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Individualization of japanese marriage

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戦後日本における結婚の個人化―自律性・文化的資源・出会いの機会―

打越文弥文学部社会学専修課程

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Quiz

直系家族家督権を持つ家長と相続権を持つ長男を中心とする世代間秩序

個人化伝統的な社会制度から解放され,個人が再生産の単位となること

同類婚同じ社会的背景(学歴、年齢など)を持つもの同士の結婚

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問題関心

ランダムに生じない人々の結合はどのようなメカニズムによって生じているのか?人々の結合によって社会はどのように

維持・変動するか?

結婚/配偶者選択のメカニズムとその帰結

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卒業研究における問題関心

• 配偶者選択に影響する         社会的諸力の検証

• 配偶者選択の結果として形成される   不平等の解明

• 形成された不平等に政策的に     介入することの妥当性

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卒業研究における問題関心

• 配偶者選択に影響する         社会的諸力の検証

• 配偶者選択の結果として形成される   不平等の解明

• 形成された不平等に政策的に     介入することの妥当性

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配偶者選択の分析枠組み

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個人化の中の家族と結婚

日本の家族における個人化

地域やイエのような共同体から解放され,近代家族のような新しい集団を形成し,結

果としてその近代家族すらも解体する

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直系家族と近代家族

直系家族

• 家の継承を目的とする組織

• 家督権を有する家長と長男による秩序と支配関係

• 結婚への介入

近代家族

• 夫婦と子どもを基礎とする核家族

• 相互に強い愛情をもって結びつき,信頼しあう家族

• 自由恋愛を許容

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結婚と個人化 

見合い vs 恋愛の二項対立

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家族社会学の政策志向性(補)

「近代福祉国家の成立が夫婦とその子供で成り立つ家族を親族組織から独立させる仕組みであったとすれば,個人化する家族をシステムとして成立させるためには,家族単位ではなく個人を単位とするサポート・

システムが必須となる」 2

102. 目黒依子 1999: 15

人類学・歴史研究からの反証

「親の意向を考慮しつつ配偶者と交際」 3

「見合いの後は互いに自由な恋愛をする」 4

見合いと恋愛は対立しない

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3. Edwards W. 1989. Modern Japan Through Its Weddings4. 阪井 2013. 家族主義と個人主義の歴史社会学 .

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親の影響力と自律性(autonomy)

Rosenfeld, Micheal. (2009) The Age of Independence. HUP.

教育程度が高くなると本人の自律性を促進させ,他人に対してもその人の選択を尊重

するような価値観を醸成しやすい。

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親の影響力と自律性(autonomy)

Rosenfeld, Micheal. (2009) The Age of Independence. HUP.

アメリカでは,青年期と成人期の間に  位置する独立したライフステージの段階に

 自律性が増すと考えられている。

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使用するデータと変数

East Asian Social Survey (EASS) を使用し, 

日本社会での配偶者選択に対して,   

いつ、なぜ個人の選択性が増したかを検討出会いの機会:見合い,紹介,自分で

親の影響力:「あなたが配偶者の方との結婚を決めた時、あなたの親の意見はどの程度影響しましたか。」

検証仮説:高学歴であれば親からの影響は受けない

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見合いと親からの影響力

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多変量解析

• 配布資料を参照 表 5, 6

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予測確率

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分析結果

結婚年齢を統制すると男性でみられた  学歴の効果は有為とならない

女性に関して 1950 年代以前に生まれた人 ではコーホート効果が見られない

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なぜ男女差があるのか?

男性稼ぎ主モデルが優勢だと、女性は  自ら経済的資源を獲得する手段をもたない

女性の労働市場への進出が個人の自律性を促進した可能性

1975 年に女性の就業率は 25-29歳、 30-34歳では共に 4割程度であったが、 2011 年にはそれぞれ 72.8%、 64.2%まで上昇 5

205. 総務省 2013 .労働力調査

配偶者選択の分析枠組み

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選好・機会・第三者の影響

第三者の結婚に対する影響力や機会構造が衰退すると,配偶者選択の要因として  

残るのは個人の選好

真っ先に考えられるのは学歴や収入などの社会的・経済的地位

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選好・機会・第三者の影響

しかし、家同士の結婚が優勢だった   時代にも、家柄や相手方の家の経済的な 

地位は考慮されたはず

イエ単位の指標が個人単位に変わっただけ

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学歴だけでいいのか?

「同じ大学卒の人の方が考えが合う」↓

学歴は地位だけでなく嗜好性も反映

資源としての文化的嗜好が配偶者選択に 対して影響を及ぼすか検討

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先行研究

階級と文化の一致 (Bourdieu 1984)

高級文化消費と学歴上昇婚の関係

(DiMmagio and Mohr 1985)

文化の雑食化命題 (Peterson 1992)

文化的雑食という資本 (Erickson 1996)

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データと変数の定義

• 使用するデータ: 2005 年社会階層と社会 移動に関する全国調査( SSM )

• 分析対象:配偶者を持つ 20歳から 70歳までの男女

• 文化:直近一年に消費している場合に1 、それ以外の時に 0 とする。

• その他:学歴とコーホート

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検討される仮説

男女の上昇婚に高級文化消費と文化的雑食は関係するか?

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高級文化と上昇婚

配布資料を参照 表 8

高校卒に限定すると、女性において高級文化 消費が上昇婚とそれ以外の結婚の形態とで  異なる傾向

若年層になるほど高級な文化を消費しない傾向

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文化的雑食と上昇婚

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ロジスティクス回帰分析

• 配布資料を参照 表 9

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分析結果

モデル 1-2:他の変数を統制しても高級文化消費は上昇婚に対して正の影響

モデル 3-4:世帯年収などを統制しても文化的雑食も上昇婚に対する正の効果

モデル 5:二つの変数を同時に投入すると、文化的雑食の効果が消え、高級文化消費の効果のみ有意

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インプリケーション

高級文化の消費自体はバブル経済以後は 減少傾向

結婚の機会構造が衰退した時代にあって、相対的に僅かな高級文化の消費者は結婚における希少性の高い文化資本を持つ可能性

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参考:文化消費と出会いの機会

学校という場では、高級文化消費が高校卒業で終わる女性と大学に進む男性結びつけ

る文化的資源となった?

職縁結婚花盛りし時代の会社という社会空間では、文化消費は資源とならなかった?

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脱制度化する結婚?

Two transitions in the meaning of marriage that occurred in the United States during the 20th century have created the social context for deinstitutionalization. The first transition … was from the institutional marriage to the companionate marriage. The second transition was to the individualized marriage in which the emphasis on personal choice and self-development expanded. Although the practical importance of marriage has declined, its symbolic significance has remained high and may even have increased. It has become a marker of prestige and personal achievement.

Cherlin, A. J. (2004). The deinstitutionalization of American marriage. Journal of Marriage and Family, 66(4), 848-861.

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Acknowledgement

East Asian Social Survey (EASS) is a collaborative work of

Chinese General Social Survey (CGSS), Japanese General Social

Survey (JGSS), Korean General Social Survey (KGSS) and

Taiwan Social Change Survey (TSCS) which was launched in

2006. Surveys in the CAFS project have incorporated EASS

2006 family module with slight modifications according to local

contexts.

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謝辞

〔二次分析〕に当たり,東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター SSJデータアーカイブから「 2005 年 SSM 日本調査」( 2005SSM 研究会データ管理委員会)の個票データの提供を受けました.

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