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Curio Lab 2015312フィンランドから学べ!

Curio Lab #1 『フィンランドに学べ!』

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Curio Lab 2015年3月12日

フィンランドから学べ!

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フィンランドについて

面積は33万𝑘𝑚2

日本は訳38万𝑘𝑚2

人口は560万人

日本は約1億2000万人

国土の4分の1が北極圏内であり夏は「白夜」となる。

国土の約7割が森林、1割が湖沼、湖の数は18万とも言われ、「森と湖」の国と呼ばれている。

ほとんどの人が湖畔に別荘を所有しており、長い夏休みをそこで過ごす人が多い。

ムーミンやサンタクロース、サウナ、キリシトールでも知られる。

2003年、経済協力開発機構(OECD)が世界41カ国の約27万6千人の15歳を対象に学習到達度調査(PISA)を実施し、フィンランドの子供たちは、数学・科学の応用力・読解力・問題解決能力の4分野においてトップクラスの成績を収めた。

2010年7月1日から、全てのフィンランド人はインターネットに接続する権利を「国が法律で保証する」と宣言し、国内の通信事業者26社を、国内全域を対象にサービスを提供する事業者に指定。

北欧社会では、国民IDの導入が早くから実行され、それを利用した電子カルテの利用や、各種申請業務の電子化といった、政府主導の優れたICTの活用が成功。

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教育改革は1990年代から始まった

背景は1991年のソ連崩壊

ソ連崩壊前までは、林業と西側の化学工業で発展し、対ソ連貿易で経済を発展(西側と東側の貿易中継地点)

ソ連崩壊後、対ソ連輸出が3分の1になり、失業率が0%→約20%になる。

1995年に教育改革が始まる。

担当者はオリベッカ・ヘイノネン

行った政策は国の裁量を小さくする自由教育改革

▪ 国の教育に関わる部門をまず、教育省(学校の設備や教師の待遇担当)と国家教育委員会(教える内容を担当)

に分けた。

▪ 最低限教えなければならないナショナル・コア・カリキュラムを作成し、教育関連のあらゆる知識や情報をデータベース化した。

▪ 義務教育の提供責任を基礎自治体(市町村など)に課し、学級編成の目安や学校予算の配分は自治体の仕事となった。

▪ ナショナル・コア・カリキュラム以外の教育内容については、基礎自治体か学校理事会が教員や生徒、保護者代表と相談し、自由に内容を追加できることとなった。

▪ 学校教育がうまく行っているかという評価も、自治体や学校などの自己評価で行われ、それを一般に公開することで市民の評価を得るという形になった。

2004年に改訂

90年代末に9年生対象の学力テストで首都と北部で成績格差が生じた。

改訂した教育指導要領では、教える内容を増やし、評価を付ける統一基準、義務教育終了時の成果基準も定めた。

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フィンランドは「9・3制」で一定の学力まで引き上げることを大事にしている。

1年のプリスクールがある(6歳)

プリスクールは小学校に通う準備段階で、子供が小学校に馴染めるかどうかを確かめる。子供が学校に馴染めそうに無ければ、入学を1年間見合わせる。

基礎学校は9年(7歳~16歳)

フィンランドでは1クラス20~25人前後、都市部では35人になることもある。

小学校に入学して5~6週間は、「スムーズ・スタート」期間として、生徒の様子や特性を観察する期間が設けられる。プリスクールから受け継いだファイルや、保護者との面談を通して、生徒1人1人の特徴や注意事項などの情報を収集する。

日本の小中一貫校にあたる基礎学校には「10年生制度」がある。9年間で一定の成績を挙げられなかった生徒がもう1年、無償で学べる留年制度で、専用カリキュラムまである。

高校は3年

普通科高校(大学進学のため)か職業専門学校(資格取得のため)に行く。

第5志望まで提出すれば、各高校の校長が成績などの書類審査で合否判定する。高校には学年がなく単位制。生徒は2-4年で卒業する。

大学は学部3年、修士2年が基本

全国統一の高卒卒業資格試験(4科目)にパスした上で、大学ごとの入学試験を受験する。たいていは学部ごとの指定専門書を読んだ上で、エッセイ(小論文)を書くテストで、卒業資格試験の成績と合わせて合否が決まる。

普通の大学(研究が目的)と職業専門大学(実技中心)の2タイプ

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各学年、地域に密着した授業の例

Miikkaさんの小学校時代の経験

低学年の内は読み書き中心の授業

織物の授業もあった。

ストロンベリ小学校・・・フレネ教育(実践、手を動かすに特化する教育)を重視

小学校の時に木工、出版などをグループで行う。

地域の両親が参加してものづくり授業を教える。

地域の環境保全活動にも参加

ヴォーサリ基礎学校(中学校)

国内のお金の流れから国や企業などの社会機構を勉強する。

日本人の訪問者がいたので、国際貿易関係の話に発展

ちなみに、フィンランドの大学入試問題

2030年に我々が食するものは何か

ヘリ・ラークソネンは南勢地方の方言で書いています。詩を方言で書くとどのような考えがわいてくるか

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優れた教員を学校に輩出する仕組みが整っている。

教師は学びを教える人、支援する人

知識というものは自らの力で更新可能なもの(取得すべきなもの)で、かつ周りとの協力によって作り出されるもの

学び方、知識の組み立て方を中心に教える。(サポートする姿勢)

教員養成に時間をかけている

フィンランドで教師になるにはまず、教育学部の教員養成学科に入学する必要がある。

▪ まず全国統一の筆記試験がある。

▪ 次に各大学で、コース別(小学校担任か、中学以上の教科担任)で筆記試験

▪ 最後は個人面接とグループディスカッションで、6人の試験官が独自に採点した結果を集計。

1年生から5年生(修士)まで現場で教育学を学ぶ

▪ 教育学部1年生から、3~4週間の教育実習があり、最初の課題は生徒1人1人の観察。

▪ 最終学年5年生の教育実習は、実際に授業を担当する実習で、期間は1ヶ月が2回。

教員に大きな裁量があり、カリキュラムや教科書を創ってもよい

教員は1人の研究者(自分が授業を作って自分の生徒の成長を試す)

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質問・議論

最大の成果はOECDのPISAで一位を獲得している。

PISAは、知識偏重型というよりもリテラシー型のテストであり、それに秀でているということは、自分で考える ことができている。

Q1.実際どのくらいこの考え方が広く浸透しているの?先生達がナレッジをシェアするインフラはある??

基本的に地域や先生毎による個別カスタマイズが中心。地域に学校が点在しているので、なかなかシェアしづらい。同様にTeach for ○○のように社会人が学校に来るようなことも多くない。教育に

おいて専 門性が求められる場面があれば、外から人材を連れてくるのは、一つのソリューションになりうるが、日本でも見られるようなクローズな専門性、社会を知らない専門性のようなものになっていない

のか は少し疑問が残るところ。

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質問・議論

Q2,フィンランドの中で教師という職業は人気なの?

弁護士や医者と同じくらいの扱いでも給料は高くない。なぜ人気か?学級崩壊やモンスターペアレントと呼 ばれてしまう保護者の存在はなくはないが、少ない。

医者や弁護士と同様、先生は信頼されているのがその理由。先生の裁量が大きく、地域に密着して勉強を 行うことなどもよくある。休暇が多いことも特徴の一つであり、年間を通じて3ヶ月ほど休むことができ る。授業うまくいかないと苦しんでいる先生は10%ほどいるというデータもある。

一方、日本では近年指数関数的にいまの職場を辛いと考える先生が増えているという研究もある。先生の ためのナレッジシェア型アプリサービスからの知見によると、12年くらい経った後、もしくは2~3年くらいで精 神疾患になる先生が多いとのこと。12年経過すると、時代が変わり、いままでの自分の教育スタイルが通用しなくなることが理由として考えられる。

キュリオの立ち位置はどこを目指すべき?

自由度が高くて、学校では出来ないことを担うべき。5~10年後には学校でもやらなければいけないこと になっていくかもしれない、”クリエイティビティ”に対して尽力する。Curioが考えるべきこととして、

curioに通うお子さんと保護者のリレーションを良くする視点や仕組みを持つべき。

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参考文献

『平等社会フィンランドが育む未来型教育』,ヘイッキ マキパー

『フィンランドの先生学力世界一のひみつ』,リトヴァ ヤック‐シーヴォネン,ハンネレ ニエミ

『フィンランドの教育力 – なぜPISAで世界一になったのか』,リッカ パッカラ

『フィンランドは学力の先を行っている』,福田 誠治

『競争やめたら学力世界一』,福田 誠治

『格差をなくせば子供の学力は伸びる』,福田 誠治

『フィンランドは教師の育て方がうまい』,福田 誠治

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