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NTT技術ジャーナル 2016.2 89

グローバルスタンダード最前線

ITU(International Tele com mu ni­ca tion Union)主催によるITUテレコムワールド2015が2015年10月12〜15日までの間,ハンガリーの首都ブタペストのHUNGEXPO(国際展示場)で開催されました.129カ国から約4000名が参加し,日本からは総務省主導による日本パビリオンでの展示,および日本セッションでは「安心 ・ 安全な社会構築:IoTが導く未来」をテーマに講演を行いました.ここでは,展示会および講演の概要を紹介します.

ITUテレコムワールド 2015

ITUテレコムワールドは,情報通信分野における最新の技術やサービス,ICT政策の動向等をITU(In­ter­na­tion­al­Telecommunication­Union)各加盟国への周知 ・普及を目的とした会議および展示会で,世界各国の情報通信産業界の行政や,産業界関係者の一同が集結する会合です.2011年まで4年に 1回の開催でしたが,それ以降は,ジュネーブで開催されていたテレコムワールドとテレコムアジアなどの地域テレコムを統合して毎年開催されています.2012年はUAEのドバイ,2013年はタイのバンコク,2014年カタールのドーハで開催されており,今回は3年ぶりの欧州圏での開催となりました.今回のITUテレコムワールドは2015年10月12〜15日の 4日間,ハンガリーの首都ブタペストのHUNGEXPO(国

際展示場)で開催されました.新興国の中小企業(SME:­Small­and­Medium­Enterprises)の支援をテーマとし,本会合で展示や優良SMEに対しての表彰が行われました.参加者は129カ国から約4000名が参加し,239名の行政および産業界のVIP,62カ国から247名の講演者,54カ国から238の展示,21カ国から142名の報道関係者,23カ国のパビリオン,49のスポンサー企業が参加しました.日本からは総務省阪本総務審議官ほか,約30名が参加しました.ITUから報告された参加企業の内訳によると,規制機関を含む行政機関からの参加者の27%に対してオペレータが8%,ソフトウェア・アプリ開発企業10%に対して通信設備関連企業が5%と時代の変化を感じます.また,地域別参加者では開催圏の欧州&CIS(Commonwealth­of­In­de­pen­dent­States)地域が60%でアジア太平洋からの参加者は23%,アフリカ地域からは8%,中東地域からは6%でした.

展示会,講演の概要

■オープニングセレモニーITUのザオ事務局長の開会の挨拶,バン国連事務総長ビデオメッセージ,ドイツテレコム副社長挨拶,ハンガリー国首相からの歓迎の挨拶が行われました.■展 示 会日本パビリオンの展示には4社(富士通,NICT,IIJ,日本再生電池)の

団体が参加しました(写真 1).各団体からは環境ソリューション,データ指向ネットワーク技術,ダジックアースおよびマルチレイヤ画像表示システム,可搬型データセンタ,鉛電池の延命と再生などの展示が行われました.また,開催国のハンガリーパビリオンではDTグループのMagyar­Telekomの展示,中国パビリオンでは,チャイナモバイル,チャイナテレコム,チャイナユニコムなどの展示(写真 2),韓国KTは単独での展示を行いました( 写 真 3). 欧 米 か ら はMagyar­Telekom以外にはありませんでした.

写真 1  日本パビリオン

写真 2  中国パビリオン

「ITUテレコムワールド2015」開催報告

岩い わ た

田 秀ひでゆき

行NTT研究企画部門

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NTT技術ジャーナル 2016.290

グローバルスタンダード最前線

23カ国の各国パビリオンの展示では,ルワンダ,ウガンダ,ガボン,ケニア,ジンバブエ,タンザニア,セネガルなどのアフリカ諸国の出展が目立ち,主に各国政府のICT政策が紹介されていました.そのほか,開催国ハンガリー,中東からサウジアラビア,南米からアルゼンチン,CISからアゼルバイジャン,アジアから日本を含めタイ,韓国がパビリオンの展示を行いました.一般企業では,Huawei,ZTE,Intelが単独展示を行いました.またSmart­CityやSMEのコンセプト別のパビリオンが設けられていました(写真 4).

■講演(ジャパンセッション)12日の午後に「Society­Con­struc­tion­with­a­Sense­of­Security­Making­full­use­of­“IoT”­for­Future」のテーマで総務省主催のジャパンセッションが開催されました.総務省坂本総務審議官により挨拶と各社紹介の後,日本企業の講演が行われました.NTTからは未来ねっと研究所の川村龍太郎所長が「IoT2.0」と題してさまざまな分野,領域ですべてのモノがネットワークを介してつながることで変革が始まっているIoT(Internet­of­Things)において,その次のステージ(IoT2.0)を実現するためにキーとなるテクノロジとその意味について公演を行いました.その他FAO等農業関連,WHO等医療関連,ICT技術者の人材育成等,数多くのセッションが開催されました.■SME関連今回の目玉として,SMEへの支援

(企業化支援)のためのプラットフォーム構築として展示コーナ,SMEプレゼンテーション,産業界との対話セッション,また,SMEの表彰が行われました.日本からは鉛電池の再生事業を行っている日本再生電池が表彰されました.表彰された企業から優良企業として韓国の点字関連および虹彩認識の企業の2社,ケニアの農業支援と子どもの医療支援の企業2社,サウジアラビアの医療関連の企業1社が表彰されました.また,開催国ハンガリーの優良企業3社および最優良企業として3D音響システムの韓国企業が表彰さ

れました.

今後の展開

今回のITUテレコムワールドではSMEなどの参加など新しい取り組みが行われました.展示会では多くのアフリカからの参加があり新興国のITUへの期待がうかがえます.来年の開催地はタイのバンコクの予定です.

写真 3  韓国企業パビリオン

写真 4  Smart Cityパビリオン


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