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慶應義塾大学教職課程 (日吉)「教育評価論」第 10 課題解決評価の演習 (2) 文部科学省 国立教育政策研究所 総括研究官 やま もり こう よう (教育心理学) [email protected] 平成 27 6 22 この内容は個人的見解であり 国立教育政策研究所の公式見解ではありません

150622 教育評価論 第10講(課題解決評価)

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慶應義塾大学教職課程 (日吉)「教育評価論」第 10講

課題解決評価の演習 (2)

文部科学省国立教育政策研究所

文部科学省

国立教育政策研究所

総括研究官やま山もり森

こう光よう陽

(教育心理学)[email protected]

平成 27年 6月 22日

この内容は個人的見解であり国立教育政策研究所の公式見解ではありません

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本日の出席とスライド

本日の出席

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//questant.jp/q/150622

本日のスライド

http://www.slideshare.net/

koyoyamamori/eduass150622

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 2 / 16

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本日の内容

1 「課題解決評価」の批評

2 最終課題について

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 3 / 16

「課題解決評価」の批評

「課題解決評価」の批評

今日の授業の進め方

グループワークスライドを各自がダウンロードする。評価課題作成の班で,他班の課題を批評する。批評した結果を回答用紙に班でまとめて提出。全体で共有。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 5 / 16

「課題解決評価」の批評

成果物批評の内容

単元の評価規準の内容に沿っていて,テストでは測定できない側面を評価できるようになっているか。

1位~3位を決め,1位に選んだ理由を示す。判定基準は,評価者によって評価がぶれないように具体的に内容が設定されており,かつA,B,Cに適切に分けられるものになっているか。

1位~3位を決め,1位に選んだ理由を示す。評価課題は生徒にとって,取組み甲斐のある内容となっているか。

1位~3位を決め,1位に選んだ理由を示す。上記 3つの観点を踏まえつつ,これら以外の主観も排さずに判断して,もっともよい評価課題とその理由。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 6 / 16

教育評価論 課題解決評価の演習 中学社会 1:

□ 評価対象となる単元

近代の日本と世界

□ 単元の評価規準

近代における日本の対外関係を多面的・多角的に考察し,公正に判断して,そ

の過程や結果を適切に表現している。

□ 項目応答評価では評価できなかった側面

・多面的・多角的な考察の過程(思考を広げていく様子)

・資料活用の技能(資料の収集、有用な情報の選択、内容の読み取り・まとめ)

☆ 評価課題

明治初期の日本の外交政策について、具体的な条約をひとつ挙げ、締結に至っ

た背景について説明しなさい。また、それに関連する現代の国際関係について新

聞やインターネットなどを使って調べ、明治初期当時の外交関係と現在の外交関

係を、関連・比較させながらまとめ、考察しなさい。

A 資料の情報を活用し、条約締

結の背景や関連する現在の国際

関係について理解し、適切な説明

をしている。さらにその内容を踏

まえて、明治初期当時の外交関係

と現在の外交関係を関連・比較さ

せながらまとめ、自分の考えをも

って考察している。

解答例

解答の特徴

(1) 選んだ国と条約

中国/日清修好条規

(2) 条約が結ばれた背景やその内容

朝鮮を開国させるため、朝鮮の宗主国である

清との国交締結をはかった。対等な立場から、

第1条で互いに領土不可侵を約束し、第8条で

領事裁判権を認め合った。

(3) 新聞やインターネットなどから選んだ資

日比、武器輸出交渉へ 南シナ海、中国を懸念

首脳会談(2015年 6月 5日)

http://digital.asahi.com/articles/DA3S117918

49.html

(4) 資料から読み取った内容

・日本と中国の間には、尖閣諸島をめぐる領土

問題が存在している。

・フィリピンも南シナ海の覇権を巡って、中国

と対立している。

・中国を牽制するため、日本とフィリピンが協

力して、防衛体制の強化に動いている。

(5) 明治初期と現代の日本との外交関係につ

いての比較・関連・見解

条約締結当時は、朝鮮の覇権をめぐって両国

が対立していたが、現在は尖閣諸島をめぐる対

立が中心である。現在、中国は日本以外のアジ

ア諸国とも領土問題を抱えており、中国と日本

を含むアジア諸国との対立が深まっている。加

えて、当時は日中両国と対立していたアメリカ

が、現在は日本と歩みを合わせて、アジア情勢

にも影響力を及ぼしているようだ。

B 集めた資料から必要な情報

を取り出し、条約締結の背景や関

連する現在の国際関係について

説明しており、それらの外交関係

上の問題点などを指摘している。 ※明治初期と現代の関連についての

多面的・多角的考察がやや不十分

C 条約や現代の国際問題につ

いて調べ、資料から情報を取り出

して示している。 ※条約締結の背景や現在の国際関係

についての理解・内容読取りが曖昧で、

まとめや考察についても不十分

※明治と現代の関連を持たせるとい

う多面的・多角的考察の過程について

も不十分

関心に従って具体的な条約を1つ選

択している

明治初期当時の外交関係と現在の

外交関係を、関連・比較させてまと

めている

現在の国際関係について、資料から

読み取った内容を適切に、まとめて

いる

条約締結の背景やその内容につい

て調べ、適切にまとめている

選んだ条約に関連する、現代の国際

関係についてのふさわしい資料を

自ら選び、有用な情報を取り出して

解答に活用している

外交関係上の問題点について、自分

の考えを持って考察している

判定基準

教育評価論 課題解決評価の演習 中学社会2

・対象・・・「岩倉使節団と殖産興業」

・評価基準・・・開国とその影響、富国強兵・殖産興業政策、文明開化や新政府の改革の特色について多面的・多角的に考察し、公正に判断して、その過程や結果を適切に表現している。(国立教育政策研究所「評価規準の作成、方法など工夫改善のための参考資料」より抜粋 )

・項目応答評価では評価できない側面・・・多面的・多角的な考察、思考を広げている様子

評価課題

右の写真は明治5年に政府によって建てられた富岡製糸場であるが、このような官営模範工場が作られた背景について、開国からの具体的な出来事、政策をふまえて詳しく説明しなさい。

→限定的な官営模範工場という要素だけを問題文で与えることで、

開国の影響や殖産興業やについて、それぞれがどれだけ思考を広げ、多様な視点を組み入れて答えられるかを見れるようにする。

A 江戸幕府が開国時に欧米と結ばされた不平等条約を改正するために、岩倉使節団が欧米に派遣されたが彼らはまず欧米に対抗するには産業、資本主義育成により国家の近代化を達成することが必要だと痛感した。国内に文明開化を起こすため、明治政府は官営模範工場造設や日本銀行設立を行った。

B 開国によって西欧諸国の進んだ産業の影響を受け、日本国内の産業も発展させるため、明治政府主導の殖産興業という公的事業が推進された。

C 日本の生糸生産を発展させるため、明治政府が殖産興業として造設していった。

解答例

判定基準

A 開国時の不平等条約にまでさかのぼって説明しており、欧米に対抗する必要性を感じた過程まで、多角的な思考をよく広げられている。B 殖産興業に対する欧米の影響を指摘できており、多角的な思考が出来ている。しかし歴史の大まかな流れだけでなく、具体的な事実を踏まえた理解が必要である。C 殖産興業という政策を指摘できているが、その政策に明治政府が至った過程についての思考、説明に欠けている。

課題解決評価の演習 中学社会3メンバー

・評価基準

中国の人々の生活と環境の多様性を、社会的条件と関連付けた人々の生活の様子とその変容を基に考察しその過程や結果を適切に表現している。

➡「考察しその過程や結果を適切に表現している」という部分は、項目応答評価では判断できない。

・評価課題

中国で西部大開発が行われるまでの過程(経済制度の変化をふまえて)、具体的な開発の内容、開発によって引き起こされた問題を調べてまとめ、考察しなさい。

・評価対象となる単元

中国の人々の生活と環境

①以下の4点を正しく関連付けているか・1970年代に行われた中国の経済制度改革の一環として、南部の沿海地域に経済特区が設けられた・1990年代にかけて外国企業が中国の沿海部を中心に多く進出した・西部から沿海部への人口移動が起こるなど、西部と沿海部の深刻な格差が広がった・中国政府はこの格差を埋めるため、内陸部の開発を進め2000年から西部大開発という政策が打ち出された

②開発内容・環境問題を具体的に示しているか

③開発内容と環境問題の因果関係を正しく示しているか

④論理的・多面的な角度から考察できているか

《Aと判断した理由》

西部大開発について、その過程、内容、影響を正しく多面的にとらえ、考察している。さらに開発とその影響について、その因果関係を明確に示している。

《Bと判断した理由》

西部大開発について、その過程、内容、影響を正しくとらえ、考察している。多面的な理解が不十分であり、開発とその影響についてその因果関係が明確でない。

《Cと判断した理由》

西部大開発について、その過程、内容、影響を正しく理解していない。西部大開発について、考察できていない。

《解答例》

中国では1970年代末に経済制度改革が行われ、その中で行われた経済特区の設置により、1990年代にかけて沿

海部を中心に多くの外国企業が誘致された。これにより中国の工業は大きく発展し、「世界の工場」と呼ばれるまでになったが、一方で東部の沿海部に比べて西部の内陸部は発展が遅れ、地域間格差が拡大して西部から東部へと人口が流出していった。中国政府はこの問題を解決するために内陸部の開発を進め、2000年からは西部大開発という政策を打ち出した。

西部大開発では天然ガスのパイプラインや鉄道の建設、水力発電による電力供給などの計画が進められてきた。しかし開発が引き起こした問題もある。たとえば三峡ダムの建設により、汚染物質の蓄積や、生態系への悪影響による希少動物の絶滅などが危ぶまれている。また、新疆ウィグル自治では、ウィグル族と開発に伴ってやってきた漢民族との間で対立が深まっている。これらの問題は今もなお解決していない。中国は1970年代から急速に発展し、特に西部の内陸部に関しては開発は最近10~20年で急速に進められてきた。

確かに西部大開発は地域間格差の改善を進めることには成功しているかもしれないが、それに伴って発生している問題も重大である。それらの問題を無視して経済成長のための開発を推し進めることは、将来的かつ継続的な中国の発展の障害となるだろう。これらの問題に対して、中国政府はより真摯に向き合うべきである。

―判定基準―

課題解決評価

中学社会4:

◎評価対象単元→近代の日本と世界

◎評価基準→開国が横浜にもたらした影響について多面的・多角的に考察し、公正に判断して、その過程や結果を適切に表現している

◎問題

みなさんが住んでいる横浜は、江戸時代までは小さな漁村でした。しかし、現在では大きな都市へと発

展しています。そのきっかけなった明治時代の出来事を調べ、100字程度で考察しなさい。

◎この課題を設定した目的

①明治時代の開国に関して、ただ昔におこった自分とは関係のない出来事としてとらえるのではなく、現在につながっているということを、

実際に自分が住んでいる横浜とリンクさせて考えることにより、はっきりとらえられるようにする。そして、歴史に対する新たな見方を得る

(多面的・多角的な考察)とともに、自分の身近な話題ということで取り組みがいのある課題とする。

②横浜の発展のきっかけを自分で調べ、多面的に考えた上で考察するという点において、項目評価では測れないため、課題解決評価とした。

◎Cに相当する答え

・日米修好通商条約を締結し、横浜が開港地の一つとなった

・新橋との間に鉄道が敷かれた

・ペリーが来航した など

横浜でおこったことの具体的な事例の記述だけで終わってしまっている場合は、Cに相当するとした。

◎Bに相当する答え

・開港地となったため、外国との貿易がさかんになった

・開港地となったため、外国の人との交流がさかんになった

・貿易がさかんになったことにより、明治政府が開発を進めた など

上記のような横浜の発展について具体的な事例から自分なりに考察をしたと考えられるものであれば、しっかり考察・表現がされていると考

えられるため、Bに相当するとした。

◎Aに相当する答え

・横浜が日本一の貿易港であるから、より発展した

・横浜は、明治政府の中心がおかれた東京に近かったため、他の開港地とくらべると、現在でも発展している など

自分が住む横浜の特色をしっかり把握し、他の開港地との違い・ほかの地域との比較をされているものはより多角的な考察ができていると考

え、Aに相当するとした。

教育評価論 テスト冊子の作成 中学数学11

今回扱った単元は、中学第2学年で学ぶ、数と式の中の「連立二元一次方程式」である。

このときテスト項目だけで評価しにくい評価基準として『連立二元一次方程式を変数が満たすべき条件と捉える』を取り上げた。また評

価基準は国立教育政策研究所の資料を参考にした。

A子さんの中学校で、通学手段のアンケートを取ったところ、結果は次の円グラフのようになりました。

バスに乗る女子の人数はバスに乗る男子の人数よりも4人多いです。また徒歩で通っている人数は男女合計で 92人です。

このとき下記の表を完成させなさい

単元と評価基準

課題

(答)

連立二元一次方程式を作成するためにいくつかの値を読み取る必要があるが、その値の読み取りにおいて円グラフを

用い、文章と円グラフどちらも読み取ることができないと解くのが難しいという構造にした。また問題に表を完成さ

せなさい、と書くことによって、一見連立二元一次方程式の問題と気づきにくいようにした。更に何をxとyと置く

のかを明記しないことによって、グラフから読み取った情報をうまく方程式にできるかどうかの力を測れるようにし

た。試験では”二元一次方程式”を用いると分かった状態で解くが、この課題ではそのような前知識がないため、二元

一次方程式が具体的にどのようにして使われるのかをしっかりと理解している必要がある。より、この課題の表を全

て埋めることが出来れば A評価とする。また、何を x,yと置くか決めて正しい連立式を立てられたら B評価とする。

徒歩(人) 電車(人) バス(人) 合計(人)男子(人)女子(人)合計(人) 92

徒歩(人) 電車(人) バス(人) 合計(人)男子(人) 72 36 12 120女子(人) 20 44 16 80合計(人) 92 80 28 200

評価方法

教育評価論 課題解決評価の演習(1)中学数学2-2班 ( )

★項目応答評価では評価できない側面:

調べたり、予測したりすること(思考の過程)など。

★解決させる課題:

身の回りにある1次関数で表現できる現象を探して, 自分で1次関数の式を立て, 変化の様子やグラフのちがいを調べてみよう.

例)本の読んだ頁数、お風呂の湯量、電気料金など

★解答に求める要素:

・たくさん1次関数の例が出せているか

・正しく立式できているか

・グラフを描画しているか

⇒傾き、切片などに言及しているか

出来具合の記述から判定基準の記述への手順

【Aの例】●1次関数の例を8個以上出している

例)本の残り頁 本の読む速さ 電気料金 ガス料金 電話代 水道代 お風呂の増える量 お風呂の減る量 距離時間速さの関係 経済 人口 温度増減 犯罪率 環境問題etc

●正しくモデル化し立式できている例)400ページの本で、読んだ頁をX、残りページをYとする。

Y= -X + 400

●グラフを描画している●グラフの傾き、切片、形状などについて言及している例)y切片が0 y切片が正始まり y切片が負始まり傾きがなだらか(a=1未満) 傾きが1 傾きが急(a=1より大きい)グラフが右肩上がり グラフが右肩下がりなど

●1次関数ではないものを除外できている ⇒ 且つ理由づけもされている例)駐車場の駐車料金 ⇒ ステップ関数になっているから定額制の料金 ⇒ 傾きが0(各軸並行)になっているから

【Bの例】●1次関数の例が5~7個●ある程度正しくモデル化し立式できている●グラフを描画している●ある程度グラフの形状などについて言及している▲誤答が含まれている

【Cの例】●1次関数の例が0~4個●ある程度正しくモデル化し立式できている●ある程度グラフを描画している▲グラフの形状などについて言及していない▲誤答が含まれている

【結果の出来具合の想定例】

・たくさん1次関数の例が出せているか

・正しくモデリングできているか

・正しく1次関数として立式できているか

・グラフを描画しているか

・グラフの形状について考察できているか

・誤った例に対する判断ができているか

【単元の評価基準に照合】

【Aと判断した理由】

1次関数の例を身近なものからたくさん出していて、且つそれらの事象を1次関数と見なし、1次関数の式として立式できていている。また、グラフを自分で描画し、その形状について様々な角度から議論している。さらに、1次関数ではない事象を判断し、適切な理由づけとともに、除外できている。

【判定基準】

【Bと判断した理由】

1次関数の基礎的な理解がある上で、グラフや式を自分なりに考え、課題の問いに答えられている。また、グラフや式をたてる際、少数の誤答がある、発展的な一次関数の記述が見られない等、1次関数の発展的な理解に欠けている。

【Cと判断した理由】

1次関数の例示が少なく、グラフや立式への理解が曖昧である。また、課題に提示されているグラフの形状に触れていない、誤答が多い等、1次関数への理解が乏しい。

単元の評価基準のうち、項目応答評価では評価できない側面

まず①について、電磁誘導が観察できるような実験設計を生徒自身にさせることで、現象に対する目的意識を持つことが出来ているか判断する。適切な実験の設計が出来た上で、その結果や考察の記述から、生徒の実験・観察の能力を測る。次に②について、実験を元にした図や文章を利用して答えさせる設問を出題し、自らの科学的な思考の過程を順序立て適切に表現できているか確認する。

《問題》

電磁誘導を確認するための実験装置を以下のものを使って組み立てて実験手順を説明しなさい。

プラスチック円筒、導線、棒磁石、検流計

そして磁石を出し入れしたときに検流計の針が左右に振れる。この現象が起きる理由を磁力線と電流の向きを図示して説明しなさい。

中学理科単元:電流と磁界

【模範解答】プラスチック円筒に導線を巻き付け、コイルを作る。2箇所の導線の先端をやすりで削り、その部分を検流計につなげる。円筒の中に棒磁石を出し入れすることで電流が流れているかどうか、検流計を観察することで確かめる。検流計の針が振れれば電流が流れたことを示す。

↖説明と図が書けていてB

プラスチック円筒にN極を下向きにして棒磁石を入れるとコイルが発生させる磁界と電流の向きは下図左のようになる。N極を下にして棒磁石をプラスチック円筒から出すと、下図右のように電流と磁界は発生する。このように棒磁石を出し入れすることによって、流れる電流の向きが逆になるため、検流計の針が左右に振れる。

【模範解答 続き】

↖現象の理由が図とともに説明されて書けていればA

【考察】

単元の評価基準のうち、項目応答評価では評価できない側面が2つあったと述べた。それについて深く考察していく。

まず1つ目であるが、目的意識を持った観察・実験とは、確かめたい実験結果が先にあって、その結果を判断するための装置を考えて組み立てるという手順を踏んだ観察・実験のことである。一般に,項目応答評価では正答を一義的に導くために、実験の設定条件があらかじめ細かく規定されてしまっている場合が多いため、目的意識を持った観察,実験を行う能力が判断できない。そこで,生徒に与える条件を、得られると予想される実験結果のみに限定し、その他の部分は生徒自身で思考しなければならない問題を作成した。なぜならば、推測される実験結果を得ようとして実験装置を組み立てたときに、その組み立てた理由と実際に組み立てられた実験系が論理的な関係をもっているかが能力の判断基準となるからである。

次に2つ目である。自分の考えをまとめたり表現したりするには、組み立てた自分の作成した実験系から得られる結果をもとにそこで生じている現象を図を用いて詳しく説明し、現象とそこから導いた考察の間の論理関係がきちんとしていることが大切である。このような問題になるように設定した。

なお、この問題では新しいものとして交流の概念を導入している。交流について取り上げれば、この課題解決型問題のさらに発展的な内容として交流電流の特徴を述べさせたり、直流電流ではなく交流電流の発生を行う実験系の作製などを挙げることができる。

最終課題について

最終課題について

最終課題と評価の概要最終課題の内容

「学習者の達成状況を的確に把握し学習を促進するための学習評価の手法」というタイトルをつけて,指示された内容を満たすように執筆し,提出してください。箇条書きの列挙など,文章になっていないものは受理しない。

提出平成 27年 7月 18日 (土)23:00〆切厳守教職ログブックに提出全員に提出を求めた授業内課題 3回中 2回以上を提出し,かつ 7月 13日までに行った 13回の講義のうち 8回以上出席した塾生が最終課題を提出できる (教育実習に重なった場合は出席または提出扱いとするが事前に届け出ること)。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 8 / 16

最終課題について

最終課題の要件

学習者の達成状況を的確に把握し学習を促進するための学習評価の手法」というタイトルをつけて,以下の内容を満たすように執筆し,提出してください。レポートは以下 4つの節で構成してください。なお,文章になっていないもの(箇条書きの列挙など)は受理しません。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 9 / 16

最終課題について

最終課題の要件:第1節第 1節には「項目応答評価」というタイトルをつけること。小節立ては自由だが,以下の内容を必ず含めること。

評価項目 11 単元の評価規準の設定の手順を具体的に示すこと。評価項目 12 項目応答評価(筆記試験,客観テストとも言う)を用いるこ

とが適切と考えられる評価対象の能力を明らかにすること。評価項目 13 短答項目(単語など簡単な記述をさせる項目)を設定する上

での留意点を,講義内容に基づいて説明すること。評価項目 14 多肢選択項目を設定する上での留意点を,講義内容に基づい

て説明すること。評価項目 15 評価規準に対して「十分満足」「おおむね満足」「努力を要す

る」の三段階で評価する,観点別評価を行うためのテスト冊子とテスト項目の作り方を,講義内容に基づいて概説すること。

評価項目 16 テスト冊子とテスト項目の作り方は,実際の教科,単元,テスト項目の具体例を挙げながら,図表を用いて概説すること。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 10 / 16

最終課題について

最終課題の要件:第2節第 2節には「課題解決評価」というタイトルをつけること。小節立ては自由だが,以下の内容を必ず含めること。

評価項目 21 課題解決評価とはどのような評価なのか,その特質を明らかにするとともに,なぜテスト以外にこのような評価を実施する必要があるのかを,講義内容に基づいて説明すること。

評価項目 22 単元の評価規準の内容を反映させつつ,生徒の能力の出来るだけ発揮させることができるようにするために必要な,評価課題の設定における留意点を,講義内容に基づいて説明すること。

評価項目 23 評価課題の設定から判定基準の設定に至る手順を,実際の教科,単元,評価課題,判定基準の具体例を挙げながら,図表を用いて概説すること。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 11 / 16

最終課題について

最終課題の要件:第3節

第 3節には「評価結果のフィードバック」というタイトルをつけること。小節立ては自由だが,以下の内容を必ず含めること。

評価項目 31 学習評価でいうところのフィードバックとは何かを講義内容に即して説明すること。

評価項目 32 フィードバックの方法や内容の違いが学力に与える影響について講義内容に即して説明すること。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 12 / 16

最終課題について

最終課題の要件:第4節第 5節は「学習者の学習を促進する評価」というタイトルをつけること。小節立ては自由だが,以下の内容を必ず含めること。

評価項目 41 単に正答数を積み上げて数値化するのではなく,第 1節で論じたような,評価規準に対して「十分満足」「おおむね満足」「努力を要する」の三段階で評価することのできるテスト冊子を用いることの利点を,第 3節で論じた「評価結果のフィードバック」の内容と関連づけながら説明しなさい。

評価項目 42 評価のための情報の取得,評価の実施,評価結果の戻しの在り方を,実際の単元に位置づけ,図表を用いながら具体的に示しなさい。

評価項目 43 このレポートの内容を総括し,「学習評価とは何か」を暫定的に定義しなさい。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 13 / 16

最終課題について

評定

上記 17の評価項目中,8項目満たしてC,11項目満たしてB,13項目満たしてAの標語を与える。7月 20日 (月・祝)の講義で評価結果をフィードバックする。7月 20日 (月・祝)の講義を欠席した塾生は評価結果に対して納得したものとみなし,疑義申し立ては受け付けない。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 14 / 16

最終課題について

Aをとるための手掛かり

最終課題の内容は,これまで取り組んだ講義内課題の総まとめとして位置づけられるものである。評価項目を全て満たせば Aとなる。執筆中および提出前に自身で確認するとよい。5月 11日の休講分の補講を 7月 18日 (土)に行う。内容はレポートの相談受付とするので,出席して指導を受けると,より高い評価になる可能性が高くなると思われます。

慶應義塾大学教職課程「教育評価論」 第 10 講課題解決評価 (2) 平成 27 年 6 月 22 日 15 / 16

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