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8 ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.12

特集動き出したNetroSphere ~テレコム産業に変革をもたらすワールドワイドの取り組み~

特集動き出したNetroSphere ~テレコム産業に変革をもたらすワールドワイドの取り組み~

バル展開の取り組みを重要視しています。以下、グローバル展開における3つの取り組みをご紹介します。1つめの取り組みは、国際会議

(NV&SDN World2015、NV&SDN

World ASIA、SDN & OpenFlow World

Congress)などのオープンな場を通じたコンセプトの発信です。これらの活動を通じて広く認知・賛同を得ることで、テレコム産業を担う様々な分野のパートナとの協業を進められるようにしたいと考えています。2つめの取り組みは、世界のキャ

リアとビジョンの共有やアーキテクチャ・要求仕様策定の取り組みです。ビジョンの共有という観点では、国内ベンダだけではなく、グローバル市場に対する影響力の大きい欧米キャリアと一緒に、コンセプトからネットワークの構成法についての議論を進めています。加えて、市場発展性の高い APAC(アジア・太平洋)キャリアとはネットワークの構成法から構成する素材(機能部品)の仕様策定まで踏み込んで連携をしたいと考えています。採用する技術や仕

サービスの実現を促進する必要があります。一方で、アーキテクチャや実現技

術などの研究開発を進めていく過程において、いわゆる「死の谷を越える」ためには、技術優位性だけでなくビジネス性や社会的意義においても価値があることを明確に示す必要があることから、我々はNetroSphere構想の有用性や意義を体感頂くために、様々なパートナの方々と共に具体化する場が必要であると考えています。本稿ではこれらの目的に向けた、2つの取り組みをご紹介します。(1)世界のキャリアやベンダとのグローバル展開の取り組み

(2)構想を可視化するNetroSphere実証実験の取り組み

NetroSphere構想の普及・展開においては、従来の NTTグループの研究開発に加えてワールドワイドのテレコム産業の変革に向けたグロー

 

「ネットワークを利用するお客様やサービス事業者に、これまで以上に多様なサービスを迅速・低コストで、かつ高信頼に提供していきたい。」情報通信に対する我々の理念の実現に向け、NTT研究所は 2015年 2月に「NetroSphere(ネトロスフィア)構想」を発表しました。

NetroSphere構想は、ネットワークの機能を素材化し自由自在に組み合わせることによって、様々なお客様のニーズを満たし、取り巻く環境の変化やリスクから守る、普遍的な存在としてのネットワークを目指しています。さらに、これらの取り組みは、お客様やサービス事業者だけでなく、テレコム産業のビジネスモデルにも変革をもたらすことを目指しています。

NetroSphere構想の具現化に向けては、広く認知・賛同を得る活動を積極的に推進し、数多くのベンダやサービス事業者などのパートナとの連携により、新技術の開発や製品・

テレコム産業のビジネスモデルに変革をもたらすことを目指すNetroSphere の実現に向けては、これまで以上に様々なパートナとの連携が重要になると考えています。その具体的な取り組みとして、ワールドワイドに新技術の開発や製品・サービスの実現を促進するためのグローバル展開について、また、新たな技術やサービスを共にフィールド(商用化)に送り出し、お客様への価値や効果を利用者目線で具体的に可視化するNetroSphere 実証実験についてご紹介します。

NetroSphere の実現に向けた取り組み~グローバル展開とNetroSphere 実証実験の推進~

NTT ネットワークサービスシステム研究所

主任研究員 四七 秀貴、増田 暁生主幹研究員 川端 明生

NetroSphereの実現に向けて

グローバル展開の取り組み

特集動き出したNetroSphere ~テレコム産業に変革をもたらすワールドワイドの取り組み~

9ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.12

特集動き出したNetroSphere ~テレコム産業に変革をもたらすワールドワイドの取り組み~

様の共通化によって需要の拡大を図ることで、早期の実用化と効率的な技術開発を目指します。3つめの取り組みは、様々なベン

ダとの協業です。NetroSphere構想では、ネットワークインフラは用途に応じた専用機器から、機能部品を組み合わせることで様々なネットワークサービスを提供することを目指しています。このように自由に組み合わせられる部品の構成方法や、部品をいかに迅速・効率的に組み合わせるかといった制御方式など、実現に向けては多くの技術的課題の解決が必要となります。我々は課題の解決に向けて、様々

な得意分野を持つ世界中のベンダと協力しながら、コンセプトの具現化を目指していきます。これらの変革は、ベンダにとっても自社の高い技術力やスピード感をもった開発力を武器に、付加価値の高い新たな製品やソリューションを提供する新たなマーケットや技術の発展のチャンスになると考えています。

我々はNetroSphere構想の実現に向けて、様々なパートナの方々と共に思いを具体化する場として、実証実験網の構築を行う予定です。今回、この実証実験網を、新たな技術やサービスを共にフィールド(商用化)に送り出す場所という思いを込めて自 動 車 レ ー ス の PIT に ち な み「NetroSphere PIT」(図1)と名付けました。以下、柱となる3つの取

な進化に向けて、革新的な NWアーキテクチャや高度なセキュリティ対策など市場拡大や産業創出を目指した「次」の新サービスや新機能のイノベーションの場としても見据えており、これらのコラボレーションを通じて、NetroSphere PITは様々なパートナとの新たな価値創造の場となることを目指しています。3つめは運用技術蓄積としての取り組みです。NetroSphere PITとして構築した環境の一部は、我々の実際の研究開発用 NWとしても活用します。研究者自らが日常的に利用・運用することによる実ユーザ視点からの課題抽出と実運用へのフィードバック(ドッグフーディング)を行うことで、利用者目線での研究開発を目指します。これらの NetroSphere PITの取り組みは、まずは 2016年 2月に開催予定の NTT R&Dフォーラムで、具体化します。

り組みをご紹介します。1つめは技術検証 /技術確立としての取り組みです。NTTの取り組み(MSF※、MAGONIA※、MOOS等)や新製品・新技術に対する様々なユースケース(シナリオ)を通じて、キャリア網への適用に向けた技術を評価・確立するとともに、お客様やサービス事業者への価値を具体化します。実施するシナリオは、機能単体ではなく、様々な部品を組み合わせることで、新たな技術や NetroSphere

構想の効果を利用者目線で具体的に可視化することを狙っています。2つめは共創促進の場としての取り組みです。サービス事業者 /キャリア /ベンダとのコラボレーションにより、サービスの創出やフィージビリティ確認、コンセプト実証、アプリケーション開発などの場として活用していく予定です。また、NetroSphere構想の継続的

研究開発用NW

IAサーバ汎用SW 汎用SW

汎用SW 汎用SW

汎用SW 汎用SW 汎用SW 汎用SW IAサーバ

汎用SW 汎用SW

サーバオーケストレータ

NWオーケストレータ

MSFコントローラ

E2Eオーケストレータ

ONU

Virtual OLT

ONU

サービス事業者APL

サービス

事業者APL

通信サービスAPL

通信サービスAPL

API-GW/オーケストレータ

NWオペレータ

サービス事業者

エッジ

APL APL

(1)技術検証/技術確立  としての取り組み

(2)共創促進の場  としての取り組み

(3)運用技術蓄積の取り組み

サービス事業者用サイト

APAP AP

MAGONIA

MSF

図1  NetroSphere PIT

NetroSphere実証実験の取り組み

※ビジネスコミュニケーション 2015 Vol.52 No.7参照


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