46
おおおおおおお おおおお 2016.Oct おお 1

201610 お薬とは?

Embed Size (px)

Citation preview

お薬についての基礎知識2016.Oct

内野

1

まずは自己紹介 PG 経験10年ぐらい、 SE 経験10年ぐらい

NEC の工場管理ステム 人材派遣会社の管理システム 携帯電話の音楽ダウンロードコンテンツ、、、、など多数。

前々職で4年間、 CTCLS でお世話になり、 ARIS を嗜む。 主に EDI ツールの拡販、社内の文書管理、 QMS とか経験

前職では電子カルテシステム、地域医療システム、 ASP 体系のシステムでGPSP 省令のシステムをやっていました。

2014年1月入社(たぶん) CTCLS に入社したきっかけは「 R3 やってみない?」でしたが、入社直後に Provantis や Star*LISM をやったりと大変でした。 実際は炎上したプロジェクトにいきなり投入され、泣きそうでした。

2

1.薬とは?まずは基本的なところから。当たり前を共有したい。

3

1.薬とは? <超一般論> 薬とは何か?薬とは「毒」と同じものである。体にとって有益なものが、薬であり。体にとって有害なものが、毒である。

薬: 害悪の強さ  <  薬効の強さ毒: 害悪の強さ  >  薬効の強さ

4

1.薬とは? <超一般論> 薬と毒の違い

5参照:日本臨床薬理学会 (http://www.jscpt.jp/ippan/use.html)

1.薬とは? <超一般論> 薬の副作用 主作用(効用)

その病気を治療するための、目的とする作業

副作用 意図した作用以外の作用

6

1.薬とは? <超一般論>薬品と食品の違い 体内に入ったときに作用が大きいものが「薬」※ここの薬の定義は化合物というほうが適切かも。 体内に入ったときに作用が少ないものが「食品」

7

1.薬とは? <超一般論> 有害事象とは? 薬を飲んだときに出てくる症状をすべて副作用とは言わない。⇒ 最初はすべて“有害事象”と呼ぶ

8

1.薬とは? <超一般論> 有害事象とは?※ HL7 か ICH で定義されていたと思う。

1. (広義の)副作用:主たる作用ではない作用全般2. (狭義の)副作用:薬物による良くない作用。薬物有害反応と呼ぶこともある3. 有害事象:薬の私用者に発生した医学的に好ましくない事象。因果関係の有無は問わない。4. 薬害:不適切な医薬品行政の結果、有害事象が広く社会的に発生する現象5. 副反応:ウイルスや細菌またはその構成成分から作られるワクチンによる、目的以外の作用

9

1.薬とは? <超一般論> 有害事象とは? 有害事象と副作用は別物である。

有害事象は、薬を飲んだときに発生した好ましくない事象のこと 薬を飲んだ後に、走って転ぶことも“有害事象”

副作用とは、薬との因果関係が否定できない有害事象 副作用は医薬品そのものに着目した用語である。 有害事象は医薬品を投与された人間に着目した用語である。

10

1.薬とは? <超一般論> 副作用の分類 原因

(毒性や標的非選択性など)医薬品自体の特性 生体内で医薬品が代謝され、失活された化合物の特性 身体の持つ自律的な調整システムの変調 医薬品に含まれた不純物の特性

発現ケース 目的とする作業が予測を超えて生じる 望まない作用が予測を超えて現れる場合 患者の代謝のばらつきにより、体内濃度が予測を上回る 他の医薬品などとの相互作用 患者のアレルギー体質などの素因

11

1.薬とは? <超一般論> 薬剤というものは多かれ少なかれ、広義の意味で副作用があり、「副作用のない薬剤はない」と言われている。また、生体と物質との相互作用は複雑かつ多岐にわたり、現在の医学・薬学の水準では、そのすべてが解明されている訳ではなく、投与した外来物質の作用をすべて予測することが出来ている訳でもない。

1929年に発見された“ペニシリン”も近年でも新しい副作用が報告される 副作用に関する責任問題を回避するため、日本のテレビやラジオでの医薬品(内服薬)の CM では「この薬は使用上の注意を守り、正しくお使いください。特にアレルギー体質の方は医師や薬剤師にご相談ください。」と表示し、あるいは読み上げられます。また、パッケージ内部の説明書には、同様にアレルギー体質者以外に、妊婦などを対象に医師や薬剤師に相談する旨が表示されていることが多いです。

12

1.薬とは? <雑談> 副作用の利用 副作用を効能とする薬もある。

睡眠改善薬“ドリエル” もともとは“蕁麻疹”や“鼻炎”の薬であった 1度に購入できるのは3箱まで

13

1.薬とは? <雑談> 副作用の利用

医薬品ネット販売問題大量購入が簡単に・・・

1.薬とは? <雑学> 化合物に対して、いろいろな試験を行い、人や動物の疾病の診断・治療・予防を行うために与える薬品である。薬品は、試験の過程を得て、有効性と安全性を確立している。薬品とは、生成あるいは配合されている何らかの用途に利用可能な状態とした化学物質のうち、少量で使用するものをいう。特に人間や動物における疾患の治療・診断・予防及び苦痛の軽減に有効な特定の作用を及ぼすことを目的に剤型が整えられたものを特に薬剤という。

15

1.薬とは? <雑学> 以下は薬品であるが、人に与えてはいけない

生体や組織に作用させる薬品は試薬と呼ばれることは少なく、生化学もしくは医薬品(動物薬)である。一方で、 in vitro 生物学実験など酵素や受容体そのものを生体より取り出して作用させる場合は試薬と呼ばれることもある。通常、薬剤や医薬品の場合は不純物が含まれていると副作用が発生し、目的にそぐわないことが懸念されているため、より高純度の製品であったり、場合によっては副作用を示さない保証のために種々の確認試験が製品に施される。

16

農薬 試薬農作物や園芸の防虫・防病・消毒などを目的としている。 日本では”農薬取締法”にて規制されている。

化学実験・研究を目的とした薬品※ 化学実験で反応させる目的で製造した薬品をさす呼称であり、メーカーが販売していることが多い。

2.最初の医薬品

17

2.最初の医薬品世界で初めての医薬品サリチル酸、アスピリンアスピリンの源流は紀元前に遡ることが出来ます。紀元前400年ごろ、ヒポクラテスは柳の樹皮を熱や痛みを軽減するために用い、葉を分娩時の痛みを和らげるために使用したという記録が残っている。柳の鎮痛作用はギリシャ時代から知られていました。古代ローマの書物には柳は腹痛、痛風、リウマチなどに対する鎮痛作用のほかに、出血を止める作用、ウオノメを治す作用があると記録されている。また、古代インドや中国でもギリシャ同様に柳の鎮痛効果はよく知られていた。

18

2.最初の医薬品<大量生産>1866年ケクレは薬の合成の元になる C6H6のベンゼン環の構造を解明した。これにより薬品の合成ができるようになる。エドワードストン神父がサリックスアルバ(柳の木の一種)の葉より 6 年かけて柳の樹皮から薬効成分として、サリシンを分離。サリシンの分解物であるサリチル酸の抗リウマチ作用確認。天然サリチル酸に代わって、合成サリチル酸を利用することが可能になる。

19

2.最初の医薬品これによってリウマチ熱の治療に用いられるが、患者が耐えられないほどの苦味や胃障害などの重大な副作用があった。その後、ドイツバイエル社のフェリックス・ホフマン博士は、これに代わる副作用の少ない新しいリウマチ薬の開発に1897 年 8 月 10 日に成功した。*サリチル酸をアセチル化して副作用が少ないアセチルサリチル酸の合成に成功した*彼はこの時 29歳だったこれが世界でも非常に有名なアスピリンである。

20

2.最初の医薬品 アスピリンは痛み止めとしての効能をもった薬として、使われていた。 アスピリンは多彩な生理作用があり、凝血を抑える作用もあり、脳血栓にも有効であることがわかってきました。 その反面として、怪我をしている人には使っていないことも同時にわかってきました。

21

薬は開発が終わった後も副作用の情報を継続的に集めることが大切→ “育薬”・“ドラックリポジショニング”

3.戦後の薬害

22

3.戦後の薬害薬害とは、薬(特に医療用医薬品)を利用することによって生じた不都合な症状に対して、きちんとした説明がなされず、患者・家族にとって肉体的・精神的な納得感が得られなくなった状態のことをいう。裁判は、その最終的な形といえる。→適切に利用していれば、社会的に大きな問題になることのなかった事象。

23

3.戦後の薬害薬が人体にとって有効であることは当然である。しかし、薬は不都合な面も併せ持っている。そのため、ただ単に副作用が出ることが薬害というわけではない。薬の副作用をできるだけ抑えるためには、患者と医療関係者(主に医師)との意思疎通が重要である。

24

3.戦後の薬害year_display description 国の対応1948年 ジフテリア予防接種禍事件1955年 報告が出ている1956年 ペニシリンによるショック死1958年 国内販売開始1961年 レンツ警告あり:疫学的因果関係のみでメカニズムは未解明1961年 国民皆保険開始1962年 販売中止1963年 訴訟1965年 アンプル入り風邪薬によるショック死1967年 PMS開始 *1967年 ストレプトマイシン、カナマイシン等の抗生物質による聴力障害1968年 クロラムフェニコールによる再生不良性貧血1969年 クロロキンによる網膜症1970年 →販売中止、回収 大規模薬害事件1970年 ( )キノホルムによる亜急性脊髄視神経症 スモン事件1970年 ( )予防接種事故 種痘1973年 筋肉注射液による大腿四頭筋拘縮症1974年 製薬会社(大日本製薬)および国との和解が成立1975年 ( (DPT) )予防接種事故 三種混合 ワクチン1975年 保育器に収容時の酸素供給による未熟児網膜症1979年 薬事法改正 *1979年 医薬品副作用被害者救済基金法1983年 エイズ感染の危険性の認識がアメリカ、西ドイツ、カナダで承認された1993年   →販売開始 一ヶ月後に有害な副作用が報告される1995年 自主的に承認を取り消し、製品在庫処分を実施した1996年   → FAX薬事法改正 緊急 報告1997年 GPMSP   →法制化 使用成績調査・特別調査 *1997年 GCP   →     PMDA法制化、医薬品医療機器審査センター創設 2004年 として独立1997年 感染報告の義務化 *1998年 外国臨床試験データの受け入れ2000年 市販直後調査制度新設 *2002年 →薬事法改正 感染症定期報告制度 *2004年 生物由来製品感染等被害者救済制度 *2005年 GPSP GVP GQP GPMSP省令、 省令、 省令制定、 省令の廃止 *2008年 藤本製薬が希少疾病用医薬品(多発性骨髄腫)として、販売開始2010年 東京工業大学と東北大学の研究により原因が判明

スモン事件

サリドマイド事件

薬害エイズ事件ソリブジン事件

スモン サリドマイド薬害エイズ

ソリブジン

3.戦後の薬害<サイドマイド事件> サイドマイドとは、国内では”イソミン”として市販されていた 症状:市販後に奇形児が生まれる副作用が発見される 戦後の薬害の原点となる事件 海外(ドイツ:グリュネンタール社)で開発された。日本では独自に開発し大日本製薬が販売した 概略

1958年 国内販売開始 1961年 レンツ警告あり:この時点では、疫学的因果関係のみでメカニズムは未解明 1962年 販売中止 1963年 訴訟 1967年  PMS開始 1974年 製薬会社(大日本製薬)および国との和解が成立 2008年 藤本製薬が希少疾病用医薬品(多発性骨髄腫)として、販売開始 2010年 東京工業大学と東北大学の研究により原因が判明      →これにより類似薬の可能性が出てきた

26

3.戦後の薬害<サイドマイド事件><教訓>  副作用モニター制度  製薬企業からの副作用報告制度  国際医薬品モニター制度  薬局モニター制度

27

スモン事件 スモンは整腸剤 最初は原因不明であり、風土病やウイルスの説も流れていた

1955年 報告が出ている 1970年 販売中止、回収→大規模薬害事件 1979年 薬事法改正 1979年 医薬品副作用被害者救済基金法

28

ソリブジン事件 抗ヘルペスウイルス剤として、優秀な薬剤であった。 併用薬(抗がん剤)の検討が不十分であった

1993年 販売開始 →一ヶ月後に有害な副作用が報告される 1995年 自主的に承認を取り消し、製品在庫処分を実施した 1996年 薬事法改正 →緊急 FAX報告 1997年  GPMSP法制化 →使用成績調査・特別調査 1997年  GCP法制化、医薬品医療機器審査センター創設 → 2004年  PMDA として独立 2000年 市販直後調査制度新設

現在では抗ヘルペスウイルス剤は他1薬品のみである29

薬害エイズ事件 血友病患者向けの生物由来製品の薬害 非加熱製剤の中に HIV ウイルスが混入されており、日本では

1980 年代後半に HIV感染が広がった 1983年 エイズ感染の危険性の認識がアメリカ、西ドイツ、カナダで承認された 1997年 感染報告の義務化 1998年 外国臨床試験データの受け入れ 2002年 薬事法改正→感染症定期報告制度 2004年 生物由来製品感染等被害者救済制度 2005年  GPSP 省令、 GVP 省令、 GQP 省令制定、 GPMSP 省令の廃止

海外でも同様の事件が起こっていた、特にフランスでは刑事責任を追及された30

製薬会社が Sier に求めること

31

製薬会社が Sier に求めること GxP 分野については、製薬企業は Sier に対して、以下の知識が要望されます。

導入パッケージに対する専門知識 業務に対する専門知識 最低限のプロジェクト管理経験 国内海外の規制に対する知識と経験 CSVについての知識と経験

32

製薬会社が Sier に求めること CSV とは

厚生労働省 CSVガイドラインでは,医薬品等の品質確保のために,コンピュータ化システムバリデーション実施を要求しており,分析データ解析のための PC や,マイクロコンピュータ等を内蔵した分析装置のみならず,それらを運用する組織,設備等も CSVガイドラインの適用を受けます。

詳細はこちら。 http://members3.jcom.home.ne.jp/yrq01133/computer_guideline/20101021_1021-11.pdf

33

製薬会社が Sier に求めること製薬企業は規制がいっぱい。特に GxP規制は数々あるため、初期ハードルが高い。 Part11 ER/ES 、日本版 ER/ES GAMP 4/5

GAMP4 : Vモデル GAMP5 :スパイラルモデル

カテゴリ  3/4/5 カテゴリ3:設置のみのソフトウェア カテゴリ4:設置とパラメータの変更のみのソフトウェア カテゴリ5:システム開発を行うソフトウェア

34

製薬会社が Sier に求めること Part11 について

1997 年に FDA が制定した規約で、医薬品や食料品の販売許可申請の際に使用する電子データの電子証明について、尊守するべき要件をまとめたもの。 「安易に改善されない」「変更した際に履歴が残る」などが要件として挙げられており、これらを満たすことで電子データや電子署名が従来の紙の記録や手書きの署名と法的に同等の効力を持つことを保証している。 日本では、 2005 年 4 月に厚生労働省医薬食品局から「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電子的記録及び電子署名の利用について」が発行された。これが日本語版 Part11 とみなされており、医薬品などの製造販売する企業では電子データ・電子署名の管理について対応する必要がある。

35

製薬会社が Sier に求めること ER/ES 、日本版 ER/ES について

ER/ES 指針の適用範囲と目的は、次のようになる。 薬事法が適用される医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器に関わる規制に おいて、提出または保管が義務付けられている記録や署名について、従来の紙 の記録の代わりに電磁的記録を使用する場合、もしくは従来の手書き署名 (記 名・捺印を含む ) の代わりに電子署名を使用する場合に適用される。

ER/ES 指針では新たに 電子データの見読性 保存性 正確なタイム スタンプ 電子署名 コンピュータ・システムのクローズド・システム、オープン・システムの区分

36

製薬会社が Sier に求めること ER/ES 、日本版 ER/ES について

真正性、見読性、保存性の 3 原則は診療録を電子保存する場合に義務づけられている「診 療録等の電子媒体による保存について」 (平成 11 年 4 月 22 日 ) でも要求されている。

37

製薬会社が Sier に求めること ER/ES 、日本版 ER/ES について

真正性 セキュリティを保持する。 電子データの作成者と責任者を明確にする。 電子データを変更する場合は、監査証跡 ( いつ、誰が、何を、理由 (必要に応じて ) 、 変更前の記録、変更後の記録 ) を残す。 バックアップを適切に実施する。

38

製薬会社が Sier に求めること ER/ES 、日本版 ER/ES について

見読性 電子データの内容を必要に応じて、容易に見読可能な状態にできる ( すなわちデ ィスプレイや紙に表示できる ) 。 (補足事項 )

ダンプリストのようなコード化されたデータでもデータ定義表を用いて、デー タの内容が解読できれば、最低限の見読性があると判断できる。 コンピュータ・システムの常時稼動を要求するものではない。

39

製薬会社が Sier に求めること ER/ES 、日本版 ER/ES について

保存性 薬事法及び関連法規、関連通知に定める保存期間内、真正性・見読性が確保された状態で保存する。 (補足事項 )

CD-R などの電子媒体には寿命があることに注意する。

40

製薬会社が Sier に求めること タイム・スタンプ

ER/ES 指針では、監査証跡への正確なタイム・スタンプが要求されており、このタイム・ スタンプはコンピュータが自動的に刻印する必要があるとなっている。つまり、日時の不 正設定や誤設定の防止対策が要求されている。 タイム・スタンプにはさまざまな方法があり、その正確性などは各社で評価し選択する ことになる。

(例 ) 各コンピュータの時刻を利用してタイム・スタンプを付加する。ただしコンピ ュータの時刻は、管理者以外は変更できず、またコンピュータの時刻は正確な 外部時計 (時刻サーバー、電波時計、時刻認証局など ) と定期的に自動同期させる。 比較的容易。 正確な外部時計 (時刻サーバー、電波時計、時刻認証局など ) と自動同期をとった サーバの時刻を直接タイム・スタンプとして付加する。専用のソフトウェアを 利用する必要がある。 時刻認証局のサービスを用いてタイム・スタンプを付加する。高価である。

41

製薬会社が Sier に求めること 電子署名

ER/ES 指針の電子署名について 薬事法、 GCP で署名・捺印が要求されているものを電子化しようとすると、電子的な署 名・捺印が必要になる。 ER/ES 指針には電子的な署名に対する要求事項が記載されている。 ER/ES 指針では、電子署名とデジタル署名という二つの用語によって区別されている。

電子署名 電子データに対して、紙に対する署名・捺印と同等のものとして行われる署 名。署名行為全般を意味し、特定の技術に限定していない。 デジタル署名 暗号化技術に基づく電子署名。 ER/ES 指針ではデジタル署名は電子署名の形 態の一つと考えられている。デジタル署名の例としては PKI(Public Key Infrastructure: 公開鍵暗号基盤 ) が有名である。 ER/ES 指針のデジタル署名を 通して、電子署名法の電子署名と関連性・整合性が確保されている。

ER/ES 指針では電子署名に対して次のことが要求されている。 「電子署名及び認証業務に関する法律」 (平成 12 年 5 月 31 日 法律 102 号 ) に基 づき、運用・手順が文書化されており、適切に実施されている。

各個人を特定できる唯一のもの。 署名者名、署名日時、署名の意味 ( 作成、確認、承認など ) の明示。 42

製薬会社が Sier に求めること PKI は暗号化技術に基づく電子署名方法であり、 ER/ES 指針のデジタル署名にも相当する。 日本では、電子政府、電子自治体などで広く採用されている技術である。   (補足事項 )

米国では、 ID とパスワードにより本人を認証し、データに対して署名に相当す る情報を関連付けることによって電子署名を行ったと見なす方法が許されてい る。日本ではこの方法による実績はまだない。 署名と認証の違いを理解することが重要である。認証は本人であることの確認 であり、署名は正当性を保証するために付加される情報である。

43

製薬会社が Sier に求めること PKI(Public Key Infrastructure: 公開鍵暗号基盤 ) 認証局が発行する電子証明書を用いて電子データに対して暗号化技術による署名・認 証・暗号化・複合化を行う方法である。電子署名に関して言えば、電子証明書が印鑑に相 当し、電子署名が押印に相当する。電子メールの署名・暗号化 (S/MIME) も、この技術を使 用する。

44

製薬会社が Sier に求めること http://www.jcroa.or.jp/agreement/document/it/ER-

ES01.pdf#search='eres' オープン・システムとクローズド・システム

45

基礎用語名称 説明薬事法 日本における医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器に関する製造、販売、基準・検定、取

扱い、広告規制などについて規定した法律(昭和 35 年 8 月 10 日法律 145号)。GLP : Good Laboratory Practice 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準。非臨床試験における動物試験に関する基

準で、とくに毒性試験についての基準を定めたもの。CMC : Chemistry, Manufacturing and Control

申請書類における原薬・製剤の、 Chemistry (化学)・ Manufacturing (製造)・ Control(品質管理)の情報のこと。 CMC は、原薬プロセス研究と製剤開発研究、それに品質評価研究を統合した概念で、これらに関する仕事全般のことを指す。製薬企業における CMC部門は、非臨床試験、臨床試験から申請までに関わる幅広い業務を担っていることが多い。

GCP : Good Clinical Practice 医薬品の臨床試験の実施に関する基準。ICH 日米 EU 医薬品規制調和国際会議。新薬承認審査の基準を国際的に統一し、医薬品開発の効

率化と迅速化を促進することを目的とする。GMP : Good Manufacturing Practice

医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令。医薬品等の製造所における製造管理、品質管理の基準のこと。

PV : Pharmacovigilance ファーマコビジランス。医薬品の安全性監視に関する活動。製造販売承認を取得した製品は、その製品を供給している期間は安全性に関して注意深いモニタリングと継続した調査を実施する。

GQP : Good Quality Practice 医薬品などの品質管理の基準GDP : Good Distribution Practice 医薬品物流に関する基準。GPSP : Good Post-marketing Study Practice

医薬品製造販売後調査・試験の実施の基準GVP : Good Vigilance Practice 医薬品などの製造販売後の安全管理基準。

46