Transcript
Page 1: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

Oracleホワイト・ペーパー

2009 年 6 月

Oracle SOA Suite 11gの新機能

Page 2: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

はじめに.............................................................................................................................. 1

サービス・インフラストラクチャの提供 ........................................................................... 2

サービス・コンポーネント・アーキテクチャ(SCA)................................................ 2

SCA と SDO を活用した Oracle SOA Suite 11g サービス・ インフラストラクチャの提供 ........................................................................................ 4

簡素化と生産性向上を提供する SOA の開発ツール .......................................................... 6

SOA Composite Editor................................................................................................... 6

簡素化された資産管理と検索........................................................................................ 8

影響分析と変更管理 ...................................................................................................... 9

高いパフォーマンスとスケーラビリティ ......................................................................... 10

Oracle WebLogic Server、Oracle JRockit、および Oracle Coherence の 実証済みの信頼性およびパフォーマンスを活用 ......................................................... 10

Oracle Application Grid の高いスケーラビリティ ....................................................... 10

サービス・インフラストラクチャ................................................................................11

高スループット時のリアルタイム・イベントの処理能力 .......................................... 12

管理と監視の統合 ............................................................................................................. 13

ポリシーの集中管理による統合セキュリティ ............................................................ 13

エンド・ツー・エンドのインスタンスの追跡 ............................................................ 14

例外処理の統合............................................................................................................ 16

イベントとサービスのための統合インフラストラクチャ ............................................... 17

エンド・ツー・エンドのリアルタイム・アジリティ.................................................. 17

Page 3: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

アップグレード・パスの自動化 ....................................................................................... 18

製品の概要 ........................................................................................................................ 19

接続性の統合:Oracle Adapters とバインディング.................................................... 19

Oracle Service Bus(OSB) ....................................................................................... 20

Oracle BPEL Process Manager と Human Workflow.................................................. 21

Oracle Business Rules ................................................................................................ 22

Oracle B2B .................................................................................................................. 23

Oracle Business Activity Monitoring(Oracle BAM).................................................. 24

Oracle Complex Event Processing(Oracle CEP) ................................................... 25

結論 ................................................................................................................................... 26

参考資料............................................................................................................................ 26

Page 4: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

はじめに

Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の 1 つであり、サービス指向アーキテクチャ

(SOA)の構築、デプロイ、管理をワンストップで提供するソリューションです。Oracle SOA Suite

のコンポーネントはホット・プラガブルであり、さまざまな環境で動作します。これにより、企業

は既存の環境を置き換えることなく、拡張できます。

長年にわたり、サービス指向アーキテクチャ(SOA)の実装ツールは、複雑化という代償を払いな

がら機能性を高めてきました。オラクルは、ツールの統合とユーザー・エクスペリエンスの簡素化

を常に重要視しています。オラクルは、Oracle SOA Suite 11g Releaseにおいて、SOAの中核として

据えられた原則を見失うことなく、そして機能面において妥協することなく、SOAを簡素化するた

めの大胆な措置を取り入れています。Oracle SOA Suite 11gは、業界初の完結したサービス・インフ

ラストラクチャです。開発作業が簡素化されたことに加え、実行時に高いパフォーマンスとスケー

ラビリティを実現することでイベント処理とサービスを両立し、管理と監視をおこなう統合コンソー

ルを提供します。さらに、このサービス・インフラストラクチャは、システム、人、そしてドキュ

メントをつなぐビジネス・プロセスの管理基盤も提供します。また、既存のOracle SOA Suite 10g

の購入者であれば、完全に自動化されたアップグレード・パスを利用して新しいプラットフォーム

を取り入れることができます。

はじめに紹介するプラットフォームの拡張以外にも、Oracle SOA Suiteの全製品(アダプタ、B2B、

OSB、BPELとHuman Workflow、Oracle Business Rules、Oracle BAMとOracle CEP)がそれぞれ

拡張されています。これらについては、このホワイト・ペーパーの第 2 項で解説します。

1

Page 5: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

「Oracle SOA Suiteは間違いなく、ほとんどのサービス・ベース・アーキテクチャを効果的に開発および保護できる、現在の市場

においてもっとも包括的かつ使い勝手のよい製品です。」 2007 年 9 月、Infoworld、James R. Borck

サービス・インフラストラクチャの提供

サービス・インフラストラクチャは、Oracle SOA Suite 11gにおいて提供される大胆な簡素化と 適

化の要です。この項では、サービス・インフラストラクチャを構築するための標準フレームワーク

を提供する新たな標準セットである、サービス・コンポーネント・アーキテクチャを紹介します。

サービス・コンポーネント・アーキテクチャ(SCA)

オラクルは、SCAでのリーダーシップをとりながら標準化の推進を継続します。

オラクルは、常に先頭に立って標準化を推進するとともに、可能な限り標準に基づいた製品の出荷

を心がけています。こうした標準化への取組みにより、オラクルは、JEEコンテナ、メッセージング、

データベースなどのサード・パーティのミドルウェア上で稼働する業界初のOracle SOA Suiteを提供

できました。

オラクルは、サービス・コンポーネント・アーキテクチャ(SCA)という 新の標準セットを活用

するOracle SOA Suite 11gによって、標準化への取組みを再度表明します。SCA仕様はもともと、オ

ラクルが共同設立した、さまざまな業界団体のコラボレーションであるOpen Service-Oriented

Architecture(http://www.osoa.org)によってもたらされたものです。これらの仕様は、オラクルと

そのパートナーのリーダーシップのもとで、さまざまな技術評議会を経て、OASIS OpenCSA Member

Section(http://www.oasis-opencsa.org/)によって標準へと形式化されています。

SCA について

サービス・コンポーネント・アーキテクチャ(SCA)は、SOAアプリケーションの開発を簡素化し、

SOAの成熟とともに浮かび上がる以下のような課題を解決することを目的とした業界仕様のセット

です。

2

Page 6: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

• サービス・コンポーネントの構築方法

• これらのコンポーネントを複合アプリケーションへアセンブルする方法

• これらの複合アプリケーションをデプロイする方法

• これらの複合アプリケーションを管理する方法

このような課題を解決するため、SCAはまずビジネス・サービスを実装するための簡素化されたコ

ンポーネント・プログラミング・モデルを提供します。これらのサービスは、さまざまなテクノロ

ジー(EJB、Java POJO、BPELプロセス、COBOL、C++など)に実装できます。次に、SCAは、

ビジネス・サービスを複合アプリケーションへ組み込み、開発するための作業を簡素化する、言語

に依存しないアセンブリ・モデル仕様を提供します。これらのアプリケーションは、実装言語また

は開発プラットフォームに依存しないメタデータで記述します。

複合アプリケーションにおけるSCA:

異なるテクノロジー(BPEL、Javaなど)を使用したコンポーネントも、複合アプリケーションで組み合わせることができます。

3

Page 7: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

SCAは広範な仕様セットで、1 つの項だけで説明できるものではありませんが、詳細はこのホワイ

ト・ペーパーの範囲から外れるため、ここでは割愛します。

SDO について

サービス・データ・オブジェクト(SDO)は、異機種のソース上にあるデータへのアクセスと処理を

おこなうための手段を開発者に一貫して提供します。SDOは、非接続データ・グラフに基づいており、

実際のデータソースへのマッピングはデータ・アクセス・サービス(DAS)により実行されます。

SCA と SDO を活用した Oracle SOA Suite 11g サービス・インフラストラクチャの提供

複合アプリケーションを構築し、組み合わせるSCAと、データの表現および操作をおこなうSDOは、

Oracle SOA Suite 11gが活用する 2 つの主要な仕様です。これらにより、このホワイト・ペーパーの

後半で詳説する画期的な機能の鍵となる統合されたサービス・インフラストラクチャを実現します。

それでは、サービス・インフラストラクチャとは正確にはどのようなものなのでしょうか。SOAは、

長期にわたり使用可能な、安定したベスト・プラクティスを業界に数多く提供しました。そして、

例に漏れず、このようなベスト・プラクティスの実装により、次のような一連の要件が具体化しま

した。疎結合アプリケーションの集合体を、再利用可能なサービスの一貫性のあるまとまりへと移

行させるにはどうすればよいのかということです。この要件は当然、SOAの柔軟性を犠牲にするこ

となく実現させなければなりません。以前のようにモノリシック構造のアプリケーションを構築す

るのではなく、このような単一のアプリケーションの使いやすさと管理性を分散コンピューティン

グ環境へ取り入れるのです。ここで登場するのが、サービス・インフラストラクチャです。サービ

ス・インフラストラクチャとは、さまざまな設計時のツールや、実行時および監視時の環境を一貫

性のある統合プラットフォームへと合理的に組み入れたものです。複合アプリケーション(異なる

テクノロジーを用いた多様なコンポーネントで構築されたアプリケーションなど)は、このサービ

ス・インフラストラクチャ上で実行されます。

4

Page 8: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

分散コンピューティングからサービス・インフラストラクチャへの進化

Oracle SOA Suite 11gは、業界初の完結したサービス・インフラストラクチャであり、次に挙げるす

べてのSOAと統合ニーズを網羅しています。

• 接続性 - アダプタ経由でのシステムへの接続を実現します。B2Bでビジネス・パートナーと

接続することも可能です。

• ルーティングと仮想化

• 既存サービスから新しいプロセスを構築し、価値を見出すオーケストレーション

• アプリケーションに人を参加させるヒューマン・ワークフロー

• 特定のロジックを具体化して迅速な変更を実現するルール・エンジン

5

Page 9: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

• セキュリティと監査

• 開発資産を管理するためのガバナンス

• システムおよびビジネスの管理と監視

簡素化と生産性向上を提供するSOAの開発ツール

Oracle SOA Suite 11gのサービス・インフラストラクチャを採用した場合、 初に挙げられるメリッ

トは、開発の簡素化です。

多くのベンダーが提供する製品を使用して完結したエンド・ツー・エンドの複合アプリケーション

を構築するということは、WSDLやスキーマの作成といったほぼ同内容の作業をする際に、多数の異

なるツールを使用しなければならないことを意味しています。SOAは、疎結合することで柔軟性を

保っていますが、開発環境までも一貫性のないものにする必要はありません。また、作成された複

合アプリケーションには異なる形式の異種アーチファクトが含まれており、それぞれのストレージ

要件も異なります。WSDLインタフェース経由で緩く保持されているこれらのアーチファクトを可視

化し、組み立てることが可能な単一のツールもありません。これは、深刻なメタデータの断片化を

招きます。このような断片化は、複合アプリケーションのバージョニングなどのささいな作業も、

標準的なアプリケーションのバージョニングに比べ、深刻な作業にしてしまいます。

Oracle SOA Suite 10g Releaseにおいても、すでにメタデータの断片化問題に取り組んでいましたが、

サービス・コンポーネント・アーキテクチャ仕様、具体的にはアセンブリ・モデルではこの取組み

を次の段階へ押し上げる、洗練された標準ガイドラインを提供しています。

SOA Composite Editor

SCAアセンブリ・モデルを踏まえ、オラクルではSOA Composite Editorを導入しました。このOracle

JDeveloperツールは、SOA開発への単一エントリ・ポイントです。ユーザーは、既存のサービスを

組み合わせて複合アプリケーションを作るだけなので、新規アプリケーションを低コストで構築で

きるようになります。サービス(BPEL、ワークフローなど)、マッピング、ルールはグラフィカル

に構築できます。

6

Page 10: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

これらのサービスやコンポーネントの組合せは、Oracle JDeveloperの新しいSOA Composite Editor

を使って完成されます。詳細に説明すると、この組合せ作業は(XMLで記述された)SCAアセンブ

リ・モデルとして出力されるほか、BPELやXSLTなどのさまざまな標準テキスト・ベースのアーチ

ファクトとして出力されます。

上記以外で、このような新しい複合アプリケーションを使用するメリットは、以下が挙げられます。

• バージョニングの簡素化:複合アプリケーションは単一のテキスト・ベースのアーチファク

トとして示されることから、一般的なRCSツールを使用したバージョニングを非常に簡単に

おこなえます。これまでの複合アプリケーションは、複数のアプリケーションが疎結合した

集合体の仮想エンティティであったため、バージョン番号をつけることは容易ではありませ

んでした。

• 容易なデプロイ:複合アプリケーションは、中に含まれるコンポーネント数やテクノロジー

にかかわらず、1 回でデプロイできます。

このほかにも、Assembly Editorを使用することで、SOA開発者は独自のユニット・テストを生成で

き、ほかの開発環境における厳しく信頼性の高い原理をSOAに取り入れることができます。

ここで言及すべき重要な点は、複合アプリケーションという新しいエンティティは、各コンポーネ

ントが使用する基本のメタデータの形式を根本的に変更するものではないという点です。たとえば、

依然としてプロセスは、標準BPELを使用して記述します。複合アプリケーションは、これらすべて

のコンポーネント間の相互関係を示す記述子というだけです。11gの複合アプリケーションは、より

記述的かつ付加的です。ただし、基礎となる表現は、まったく変更されていません。SCA機能を既

存の製品の機能の上に重ねて搭載することが、長年の経験と安定性をOracle SOA Suite 11gに組み込

むことと同様に、10gから 11gへの自動アップグレードを実現する上でとても重要なものでした。

7

Page 11: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

Oracle SOA複合アプリケーションをOracle JDeveloper 11g Assembly Editorへグラフィカルにアセンブルする

簡素化された資産管理と検索

SOAの中核となる原則は、"再利用"です。しかし、再利用するに

は要件に見合う既存のサービスを検索する機能が必要です。

Oracle SOA Suite 11gでは、BEAの買収によって得られた主要な

付加機能を活用することで、これを実現しています。Oracle

Enterprise Repository(OER)に統合したことで、開発環境から

WSDLまたはXSD Schemaファイルなどの複合アプリケーション

の資産を探して取得できるようになりました。自動取得をおこな

うと、Oracle Enterprise Repository内に関係性や依存性を含む

サービス資産を示す表示が作成されます。一度取得されると、サー

ビスは、OSRの実行時に検索が開始される前にOERの自動ガバナ

ンス承認プロセスへと移ります。これにより、資産が再利用可能

になり、開発者はプロジェクト間で開発のアーチファクトを共有

できます。 Oracle JDeveloper 11gのリソース・

カタログを使用したUDDIサーバーの閲覧

8

Page 12: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

さらに、Oracle 11g JDeveloper SOA Composite Editorは、

Oracle Service Registry UDDI 3.0 サーバー内のサービスの閲

覧および消費に完全に対応しました。

影響分析と変更管理

Oracle Enterprise Repositoryの統合により、SOAアーチファクトの相互依存性を表示できるように

なりました。これにより企業は、SOAエコシステム上での変更の影響を評価し、変更に伴うリスク

を抑えることができるようになります。また、Oracle Enterprise Repositoryではワークフローを自動

化したことで、一貫した変更管理とガバナンス・プロセスを組織間で強化できます。

Oracle Enterprise Repositoryのナビゲータ内のサービスにおける依存性の参照

9

Page 13: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

高いパフォーマンスとスケーラビリティ

たとえばSOAアプリケーションは、古く柔軟性の低い、高価なメインフレームを置き換えるものとし

て導入されていましたが、今や高いミッションクリティカル性や可用性、そして非常に高いパフォー

マンスが求められています。Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middlewareポートフォリオの主要

製品を活用するだけでなく、内部アーキテクチャの革新により、こうした要件を満たすことができ

る独自の地位を築いています。

Oracle WebLogic Server、Oracle JRockit、および Oracle Coherence の実証済みの信頼性

およびパフォーマンスを活用

Oracle SOA Suite 11gのデフォルトのJEEインフラストラクチャは、Oracle WebLogic Server、Oracle

JRockitおよびOracle Coherenceという、高度な信頼性、スケーラビリティ、そしてパフォーマンス

を提供していることで定評のある製品群の組合せにより提供されます。この環境は、新たな高い可

用性のオプションも提供します。Oracle SOA Suite 11gは、Oracle WebLogicの全サーバーの移行機

能を利用しています。この機能は、1 台のサーバー内だけでなく、物理サーバー間での自動フェイル

オーバーをサポートする機能です。構成は、Oracle WebLogic Serverのインストールと構成のための

モジュール・アーキテクチャによって合理化されています。Oracle Coherenceと組み合わせてクラ

スタリングすれば、高い可用性をもつソリューションを実現しながら、簡単にインストールと構成

が実行できます。

Oracle Application Grid の高いスケーラビリティ

Oracle Fusion Middleware Application Gridテクノロジーは、高度な柔軟性とサービス品質を実現し

ながら、運用とハードウェア・リソースの利用を効率化するエンタープライズ・コンピューティン

グの基盤を提供します。

Oracle SOA SuiteとOracle Application Gridを組み合わせたことで、サービス・ステート・データ・

キャッシュ、サービス結果キャッシュ、エンタープライズ・データ・アクセス、および決定論的パ

フォーマンスによるサービス・レベルの抽象化やオーケストレーション、サービスの仲介を統合し

た次世代SOAインフラストラクチャを提供します。これにより、サービス、アプリケーション・デー

タ、およびプロセス・ロジックの状態を認識しながら継続的な可用性を提供できます。Oracle SOA

SuiteとOracle Application Gridで構築されたSOAアプリケーションは、増加する持続的な負荷に対し

て待機時間を予測しながら対応します。

Oracle Application Gridは、SOA環境のサービス・コールから結果をキャッシュして、キャッシュ・

データに関連するグリッドでビジネス・ロジックを実行できます。

10

Page 14: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

ほかに類を見ない、プロセスの効率化という新しい段階は、データをプロセスに近づけながら、プ

ロセスをデータに近づけるという優れた組み合わせにより実現されています。

OSBでOracle Coherenceがサポートするサービス結果キャッシュ機能を使用することで、SOAベー

スのアプリケーションは、バックエンド・システムやサービスの過剰な負荷を大幅に削減または排

除できます。また、OSBのサービス結果キャッシュ機能でメインフレームのリクエストを軽減すれ

ば、企業はメインフレームにかかる費用を年間で何万ドルも削減できます。

サービス・インフラストラクチャ

オラクルは、SOA複合アプリケーションを表すSCAアセンブリ・モデルを導入すると同時に、これ

らの複合アプリケーションを実行する上で必要なさまざまなエンジンの合理化に取り組んできました。

すでに 10gの同じJEEコンテナ上で稼働していたすべての独自エンジンは、単一のJEEアプリケー

ションへと統合されました。それが、サービス・インフラストラクチャです。これにより、これま

では、顧客のニーズに基づき数年間実施してきた 適化を複数のエンジンとして提供してきました

が、これを 1 つの製品へ統合できるようになりました。

Oracle SOA Suite 11gの統合サービス・インフラストラクチャ

この共通のサービス・インフラストラクチャによってもたらされた 初の大きな改善点は、分散コ

ンピューティングにおいてもっともコストがかかっていた運用の 1 つを 小化して、実行時間を削

減できたことです。

11

Page 15: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

その運用とは、アプリケーション間のデータのマーシャル/アンマーシャルです。Oracle SOA Suite

のサービス・コンポーネントは、同じ正規化されたメッセージ形式を共有します。

正規化されたメッセージ形式を使用することで、エンジン間をデータが流れる際のマーシャル/アンマーシャルの

ニーズを 小限に抑制する手順の概要

さらに、すべての通信はメモリ内で実行されるため(同じ場所に配置されたコンポーネントの場合)、

送信にかかるコストを避けることができます。 後に、エンジンにはOracleデータベースのXDK機

能およびコンパクトDOM機能を活用するドキュメント・マネージャという新機能が導入されました。

これを利用することで、ユーザーは膨大なペイロードや(数百MBの)ドキュメントをSOAインフラ

ストラクチャでルーティングできるようになります。サービス・インフラストラクチャは大容量の

XMLドキュメントをデータベースへページングし、必要に応じて、必要な分だけインメモリでフェッ

チおよびロードします。これらはユーザーに対して完全に透過的に実施されます。

高スループット時のリアルタイム・イベントの処理能力

未加工のインフラストラクチャやビジネス指向のイベントがますます増加し、迅速かつリアルタイ

ムの応答が要求される中で、業界を問わず多くの企業は、イベントをただ処理するだけでなく、SOA

バックエンドとシームレスに統合できるアプリケーションを求めています。これらのアプリケー

ションは、秒単位ではなくマイクロ秒単位の待機時間による高速なイベント・メッセージを処理し、

12

Page 16: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

これらのイベントやメッセージ・ペイロードのフローにおける複雑なパターンを検知できるよう設

計されます。

Oracle CEPは、こうした要件に対応しながら、 高のパフォーマンスを実現するよう、完全な"トッ

プダウン"の階層型ソリューションを提供するように設計され、実装された製品です。決定論的であ

り、待機時間に注力したJRockit JVMとパッケージ化されていることから、Oracle CEPは、世界で

速のJVMが提供する独自のパフォーマンス・ツールを使用できます。

管理と監視の統合

SOAアプリケーションで提示された別の課題として、処理するデータおよびランタイム・エンジン

の保護、管理および監視があり、これらは本質的な問題です。この分野においても、Oracle SOA Suite

11g Releaseは重要な革新をもたらしました。

ポリシーの集中管理による統合セキュリティ

Oracle SOA Suiteは、11gにおいてもセキュリティの確保のためにOracle Web Services Managerフ

レームワークを活用しています。このフレームワークは、アプリケーション・ロジックとセキュリ

ティ問題を完全に切り離すモデルを永続的に保持し、改善します。また、ローカルで強化できるよ

うポリシーの集中管理も実施します。11gでは、すべてのセキュリティの観点は完全に統合され、余

計なインストールや構成をおこなうことなく、導入してすぐに使用できます。

• ポリシーは、Oracle JDeveloperまたはOracle Enterprise Manager 11g Fusion Middleware

Controlへ直接付加できます。

• ポリシーを強化するエージェントは、サービス・インフラストラクチャ内に事前に組み込ま

れ、構成されています。

• ポリシーの管理と監視は、Oracle Enterprise Manager 11g Fusion Middleware Controlで一元

管理されています。管理内容には、ポリシーの再利用、違反などの統計が含まれます。

13

Page 17: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

Oracle JDeveloper 11gの設計時のポリシー付加 Oracle Enterprise Manager 11g Fusion Middleware

Controlの実行時のポリシー付加

認証ではOracle Platform Security Services(OPSS)を活用しており、Oracle Fusion Middlewareを

標準に基づいて常時刷新することで、セキュリティ・フレームワークでは、WS-Policy 1.2、

WS-SecurityPolicy 1.1、WS-Security 1.0 および 1.1 といった、セキュリティおよびポリシー分野の

新標準規格WS-*に対応できます。

エンド・ツー・エンドのインスタンスの追跡

SOA管理者に、ユーザーから答えを要求されることで、もっとも多いものは何かと質問すれば、「私

のオーダーはどこですか」というような回答がされるでしょう("オーダー"は、使用するSOAアプリ

ケーションの処理内容に変換してください)。この些末に見える質問も、今日のSOA環境では実際

のところ簡単に答えられません。たとえば、オーダーは、さまざまなシステム上にさまざまな状態

で存在する可能性があります。まだデータベース内にある可能性もあれば、承認者が昼食から戻る

までプロセス・フローで待機状態になっている可能性もあります。もしくは、障害が発生して手動

での復旧が必要な状態にあるかもしれません。この質問への回答は、Oracle SOA Suite 11gでは劇的

に簡単になりました。Oracle SOA Suite 11gの管理および監視コンソールであるOracle Enterprise

Manager 11g Fusion Middleware Controlは、SOA内の全サービス・エンジンに対して、各メッセー

ジの実行の追跡を提供する、完全なエンド・ツー・エンドのフロー追跡製品です。

14

Page 18: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

Oracle Enterprise Manager 11gのエンド・ツー・エンドのフロー追跡 - 複数のSOAエンジン間における

実際のメッセージの経過を示します。

さらに、これらのフロー追跡は実行時間から状態、order_idや国などのペイロード情報まで、さまざ

まな条件で検索できます。ペイロード情報での検索は 11gの新機能であり、コンポジット・センサー

により実現されます。センサーは、サービス・インフラストラクチャ内を流れるメッセージの特定

のフィールドを取得し、索引付けします。ユーザーはその後、これらのセンサー値を使用して、特

定のインスタンスを検索できます。上記の「私のオーダーはどこですか」という例であれば、コン

ポジット・センサーは、オーダーIDまたは顧客IDを使用して特定のオーダーを検索します。

15

Page 19: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

Oracle Enterprise Manager 11gにおけるペイロード・データを使用した特定のインスタンスの検索

例外処理の統合

すべてのSOAエンジンに対してフロー追跡のエンド・ツー・エンドのビューを提供する以外にも、

Oracle Enterprise Manager 11gは、統合された例外処理フレームワークをこれらのエンジンに対し

て提供します。この単一の機能を使用することで、管理者はシステム内の障害をそれぞれバッチ方

式で認識、特定、修復、および復旧できます。また、Oracle Enterprise Managerは、障害に対応し

たログ・エントリを提示できます。このため、管理者は、手動で大容量のログ・ファイルから特定

のエントリを探す必要がなくなります。

16

Page 20: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

複数のサービス・エンジンに対してメッセージの復旧を可能にする、Oracle Enterprise Manager 11gの

統合された例外処理フレームワーク

イベントとサービスのための統合インフラストラクチャ

エンド・ツー・エンドのリアルタイム・アジリティ

プロセスにおいて真のリアルタイム処理と可視性を実現することは、どのビジネスでも究極の目標

です。Release 11 は、現在市場にある多くの統合製品で一般的な"リアルタイム"メッセージングの

一歩先を実現しました。

17

Page 21: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

1 つは、イベント配信ネットワーク(EDN)を導入したことで、イベントをサービス・インフラス

トラクチャにおけるファーストクラスのオブジェクトとして取り扱える点です。EDNは、Pub-Sub

メッセージング・システムの上にある抽象概念で、次の項目を提供します。

1. SCAへの正確かつ宣言的な統合

2. 豊富なサブスクリプション・モデル

3. コンテンツベースのサブスクリプション(XPathフィルタ)

4. 適化された配信パス

5. 実行時の監視

6. 統合ツールのサポート

2 つめは、Oracle Business Activity Monitoring(Oracle BAM)が元の.NetプラットフォームからJ2EE

に移植されていることにより、サービス・インフラストラクチャに直接プラグインでき、プロセス

のリアルタイム・インサイトを提供できる点です。ランタイムの統合は、センサーの統合時に実行

でき、BAMダッシュボードを構築する作業の簡素化に繋がります。

3 つめは、Oracle Complex Events Processing(Oracle CEP)という新しいサービス・コンポーネン

トが実装され、SOAインフラストラクチャ上を流れる、一見関係のない膨大なイベントの中から特

定のパターンを認識できるようになったことです。Oracle CEPのアプリケーションとしては、基本

的な管理タスク(侵入検知など)からビジネス・アプリケーション(リスク管理、電子商取引など)

まで、多く存在します。Oracle CEPは、CQLというSQLを元にした言語を使用しており、コンテン

ツおよび時間ベースのパターンを表記します。この高パフォーマンスのエンジンは、膨大な量のイ

ベントや大規模なルールセットでテストされています。

アップグレード・パスの自動化

現行のOracle SOA Suiteを新しい 11gプラットフォームへアップグレードすることは、このリリース

の初期の設計段階からの中核的な要件でした。アップグレード・プロセスは、Oracle JDeveloperの

10g Release 3 から 11g Release 1 へのメタデータのアップグレードをサポートすることにより、ほ

ぼ自動化されました。

18

Page 22: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

前述のとおり、この簡単なアップグレード・パスは、次の 2 つの主要な要素により実現されてい

ます。それは、標準の固守とSCAの活用です。実際、SCAはツールとメタデータを根本的に統合し

ながら、BPELプロセス定義など基盤の標準アーチファクトを保持できます。つまり、アップグレー

ド・プロセスは、 小限の変更で新しい、付加された複合モデルへ既存資産を移行できるという

ことです。

BAMユーザーに関しては、10gリポジトリから 11gリポジトリへデータをコピーして、新しいJEEエ

ンジンを起動するアップグレード・アシスタントの実行がアップグレード・プロセスに含まれてい

ます。

製品の概要

前の項では、プラットフォーム・レベルで実装され、複数の製品で利用可能な新機能に注目してき

ました。この項では、Oracle SOA Suiteの各製品をそれぞれ取り上げ、11g Releaseで実装された重

要な機能を紹介します。

接続性の統合:Oracle Adapters とバインディング

Oracle Adaptersを使用すると、搭載されたインタフェースにかかわらず、標準ベースの方式で、異

種のアプリケーションをOracle SOA Suiteサービス・インフラストラクチャへプラグインできます。

Oracle Adaptersは、軽量で可用性が高く、グラフィカルに構成でき、Java 2 Connector Architecture

(J2CA)1.5 仕様を活用します。同様のアダプタや基盤となる接続フレームワークは、OSB、BPEL、

Oracle Mediator、BPMといった 11gのコンポーネントで使用されます。Oracle Adaptersを使用する

ことで、以下とやりとりできます。

• パッケージ・アプリケーション

• レガシー・システム

• Oracle Applications(Oracle E-Business Suite)

• テクノロジー(データベース、アドバンスト・キューイング、JMS、ソケット、ファイル、

FTP、MQなど)

19

Page 23: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

11gのアダプタは、設計時と実行時の両方で画期的な新機能を提供します。これらには、以下が含ま

れます(ただし、以下に限定されるわけではありません)。

• まったく新しいTCPソケット・アダプタ

• 大容量のペイロードのサポート

• アクティブ/アクティブ・クラスタにおけるファイル/FTPアダプタのサポート

• 業界 高のOracle Applications Adapter

• Oracle E-business Suite Release 12 の統合リポジトリの統合

• チェンジ・データ・キャプチャ(CDC)アダプタ

• Oracle Database、JMS、およびOracle Applications Adaptersの強化および新機能

Oracle Service Bus(OSB)

Oracle Service Busは、業界でもっとも拡張性が高く、可用性のあるサービス・バスであるAquaLogic

Service Busを基盤に構築され、Oracle Enterprise Service Busの豊富な独自機能が実装されています。

11gでの新機能は、次のとおりです。

バス上のJava:XMLを変換することなくネイティブのJavaオブジェクトをルーティングで

きる機能です。大幅なパフォーマンスの改善が見込めます。

• トランザクション・プロキシ:以前からあるXAトランザクションを伝播する機能に加え、

バス内のXAトランザクションを起動する機能を設計者に提供します。

• 結果キャッシュ:速度の向上と高い可用性を目的として、大規模なSOA環境からの要望に応

じて設計された機能です。Oracle Coherenceを活用し、指定された有効期間のサービス起動

結果をキャッシュします。パフォーマンスの向上以外にも、この機能はそのほかのメリット

20

Page 24: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

を提供します。たとえば、メインフレームなど、起動ベースでコストを試算する際に、特定

のサービスの起動コストを削減できます。

• 相互参照:アプリケーション間の統合において頻繁に使用される機能です。特定の属性を、

ある環境から別の環境へマッピングできます。

Oracle BPEL Process Manager と Human Workflow

Oracle BPEL(Oracle Business Process Execution Language)は、個別のサービスをエンド・

ツー・エンドのプロセス・フローへ組み込む標準製品で、コストを大幅に削減できるほか、プロセ

ス統合の複雑性を排除します。Oracle BPEL Process Managerは、Oracle SOA Suiteの代表的な推進

製品です。11gでは、人気のある機能にさらに新機能を追加しました。

新機能は、次のとおりです。

• メモリ消費が削減された、拡張性のあるDOM。ギガバイトの大容量ペイロードにも対応します。

• "要求-確認"の概念に基づいたエンティティ変数。大容量のデータを受け渡すのではなく、渡

されたデータを参照します。

• 新しいXSLT(変換)構造のサポート

Human Workflowは、承認、エスカレーション、エラー管理といったシナリオのビジネス・プロセ

スに社員を参加させることができる製品です。一般的にはBPELプロセスと統合されますが、ヒュー

マン・ワークフローのサービス・コンポーネントは、あらゆる複合アプリケーションにおいて、独

立して使用できます。

新機能は、次のとおりです。

• すぐに使えるWorklistアプリケーションを備えた、機能の豊富なJSFベースのクライアント・

フレームワーク

• 洗練された表示とマルチページ・フォームのADFタスク・フロー・フォーム

21

Page 25: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

• Oracle Virtual Directory(OVD)へのサポ―トを含む、ユーザー/ロール検索のための新しい

Java Platform Securityレイヤー

• 複雑なルーティング・シナリオのためのルールベースのルーティング

• 通知のための新規チャネル:インスタント・メッセージ(IM)通知

• タスク実行時のデジタル証明のサポート

• Microsoft Officeの統合:Excelからのタスク起動またはWorklistタスクへのアクセス

• 新規To-doおよびサブタスク

• 複合アプリケーション全体でのエンド・ツー・エンドのインスタンスの追跡

Oracle Business Rules

Oracle Business Rulesは、機動性、ビジネス制御、透明性に対するさらに高い要求に応え、ビジネ

ス・ユーザーがビジネス・ポリシーや決定をより迅速に変更できるよう支援する、パフォーマンス

の高いルール・システムを提供します。

Oracle SOA Suite 11gでは、Oracle Business RulesとそのほかのOracle SOA Suiteテクノロジーとの

緊密な統合に尽力しました。

新機能は、次のとおりです。

Oracle JDeveloperの統合 - Oracle RulesコンポーネントをOracle SOA Assembly Editorで

利用できます。

• 意思決定表 - 複数の関連するルールを 1 つのスプレッドシート形式のビューで表示します。

より自然な方法でルールをモデル化できるよう支援します。

• 意思決定表の競合とギャップの解析 - 競合しているルールをすばやく検出するとともに、考

えられるすべての条件値をカバーするように、欠如したルールを自動的に作成します。

これにより、有効で一貫性のあるビジネスの開発を高速化できます。

22

Page 26: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

• ルール実行と有効期限 - ルールの有効期間を指定します。

• 集合 - 条件に複数のファクトがあるケースなど、複雑なルールをモデル化できます。

• ディクショナリ・リンク - 再利用とアクセス制御を目的に、ディクショナリへルールを配布

します。

ADF-BC統合 - ADF-BCビュー・オブジェクトをルールのファクト・タイプ(*.*)として使

用できるようサポートします。

意思決定ポイントAPI - 実行時のディクショナリへのアクセス、ルール・セッションのプー

リング、ADF-BCファクト・タイプのアサーションのためのSimple APIです。

• 使いやすさ - 簡単なポイント・アンド・クリック・エディタを使用してIF-THENルールをオー

サリングしたり、SimpleモードとAdvancedモードを切り替えることで、不要な機能を隠し、

ビジネス・ユーザーのために複雑性を排除したりできます。

Oracle B2B

Oracle B2Bは、企業と取引パートナー間において、セキュアで信頼性の高いビジネス・ドキュメン

トの交換を実現する、電子商取引のゲートウェイ製品です。B2Bのドキュメント標準、セキュリティ、

転送、メッセージ・サービス、取引パートナーの管理をサポートします。Oracle B2Bの 11g Release

では、そのほかのOracle SOA Suiteとの緊密な連携を実現しました。

新機能は、次のとおりです。

• セキュリティ:集中管理(ユーザー/ポリシー/キー・ストア、SSO、ロールベース・アクセス)

• 操作性:UI設計の強化(Ajax/ADF)

• パフォーマンス:スループットの強化と大規模ドキュメントのサポート

23

Page 27: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

• 相互運用性:Oracle SOA Suiteのファーストクラス・コンポーネントは、SOA Assembly

Editorが提供する新しいB2Bバインディングにより緊密に統合されています。

• 可視性:レポート、メトリックの強化

• 管理:Oracle Enterprise ManagerとOracle WebLogic Serverの統合

• ドキュメント管理:パートナー・ドキュメント定義、自動リトライ、再送信、垂直命名およ

び可視化

• パートナー管理:パートナー・クローニング、自動合意生成

• ドキュメントと配信:新規標準、転送、交換

Oracle Business Activity Monitoring(Oracle BAM)

Oracle BAMは、クリティカルな業務をリアルタイムに監視するためのダッシュボードの作成に使用

するフレームワークをビジネス・ユーザーに提供します。このほか、Oracle BAMダッシュボードを

通じて正しい操作方法を学習する機能も提供します。

Oracle BAM 11gは、そのほかのOracle SOA Suiteテクノロジーと緊密に統合されたJ2EEアプリケー

ションです。

新機能は、次のとおりです。

• Oracle SOA Assembly Editorで利用可能な新しいJ2CA準拠のOracle BAMアダプタとOracle

JDeveloperの統合。

• センサー・フレームワーク経由でのリアルタイム・アップデートのためのBPEL PMの統合の強化

• JMSキューとトピックのためのネイティブJMS接続性

• データウェアハウスまたは 1 回限りのデータのアップロードといった、大容量データのため

のBAMナレッジ・モジュールとODIの統合

24

Page 28: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

• アプリケーション構成と監視のためのOracle Enterprise Managerの統合

Oracle Complex Event Processing(Oracle CEP)

Oracle CEPは、高パフォーマンスのイベント駆動型アプリケーションの開発とデプロイを目的とし

たJavaアプリケーション・サーバーです。イベント・ソース全体でのフィルタリング、相互関係、

集合などを通じてイベントやメッセージ・ペイロードのフローにパターンを検知し、業界をリード

する一時機能や順序付け機能を提供します。非常に高速なスループット(100 万/秒以上)とマイク

ロ秒単位の待機時間をサポートします。

新機能は、次のとおりです。

業界をリードするContinuous Query Language(CQL)の統合• 。強力なパターン認識を実

現するためのSQL拡張を含む、SQL 99 に準拠し、業界標準に重点を置き、豊富な機能を備

えたイベント言語です。包括的な機能セットには、150 を超える組込み数学関数と統計関数、

Oracle Databaseとの緊密な統合、Oracle TimesTenおよびOracle Coherenceによる、分散

キャッシュ全体に対する高いスケーラビリティと信頼性をもつイベント管理などが含まれ

ます。

• 高度な可視化イベント・ツール。開発者に合ったユーザビリティの拡張による、簡素化され

たビジュアル・イベント・プロセス・ネットワーク(EPN)IDEの構築と編集を実現します。

新のVisualizer Web 2.0 Client for the Configuration, Management and Performance Analysis

は現在、動的なCQL文を可視化する機能を提供しています。これにより、ステートメント句

要素のアイコンを備えた"使いやすい"パレットを使用して、複雑な問合せも作成できます。

実行時の診断機能も数多く提供されており、 適化された問合せプランの統計を表示して、

リアルタイムのイベント・ストリーム・フローをアプリケーションのEPNを通じて検証でき

ます。

• 高可用性、スケーラビリティ、信頼性の実装機能。Oracle CEPドメインとサーバーは、Oracle

Coherenceとの透過的な統合を提供することで、インフラストラクチャとアプリケーション

の両レイヤーでの稼働、および分散コンピューティング・グリッド全体のスケールアウトを

目的としたダイレクト・キャッシュ・アクセスを実現します。Oracle Coherenceキャッシュ

は、EPN内のイベント・ノードとして動的に関与する"ファーストクラス・オブジェクト"

です。

25

Page 29: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能

結論

Oracle SOA Suite 11gは、オラクルだけでなく業界全体にとって画期的な製品であり、一貫性のある

統合スタックという概念を大きく前進させました。同製品は、これまでにない新機能を豊富に備え、

完結していて一貫性があり、標準に準拠したスイート製品です。この製品がもつ緊密な統合が、

Oracle SOA Suite 11gのもっとも重要な機能を実現します。つまり、設計作業の簡素化、実行時にお

ける高いパフォーマンスの実現、そして完結したエンド・ツー・エンドの可視性は、この統合され

た管理および監視プラットフォームによって提供されています。何よりも、既存のOracle SOA Suite

10gユーザーは、これらの新機能を簡単で自動化されたアップグレード・パスを通じて利用できます。

参考資料

Service Platforms Emerge as the Foundation for SOA1. 、SOA World Magazine、2007 年

8 月、Greg Pavlik、Demed L'Her

26

Page 30: Oracle SOA Suite 11gの新機能 · Oracle ホワイト・ペーパー - Oracle SOA Suite 11g の新機能 はじめに Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middleware製品群の1

Oracle SOA Suite 11gの新機能 2009 年 6 月 著者:Demed L'Her 共著者:Integration Product Management team

Copyright © 2009, Oracle and/or its affiliates.All rights reserved. 本文書は情報提供のみを目的として提供されており、ここに記載される内容は予告なく変更されることがあ

ります。本文書は一切間違いがないことを保証するものではなく、さらに、口述による明示または法律によ

る黙示を問わず、特定の目的に対する商品性もしくは適合性についての黙示的な保証を含み、いかなる他の

保証や条件も提供するものではありません。オラクル社は本文書に関するいかなる法的責任も明確に否認

し、本文書によって直接的または間接的に確立される契約義務はないものとします。本文書はオラクル社の

書面による許可を前もって得ることなく、いかなる目的のためにも、電子または印刷を含むいかなる形式や

手段によっても再作成または送信することはできません。

Oracle Corporation World Headquarters 500 Oracle Parkway Redwood Shores, CA 94065 U.S.A.

Oracleは米国Oracle Corporationおよびその子会社、関連会社の登録商標です。その他の名称はそれぞれの会

社の商標です。 海外からのお問い合わせ窓口: 電話:+1.650.506.7000 ファクシミリ:+1.650.506.7200 www.oracle.com 0109


Recommended