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Page 1: King Con DISKREVIEW - U2やEnyaに続き、アイルランドで成功し … · the libertines、the kooks、the viewといったブリティッシュ・ロック ... 作で満を持してのアルバム・デビューとなる。今年のnme

DISK REVIEW - OVERSEAS -

DISK REVIEW - OVERSEAS -

どうした CLOUD NOTHINGS ! 驚異の飛躍というか、深化系変貌。90 年代にシカゴ音響派周辺に浸っていたおっさん(俺もね)はとにかくオープニング・ナンバーで感涙だろう。ポスト・ロックやエモなんてカテゴライズもなかったあの時代、張り詰めた緊張感と “静と動”のエモーショナルな美をみせた SLINT による名盤『Spiderland』の幻影が! こんな裏切りは想像できなかったが、レコーディング・エンジニアはノイズ御大Steve Albini という納得の起用。昨年リリースされた泣きメロ満載のデビュー・アルバムはローファイ・リヴァイヴァルの追い風にも乗り注目を集めたが、ついに覚醒である。主要メンバーDylan Baldi 曰く “前作のポップ・パンクとは対立するものとして、新作をロック・アルバムと呼びたい” と。逞しく成長した姿を見るにつけ、俄然来日を切望!(伊藤 洋輔)

CLOUD NOTHINGS Attack On Memory

ROCK

[HOSTESS ENTERTAINMENT]2012. 2.15 ON SALE

奇跡を操るとまで形容されるスコットランドの奇才 Bill Wells がかねてから親交のあったテニスコーツ、二階堂和美、Jim O'Rourke、青柳拓次ら日本人のミュージシャンと作り上げた今作。彼の音楽は圧倒的に美しい。勿論今作のベースになっているのもジャズなのだが、わずか 1日という限られた時間で、彼の描く華美な装飾の施されていない美しい世界を、日本を代表するミュージシャンたちが自由に紡ぎあげていった様子が窺い知れる。そしてアルバムの半分を占める二階堂和美とテニスコーツのさやがヴォーカルを務める楽曲では、彼女たちの新たな側面を引き出し、アルバムに色を添えている。Jim O'Rourke が参加しているから持ち出すわけではないが、まるでGASTR DEL SOL のような、甘美な完成されたポップ・ミュージックだ。(伊藤 啓太)

Bill Wells Lemondale

POP

[HOSTESS ENTERTAINMENT]2012.2.22 ON SALE

ビートニクの Allen Ginsberg 著作の “HOWL” から取ったと思われるこのバンド名にこのタイトル…それだけで十分魅力的だ。THE STROKES や THE LIBERTINES を発掘した事でも知られる老舗レーベルの Rough Trade Records が契約したという話題先行で注目が集まる彼らだが、一聴してまず感じたのは、60 年代~ 00 年代のガレージ・ロック・リヴァイバルに至るロック史に刻まれた音の数々を凝縮したようなバンドであるという事。それはGIRLS の様に円熟したバンドならまだしも、Julian Casablancas やAlex Kapranos の様な色気の持つこのヴォーカリストは未だ 19 歳! THE VACCINES と共にツアーでここ日本にもやってくる。いち早くチェックしておいた方がいいかもしれない。(中里 友)

HOWLER America Give Up

ROCK

[HOSTESS ENTERTAINMENT]2012.2.8 ON SALE

現代の Syd Barrett か Nick Drake か……。その薫りは、あまりにも芳醇で上品で甘美なものだ。しかしその本質は、直視するにはあまりにも重すぎる不安や恐怖や孤独の痛みである――その過激でリアルな内容を赤裸々に曝け出した前作『Learning』で注目を集めたPERFUME GENIUS ことMike Hadreas というリリストが、第 2章を刻む。美しい歌声とピアノから、触れれば崩れてしまいそうな均衡で成り立つ世界観は前作の延長線にあるが、幸福な心境の変化があったのだろうか、比較的に開放感ある曲調も垣間見せる。本作は初スタジオ・レコーディング作品でもあり、クリアとなったサウンドからはより彼の無垢で繊細な “呼吸” を感じ取ることができるだろう。純粋に歌わなければならない歌の数々が心を揺さ振る。願わくば、この音楽があなたの救いとなりますように。(伊藤 洋輔)

PERFUME GENIUS Put Your Back N 2 It

POP

[HOSTESS ENTERTAINMENT]2012. 2.15 ON SALE

この音源を聴いてからというもの、僕はずっとこのアーティストに夢中だ。圧倒的なポップネス、高揚を促すユーフォリア、そして甘美なるノスタルジー…この、アメリカはミシガン州出身のシンガー・ソングライターAlexandra Winston は数々の楽器を操り、Chuck Berryや THE ROLLING STONES、MUMFORD&SONS といったアーティストのカヴァー曲を配信したことと 2010 年の「Choise Notes」のヒットで一躍話題になった。そんな彼女の待望のファースト・アルバムが本作である。時間を練られて制作されたのか、一曲一曲のクオリティが非常に高い。Joanna Newsomや Lykke Li に比肩する憂いを帯びた歌声で、今後多くのリスナーを魅了することだろう。そう言えるだけの根拠がこのアルバムにはある。(中里 友)

Alex Winston King Con

POP

[Pachinko Records]2012 .3. 2 ON SALE

聴くとなんだか無性にバンドを組みたくなる。本能に突き刺してくる鋭利なサウンドに言葉、ってことかな。すべてに唾を吐き出すようなアナーキズム、自暴自棄なほど疾走するニヒリスティックと、とにかくこのモヤモヤをどうにかしてくれ!とばかりに “不機嫌な子供たち”がデンマークはコペンハーゲンから登場した。すでに昨夏海外ではリリースされ瞬く間に注目を集めているが、まだ全員10代の4人組、ICEAGEがいよいよ日本デビューである。GANG OF FOUR や JOY DIVISION の尖った知性を 80 年代 US ハード・コアばりのテンションで駆け抜けるかっこよさ、そしてコンセプチュアル・アート指向な美意識も完遂されていて気持ちいい。これは若気の至りではない、本物と断言する。この冷めた時代、シーンも己も “健全” であるがための音楽がここに。(伊藤 洋輔)

ICEAGE New Brigade

ROCK

[HOSTESS ENTERTAINMENT]NOW ON SALE

SKRILLEX

DUBSTEP

非常に太いベース音と、リバーブのかかったドラム、細切れにされたサンプル音。まさにダブステップの特徴そのものなのだ。だが、時折入るキャッチーなフレーズがリスナーに重度の中毒を引き起こす。他のダブステップのアーティストと彼が一線を画していると感じられるのはそれゆえだろう。特にTrack.1、3の女性ヴォーカルは非常にポップでリズミカル、可愛らしくすら感じる。また、どこか懐かしさを覚えるTrack.2のイントロの浮遊感のあるフレーズは曲中で何度もループされ、どこかへトリップしそうな感覚を生み出している。全米ビルボード、Top Heatseekers にて 34 週以上もの間ランク・インし続けた実績は伊達ではない。ダブステップ・ファン以外にも愛される彼の音楽を聴かずして、音楽ファンは語れないだろう。(石井 理紗子)

SKRILLEX/ Scary Monsters & Nice Sprites[ WARNER MUSIC JAPAN ] 2012.2.20 ON SALE

TRIBES

TRIBES / Baby[UNIVERSAL INTERNATIONAL] 2012 . 2 . 8 ON SALE

2011 年の UK音楽シーンの顔は James Blake や Adele に代表される様に、インディ・ロックは元気が無かったように感じる。そんな中、THE VACCINES や ARCTIC MONKEYS といったバンドが気を吐いたが、勢いは続かず、下半期にはロンドン暴動での喪失と虚しさが残った。そんなシーンを救う者としてイギリスで大きく話題にあがっているのがこの TRIBES だ。THE LIBERTINES、THE KOOKS、THE VIEWといったブリティッシュ・ロック直系の遺伝子を感じるメロディ・センスに、「Sappho」「We Were Children」で聴けるシンガロングなフック……UKロックの復権は TRIBES が担うことだろう。 (中里 友)

ROCK

なんか……ダサくない? ロン毛&髭モッサリ、ヨレヨレのTシャツ着て荒々しい70年代ハード・ロックなテイストを紡ぐ。名前もROSE HILL DRIVEって(苦笑)、なにからなにまで大仰で古典的で、彼らはタイム・マシンに乗ってこの時代にやってきたのか?でも……聴いていくとなんだか熱い感情が沸き起こる。エッジーなギター・リフにハイトーン・ヴォイスはまるでWHITE STRIPESのJack Whiteが憑依したようだぜ! Daniel&Jacob の Sproul 兄弟が中心の4人組天然ロッカーズ、ROSE HILL DRIVE。その熱いスタイルが話題を集め、THE WHOからAEROSMITH、VAN HALEN に THE BLACK CROWES にWILCO に QOTSA と、錚々たる面々からラヴ・コールを受けている。本作は約3年半振りのサード・アルバムである。ド真ん中に剛速球を投げる王道感は、日本でいうギターウルフに近い感じかな。なんか……かっこいいぞ!(伊藤 洋輔)

ROSE HILL DRIVE Americana

ROCK

[HOSTESS ENTERTAINMENT]2012.2.15 ON SALE

2010 年ロンドン・Camden Town で結成された 4 人組。配信シング

ル 2 曲のみのリリースで SUMMER SONIC 2011 へ来日を果たし、本

作で満を持してのアルバム・デビューとなる。今年の NME Awards

Tour への出演も決まっている注目のニュー・カマー。

昨年リリースされた EP がここ日本でも話題となり、今作を非常に楽しみにしていた方も多かったと思う。期待していい。このアルバムには何かを始めようとする時の衝動やワクワクが、はちきれんばかりに詰まったとっても素敵なアルバムなのだから!ノルウェー出身のこの男女 6人組は、元はバンドと偽ったソロ・プロジェクトで人気を獲得しつつあったMarius(Vo& Gt)がバンドお披露目の前日に、せっせと一晩のうちに友人に声をかけて結成。LOS CAMPESINOS! のキラキラ感、同じ北欧の LACROSSE が持つ抒情性を纏い、個々の感性を尊重しているこの若く民主的なバンドは、6人の持ってるおもちゃを使って何かしてやろうというピュアな気概と冒険心に満ちている。皆で楽しむ――この結束は何よりも固い。(中里 友)

TEAM ME To The Treetops

ROCK

[HOSTESS ENTERTAINMENT]2012.2.8 ON SALE

U2 や Enya に続き、アイルランドで成功したアーティストとして知られる THE CRANBERRIES が 11 年ぶりとなる新作を発表。フォークを基調としたバンド・サウンドと、静謐ながらも力強さを秘めたDolores(Vo,Gt&Key)の歌声は未だ健在で、本作では過去5作の中で時折見られたロック色の強さはあまり感じられない。プロデューサーも長年タッグを組んできたStephen Streetだけあって、ファンなら初期の彼らをついつい期待してしまうだろうが、決して本作は単なる原点回帰や復帰作で終わらない。それは人生を考察し詞作に活かしてきたDolores をはじめとするメンバーの人生観が見事な形で結実しているに他ならない。これをキッカケに THE CRANBERRIES を聴く人が増えるといい。(中里 友)

THE CRANBERRIES Roses

ROCK

[UNIVERSAL INTERNATIONAL]2012.2. 22 ON SALE

Sonny Moore (ex-

FROM FIRST TO

LAST) が、ダブステッ

プ DJ SKRILLEX とし

てソロ活動を開始。

2010 年発表のミニ・

アルバム『Scary

Monsters and Nice

Sprites』からのシング

ル「Scary Monsters

and Nice Sprites」が

話題を呼び、一躍人気

アーティストへ。

米オレゴン州カールトン出身のPeter Broderickの最新作。数々の楽器を使いこなし、もともとセッション・ミュージシャンとして、M. Ward、Zooey Deschanel 等のアーティストに携わってきた。最近ではデンマークのインディ・ロック・バンドEFTERKLANGのサポート・メンバーとしても活躍しているマルチな才能の持ち主だ。過去にインストの作品をリリースしてきたこともあり、全体的にヴォーカルは控えめで楽器の音色を聴かせる作品になっている。ポスト・クラシカルとも表現される彼のサウンドだが、今作もまさにその表現がぴったりの穏やかな美しいサウンドに仕上がっており、何より大げさになり過ぎないストリングスの使い方がとても巧みで心地良い。こんなに深みのある作品を作った彼がまだ 20 代半ばだということに驚かされつつ、今後がますます楽しみだ。(石塚 麻美)

Peter Broderick http://www.itstartshear.com

ROCK

[Pachinko Records]2012.2.20 ON SALE

南アフリカのケープ・タウンで結成されたヒップ・ホップ・グループの 2nd アルバム。Ninja、Yo-Landi Vi$$er、DJ Hi-Tek から成る 3人組で、奇抜でファンキーなサウンドが話題となり、Coachella Music Festival、Big Day Out 等のフェスティバルで世界中を回り、日本にも 2010年のSUMMER SONICに出演している。自分たちのスタイルを南アフリカのスラングで ZEF と呼び、ハードコア・ヒップ・ホップ、日本のアニメ、南アフリカの文化的要素といった全く異なるものを融合させており、アフリカーンス語、コサ語、英語をミックスしたリリックも独特でとにかく新鮮。彼らのスタイルが一目で分かる PVをチェックしてから音源を聴くとより一層楽しめるだろう。同じようなスタイルのヒップ・ホップに飽きたリスナーにはぜひ聴いてほしい刺激的な一枚。(石塚 麻美)

DIE ANTWOORD Tension

HIP HOP

[Pachinko Records]2012.2.6 ON SALE

昨年でデビューから 15 周年を迎えた FEEDER の通算 8枚目のオリジナル・アルバムがついにリリース。ヘヴィなギター・サウンド、キャッチーなメロディ、温かみのあるアコースティック・サウンド、どんな曲調の曲にも自然に絡み合うヴォーカルGrant の歌声。そんな彼らの全ての魅力が今作に詰まっていると言っても過言ではない。全曲これぞまさに FEEDER だ! と叫びたくなるような要素が満載で、尚且つ新鮮味と勢いを感じられるのが嬉しい。東日本大震災を受けてチャリティー・シングルとしてリリースした「Side By Side」も本編最後に収録されており、もうすぐ 1年経つ今聴くとまた違った深みがあって感慨深い。まだ一度も彼らの音楽に触れたことのない人への入門編としてもオススメできる快心作だ。(石塚 麻美)

FEEDER Generation Freakshow

ROCK

[VICTOR ENTERTAINMENT]2012.3.7 ON SALE

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