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トマト料理編

キスギ副学長’S

イェイイェイレシピ

横浜国立大学 副学長

來生 新 (著)

かんたん

場市

安心 野菜

産さんちょくいちば

直新

食料エコ号第2弾

1限目

2限目

キスギ野菜ゼミ

3限目

参 考

~トマトの世界史と日本史~    トマトはナス科、原産地は南米、ペルーの辺りで現在の栽培型の原種が    でき、その後メキシコで1000年位に栽培トマト化。アステカ人はホウズキを食べるのを好み、それがトマトの栽培につながったそう。1492年新大陸発見後、1523にスペインがメキシコを征服し、彼らがトマトに遭遇。一方でそれが、スペインの支配下にあったフィリピン経由で東南アジアに広がり、他方で、イタリア、フランスなどの地中海諸国にも広まった。イギリスに入ったのは16世紀末の1590年代。地中海では、例えばフランスでpomme d’amour (love apple)と呼ばれた。理由は、学生諸君には不要で、私のような年寄りにはとっても貴重な特質をトマトが持つと信じられた(奥ゆかしい表現でしょう)との説と、スペインに移入された時の名前が、pome dei Moro (Moor's apple)であったのが転化したとの説がある。トマトが赤い顔で、はにかんでいたのが誤解の原因かもしれない。

     地中海では当然に食用で、最初のレシピは1692年のナポリで出版された     料理本。イギリスやアメリカでは有毒だと信じられて中々食べられなかった。アメリカ第3代大統領のジェファソンがパリでトマトを食べて、アメリカでも広げようとしたが成功せず、1820年9月26日にR.G.Johonson大佐が、昼にボストンの裁判所の前でブッシェルのトマトを食べてみせると公言し、大勢の人が彼が死ぬのを見に来たにもかかわらず、食後もピンピンしていたことがあってからアメリカにおける状況が劇的に変わったのだそう。今やアメリカは、中国に次ぐ世界第二のトマト生産国。ちなみに中国は世界の4分の1を生産。

     日本到来は1670年ころ長崎に、1708年到来説もある。蕃茄子、唐柿、珊     瑚茄子、赤茄子等の名で、もっぱら鑑賞用。イギリスなどの初期も同様で、所変われど、人変わらず。1695年の『本朝食鑑』には記載なし。谷文晁の写生が有名。1874年北海道勧業寮開拓使がアメリカから食用トマトの輸入栽培を開始、それ以前、1872年『西洋料理通』には蒸赤茄子の、同年『新聞雑誌』には蒸焼等のレシピもあるそう。においの独特さが嫌われたが、関東大震災以降、昭和になってから一般庶民の食べ物として定着した。ケチャップは、1884年、日本最初の百科事典『百科全書』に「ケチョップ」として記載があり、1907年愛知県名和村の蟹江一太郎が軍隊の上官のアドバイスをもとに、除隊後トマトピューレ、ケチャップの試作に成功、1908年初の国産化に乗り出し、カゴメの創始者となった。

・人見必大 島田勇雄訳註『本朝食鑑1』(平凡社 東洋文庫 1976年)・本山荻舟『飲食事典』(平凡社 昭和33年)・岡田哲『たべもの起源事典』(東京堂出版 2003年)・カゴメHP 【http://www.kagome.co.jp/】・Sam Cox ,“I say You say Tomato”      【http://lamar.colostate.edu/~samcox/Tomato.html】・FAO世界の農業統計 【http://faostat.fao.org/】 

もっと詳しく勉強したい人は、

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バリエーションで節約とゴミの減量に貢献しようトマト料理3態・プラスワン

冗談というかワンポイントアドバイス

冗談というかワンポイントアドバイス

 今回は、医者いらずの別名もある健康食品、トマトの料理。学生諸君は野菜イコール生食というステレオタイプな発想になりがち。そこで今回のトマト料理は、態様を変えて熱を加えた、茹で、焼き、乾燥のトマト料理を3種類。これで諸君の食卓のバリエーションが増すだけではなく、今回は 冷蔵庫の余りもの処分をかねる料理なので、節約とゴミの減量に貢献する、エコロ ジカルでエコノミックなエコ・エコ料理。

 1態目は、トマトのスープ。イタリア風にいえばミネストローネ。和風出汁ベースであるので、ジャポネーゼ。用意するものは、第2回の和風出汁の材料。昆布、鰹節(2番出汁でも可)、あれば干し椎茸、さらにあれば干し貝柱(なければ中華街の粉末貝柱)で出汁をとる。それに鶏ガラスープ。鶏ガラスープの顆粒状になったものを常備しておくと便利。スーパーでも売っているけれど、これも中華街は安い。和風出汁に鶏ガラスープを混ぜる。これがベースで、大蒜と生姜少々をスライスしたものを、生姜は千切り。冷蔵庫をのぞいて、古くなりつつある各種野菜。何でもよい。もちろん新鮮ならなおよし。冷蔵庫整理で肉気、何でも可。大きさをそろえて切る。ここが肝心。基本は千切りかな。肉も野菜も、千切りが面倒なら、根菜なら少し薄めに切って煮る。火が通ったところで、トマト適当量、好みで、ざく切り。皮なんか剥かなくてもよい。切る時のまな板の上のジュースもなるべく回収して鍋に。酒(日本酒でも、老酒でも、ワインでも)と塩、塩のツンとした味の角をとるつもりで砂糖少々と、あれば味醂少し。胡椒少々で香りづけ。ナンプラーか、ニョクマム、あるいはショッツルでもよいが、東南アジア風エスニック風味が好きならこれらを少し入れて香り付け。薄口しょうゆ少しでもいける。好みの塩加減でハイ、一丁上がり。

特別サービスでもう一品、煮トマト料理。和風出汁で醤油・砂糖で、さっぱりとしたおでんの汁というイメージにして、へたを取り頭に十字の切れ目を入れて、トマトを丸ごと弱火でコトコトと煮る。これも絶品。野毛は松葉寿司のお父さん自慢料理、是非お試しあれ。冷たくしても美味。

もう一味の工夫で、レモンやライムのジュースを垂らすという手もある。そうすると完璧な東南アジアエスニック風味。もともとminestroneは具だくさんとか、ごっちゃ煮という意味なので、これで下手なイタメシ屋どころか、上等なイタリア料理店も、エスニック店も顔負けの特製トマトスープの出来上がり。酸味とうまみの絶妙なハーモニィ。根菜は先、葉物は後で入れて野菜を煮過ぎないことがポイント。和風の要素をなくせば、純粋ミネストローネ、鶏ガラの代わりに固形コンソメでももちろん大丈夫。状況にあわせてどうぞ。

 2態目は焼きトマト。English Breakfastには卵とグニャっとしたソーセージの炒めたのと、baked tomatoが必ず付く。今日のお勧めは鉄板焼きのトマト。いろいろな肉や野菜と一緒にトマトをスライスして焼く。これのスペシャルなタレを特別に伝授。用意するものはオレンジ(オレンジジュースでも可)、大蒜醤油(大蒜数かけらを皮をむき、蓋のできる空きビンにでも入れ、その上から醤油を注いで3~4日放って置く、適当に醤油を足しながら何年でも使える。醤油が沁みた大蒜はスライスしてチャーハンに使ったりしてもよい。普通の醤油。酒。あれば豆板醤。オレンジを絞る(オレンジジュース)。全体の量にもよるが4~5人で半個もあればよいか。もちろん多くても可。それに大蒜醤油を少し、酒少し、醤油、あれば市販のポン酢も、合計でジュース同量か少し多め。味を見ながら、好みで調整。そこに豆板醤も少し入れてよく混ぜる。胡椒やタバスコ、唐辛子でもよい。でも豆板醤の醗酵した味が私は好き。

昔、キッコーマンがアメリカに進出した時の醤油を使った料理コンテストの第一位がオレンジジュースと醤油の組み合わせ。日本人には思いもつかない発想だが、これが実によく合う。鉄板に油を薄く引いてスライスした大蒜を熱して香りを出し、軽く塩コショウをして焼いた肉や野菜をこの汁につけて食べる。トマトもよく焼いて食べる。野菜と肉を少し残して、最後にそれを集めて細かく切って、大蒜をもう一度炒めて、ご飯を鉄板で炒め、そこに肉と野菜を入れ、残った浸け汁をかけてよくよく炒める。これぞ至高の大蒜ライス。一度やったら止められなくなることうけあい。友達と一緒に、是非お試しあれ。

 最後は最近友達になったイタリア料理屋のオードブルメニュー。ドライトマト、といってもセミドライ。あんまりおいしいので作り方を聞き、調べてみると電子レンジでも作れることを発見。電子レンジでチンする。600W5分。プチトマト、あるいは小さめのトマトを半分に切り、軽く塩。プレートの上にペーパータオル、切り口を上にしてチン。プレートに水が出るからそれをふき取り、もう一度、あるいは好みのドライさになるまで何度か繰り返す。それにバージンのオリーブオイルを少しふりかけて、これも少しのハーブ。バジルなど、何か一種。パセリでも可。細かく切ってパラパラと振りかけ、それをそのまま食べる。味が濃縮されて、本当にうまみのあるトマトの味になる。

トマト料理編キスギ副学長’S

イェイイェイレシピかんたん

新 ③

トマトのスープ

おまけ

煮トマト

2焼きトマト

3ドライトマト


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