東北メディカル・メガバンク計画のこれまでの成果及び今後の展開
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2020年1月17日東北大学東北メディカル・メガバンク機構岩手医科大学いわて東北メディカル・メガバンク機構
mito-akikoテキスト ボックス資料4
東北メディカル・メガバンク計画のこれまでの成果
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第1段階(平成23年度~28年度)の成果 地域医療支援調査を実施
• 循環型医師支援制度の創設と運用 コホート調査岩手県とあわせ15万人規模の健康調査を実施
• 一人ひとりに結果を返却して健康向上に貢献• 各地域・自治体ごとに統計的な傾向を返却し施策に貢献
日本を代表するバイオバンクを構築 世界をリードするゲノム解析成果を公表 - 2千人超の全ゲノム解析結果など
• 国際的に注目される拠点となり、海外視察等も多数
第2段階(平成29年度~令和2年度)の進捗 地域医療支援循環型医師支援制度の継続 コホート調査詳細二次調査をはじめとした追跡調査が進行中 バイオバンク「使われるバイオバンク」として更なるデータシェアを促進 解析研究全ゲノム解析結果など
• 全15万人規模のゲノム解析と大規模メタボローム解析等で世界有数の研究拠点へ
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次期計画(令和3年度~)に向けて 次期計画検討会議を設置して報告書策定(H31.3) 文部科学省で検討委員会が発足(R1.7~) 国レベルで検討へ
これまでの成果と現在の進捗
概 要 3名の医師がチームを作り交代で医療機関の支援を行う 4ヵ月間被災地の医療機関で勤務し、残りの8ヵ月間大学において高度研修や臨床遺伝
学研究等を行う 地域専従医師の派遣先は東北大学地域医療復興センターが統括 遠隔医療支援システム等のインフラを活用し、ゲノム医療の理解を深め、
地域に配したGMRCと共に高度先進医療機関への橋渡しを行う
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ToMMoクリニカルフェロー(TCF)による循環型支援システムを構築
循環型医師支援制度による地域医療への支援1 被災地の健康管理等への貢献
支援を行ってきた医療機関
• 南三陸病院(旧公立志津川病院・公立南三陸診療所)
• 女川町地域医療センター• 気仙沼市立本吉病院• 気仙沼市立病院• 石巻赤十字病院 など
平成24年度~:常時6-9ポスト、延べ140名以上の支援を実現
地域ニーズと医師のキャリアプランに基づいた循環
東北大学 地域病院
・チームで交代しながら地域に対応・医師は先進医療と臨床遺伝学も研修
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地域支援センター
地域住民コホートの精密な健康調査の拠点 三世代コホートGMRCの産科医院調査の拠点
地域支援仙台センター
センター長布施 昇男
地域支援岩沼センター
センター長宇留野 晃
地域支援白石センター
センター長児玉 栄一
地域支援気仙沼センター
センター長濵中 洋平
地域支援大崎センター
センター長鈴木 吉也
地域支援石巻センター
センター長菅原 準一
地域支援多賀城センター
センター長土屋 菜歩
1 被災地の健康管理等への貢献
総計15万人以上のリクルート達成
地域住民コホート沿岸部を中心に8万人以上の成人
三世代コホート産院等で妊婦さんを中心に、子世代、親世代
祖父母世代の三世代、7万人規模
登録者 73,529名* (2019年6月11日現在)
宮城登録者 52,232名岩手登録者 31,861名総計 84,093名2016年3月末で新規リクルート完了目標達成
15万人超の参加者に順次、再来所依頼を開始
1,658人 4,283人793人 1,324人
8,823人
23,143人
22,493人
9,459人
TMM計画では2種類のコホートを活用することにより大きな成果を目指す
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*曽祖父母78人と拡大家族1,475人を含む
地域住民コホート・三世代コホート
1 被災地の健康管理等への貢献
1. 詳細二次調査(2017年6月~) 7つの地域支援センターで引き続き実施中 2017年度から開始
・2017年度参加者数 18,273人・2018年度参加者数 23,418人・2019年度参加者数(9月末現在)10,449人
2. アドオンコホート オムロンヘルスケア社:尿ナトカリ比 ヤクルト本社:腸内細菌 豊田中央研究所:嗅覚 お肌チェック カゴメ:FFQ ドコモ:マタニティログ
など他にもアドオンコホート検討中。
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詳細二次調査の進捗
1 被災地の健康管理等への貢献
・認知症の超早期発見、一次予防のバイオマーカーの検索を目的として実施
・震災ストレスと脳形態変化地域支援センターにおける詳細検査を実施した方が対象なので、詳細検査の結果やゲノム解析結果などとの統合解析ができる。
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1万人を超える国内最大規模の健康成人の脳画像データベースを構築
10月下旬から追跡(2回目の撮像)を開始
疾患コホートと連携し、認知症等の精神・神経疾患に対応できる 追跡を行うことで、病気の進行と脳形態の経時変化に関するエビデンスも蓄積できる
健康成人の脳画像データベースの構築
MRI調査 2019年9月30日までの実績:・11,926件の撮像を行い・234件以上緊急回付(脳動脈瘤、肝腫瘤疑い、腹部大動脈瘤、大動脈解離疑い等)
1 被災地の健康管理等への貢献
周産期・胎児期
新生児期
乳幼児期幼児期
学童期・思春期
妊婦健診
母子健康手帳
小児慢性特定疾病登録
学校健診
地域・職域健康診断
レセプト
難病登録
地域がん登録
死亡小票
介護保険
診療情報(MMWIN※加入者) ※MMWIN:みやぎ医療福祉情報ネットワーク
人口動態統計
住民基本台帳
AMED作成図を改訂イラスト制作:橋本さと子
乳幼児健診
循環器疾患発症調査
青年期
成人期
壮年期
高齢期終末期
学童期・思春期
・ライフステージに応じた健康情報の収集・蓄積・地道な交渉の積み重ねにより公的データ等のリンケージを実現
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1 被災地の健康管理等への貢献 公的データ等の収集・連係~我が国の重要データであり優先度が高い~
多賀城市での開催で当初見込みを大幅に上回る来場者その後の開催は会場の規模を見直して滞りなく実施
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調査結果の地域への還元
2018年度 東北メディカル・メガバンク機構 事業報告会地域支援センターのデータ分析からみえてきたことを主に報告
2019/1/16 多賀城市 多賀城文化センター中央公民館 254
2019/1/23 気仙沼市 気仙沼市民健康管理センター「すこやか」 116
2019/1/25 白石市 白石市中央公民館 150
2019/2/4 岩沼市 岩沼市民会館 218
2019/2/8 仙台市 TKPガーデンシティ仙台 235
2019/2/19 石巻市 こもれびの降る丘 遊楽館 132
2019/2/27 大崎市 大崎生涯学習センター(パレットおおさき) 370
1,475
来場者数(人)開催日 開催地域 会場
1 被災地の健康管理等への貢献
Sheet1
長期健康調査 事業報告会 実績 チョウキ ケンコウ チョウサ ジギョウ ホウコク カイ ジッセキ
開催日 カイサイビ開催地域 カイサイ チイキ会場 カイジョウ来場者数(人) ライジョウシャ スウ ニン
1/16/19多賀城市 タガジョウ シ多賀城文化センター 中央公民館 タガジョウ ブンカ チュウオウ コウミンカン254
1/23/19気仙沼市 ケセンヌマシ気仙沼市民健康管理センター「すこやか」 ケセンヌマ シミン ケンコウ カンリ116
1/25/19白石市 シロイシシ白石市中央公民館 シロイシシ チュウオウ コウミンカン150
2/4/19岩沼市 イワヌマシ岩沼市民会館 イワヌマ シミン カイカン218
2/8/19仙台市 センダイシTKPガーデンシティ仙台 センダイ235
2/19/19石巻市 イシノマキ シこもれびの降る丘 遊楽館 フ オカ アソ ラク カン132
2/27/19大崎市 オオサキシ大崎生涯学習センター(パレットおおさき) オオサキ ショウガイ ガクシュウ370
1,475
Sheet2
Sheet3
地域住民コホート
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詳細二次調査の進捗状況(2019年12月末時点)• 調査参加数:20,058人
サテライト型 9,166人健診参加型 10,892人
• 来年度までに目標 2.4万人を達成見込み
特定健診参加型 + サテライト型 実施エリアサテライト型のみ 実施エリア
久慈
宮古釜石
気仙
矢巾約100km
サテライト
矢巾センター
様々な方法・情報ソースを用いた追跡体制を構築• 郵送調査 80%以上の回収率• 匿名化情報照合システムを用いた公的情報の収集
死亡381人、 レセプト76万件健診情報(11/14市町村)、介護保険情報(3/14市町村)
• 既存の疾患発症登録事業との連携による、がん、脳卒中、心疾患の発症情報の追跡
1 被災地の健康管理等への貢献
調査結果の地域への還元
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参加市町村と調査の円滑な推進と健康づくり支援にかかる協定書の締結し、調査結果を地域に還元
サテライト型参加者の自治体へのデータ提供:2,993件
医療情報ネットワークとの連携 (2017年12月~)• 北三陸塾 (久慈地域):981人の結果報告書PDFを提供
結果報告会・健康講演 等• 結果報告会:計 18回, 参加者 1,481人• 個別相談:394人• 講師派遣・イベント参加・情報提供 等
11市町村・保健所の健康講演会・保健事業への参加
1 被災地の健康管理等への貢献
• 2013年11月 1,000人の全ゲノム解読完了• 2014年12月 ジャポニカアレイ® を用いたゲノム解析サービスを開始• 2015年12月 1,000人分の全ゲノム情報に基づき、アレル頻度情報を公開• 2017年10月 ジャポニカアレイ® v2を用いたゲノム解析サービスを開始• 2017年10月 5,000人分のオミックス解析データを公開• 2018年6月 3,552人分をもとにした全ゲノムリファレンスパネル
3.5KJPNv2を公開• 2019年2月 「日本人基準ゲノム配列」初版JG1を公開• 2019年9月 4,773人分をもとにした全ゲノムリファレンスパネル
4.7KJPNおよび1.5万人分のオミックス解析データを公開• 2019年9月 ジャポニカアレイ® NEOを用いたゲノム解析サービスを開始
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先端的な解析を実施して価値の高いデータベースを作成・公開
簡易ゲノム解析ツールの開発と大規模解析の実施
1)全ゲノム解析を実施し、日本人全ゲノムリファレンスパネルを構築- 4,700人分のリファレンスパネル (4.7KJPN)を公開(2019年)
2)長鎖シークエンスなど様々な技術やITを駆使し、日本人のゲノム解析のひな型となる日本人基準ゲノム(JG1)を構築(2019年)
1)血漿中の代謝物等を解析して日本人多層オミックス参照パネルjMorp を作成
- 1.5万人分の代謝物の平均や分布情報(jMorp2019)公開(2019年)
2)多層オミックス解析の実施とリファレンスデータベース(iMETHYL)の公開- 1,100人規模のゲノム多型、DNAメチル化情報と遺伝子発現情報の平均や分布情報を公開
2 ゲノム医療研究の基盤構築
ゲノム解析とオミックス解析
• 世界に先駆けて千人規模の全ゲノム解析を実施(現在、世界は数十万人規模に)
• 複数名で構成される民族集団別の基準ゲノムは世界初
• 民族別アレイの開発は今や世界の主流昨秋、Nature Medicine誌が、アレイを用いたゲノム検査の医療への活用を提言
• ゲノム以外のデータの重層化にも先駆的に対応
オミックス解析の実施
全ゲノム解析の実施
1)日本人に最適化した簡易ゲノム解析ツール「ジャポニカアレイ®」を開発し、バージョンアップを継続(2017年v2上市)、2019年刷新版ジャポニカアレイ®NEOを発表
2)令和元年度に15万人のうちの12万人以上のアレイ解析を完了予定
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我が国の共用資産として今後AIはじめ叡智を結集して利活用可能
JAXAや京都大学iPS研究所などとも共同研究
東北メディカル・メガバンクは複合バイオバンク
膨大なデータを多くの研究機関(含民間)が活用 分譲審査は外部委員による委員会で実施 手数料程度の実費
産業界が利用しやすい知的財産の制度設計
試料・情報分譲を実施中
これまでに26件の分譲を承認共同研究も130件以上実施中
・生体試料 : 約370万本DNA、血清、血漿、血液細胞、尿など
・情報多様な疾患情報、血液・尿検査情報、生理学検査情報、脳MRI検査情報、ゲノム配列情報、血中代謝物情報、診療・介護情報など
複合バイオバンク(Integrated Biobank)
= 解析センターを併設したバイオバンク生体試料の分譲による枯渇を防ぐ
血液と尿ゲノムDNA
RNA
2 ゲノム医療研究の基盤構築
試料 DNA、血漿、血清、尿 情報 全ゲノム配列情報、Japonicaアレイ等による多型情報、オミックス情報等
健康調査情報(基本情報(性別、年齢等)、家系情報、検体検査情報、調査票情報、産科的疾患)→ 統合データベースdbTMMにて検索・情報分譲最大で約84,000人分の基本情報、健康調査情報、ゲノム情報(内34,000人分)等
試料と情報の分譲(Data and sample sharing)試料・情報分譲審査委員会(中釜 斉委員長+外部審査委員)による申請書の審査を経て利用可能参加者との同意書に基づくセキュリティポリシーを定めて運用している利用者の利便を図るために多くの簡便化措置を実施している
Japanese Multi OmicsReference Panel
3層オミックス参照パネル(岩手医科大IMM)
(件数:累積)
(年度)
*Google Scholarで検索し筆頭著者・責任著者がTMM・IMM所属以外のものを選択
2019/9/30時点での集計
0
100
200
300
0
10
20
30
2015 2016 2017 2018 2019
分譲承認案件
2019/6/28時点での集計
共同研究 41件 20件 34件 11件 9件 (件数:年度毎)
(件数:累積)
15
2170
158219
1 7
19
34
47
0
100
200
300
2015年2016年2017年2018年2019年引用・レビュー・学会抄録など
→ 第2期第1期 ← → 第2期第1期 ←
問い合わせ
試料・情報分譲実績 バイオバンク利用論文 オープンアクセス
2 ゲノム医療研究の基盤構築
試料と情報の分譲の現状
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地域住民コホート特定健診相乗り型 6万7000人 分譲開始地域支援センター型
宮城 地域支援センター 1万7800人 今年度中岩手 サテライト 8,300人 分譲開始
三世代コホート 7万3000人 今年度中ヘプタファミリー 1,107人 分譲開始
2万3000人から大幅に拡充、データシェアリング
dbTMMの検索数・利用者数 カタログのアクセス数
84,000人(ゲノム情報34,000人)1.3兆件データ
のべ6,300人以上37,000回以上の検索
のべ93,000回以上のページビュー
診療情報抽出、構造化病型分類パイプライン
名寄せ
+ゲノム・オミックス解析情報
全ゲノム情報+健康調査情報の大規模データベース
東北大学病院等の県内機関病院との連携 各機関病院のSS-MIX2ストレージからの
診療情報の収集・病型分類パイプラインの開発 東北大学病院への設置、テスト運用開始 処方、検査等による病型分類アルゴリズムの開発
妊婦2万人の妊娠高血圧症候群の病型分類実施(2,018症例, PPV~0.94)→ 病型等の統合データベースdbTMMの収載へ
SS-MIX2ストレージ
追跡調査 «診療情報の収集»
データベース利用の順調な拡大ベースライン調査
ゲノム・オミックス情報:全ゲノム情報 3,500人、SNPアレイ情報 33,000人、オミックス情報 6,000人
基本情報、検体検査情報、調査票情報、生理学検査情報(MRI情報 4,300人)、診療情報
東北メディカル・メガバンク計画
累積検索数 累積利用者数
累積セッション数
累積ページビュー数
2 ゲノム医療研究の基盤構築
統合・知識データベース拡充と診療情報の収集等の実施
高度セキュリティエリアからスパコンへのVPN回線によるリモートアクセスの運用
ゲノム解析データはじめ多様なデータを安全に共有
東北メディカル・メガバンク機構のスーパーコンピュータ
東北メディカル・メガバンクの膨大なデータと計算資源に高度なセキュリティを保って遠隔地からアクセス
幅広いデータシェアリングに貢献岩手医科大学
東北大学
DBCLS
東大医学部
製薬協
神奈川県
企業研究所・大学など
理研AIP
沖縄
成育医療セ
長崎大学中京地区1
東京医科歯科大学
国立がん研究センター
九州大学
国立精神・神経センター
大阪大学東京地区1
滋賀医大
東北医科薬科大学
名大医学部
AMEDゲノム医療研究支援機能
22拠点で運用中
4拠点程度準備中
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2 ゲノム医療研究の基盤構築
開かれた研究基盤の構築を支えるスパコン管理の実施
研究参加の呼びかけ(郵送)
遺伝情報の回付は、日本の大規模コホートとしては初の試み
調査項目:病気を中心とした遺伝情報に関する理解と認識、回付前後の心理的ストレスやその影響
講習会
同意
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採血
結果回付
医療機関での経過観察質問紙調査・インタビュー
・2016年10月家族性高コレステロール(FH)(第1期)
・2017年8月家族性高コレステロール(FH)(第2期)
3 個別化予防・ゲノム医療の先導モデルの構築
遺伝情報回付パイロット研究
・2019年10月医薬品の反応性に関する遺伝情報
(PGx)
• 参加呼びかけ: 445名• 講習会参加希望者: 183名• 研究参加者: 180名• 同意・結果回付: 179名• FHバリアント陽性: 16名
・地域住民コホート調査or三世代コホート調査の登録者
・成人(20歳以上)
研究対象者
講習会の様子
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–表現型のある単一遺伝性疾患(ToMMoと合同) 家族性高コレステロール血症に関する3つの遺伝情報(
LDLR、APOB、PCSK9)を回付 遺伝と遺伝性疾患に関する講習会 遺伝リテラシー、心理尺度、アンケートの調査
–多因子疾患(IMM担当) ゲノム情報を含まない発症リスク回付の影響調査(前段
階の基盤研究) 2型糖尿病(久山町)、冠動脈疾患(吹田市)、脳卒中
(JPHC)の発症リスク情報に関する理解と認識を健康行動(行動変容)を通じて調査
家族歴ツールによるリスク評価 遺伝カウンセリングを含めたフォローアップ体制の構築
患者入力型家族歴ツール
3 個別化予防・ゲノム医療の先導モデルの構築 遺伝情報回付パイロット研究
コホート調査における参加者リクルート、地域医療の支援を行う人材 看護師・保健師・検査技師・一般適性者を被災地域で採用し、採用後、17の講義とIC取得実習を課し、試験に
合格した者をToMMo GMRCと認定(平成25年度より認定制度開設)
ゲノム医学研究コーディネーター(GMRC)
認定遺伝カウンセラー(CGC) / 臨床遺伝専門医 コホート参加者に対するゲノム情報の説明、次世代ゲノム医療・個別化医療を担う人材 遺伝カウンセリングコース(平成25年度より東北大学医学系研究科修士課程に開設)で、令和2年度までに、
13名修了見込み 平成26年度から1名CGCを雇用(全国の認定遺伝カウンセラー226人.2017年12月時点) 臨床遺伝専門医を6名雇用
生命情報科学者 / バイオインフォマティシャン ゲノム情報のインシリコ(コンピュータ)解析に従事する人材 教員、技術職員、RAを含めて、常時20名程度の体制を維持 平成24年度より、大学院医学系研究科、情報科学研究科に専門の授業を開講
コホート情報、医療情 報のマネジメントを行う人材 On the job training(OJT)で養成 第2段階において、DM 3名、MC 1名、MI 1名を育成・維持
データマネージャー(DM)/メディカルクラーク (MC)/医療情報技術者(MI)
→ ToMMo GMRC教育プログラム開発・評価の論文化 (Sakurai-Yageta M et al. BMC Med Educ 2019)
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第2段階を通じて約150名を育成・維持(全国の人類遺伝学会認定GMRC 563人.2017年度時点)
4 ゲノム医療実現のための環境整備等への貢献
(1)ゲノムコホート研究・結果回付推進のための人材育成
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コホート調査の特に詳細二次調査への参加の呼び掛け、各自治体との次期計画への円滑な移行の調整及び試料・情報/解析基盤等の利活用促進等のための渉外・広報活動を行い、多くの参加・利用・協定等の更新・連携推進に資している。
各種印刷物の発行、ウェブサイトの運用、展示出展等の活動 宮城県庁や仙台市科学館での展示を通じた地元住民への広報活動 学術学会の機会を通じて展示や講演等の広報活動による試料情報分譲/データシェアリングの促進 ニュースレター(通巻22号)の発行や各種リーフレットの制作、ウェブサイト/SNS運用を通じたコミュニ
ケーション活動の実施
地元自治体との緊密な関係構築 宮城県内の関係自治体、医師会関係者等が参加した地域協議会を複数回開催 各首長訪問等を通じた自治体との連携強化、県医師会等との緊密な連携の構築を継続し、情報交換・共有に従事
多くの機関との連携や、協力協定締結、共同研究の促進やデータシェアリングに向けた協議・調整を行い、本計画が有する多様な情報のシェアリング体制の構築に貢献
多くの視察受け入れや、講習会や交流機会を設定
他機関連携の促進
→ 東北メディカル・メガバンク計画の広報活動について論文化 (Nagami F. et al. in preparation)
4 ゲノム医療実現のための環境整備等への貢献
(2)コホート調査推進及びデータシェアリング推進及び地域・他機関との連携推進のための広報活動の実施
遺伝リテラシー向上の取組み
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1) 専門家による遺伝情報に関する啓発活動–いでん講習会
矢巾・気仙・大船渡にて10回 (>120人)
–遺伝情報回付の意識調査 岩手県・宮城県で3,800人
2) 家族歴ツールの開発–医療者入力型ツール:f-tree
国際標準の家系図作成と共に大規模データ解析を実現 無料公開:5千回以上のダウンロード 国内で唯一GA4GHの家族歴ツールカタログに収載
–患者入力型ツール:family-t 米国のオープンソースを元に国内のリスクモデル搭載 国内初のWeb入力型疾患リスク評価ツール
Ga4GHのホームページ
いでん講習会Yamamoto K. et al., J Hum Genet. 62:1037-1048 (2017)Yamamoto K. et al., J Hum Genet. 63:1139-1147 (2018)
Tokutomi T. et al., BMC Med Genet. 18:71 (2017)
4 ゲノム医療実現のための環境整備等への貢献
共同研究 東芝 ジャポニカアレイ ®の社会実装、仙台市青葉区内にゲノム解析サービス拠点を設立 NTTドコモ 携帯端末を用いて妊婦の活動量等を記録 オムロンヘルスケア
被災地での増加が懸念される高血圧について、生活習慣測定デバイスを活用した家庭での血圧、身体活動、食事、睡眠の測定を行い、各生活習慣要因と家庭血圧値との関連に関する研究
JR東日本東日本大震災後の宮城県において、歩行習慣とBMIと交通網との関連の有無に関する研究
NTT(セキュアプラットフォーム研究所)秘密計算などゲノム情報処理技術に関する研究 etc. ヤクルト 乳酸菌飲料および発酵乳摂取の保健効果を明らかにする共同研究
その他の連携 日本製薬工業協会(会員:72社) 遠隔アクセス拠点の設置 日本製薬工業協会との定例打ち合わせ etc.
視察受け入れ実績 2016年以降で84組558名の産業界からの来訪あり(2019.3.31現在) 日本経済団体連合会(2016年9月)や日本臨床検査薬協会(2016
年6月)など大型の団体での来訪もあり 島津製作所など機器メーカーや、大日本住友製薬などの製薬企業、
ほかに製造業やIT系企業など職種多数
榊原経団連会長(当時)ら2016.09.09
日本製薬工業協会2014.10.02
三井グループ13社2016.10.28
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*豊田中研、カゴメ、協和発酵キリン、エーザイ、東芝(量子暗号通信)とも共同研究を開始。準備中多数。
5 他の事業や産業界との連携
産業界との連携
産業界との連携
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深層学習等による糖尿病の重症化予測モデルの構築(H29~)
遺伝子発現解析による幹細胞品質管理マーカーの同定(H29~)
DNAメチル化年齢を用いた個別化予防プログラム開発(R1~)
iPGMによる循環器疾患リスク因子の予測モデルの構築(R1~)
いわて東北メディカル・メガバンク機構が有する情報解析基盤や疾患発症リスク予測モデル、エピゲノム解析技術を活かした共同研究を実施中 脳梗塞iPGMのライセンスアウトや他の疾患や形質への展開(東芝、
GeneTech) 情報解析基盤とマルチオミックス解析を用いたモデル構築(富士フイルム、
KDDI)
5 他の事業や産業界との連携
東北メディカル・メガバンク計画の今後の展開
ゲノム情報を活用した日本の個別化予防・医療の基盤となる公的なゲノムコホート・複合バイオバンクとして、以下の方向性を目指す。
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次期TMMゲノムコホート事業が目指す方向性
01個別化予防・
ゲノム医療の実現
02ライフコースに沿った
課題解決への貢献
03コホート・
バイオバンク連携
05被災地域の医療支援と
健康管理
04産業界との連携
全ての日本人に個別化予防・ゲノム医療の恩恵をもたらすことを目指した、疾患の遺伝・環境リスク及び提供者への結果回付に関する知見を蓄積する
01 個別化予防・ゲノム医療の実現
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目指す社会の姿
パーソナル・ヘルスマネジメント(PHM)社会
*1 日本の65歳以上人口率は27.05%(1位)(2017年)、合計特殊出生率は1.44(ワースト16位)(2016年)[World Bank Open Data]*2 日頃の生活の悩みや不安の要因の上位3項目は、老後の生活設計(55.4%)、自分の健康(54.5%)、家族の健康(42.2%)[平成30年度国民生活に関する世論調査]*3 製薬会社については、2017年の世界売上高で日本企業の最高位は武田薬品工業の19位[Answer News]
一人一人の個性に目を向け、体質(遺伝子)や環境・生活習慣などの違いに対応した個別化ヘルスケア(一人一人に合ったヘルスケア)が実現する社会
Society 5.0
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世界の潮流となっている個別化ヘルスケアに産官学で挑戦してPHM社会を実現
健康寿命の延伸により、生活の質(QOL)を向上させつつ医療・介護負担も抑制 国内で新たな市場と産業を開拓し、さらに海外の市場も獲得
日本が抱える課題日本は世界有数の長寿国だが、以下のような課題がある。
高齢化や少子化が世界で最も進んでいる*1 本人や家族の健康は国民の不安や悩みの主要な要因*2 日本のヘルスケア産業は国際競争の中で苦戦*3
01 個別化予防・ゲノム医療の実現
健診用ジャポニカアレイを活用した未来型健診(イメージ)
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ゲノム情報を活用した日本の未来型健診モデル
大規模統合コホート・バイオバンクの構築等(3大バイオバンク連携を含む)による未来型健診モデルのオールジャパンへの展開 → 医療費の低減
民族別の健診用アレイの開発で海外展開も視野に → 経済効果
一人一人に合った健康管理や行動変容へ
健診クリニック
IC取得検査発注
ゲノム医学情報の更新:新規医学情報の追加
健診用ジャポニカアレイ解析実施
健診医師宛のレポート
結果返却個別予防指導
01 個別化予防・ゲノム医療の実現
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次期TMMの事業計画
人材育成
● 継続的なデータ収集と、世界に伍する規模の基盤構築、国内外との連携で、疾患発症リスク予測へ
● 試料・情報利活用ワンストップサービス● ライフコース・リアルワールドデータ(RWD)
のデータ統合・共有・高度な利活用● 国内のバイオバンク・コホート間連携
コホート調査 複合バイオバンク
● 8,000人ゲノム構造多型解析、15万人メタボローム解析、トランスクリプトーム解析とDNAメチル化解析の大規模化
● 日本人マルチオミックスリファレンスパネル構築
● コントロールデータの強化、コホート間連携も含めたゲノム・オミックスに基づくリスク予測
● 遺伝性腫瘍と薬剤感受性(PGx)の遺伝情報の返却と医療への橋渡し、そして多因子疾患のフィージビリティ研究へ
リスク予測と遺伝情報の回付基盤解析
● 分野融合的な人材育成、大学院の新設等
01 個別化予防・ゲノム医療の実現
少子高齢化社会の進展に対応した出生前から高齢者までの各世代の継続的・縦断的な試料・情報の収集・利用や認知症などの各世代に特有の健康課題の解決に貢献する
02 ライフコースに沿った課題解決への貢献
ライフコースに沿ったデータの収集
●疾患発症例を含む参加者の試料・情報の取集・管理●クリニカルシークエンスや高次の診療情報の利活用●ライフコースRWDのデータ統合・共有・高度な利活用●ライフコースに渡るデータ蓄積と共有のためのバイオリソース
クラウドの構築
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02 ライフコースに沿った課題解決への貢献
● 児に関するデータの収集● 児に関するデータの利活用
出生から学童期
● 父母、祖父母の追跡調査の継続
若壮年期 成人から老年期
● 認知症に関するデータの収集と分譲● MRI 1万人脳画像データの追跡調査
と縦断的なデータベース構築● 認知症の前段階である軽度認知障害
(MCI)に至る発症プロセスの解明に向けた統合解析
共通基盤
国内外のコホート・バイオバンク、病院等との連携による、個別化予防・ゲノム医療に資する研究基盤の強化と人材育成に取り組み、研究成果の創出とゲノム医療・個別化予防の実現につなげる
03 コホート・バイオバンク等の連携
コホートの連携・ 疾患発症リスク予測の加速のためのコホート連携・ 国内出生コホート等との連携推進・ 海外との連携推進
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03 コホート・バイオバンク等との連携
疾患発症リスク予測の加速のためのコホート連携・他のゲノムコホートとの相互検証による研究成果の高精度化と高インパクト化・調査実施方法のノウハウの共有によるコホート同士の比較可能性の向上・他の研究機関からの出向受け入れによる、TMMの疫学・生化学者・
情報学・遺伝統計学の専門家の密接な連携の文化の共有
国内出生コホート等との連携推進事務局の設置、国内コホートの情報収集と共通項目確認、既存データの統合実務、追跡調査の精度管理と効率化、相乗効果の創出
海外との連携推進海外コホートとの相互の信頼関係を基にした二者連携の深化、積極的な国際コンソーシアム参画
バイオバンク連携・バイオバンク相互のミラーサイト保管による長期保存試料の分散保存体制構築・ コホート対象地域の疾患バイオバンクとの連携による参加者の疾患発症例に関する
試料・情報の収集・ クリニカルバイオバンク、基幹病院等との連携によるクリニカルシークエンスや
高次の診療情報の利活用
コホート・バイオバンク等との連携 共通・ 試料・情報の国内のバイオバンク・コホート間連携・ 試料・情報の利活用ワンストップサービス・ データ共有のインフラとしてのバイオリソースクラウドの構築・ OJTによる人材育成を通じた事業実施の体制整備・ 大学院等における専門人材の養成
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バイオバンクとの連携
03 コホート・バイオバンク等との連携
3大バイオバンクに加え中核的な大学病院等のバイオバンクをネットワーク化し、試料・情報のバイオバンク横断検索システムを構築(プロトタイプの高度化)・運用することで、バイオバンクの生体試料・情報の利活用を促進。統合データベースdbTMMの技術をベースに、バイオバンク横断検索システムを開発中。2019年10月に初版をリリースし、運用を開始。
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バイオバンク横断検索によるバイオバンク・ネットワークの構築
03 コホート・バイオバンク等との連携
産業界が利用可能な試料・情報・研究基盤を通じて、産業界との連携を強化し、健康・医療産業の発展を目指す
04 産業界との連携
● 最先端デバイスを活用したアドオン調査に対する基盤の提供(すでに複数企業と実績あり)● 未来型創薬・ドラッグリポジショニングへの貢献● 疾患発症リスク予測式の構築● 国際基準に適した品質の試料・情報の整備● 細胞試料の利活用の活性化● 試料・情報利活用ワンストップサービス● ライフコースRWDのデータ統合・共有・高度な利活用● 国内のバイオバンク・コホート間連携● 先進的なアドオンコホートの基盤としてのバイオリソースクラウドの構築
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産業界との連携
04 産業界との連携
東日本大震災被災地の自治体との緊密な連携により、地域医療の支援と地域の健康管理に取り組む
05 被災地域の医療支援と健康管理
1.調査票による追跡調査(郵送・Web) コホート参加者全員に対して定期的(1~2年に1回)に新規罹患状況等を確認 必要に応じて住民基本台帳閲覧等を行い90%以上の追跡率を目指す
2.医療情報活用 地域住民コホートの国民健康保険加入者(約56,000人)の特定健康診査情報や医療費情報を取得、
分析 地域の基幹病院やみやぎ医療福祉情報ネットワーク(MMWIN)等と連携して、参加者の医療情報
を電子的に収集し精度の高い疾患登録を行う
3.公的データ・発症登録 関係機関と調整を行い、乳幼児健診データ、地域がん登録データ、人口動態統計データ等を活用する 医療機関の協力を得て、発症登録票への記載やカルテ転記を行う
4.対面型調査(詳細二次調査) 地域支援センターに来所いただき、生理機能検査、バイオバンク用の試料取得(採血)等を行う。
(参加者の7割程度の来所を目標とする) 企業等の協力を得て、アドオン(追加)コホート調査を実施する
以下の追跡調査については参加者からの同意を得ており平成29年度より本格的に実施している
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コホート参加者の追跡・詳細二次調査(第2段階)
05 被災地域の医療支援と健康管理
まとめ:東北メディカル・メガバンク計画の課題と未来像
コホートの長期間の追跡とバイオバンクの維持・発展(数十年間 !) 生体試料の解析技術の進歩への対応
(新しい解析機器の活用による先端的データの取得とそのデータの分譲)
他のコホートとの連携によるデータの大規模化(諸外国のように数十万人規模へ) 健診用ジャポニカアレイの開発と一人一人の疾患リスク情報の医療での活用
(ゲノム健診から行動変容、医療へ)
個別化ヘルスケアに産官学の総力で挑戦し、世界の潮流を牽引
健康寿命の延伸により、生活の質(QOL)を向上させつつ医療・介護負担も抑制
国内で新たな市場と産業を開拓し、さらに海外の市場も獲得
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課 題
未来像
東北メディカル・メガバンク計画の�これまでの成果及び今後の展開東北メディカル・メガバンク計画の�これまでの成果スライド番号 3スライド番号 4スライド番号 5スライド番号 6スライド番号 7スライド番号 8公的データ等の収集・連係�~我が国の重要データであり優先度が高い~スライド番号 10地域住民コホート調査結果の地域への還元スライド番号 13スライド番号 14スライド番号 15スライド番号 16スライド番号 17スライド番号 18遺伝情報回付パイロット研究スライド番号 20スライド番号 21遺伝リテラシー向上の取組みスライド番号 23産業界との連携東北メディカル・メガバンク計画の�今後の展開スライド番号 26スライド番号 27目指す社会の姿��パーソナル・ヘルスマネジメント(PHM)社会スライド番号 29スライド番号 30スライド番号 31ライフコースに沿ったデータの収集スライド番号 33コホートの連携スライド番号 35スライド番号 36スライド番号 37スライド番号 38スライド番号 39スライド番号 40スライド番号 41