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平成 22年度  World Spine Ⅴ & World Spine 2010       hands on course in Greece に参加し

て山根健太郎 1 、 中西一夫 1、 杉本佳久 21呉共済病院整形外科、  2岡山大学病院整形外科

【はじめに】 この度、World SpineⅤ&World Spine 2010 hands on course

に参加する機会をいただきました。学会はギリシアのサントリーニ島で、 hands on course はラリッサという町で開催されました。大変貴重な経験をさせていただき、今後、多くの先生方に少しでも参考にしていただければという気持ちで、我々の研修の報告をさせていただきます。【 World Spine Ⅴ in Santorini】

 国際学会はもちろん英語で行われます。参加することは誰でもできますが、発表、討論となれば、やはり英語が話せないと厳しい印象を受けました。学会には世界各国の先生が参加されていました。英語が母国語でない海外の先生もとても上手に英語を話されます。お隣の韓国などアジア諸国の先生も同様です。英語力に関してはさらに精進が必要だと痛感させられるばかりでした。

Fig.2Registrationの様子です

Fig.1学会会場はエーゲ海を一望できる素晴らしいロケーションでした

 学会の開催地であるサントリーニ島は、エーゲ海に浮かぶ島の一つで世界一美しいといわれるサンセットが見られることや、断崖絶壁に青帽子を被ったような教会と白い建物が並ぶ美しい景観から花嫁の憧れる結婚式の場所として有名です。学会は3日間に渡り開催され、中西先生が主題 1題、一般演題 1題、杉本先生が一般演題 4題、そして私が岡山大学病院田中雅人先生の代役として急遽、一般演題の発表をさせていただきました。

 現地でしか味わえない国際学会の雰囲気、英語での発表や討論の様子などは大変貴重な経験となりました。

 学会会場では、岡山国立医療センターの中原進之介先生、神戸赤十字病院の伊藤康夫先生、福山医療センターの中原啓之先生とお会いすることもできました。

Fig. 5国際学会への参加自体初めての著者です発表中は頭が真っ白になり何を話したかも記憶がありません

Fig. 4中西先生は主題発表ですメイン会場は迫力があります

Fig. 6左から神戸赤十字病院 伊藤先生、岡山国立医療センター 中原先生、中西先生、著者

Fig. 7Thessaly大学の外観

【謝辞】 この度は大変貴重な経験をさせていただき、呉共済病院関係者

各位、岡山大学病院関係者各位、そして快く送り出してくださった呉共済病院整形外科のスタッフの先生方に感謝を申し上げます。

【 World Spine 2010 in

Larissa】    ~ hands on course~ 学会終了後は、 hands on course に参加するため、サントリーニ島からラリッサという内陸の町へ移動しました。ラリッサは観光ガイドブックにも紹介されていないいわゆる田舎街で、英語もホテル以外は通じませんでした。 hands on course は現地の Thessaly 大学で行われました。ご遺体を用いて解剖や手術アプローチを勉強する Cadavar training で我々はこの度、頚椎を中心とした解剖、手術アプローチを勉強しました。

Kenneth MC Chung 教授そして Dr. Wong の 3 人を中心にまとまっており、週に 1 回はランチを一緒にするというほど仲が良く、臨床だけでなくリサーチや研究も積極的に行われていました。今回、外来や手術を見学させていただきましたが、側彎症に対する手術の適応や治療は日本と変わらない印象を受けました。しかし、一般的な狭窄症やすべり症などの適応はやや異なり、脊髄造影や神経根ブロックなど行わず手術を決定するのには正直驚きました。韓国を見学したあとなのでしょうか、香港の先生はすごく出血に注意し、無血野を作るのにすごく時間をかけて、丁寧に手術を行っていました。また、韓国もそうでしたが、香港でも固定を行うのに screw の挿入は完全にフリーハンドで全くイメージを使用しませんでした。しかし、最終の確認画像ではまるでイメージを見ながら挿入したかの如く、驚くほど正確に固定されていました( screw はどれも長い印象を受けました)。

 Mandibular approachという下顎骨や舌を縦割して上位頚椎に到達するという手技を実習することができ、日本ではできない貴重な経験を得ることができました。特に私のような若手の外科医が勉強するには大変貴重な場ではありますが、 cadavar training は法律の関係上、日本ではなかなか難しいようです。賛否両論あると思いますが、身近にこのような機会があれば、若手医師にとってさらなる飛躍につながるのではないかと思いました。

Fig. 85人 1グループでの実習でした

Fig. 9実習中の杉本先生

Fig. 10 実習中の著者(左から 3人目)

Fig. 11 パルテノン神殿前にて左から杉本先生、中西先生、著者

Fig.12ギリシア料理エーゲ海産の魚介類は絶品でした

香港でも韓国同様、昔の日本のように良い意味で医師の立場が守られており、コメディカルだけでなく、麻酔科や ME なども非常に協力的で、さらには大きなラボやリハビリセンターもあり、非常に恵まれた環境で仕事が出来ており、うらやましく思ってしまいました。その良い環境の中で、医師は臨床だけに追われることなく、研究やリサーチさらにはたくさんの論文を読み、良いものはどんどん取り入れ、常に世界に目を向けていました。雑用や臨床さらには患者の対応に追われ毎日を送っている我々は、このままでは彼らにおいていかれるのではないかと危惧しました。

香港でも非常に暖かい歓迎を受けました。

 国際学会への参加は視野を広くもつ意味で重要だと感じました。必ずしも海外の医療が最先端ではなく、自分たちの医療が今どのように位置しているのかが比較できます。また、海外の先生との国際交流の場として親睦を深めることもできます。しかし、そのためにはもちろん英語が必須となります。 今度、国際学会に参加する機会を得られたら、その時はしっかりと英語力を身につけて今回とはまた違った感想を見つけられたらと思っています。

Fig.3発表中の杉本先生先陣をきって 4題の発表をされました

【その他】ギリシアの文化を少しではありますが、経験することもできま

した。