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2016年度日本デジタルゲーム学会発表

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Page 1: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

日本ゲーム産業史を見る視点:共進化から競争へ

小山友介(芝浦工業大学)

Page 2: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

話のつかみ:エッグラとチキーラ

ゲーム産業論• ゲーム産業の実態を議論• 根拠の無い議論ではダメ

ゲーム産業史• ゲーム産業の歴史を議論• 単なる事実の羅列ではダメ

「何を見るべきか」を提供

「主張の根拠」を提供

車輪の両輪的関係

※某国民的 RPG4リスペクト

Page 3: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

今日の内容 産業論と産業史:車輪の両輪

最初の一冊:両方を同時に提示し,議論空間を定義する役割

拙著『日本デジタルゲーム産業史』 2016年 6月 30日発行 産業史の議論空間を規定(したつもり) あくまでも小山見解ですが・・・

本発表 自分の著書の Postmortem的なモノ 産業論への橋渡し準備 概念の詰めが甘かった箇所を整理

Page 4: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

拙著の反省:時代区分再論 拙著第 1章の議論:議論の大枠を定義

内容は薄いかもしれないが,重要な箇所 今から思えば,不満も多い

拙著:各市場( PC,アーケード,家庭用)で時代区分 ゴチャゴチャして分かりづらかった・・・→もっとシンプルにする必要あり

  78 79   82 83 84 85   90 91 92 93 94 95 96 97   2001   2003 2004   2010現在アーケードPC家庭用オンラインケータイ

携帯ゲーム期

携帯電話 ソーシャルゲーム

2D 8期(ビット期) 2D 16期( ビット期)2D 8期(ビット期) 2D 16( ビット期)

黎明期黎明期

現在

3D期 オンライン/カードゲーム期3D期/ノベルゲーム期

3D期

黎明期黎明期黎明期

2D 8期(ビット期) 2D 16期( ビット期)

拙著 1章に出した各市場の時代区分

Page 5: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

時代区分案(新)コンピュータゲームの誕生~ビジネスの基本確定まで  おおまかに、 1980年代前半( FC誕生)までゲームビジネスの基本が確定し、市場が拡大する時期  技術的に, 2Dグラフィクス全盛期と重なる  途中で 8ビット→ 16ビットの移行発生

黎明期

3市場期( 2D期)

5市場期( 3D期)

新市場の誕生やビジネス巨大化など、産業構造が激変  日本ゲーム産業の絶頂期&没落の開始  技術的には, 3Dグラフィクスの普及・定着と重なる現在

(スマホ期?)

オンラインとスマホの台頭、競争環境の変化  市場の中心:家庭用→スマホへ  市場の関係:共進化から競争へ 

いいネーミング募集中です

Page 6: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

時代区分(新)にそった拙著構成

16章:現在• (短いが)事実上の第 3 部• 共進化から競争への転換• 全体まとめ

1章:ゲーム産業の歴史とは何か• 各種定義& 2D期までの概念整理

2章:前史• アタリショックまで• 主に米国市場

3~8章:• 黎明期~2 D期• 事実上の第 1 部

9章: 1994年の激変• 3D期以降の変化概説• 競争のルールが大変化

10~15章:• 3D期 +現在の一部(ソシャゲ/ PCオンライン)

• 事実上の第 2 部

太枠:概念的な議論が多く含まれる章

Page 7: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

産業論に向けて(1)産業に影響を与えるプレイヤー確定

ゲーム会社ファースト/セカンド/サード

消費者(ゲームプレイヤー)

流通

産業内

社会( PTAなど)

政府(公取,裁判所や官庁など)

産業外

関連産業(コンテンツ産業, ICT産業)

マスコミメディア

境界的

他産業の企業(参入予備軍)

狭義の産業史・産業論

広義の産業史・産業論

Page 8: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

産業論に向けて(2)パターン抽出1. 産業史を通じて繰り返し発生する「パターン」の抽出

市場競争のパターン,社会問題化するパターン,… 市場・時代問わずに発生

「法則」の代わりとなる経験則的なもの

2. その「パターン」の性質を分析 製造業や情報通信産業に典型的な現象? ゲーム産業特有?

拙著・あとがきで示した 3つのパターン 社会的害悪,知的所有権,ホーム/パーソナルなサー

バ 社会的内容に寄りすぎ

もっとあるはず

Page 9: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

産業論に向けて(3)視点・認識枠組み 大きな視点と小さな視点

進化の大枠(可能性の空間)を決める=大きな視点 大枠内で,何が実現するかを決める=小さな視点

大きな視点:時代の「流れ」のようなもの 情報通信産業の進化:技術的な可能性空間を決定

小さな視点:パターン的なもの 社会的な制度・規制:内容面での可能性空間を決定

国内だけだと大きな視点,世界比較だと小さな視点 市場間の競争形態:家庭用中心, PC中心など 消費者文化 外的環境(周辺産業など)の影響

Page 10: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

大きな視点:情報通信産業と共通 ゲーム産業の発展の技術的大枠を決める流れ1. 専用機 vs 汎用機

過去:性能不足→専用機優勢 ゲーム機,ワープロ,音楽プレイヤー,デジカメ・・・

現在:性能が収斂,量産効果で汎用機が有利に PC と スマホ(元音楽プレイヤー)が全て飲み込む

2. パッケージ(スタンドアロン) vs サービス(オンライン)

過去:定期的なメンテナンスコスト大→サービス不利 現在:インターネットでメンテ・更新コスト軽減→一

般化 日本と海外で発展経路が異なる

PCカジュアルが強かった海外,ガラケーからの日本

Page 11: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

小さな視点:ゲーム産業固有? 予稿で書いた 2つの議論1. 開発者とプレイヤーの共進化による難易度上昇

内容のマニア化→初心者離れ→シリーズ先細り・衰退 時にはジャンルごと衰退:シューティングが典型例

2. ゲームの重厚長大化&高コスト化 (技術要因1)ハードの表現力の上昇 (技術要因2)記録メディアの大容量化 1 .と同じ要因:マニア向けアピール合戦

Page 12: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

大枠の変化:共進化から競争へ 技術制約→競争環境→日本的適応の結果

過去:市場間で相互に「影響」 性能面・内容面で差が大きい→競合度は弱い→相互影響

現在:市場間で相互に「競争」 性能面・内容面で差が縮小→競合

2つの戦い:リビングルーム端末&ハンディデバイス 据置機 vs PC・・・ほぼ同一ゲームでの争い

パッケージは家庭用,オンラインは PCが有利 性能面の差は無し:家庭用ゲーム機≒安価なハイエンド PC

携帯機 vs スマホ・・・パッケージ vs サービス スマホが全ゲーム市場の中心を占めるように

性能・普及台数に圧倒的な差

Page 13: 2016年度日本デジタルゲーム学会発表

まとめ:ひとり反省会みたいでしたが・・・ 産業史から産業論へと橋渡しをするための考察

プレイヤーの確定 パターンの抽出 認識枠組みの整理

産業論のために必要なこと 時代・市場(プラットフォーム)に共通する議論の抽出と構築

何年後かに・・・『ゲーム産業論』と言う本を書きたいです