「障害者☓農業」が 起こすイノベーション
農林水産省 医福食農連携事例発表会
2013年10月15日 NPO法人つくばアグリチャレンジ
代表理事 五十嵐立青
構成 1.事業背景 2.障害者の強みを活かす農業 ケース 3.障害者の強みを活かすための ごきげんメソッド 4.攻めの農業ケース 5.まとめ
1.事業背景
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身体障害者 知的障害者 精神障害者
人数
雇用者数
人数 雇用者数
身体障害者 3663000 346000
知的障害者 547000 73000
精神障害者 3233000 29000
事業背景①:進まない障害者の雇用
就労割合:身体障害9.4%・知的障害13.3%・精神障害0.89%
(『平成24年度障害者白書』)
罰金の支払い
45.3
54.7 未達成
達成 %
%
事業背景②:達成されない雇用率
①障害者への対応方法が不明
②障害者が仕事をできるか不安
障害者が働くための方法論が必要
事業背景③企業の実状
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昭和60年 平成22年
(ha)
(平成22年度農林業センサスより)
事業背景④耕作放棄地
働く場所のない 障害者
担い手 不足の 農業
事業背景⑤事業モデル
事業形態 就労移行支援・就労継続支援B型
・就労継続支援A型
主な事業 農産物の生産・加工・販売
運営スタッフ 15名(非常勤4名)
ファームスタッフ(障害を持つスタッフ)
70名
障害種別 精神障害約60% 知的障害40%
作業工賃 月額2万円〜11万円
耕作面積 約3.0ヘクタール
事業開始 2010年11月
事業背景⑥事業概要
2.障害者の強みを活かす 農業ケース
①アスペルガー症候群☓トラクター
②知的障害(自閉傾向)☓種まき
③知的障害(知的遅滞)☓除草作業
④知的障害(自閉傾向)☓間引き
• 「ごきげんファームに来て初めて仕事が続いている」
• 「初めて生きがいを持った」
• 「今までは生きていても死んでいた。生まれてきた意味が初めてわかった」
• 「ごきげんファームのおかげで生きてていいんだって思える」
⑤働くスタッフの声
3.障害者の強みを活かすための ごきげんメソッド
下がった原因の検証 例)トラブルがあった、体調が優れない
上がった原因の検証 例)支援ツールがフィットした
障害者のQOLの評価を毎日行う。作業内容・コミュニケーション内容によって 変化する「ごきげん指数」の傾向をみる事ができ、 日々のコミュニケーションにフィードバック可能。
ごきげんメソッド:①ごきげんインデックス
強みを活かした仕事の発見 個別支援計画に反映
農作業(technical skill)、自律性(human skill)、 協調性(human skill)、コミュニケーション(human skill)を 職員が作業毎に評価し、障害特性にあった強みを見つける。
ごきげんメソッド: ②ごきげんスキルアセスメント
ファームスタッフの1グループの時間辺り作業の内容・量を毎日記録していくことで チームが効果的に仕事をできているか、改善するためには何が必要かを ごきげんインデックスやごきげんスキルアセスメントと併せて検証していく。
ワークアセスメント事例:ほうれん草の出荷アセスメント
2012年1月○○日
12kg出荷のための収穫労働時間➡9.25時間
※ファームスタッフ5人で2時間以内に終了
12kg出荷のための調整労働時間➡10.6時間
合計:12kg出荷するのにかかる総労働時間➡19.85時間
※実労働時間には、播種や草取りなどの時間も考慮
1kg出荷分を一人で収穫した場合にかかる時間➡46分
1kg出荷分を一人で調整した場合にかかる時間➡53分
→1kgを出荷するのにかかる総労働時間➡99分
日々の作業量の分析をごきげんインデックスおよびごきげんスキルアセスメントと併せて分析
ごきげんメソッド: ③ごきげんワークアセスメント
障害を持つファームスタッフとの会話で特徴的なものを毎日記録。 どのようなコミュニケーションがモチベーションを上下させるかの情報を蓄積し どのスタッフが担当をしても良好な関係を構築可能にする。
2012年1月○○日
Aさん: 「○○してください」と作業の指示やお願いをしても面倒そうな対応でのんびり作業をするだけだったが、スタッフが「Aさんこっちの作業大変だから助けて!」と言うと顔つきが輝き作業スピードが上がった。
Bさん、Cさん、Dさん: 話をしていてなかなか種蒔きの作業が進まない時にスタッフが「みんなで競争しましょう」という提案をすると集中力を発揮。
ごきげんインデックス、ごきげんスキルアセスメントとごきげんワークアセスメントと併せて、良好な関係を築くコミュニケーションが明らかになる
ごきげんインデックス
ごきげんメソッド: ④ごきげんコミュニケーション
作業効率の上昇、 ごきげんインデックスの向上へ
障害を持つスタッフが作業を行い易い環境を創り出すために、 収穫範囲の見える化、袋詰めの簡易化等、作業を支援するための独自ツールを活用
ごきげんメソッド:⑤ごきげんツール
個別の目標に設定 スキルアセスメント、及びワーク アセスメントを通して作業能力の 上昇を適切に評価
個別対応した目標設定を行い、その到達度に合わせて賃金を向上させるスキームを 体系化。すべての評価にインデックス、スキルアセスメント、ワークアセスメントを用いる
定期的に面談、審査会議を行い判断
ファームスタッフ の賃金向上
ごきげんメソッド: ⑥ごきげんゴールセッティング
(農林水産省『攻めの農林水産業』平成25年)
ごきげんメソッド: ⑦特例子会社への展開の可能性
4.攻めの農業 ケース
①ベビーキャロット
①ベビーキャロット→ドレッシング
①ベビーキャロット→ドレッシング→マルシェ
②ベビーリーフ
②ベビーリーフ→ライスバーガー
②ベビーリーフ→ライスバーガー→ベトナム
③大豆
③大豆→納豆
人員不足のパートナー農家へのサポート。 様々な栽培品目・仕事に従事することで農業知識の習得を加速。
④ヘルパー事業
近隣の農家から直接買い入れを行った野菜ボックス。障害を持つファームスタッフが箱詰め業務を全て担当。
事業のサポーターの一人、Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOと対談。復興支援へ向けて海外への農産物展開について
既存の流通ルートが機能しなくなったため、販売用のECサイトを構築。価格決定権を持ち、中間マージンを排除し農家の所得向上へ。
日本で最初の農業分野の復興支援・風評被害対策事業として、新聞・テレビ始め各メディアにおいて報道。
⑤農産物サポートプロジェクト
加工事業によって生産された商品を販売。 ファームスタッフが接客も行う機会を提供。
(株)モーハウスのmo-bacoにおける連携事業として実施
カフェ内部は無線LANや電源等を完備
ファームスタッフがコーヒー抽出から接客までを行う
⑥ごきげんカフェ
農作業サポート付きの貸農園。貸農園経営の実績を持つスタッフが担当。 週末は栽培指導をスタッフが、平日はファームスタッフが管理を行う。
講習会はクワの使い方や支柱の立て方から、栽培管理まで初心者にも分かりやすく説明。
収穫祭では参加者が採れたての野菜を使ってサラダを作ったりバーベキューをしたりするコミュニティ農園。
「農」のある暮らしづくり交付金
⑦ごきげんガーデン
コンピュータ総合研究所が開発をした放射線全品検査を可能にする測定器でバンズとパテの検査。全て検出限界以下。
全品検査によって被災地食材を世界に展開する事業として、各メディアでの注目。世界に日本の食材の品質アピールを目指す。
日本の農産物の魅力を最大限に引き出す形で開発されたライスバーガー。
ホーチミンにオープンしたベトナム最大のショッピングセンターでイベント実施。ローカル、ビジネスを展開する日本人双方から賞賛の品質。
⑧ライスバーガープロジェクト
5.まとめ
将来ヴィジョン
• 世界に700万人の障害者雇用
事業全体図
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授産施設平均工賃
福祉
雇用
最低賃金 賃金(高)
就労継続支援A型
就労継続支援B型
企業
就労移行支援
設立予定