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スマートフォンが切り開く 公共交通の可能性 東京大学 生産技術研究所 伊藤 昌毅 53回土木計画学研究発表会 「公共交通はライフスタイルの不易流行にどうこたえるのか?」

スマートフォンが切り開く公共交通の可能性 土木計画学会2016春大会

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スマートフォンが切り開く公共交通の可能性東京大学 生産技術研究所

伊藤 昌毅

第53回土木計画学研究発表会「公共交通はライフスタイルの不易流行にどうこたえるのか?」

伊藤昌毅 (ITエンジニア・研究者)

技術 社会

フロントエンド:

地下鉄位置情報

公共交通オープンデータ推進

東京大学生産技術研究所助教◦ ユビキタスコンピューティング◦ 地理情報システム技術◦ ヒューマン・コンピュータ・インタラクション

静岡県掛川市出身

経歴◦ 2008-2010慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別研究助教

◦ 2010-2013鳥取大学大学院工学研究科助教

◦ 2013- 東京大学生産技術研究所助教

本年2月「交通ジオメディアサミット」を実現

「交通ジオメディアサミット 〜 IT×公共交通2020年とその先の未来を考える〜」2016年2月12日開催(東大駒場第2キャンパス コンベンションホール) 195人来場

IT,ジオメディア 交通

プログラム (前半)13:30〜14:00第1部趣旨説明と概論◦ 趣旨説明 IT×公共交通のこれから

◦ 伊藤昌毅(東京大学生産技術研究所)

◦ 国土交通省の公共交通政策とITの活用◦ 吉木務(国土交通省総合政策局公共交通政策部交通計画課地域振興室長)

14:00〜14:30第2部都市と地方の公共交通◦ JR東日本におけるスマートフォン向け情報提供サービスの研究開発~リアルタイム列車位置情報、駅構内ナビゲーションシステム、公共交通連携~◦ 日高洋祐(東日本旅客鉄道株式会社 JR東日本研究開発センターフロンティアサービス研究所)

◦ 地方公共交通再生に向けた3つの見える化◦ 森山昌幸(株式会社バイタルリード代表取締役)

プログラム (後半)15:05〜15:50第3部コンテンツプロバイダから見る公共交通◦ 誰もが使う「乗換案内」というツールと“バス検索の歩み”と未来像。

◦ 井上佳国 (ジョルダン株式会社公共交通部部長)◦ 「駅すぱあと」における路線バスデータの現状と、公共交通データがオープン化された未来について

◦ 諸星賢治 (株式会社ヴァル研究所コンテンツ開発部 バス制作チーム)◦ データが明かす公共交通の実態

◦ 太田恒平 (株式会社ナビタイムジャパン経路探索開発責任者兼交通コンサルティング事業 チーフエンジニア)

15:50〜16:35第4部公共交通を支えるコミュニティ◦ オープンなコミュニティによる地域課題解決

◦ 関治之 (合同会社Georepublic JapanCEO/CodeforJapan代表)◦ 「バス停検索」の開発・運用とそこに集う公共交通データ整備コミュニティについて

◦ 福田匡彦 (青い森ウェブ工房、バス停検索)◦ 路線図ドットコムが挑み続けた公共交通データの収集と整備の19年

◦ 伊藤浩之 (公共交通利用促進ネットワーク 路線図ドットコム制作)

16:50〜18:00ディスカッション「これからの公共交通データのエコシステム」

情報提供と反応

ImpressInternetWatch記事

何が語られたか?地域公共交通(バス)の現状

都市部の公共交通データ提供の現状(JR東日本)

公共交通データの整備◦ バスデータを集める難しさと現状◦ 各コンテンツプロバイダの状況

公共交通データ応用の可能性

新しいコミュニティの形◦ CodeforJapanと交通◦ 地域での取り組み

ユーザの意識:「スマホに出てきて当たり前」

2016年1月19日NHKNewsWeb

2015年10月25日 くらしの足をみんなで考える全国フォーラム2015ラウンドテーブル インターネットやスマホはくらしの足にどう踏み込むのか太田恒平氏スライドより

公共交通利用時のスマホへの依存

テーマ:利用者と公共交通との最大の接点がスマホになったとき、公共交通やその情報はどうあるべきか

スマホ:人の身体・意識の拡張先祖返り?

探す・調べる・考える・待つ→瞬間・最適思ったときに素早く◦ 待たずに情報が得られる◦ 待たずに乗り物に乗れる

より楽に◦ 考えなくてもどの車両に乗っていいか分かる

よりよいものを◦ 考えずに選んだものは最速・最安のもの

よりインタラクティブ(対話的)に◦ 知りたいときに知りたい情報が常に手に入る

ITのものづくりにおけるデザイン思考・UI/UXの重視

2009年設立

2011年サービス開始(SF)

2013年東京でタクシー配車開始

2015年 CMUの研究者40名を引き抜き

2015年福岡で実験中止

2016年 トヨタと提携

2016年京丹後市で「ささえ合い交通」

UI/UXとして後戻り出来ない到達点

MobilityasaService○○ asaService(XaaS)は元々クラウドコンピューティングの用語◦ SoftwareasaService(SaaS)、PlatformasaService(PaaS)、InfrastructureasaService(IaaS)など

人やモノという交通サービスのユーザを、個々の必要に合わせてカスタマイズされたモビリティのソリューションを提供

2015年ITS世界会議にてTheEuropeanMobilityasaServiceAlliance設立

個人→つながりみんなで集まるために乗る

みんなで乗る

動いたことを人に伝える

誰かの移動の役に立つ

「つながり」を確認し強化するメディアとしてのスマホ◦ 「社会」を生み出す原始的な本能に通じる部分

スマホで繋がり続ける人間関係ソーシャルメディア: Twitter,Facebook、Instagramなど

メッセージ: LINEなど

個人間取引: Yahoo!オークション、メルカリなど

オンラインでの関係性や評価が可視化され、オンライン/オフライン活動へ影響を与える◦ →信頼がまるで通貨のように流通?

シェアリングエコノミー個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービス◦ (平成27年総務省情報通信白書より)◦ Airbnb、Uber、Lyftなど「役に立つ」喜びを「信頼」を通貨として流通させる仕組み

人間社会の「理想」を現在の技術の上で実現してしまったもの◦ 資本主義の次という議論もある◦ 直接民主主義みたいなもの?

◦ 代議士制に比べて理想かも知れないが、社会はそれを受け入れられるほどまだ成熟してない

社会的に「よいもの」かどうかはまだ議論◦ 評価が蓄積される社会は住みやすいか?◦ 既にある「格差」を更に拡大する意見も

スマホ時代の公共交通根源的な人の欲求がかつてない次元で実現してしまうのがスマホ・インターネット◦ 瞬間・最適の追求◦ つながりの追求

「公共」を成り立たせる技術的基盤が様変わりし、新たなレベルで公共を成り立たせる必要性◦ 新しい公共/オープンガバメント/オープンデータ◦ シェアリングエコノミー