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ビットコインコミュニティから見る Apple Payとビットコインの比較 2014/9/23時点 1

Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

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2014年9月19日にiPhone 6が発売となり,これに伴い10月から当初米国限定ですが新たな決済手段「Apple Pay」が発表されました。 まだ公表されている情報は僅かですが,革新的な決済手段とされる「Apple Pay」の仕組みを予想し,ビットコインと比較をしてみました。 なお,あくまで「Apple Pay」の仕組みは個人的な予想のため,実際のサービス内容とは大きく異なる可能性があります。

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Page 1: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

ビットコインコミュニティから見るApple Payとビットコインの比較

2014/9/23時点

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Page 2: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

2014年9月19日にiPhone 6が発売となったが,これに伴い,10月から当初米国限定では

あるが新たな決済手段「Apple Pay」が発表された

「Apple Pay」はNFC(近距離無線通信)を利用した革新的な決済手段と発表されたが,現

状詳細は公表されていない

本紙は,9月23日時点で公表されている情報から, 「Apple Pay」の仕組みを予想し,その

うえでビットコインとの比較を行っている

【注意点】

あくまで9月23日時点で入手できる情報から「Apple Pay」の仕組みを予想したものです。

記載内容は実際の「Apple Pay」の姿とは大きく異なっている可能性があり,また,本紙は

ビットコインコミュニティで「Apple Pay」について議論するための叩き台を目的とした資料で

あり,記載内容については一切責任を負いかねます。ご了解いただける場合のみ以降の

ページをご覧いただくようお願い致します。

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Page 3: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

Apple Payの仕組みを予想する

9月23日での公表情報

・ApplePayは,クレジットカード決済を,iPhoneなどのAppleの製品を通し,手軽で安全に使

える仕組み

・AppleとAppleと提携した決済サービス会社Stripe社により運営される

・AppleもiPhoneにも顧客のカード情報は保持しない

・店舗にもユーザーのカード情報は伝わらない

・ iPhoneの指紋認証でのみアクセス可能なセキュアな場所に“キー”を保持する

・トランザクションの都度,“取引番号を生成する”ので安全

⇒仕組みの予想

・“トークン化技術”を活用したカード番号・トランザクション情報の変換サービスを基礎

・Appleが決済代行会社的なポジションで,店子である加盟店舗とカード会社の間に入る

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Page 4: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

事前知識:クレジットカード決済の概要

【【【【国際ブランド国際ブランド国際ブランド国際ブランド】】】】

・巨大で複雑な決済ネットワークの運営,アクワイアラーとイシュアー間の清算業務,ブランド維持管理,不正取引対策

【【【【アクワイアラーアクワイアラーアクワイアラーアクワイアラー】】】】

・加盟店開拓,加盟店審査,モニタリング,不正売上等チェック・債権買取拒否(チャージバック),店頭決済専用端末維持管理

【【【【加盟店加盟店加盟店加盟店】】】】

・加盟店審査があり,小規模事業者やカードブランドイメージに合わない業種は取扱いができない,適切な売り上げデータのカード会社へ

の送信業務

・国際ブランド・アクワイアラー・イシュアー・決済代行会社への支払い手数料負担,売上代金の入金は15日,翌月の2回

【【【【イシュアーイシュアーイシュアーイシュアー】】】】

・会員募集,カード発券,会員管理(総量規制モニタリング),与信管理・回収,不正利用対策

【【【【カード会員カード会員カード会員カード会員】】】】

・与信行為であるため一定程度の信用力が必要,年会費の支払い,支払いを先延ばしできる(分割払い等),ネット決済時はカード情報を

入力する必要(流出リスク)

●クレジットカード業務は国際ブランド,アクワイアラー,イシュアー,(決済代行会社)それぞれが収益を得るために,高いコストが加盟店

手数料としてかかる。国際ブランド業務は参入も難しいため,世界的に決済利益を独占

●支払いとサービス提供の時点が異なる与信行為であるため,非常に管理にコストがかかる構造

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Page 5: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

①iPhoneへのクレジットカード情報の登録 その1

(1)クレジットカードを使用するには“カード情報”をクレジットカードのネットワークに送る必要があり,ユーザー,Apple,

Appleの決済提携会社(Stripe社)のどこかに“カード情報” を保存する必要がある

(2)ApplePayでは, ユーザーの初回登録時に,“カード情報”をAppleの決済提携会社(Stripe社)の高度にセキュリ

ティの高い環境に保管する

(3)Appleの決済提携会社(Stripe社)は,カード情報と1対1に対応する“デバイスナンバー”を発行し(カード情報の

トークン化),その紐付関係はStripe社の高度にセキュリティの高い環境にのみ保管される

(4)ユーザーは“デバイスナンバー”を利用して決済を行う

(5)ユーザーのiPhoneには“デバイスナンバー”が保存され,この“デバイスナンバー”は端末内のユーザーの指紋

認証でしかアクセスできない場所に保管される

【ポイント】

(1)カード番号をデバイスナンバーに変換し,その紐付は高度なセキュリティで守られたStripe社のサーバーにのみ

保管される

カード番号を決済時にやり取りしないので安全,また「Apple,ユーザーのiPhoneにカード情報を保持しない」と

いう宣伝文句に繋がる

(2)iPhone内にはカード番号は保管されず,指紋認証でのみアクセス可能な場所にデバイスナンバーのみ保管され

るのでiPhone盗難,紛失時の時のセキュリティが高い

5

Page 6: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

VISAカード番号

1234-5678-9999

Apple Stripe社

【【【【1】】】】カードカードカードカードを撮影しを撮影しを撮影しを撮影しApple経由で経由で経由で経由で

Appleの決済提携会社であるの決済提携会社であるの決済提携会社であるの決済提携会社であるStripe社社社社へ送信へ送信へ送信へ送信

カード会社

【【【【3】】】】カードカードカードカード番号に対応する“デバイスナンバー”を発行番号に対応する“デバイスナンバー”を発行番号に対応する“デバイスナンバー”を発行番号に対応する“デバイスナンバー”を発行

【【【【4】】】】カードカードカードカード番号とデバイスナンバーの対応関係はセキュアな環境に保存番号とデバイスナンバーの対応関係はセキュアな環境に保存番号とデバイスナンバーの対応関係はセキュアな環境に保存番号とデバイスナンバーの対応関係はセキュアな環境に保存

【【【【2】】】】画像画像画像画像からカード番号をからカード番号をからカード番号をからカード番号を取得取得取得取得し,カード会社に照会しし,カード会社に照会しし,カード会社に照会しし,カード会社に照会し

カード内容の確認(オーソリ)カード内容の確認(オーソリ)カード内容の確認(オーソリ)カード内容の確認(オーソリ)

VISAカード番号

1234-5678-9999

デバイスナンバー

987-654-321

【【【【5】】】】デバイスナンバーデバイスナンバーデバイスナンバーデバイスナンバーをををを

iPhoneのセキュリティエリアに保存するのセキュリティエリアに保存するのセキュリティエリアに保存するのセキュリティエリアに保存する

※指紋認証でしかこのエリアにアクセスできない

デバイスナンバー

デバイスナンバー

987-654-321

・カード番号とデバイスナンバーの組み合わせはStripe社の高度にセキュアな環境に

のみ保管

・ Appleはカード番号とデバイスナンバーの組み合わせを知ることができない

・Appleの“カード番号を保持しない”とは,提携会社のセキュアな環境に保管されて

いるので, それを見ることができないという意味

××××

・ユーザーのiPhoneにはデバイスナンバーのみ保存され,

カード番号は保管されない

・デバイスナンバーはiPhone内の指紋認証でしかアクセス

できない場所に保管される

⇒安心できるセキュリティ環境

iPhone紛失時にカード番号が流出しない

拾得者はデバイスナンバーにもアクセスできない

Appleは参照不可

①iPhoneへのクレジットカード情報の登録 その2 図解

6

Page 7: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

②カード決済時の処理 その1

(1)ユーザーが店頭で代金をApplePayで支払うときは,iPhoneの指紋認証で“デバイスナンバー”を呼び出し,

NFC(近距離無線通信)で店舗側の決済端末に送るだけ(非常に手軽,短時間)

(2)ユーザーの“デバイスナンバー”は, Appleの決済提携会社(Stripe社)に送られ,そこで登録済みのユーザーの

クレジットカード番号に変換される

(3) Stripe社から,ユーザーのクレジットカード番号はクレジットカードネットワークに送信され,ユーザーが契約している

カード会社での与信確認が行われ, Stripe社に決済OKという情報が,クレジットカードネットワークでの取引番号

(トランザクション)情報とともに伝えられる

(4) Stripe社ではクレジットカードネットワークでの取引番号(トランザクション)情報を,ApplyPay内でのワンタイム取引

ナンバー(トークン)に変換する

この取引番号(トランザクション)情報とワンタイム取引ナンバー(トークン)の紐付関係は Stripe社内でのみ厳重に

管理される

(5) ) Stripe社はApple,店舗,ユーザーに,カード決済OKの情報と,ワンタイム取引ナンバー(トークン)を送信する

⇒取引の都度“使い捨ての取引番号を使用する”という宣伝文句の意味

(6)店舗側は,従来「カード番号,クレジットカードネットワークでの取引番号(トランザクション)情報,金額」の情報を取得

していたが, ApplyPay では「ワンタイム取引ナンバー(トークン) ,金額」のみを保有するので,ユーザーは匿名性を

維持できる

(7)決済にトラブルが生じた時は,店舗はワンタイム取引ナンバー(トークン)をAppleおよびStripe社に伝え, Stripe社は

ワンタイム取引ナンバー(トークン)からカード番号,クレジットカードネットワークでの取引番号(トランザクション)

情報に変換して,カード会社に伝えてトラブルに対処する

【ポイント】

Apple(Stripe社)と店舗は,決済代行会社と店子の関係と言える

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Page 8: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

②カード決済時の処理 その2 図解

【【【【2】】】】iPhoneで指紋認証し

カード番号の代わりに

デバイスナンバーを送信

【【【【1】】】】店舗は代金請求

Apple Stripe社

【【【【3】】】】デバイスナンバーはStripe社に送られ,

カード番号に変換される

VISAカード番号

1234-5678-9999

デバイスナンバー

987-654-321

VISAカード番号

1234-5678-9999

カード会社A

(アクワイアラー)

国際ブランドカード会社(VISA)

カード会社B

(イシュアー)

【【【【4】】】】カード番号と購買情報がクレジットカード

ネットワークに送信される

【【【【5】】】】ユーザーはカード会社Bと契約しクレジットカードの発行を受けて いる

カード会社Bは今回の購買が与信枠の範囲内かを確認し(オーソリ)

大丈夫であれば決済OK(与信の実行)という情報を返す

(デビットカードの場合はここでユーザーの銀行口座から引き落としが行われる)

【【【【7】】】】カード会社から決済OK情報が返ってくると,Stripe社は

カード会社の決済トランザクション情報(VISA-20140916XXX)

に対応するワンタイム取引ナンバー(トークン)を発行する

決済トランザクション情報

VISA-20140916XXXワンタイム取引ナンバー(トークン)

Apple-abc987

【【【【8】】】】決済トランザクション情報とトークンの紐付情報はStripe社の

セキュアな環境にのみ保管される

【【【【9】】】】トークンが店舗およびユーザー側に通知される

ワンタイム取引ナンバー(トークン)

Apple-abc987【【【【10】】】】店舗にはトークンが通知され,

以下の情報を得る

売上 1,500円(掛け売り)

カード決済情報 Apple-abc987

※店舗側にはカード情報やカードの決済

トランザクション情報は一切伝わらず

ワンタイム取引ナンバー(トークン)のみ

伝わる

⇒プライバシー保護

【【【【11】】】】ユーザーにはトークンが通知され以下の情報を得る

支払1,500円(カード払い)

カード決済情報 Apple-abc987

店舗名など

NFC店舗

デバイスナンバー

987-654-321

デバイスナンバー

987-654-321

【【【【6】】】】決済OK情報としてカード番号1234-

5678-9999と決済トランザクション情報

(VISA-20140916XXX)が返される

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Page 9: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

③店舗からの売上債権の譲渡(売上清算)

店舗

【【【【1】】】】店舗はApple側に一定期間の

売上債権を譲渡する

ワンタイム取引ナン

バー(トークン) 金額

Apple-abc9871,500

Apple-abc9882,500

Apple-abc9892,000

Apple-abc9906,500

Apple-abc991 7,500

合計20,000

Apple Stripe社

【【【【2】】】】Stripe社のデータによりワンタイム取引

ナンバーからクレジットカード会社に渡す

以下の情報に変換し,通常のカード決済時と

同じ内容の情報をカード会社の決済ネット

ワークへ送信する

カード番号

決済トランザクション情

報 金額

1234-5678-9999 VISA-20140916XXX 1,500

6589-1578-6547 VISA-20140917XXX2,500

2514-5589-3154 VISA-20140918XXX2,000

1258-2265-9987 VISA-20140919XXX6,500

3258-5897-6658 VISA-20140920XXX 7,500

合計20,000

【【【【3】】】】売上債権が,ユーザーから代金を回収する

カード発行会社(イシュアー)に譲渡される

カード会社A

(アクワイアラー)

国際ブランドカード会社(VISA)

カード会社B

(イシュアー)

※カード会社と契約している主体はAppleであり,Stripe社は

経由してデータがカード会社側に流れるだけだと考えられる

・店舗はクレジットカードによる掛け売り債権をカード会社側に譲渡し,その対価を代金回収として得ることになる

・この場合,店舗側はApplePayのワンタイム取引ナンバーしか持たないので,Stripe社でカード会社が必要とする

情報に変換の上,クレジットカードネットワークへ送る

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Page 10: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

④店舗での代金回収

カード会社B

(イシュアー)

【【【【1】】】】カード代金の支払いの実施

※ApplePayの利用にかかるユーザー負担は

なく無料で利用できる

(カード会社年会費のみ負担)

カード会社A

(アクワイアラー)

国際ブランドカード会社(VISA)

【【【【2】】】】カード会社(イシュアー,国際ブランド,アクワ

イアラー)それぞれが手数料を徴収

⇒通常のカード決済と同じ

AppleStripe社

【【【【3】】】】AppleとStripe社も手数料を徴収

※ここでの手数料がApplePayでApple側が得られる唯一の収入に

なると考えられる。

しかし店舗側の負担を下げApplePayを普及させるために

相当程度手数料率は低いと考えられる

店舗

【【【【4】】】】店舗には手数料徴収後の売上代金

が入金される

※加盟店は,通常のカード決済手数料に加えて,

Apple(+Stripe社)への手数料負担も発生する

Appleは,「加盟店手数料」は徴収しないと公表

しているので,店舗側はこの個別取引における

手数料負担だけが生じることになる

※通常カード決済代金は翌月15日払いなどであるが,Appleが

自身の豊富なキャッシュを活用し,カード会社からの入金前に

店舗側に支払を行うなどの,支払期間の短縮サービスを提供する

事も考えられる

手数料徴収

手数料徴収

手数料徴収

手数料徴収

手数料徴収

・店舗は,売上代金からクレジット会社への手数料払い(3%~5%など)に加え,Apple側への手数料支払い(0.15%と

いう噂も)も控除された後の金額が入金されるため,従来から店舗側の負担が大きいクレジット払いの問題点は解消

されない⇒ApplePayは本質的にユーザーのみの利便性を高める仕組みでしかない

・しかし,Apple側が豊富な資金力を背景に,店舗側への支払い期間の短縮化を行うなどのサービス提供を行う可能性

もある

10

Page 11: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

AppleStripe社

カード会社A

(アクワイアラー)

国際ブランドカード会社(VISA)

カード会社B

(イシュアー)

【【【【1】】】】カードの不正利用時など,カード発行会社は支払いを拒否する

(チャージバック)

【【【【2】】】】Stripe社はカード会社から来た支払い拒否情報を,

保存されているワンタイム取引ナンバーに変換

カード番号1234-5678-9999と決

済トランザクション情報(VISA-

20140916XXX)の支払いを拒否

決済トランザクション情報

VISA-20140916XXX

ワンタイム取引ナンバー(トークン)

Apple-abc987

【【【【3】】】】ワンタイム取引ナンバーを店舗に支払い拒否情報として送信

【【【【4】】】】店舗支払いが拒絶された

ワンタイム取引ナンバーが通知され

サービス提供後であれば店舗の損失となる

※通常のカード決済では,チャージバック 時の

損失は店舗側が負担する

しかしApple payではAppleが加盟店・ユーザーの審査を

一定程度厳しくすることで,Appleが損失の一部を負担

する可能性もある

店舗

⑤カードの不正利用時などの回収不能(チャージバック)について

ワンタイム取引ナンバー

Apple-abc987

ワンタイム取引ナンバー

Apple-abc987

××××

クレジットカード決済において,店舗側が一番困ることは,盗難カードの利用などによるカード会社からの支払い拒否

(チャージバック)であり,店舗側の損失となるが,ApplePayの場合,iPhone端末とクレジットカードが紐付いているため,

不正利用者の特定が行いやすくチャージバックの発生率は下がることが考えられる(この点は加盟店に利点がある)

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Page 12: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

⑥加盟店契約とAppleの審査について

カード会社A

(アクワイアラー)

国際ブランドカード会社

(VISA)

カード会社B

(イシュアー)

店子

店子

Apple

≒決済代行会社

店子

カード利用者

カード会社と契約するのはAppleとなる

(包括加盟店契約)

各店舗はカード会社ではなくAppleと契約

を行う

●本来決済代行会社は,以下の目的で利用されるが,Apple Payの場合は仕組みの構造上カード情報をApple側に集約化する必要がある

ため決済代行会社方式が採用されていると考えられる

(店子側) 小規模,新規開業,事務負担の大きさなどでカード会社との直接契約ができない場合でもカード決済を導入できる

(カード会社側) 加盟店開拓業務,加盟店審査・管理業務を決済代行会社にアウトソースできる

● Appleは決済代行会社として,加盟店の審査,不芳加盟店の排除義務が生じる

・店舗側がApple payを利用するには,Appleの審査をクリアする必要があり,Appleの基準に満たない店舗は排除される

・Appleはカード会社に対する不良店子の排除義務があることから,アプリの審査よりもさらに厳格にApple pay利用店舗の審査・管理を

行うことが予想される

・その一方,偽造/盗難カード等が店舗で使用され,チャージバックが発生した場合,Appleが店舗の損失を一定程度負担するなどの

対応を行うことも考えられる

Stripe社

Appleとは業務委託関係

カード発行

12

Page 13: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

Apple

⑦ユーザーに送られる利用明細について

カード会社B

(イシュアー)

利用店舗 利用日 金額

決済トランザクション情

Apple Pay ○月○日 1,500 VISA-20140916XXX

Apple Pay ○月○日 2,500 VISA-20140917XXX

Apple Pay ○月○日 2,000 VISA-20140918XXX

Apple Pay ○月○日 6,500 VISA-20140919XXX

利用店舗 利用日 金額

ワンタイム取引ナンバー

(トークン)

A店 ○月○日 1,500Apple-abc987

Bマート ○月○日 2,500Apple-abc988

Cショップ ○月○日 2,000Apple-abc989

D店 ○月○日 6,500Apple-abc990

Appleからの利用明細には個別の店舗名

称が記載される

カード会社からの利用明細には個別の店舗名

称ではなく“Apple Pay”とのみ記載される

●ApplePayの利用明細は,Apple側とカード会社の双方からユーザーに送られることが予想される

・これは,Apple・店舗側の処理は“ワンタイム取引ナンバー”ベースで行われ,カード会社側の処理は,カード番号とカードネットワークで

の決済トランザクション情報で処理されるため

・しかしこれではユーザーが煩雑なので,カード会社側とAppleが提携し一本化することも考えられる

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Page 14: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

⑧Apple Payのメリット・デメリット

1.1.1.1.ユーザー側ユーザー側ユーザー側ユーザー側

◎カード情報をApple側(実質はStripe社の安全な環境)にのみ保存し,決済の都度店舗に伝える必要がない

◎指紋認証で守られた安全な利用環境

◎簡単,スピーディにカード決済が実現可能

▲Appleの認めた加盟店でしか利用できない

×クレジットカードを持っていないとそもそも利用できない

2222....店舗側店舗側店舗側店舗側

×決済トランザクション毎のクレジットカード利用料の負担は不変でかつAppleへの追加支払いが発生

◎但し,Apple(決済代行会社)への加盟料,Apple Pay利用料は無い

◎ Appleのネームバリューを利用した集客効果

◎ Apple側が支払いサイト(代金回収までの期間)の短縮化を提供してくれる可能性

◎ Apple側が不正カード利用時の店舗側の損失負担を一定程度肩代わりしてくれる可能性

◎ iPhoneと紐付けられたカードが利用されるため不正利用に伴うチャージバック発生確率が低下する可能性

▲Appleの加盟店審査・管理が厳しい

3.Apple3.Apple3.Apple3.Apple側側側側

◎決済代行会社としてのカード決済手数料が得られる

◎決済手段を通したApple機器への顧客囲い込み効果

◎各利用者の購買履歴情報は取得しないとしてはいるが,Stripe社で匿名化し,利用者の個別ネームと切り離した

購買データをマーケティングデータとして活用できる可能性

⇒ Apple Payとは,利用者にはカード情報を店舗側に伝えないでよい,支払いが簡単にできるという利便性があるが,

店舗側にとっては一番の悩みどころであるカード利用料負担は不変

⇒ 既存のクレジットカード決済の仕組みの上に,ユーザーサイドの利便性を高める機能を追加したもの

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Page 15: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

サービスの提供

ビットコインの支払い

【【【【ポイントポイントポイントポイント1】】】】

【【【【ポイントポイントポイントポイント2】】】】

【【【【ポイントポイントポイントポイント3】】】】

【【【【ポイントポイントポイントポイント4】】】】

マイニングによる

取引の承認

【【【【ポイントポイントポイントポイント1】】】】ビットコインの入手ビットコインの入手ビットコインの入手ビットコインの入手

・購入者側:オンラインや専用ATM等でビットコインの入手

⇒購入手数料が発生

【【【【ポイントポイントポイントポイント2】】】】ビットコインの支払(客側)ビットコインの支払(客側)ビットコインの支払(客側)ビットコインの支払(客側)

・スマホなどでQRコード読み取りなどによる簡単な送金

・維持ネットワークへの手数料の支払い(数円~数十円)

【【【【ポイントポイントポイントポイント3】】】】ビットコインの受取(店舗側)ビットコインの受取(店舗側)ビットコインの受取(店舗側)ビットコインの受取(店舗側)

・支払側から直接ビットコインを受け取れる

(受取は即時,マイニングによる承認には10分以上必要)

【【【【ポイントポイントポイントポイント4】】】】受け取ったビットコインの換金受け取ったビットコインの換金受け取ったビットコインの換金受け取ったビットコインの換金

・ビットコインの価格変動リスクを即時換金などで回避

【【【【ポイントポイントポイントポイント5】】】】マイニングによる取引承認マイニングによる取引承認マイニングによる取引承認マイニングによる取引承認

・取引の承認

・手数料の受け取り

【【【【ポイントポイントポイントポイント5】】】】

⑨ビットコイン決済の仕組み

・ビットコインは,クレジットカード決済における,カード決済ネットワークを,マイニングという作業に外部化したものと言える

・ビットコインの送金は相対で支払者から受取者へ送られるため,カード決済における「与信」が発生せず,また複雑な売上情報と代金情報

が流れるカード決済ネットワークの維持コストも不要なため,シンプルに取引を外部から「承認」する作業のみが追加で行われ,

取引手数料が極めて安くなる

・既存のVISA等の国際カードブランドによる決済手数料の徴収体制から離れ,世界中と自由に決済が行える点がビットコインの大きな魅力と

言える

ビットコインについての詳細は以下のビットコインの概要を参照

http://www.slideshare.net/GOTO_A

ユーザー

店舗

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Page 16: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

ビットコイン利用者側ビットコイン利用者側ビットコイン利用者側ビットコイン利用者側

◎専用決済端末は不要で,ネット接続できるPCかスマートフォンがあれば誰でもどこでも使用できる

◎クレジットカードにある発行会社(イシュアー)の事前審査,契約,年会費は不要

◎クレジットカードのように支払い時にカード情報を相手側に渡す必要がない

◎クレジットカード手数料と比較し,ビットコイン維持ネットワークに支払う手数料は送金額に関わらず数円~数十円

▲ビットコインを購入して入手する場合手数料が発生

▲ビットコインは分割払いができない

▲ビットコインは支払い側が送金手数料を負担する

××××ビットコインには価格変動リスクがある

ビットコイン受取店舗側ビットコイン受取店舗側ビットコイン受取店舗側ビットコイン受取店舗側

◎カード会社(アクワイアラー)や代行決済会社との加盟店契約,加盟店手数料は不要

◎最低限自分のビットコインアドレスさえあれば受取が可能

◎売上と入金までのタイムラグが無く,即時に受け取り可能(取引承認には10分以上必要)

◎与信が発生しない,顧客の信用力に関係なく決済が可能

◎不正カードの利用時などのチャージバックを考えなくてよい

◎送金手数料が低いため少額決済が可能

◎国境,為替レートを気にしないで決済が可能

▲ビットコインでは店舗が自分で送金状況を管理できない場合,決済管理ツールを使用する必要があり,

その場合手数料の支払いなど一定の管理コストが発生(それでも既存の決済手段よりもコストは押さえられる)

▲ビットコインを現実通貨に換金する場合に手数料が発生

(価格変動リスク回避のための即時換金サービスも存在するが,手数料が発生)

ビットコインには管理会社がいないビットコインには管理会社がいないビットコインには管理会社がいないビットコインには管理会社がいない

◎加盟店発掘やカード会員発掘コスト,決済システム利用コスト,与信管理コストなどを利用者が負担しないで済む

◎カード会社の基準にそぐわない業種,規模の会社でもビットコイン決済を利用可能

◎国際ブランドによる決済利益の独占がない

▲マイニングにおける電気代負担を,決済コストに含めると,相応にコストは上がると言われている

⑩ビットコインのメリット・デメリット

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Page 17: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

⑪ビットコインとApple Pay

Apple PayApple PayApple PayApple Pay

●あくまで既存のカード決済ネットワークを使用しており,その手前で「端末から

安全で気軽に使える」環境を構築しただけ

●加盟店舗は相変わらずカード手数料を負担することに違いはない

●既存のVISA等のカード決済ネットワークから離れられていない点でその革新性は

加盟店舗側には及んでいない

ビットコインビットコインビットコインビットコイン

ユーザーの利便性ではスマホがあれば簡単に利用可能という点では同じであるが,以下の点

でビットコインに有用性がある

●“与信”が無いのでクレジットカードを持たない/持てない人でも利用可能

加盟店の利便性では,以下の点でビットコインに有用性がある

●既存のカード決済ネットワークの外側に,国際的に誰でも利用可能な決済ネットワークを

構築したものであり,加盟店の審査も不要で,誰でも格安の手数料で国際送金可能

●手数料が安いため,クレジットカードでは手数料負けするような少額決済が可能

⇒ビットコインの革新性はApple Payの登場で揺らぐことはないと考えられる

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Page 18: Apple Payとビットコインの比較(2014年9月23日時点)

■本資料の内容は,著者の個人的意見に基づくものであり,正確性を保証するものではなく,

また,特定の団体やビットコインコミュニティの見解を示すものではありません。

【本資料著者】

後藤あつし

金融機関でリスク管理や国際規制対応などに長年従事

ビットコインについて,金融イノベーションに繋がる可能性を感じ,調査・研究を行っている。

連絡先 [email protected]

●ビットコインの入門者・一般向けの解説は以下をご覧ください

http://www.slideshare.net/GOTO_A

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