は、栄養素として働くほかに機能性成分としての働きも持っています。強い抗酸化作用があり、胃ガンや肝臓ガンの原因の一つであるニトロソアミンの生成を抑制し、また、インターフェロンという抗ガン物質の生成を促進します。
カロテノイド 力口テノイドは主に植物に含まれる黄色、赤色等の色素で、600種類近くもあります。 野菜では、トマト、にんじん、かぼちゃ、ほうれんそう、しゅんぎく、ピーマン、ブロッコリー等の緑黄色野菜に多く含まれています。力口テノイドも抗酸化作用のある成分で、体内で発生する活性酸素を除去する生体防御作用の役割の一端を担っており、また、その作用によって、ある種のガン予防をする働きで注目されています。 力ロテノイドの中でよく知られているのは、β-力口テンです。しかし、最近では、他の力ロテノイドにも強力な抗酸化作用があることが解明されつつあり、中には、β-力ロテンをしのぐ効果を持つものもあるといわれています。したがって、力ロテノイド類を毎日いろいろな食物からバランスよく摂取することが必要です。
活性酸素 ポリフェノール
注:活性酸素について 活性酸素とは、呼吸により体内に入った酸素が何らかの原因により電子を失ったため、ほかから電子を奪う力「酸化力」が強くなった酸素のことを指します。 活性酸素は、大気汚染、紫外線、タバコ等が原因で大量に発生してしまいますが、野菜の中には、活性酸素の発生を抑制し、酸化を防ぐ抗酸化物質が豊富に含まれています。
イオウ化合物
クロロフィル
硫化アリル たまねぎ、ねぎ、にら、にんにく、らっきょう等のユリ科の野菜に含まれます。これらには切ったときにツンとくる刺激臭がありますが、その刺激臭のもとになっているのが、硫化アリルです。血液をサラサラにして動脈硬化を防ぎ、心筋梗塞、脳梗塞等の生活習慣病を予防します。 また、活性酸素を除去し、ガンの発生を抑えるほか、強い殺菌作用で胃炎等にも効果を発揮します。
イソチオシアン酸類
【アリシン】 硫化アリルの一種で、殺菌作用によりウイルスから体を守り、免疫力を高めてガンの発生を抑えます。また、アリシンはビタミンB1と結合して吸収がよくなり、疲労回復を助けます。「疲労回復にはにんにくを」といわれるのは、にんにくにはアリシンやビタミンB1が含まれているからです。
【その他の硫化アリル】 たまねぎにはいろいろな硫化アリルが含まれています。硫化プロピルは、血糖値を下げる働きがあります。サイクロアリインは血栓を溶かし、血液をサラサラにします。その他、コレステロール値を下げ、肥満の改善に効果が期待される硫化アリルも含まれています。
カロテノイドの仲間
α-カロテン
β-カロテン
γ-カロテン
リコぺン
アスタキサンチン
カプサンチン
カプサイシン
ゼアキサンチン
β-クリプトキサンチン
ルテイン
トマト、あんず 等
トマト、すいか 等
えび、かに、いくら 等
ピーマン 等
赤とうがらし 等
マンゴー、パパイア、ほうれんそう 等
とうもろこし、ぽんかん、みかん 等
ほうれんそう、とうもろこし、卵黄 等
カ
ロ
テ
ノ
イ
ド
にんじん、ほうれんそうブロッコリー、かぼちゃ 等
強い抗酸化力を持ち、活性酸素を除去し、解毒作用を発揮して、ガンの発生を抑えます。イオウ化合物には、硫化アリル、イソチオシアン酸類等があります。
植物等に含まれる緑色の色素で、葉緑素ともいいます。ほうれんそう、にら、ピーマン等の緑黄色野菜に多く含まれています。抗酸化作用のある力口テノイドとともに働いて、ガン予防に効果的だといわれています。また、コレステロール値を下げる効果や、貧血予防効果、炎症鎮静作用等も期待できます。
キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー等のアブラナ科の野菜に多く含まれています。中でも、キャベツに含まれるイソチオシアネー卜は有名です。イソチオシアン酸類には、異常のある細胞が増えるのを抑え、ガン化を抑制する働きがあります。
α-カロテン
β-カロテン
にんじん、ほうれんそうブロッコリー、かぼちゃ 等
γ-カロテン トマト、あんず 等
リコぺン トマト、すいか 等
アスタキサンチン えび、かに、いくら 等
カプサンチン ピーマン 等
ゼアキサンチン マンゴー、パパイア、ほうれんそう 等
β-クリプトキサンチン とうもろこし、ぽんかん、みかん 等
ルテイン ほうれんそう、とうもろこし、卵黄 等
ド
イ
ノ
テ
ロ
カ
カロテノイドの仲間