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ポコロンダンジョンズと リアルタイム通信
-‐‑ クライアント編 -‐‑
Grenge 袴田 大貴
自己紹介 • 袴田 大貴 (Hakamata Daiki) • 株式会社グレンジ所属 • ポコロンダンジョンズ クライアントエンジニア • リリース前から現在まで
https://www.facebook.com/D.hakamata
ポコロンダンジョンズ
アプリ紹介 • なぞるパズルRPG パズルブロック「ポコロン」をなぞって主人公を動かし、敵を攻撃してダンジョンを攻略!
• 1000種を超える装備, モンスター
• 大4人の協力プレイ「共闘」
アジェンダ
1. 構成 2. 同期方法 3. 具体例 4. 確率で発生する事象 5. 待ち合わせ 6. 再接続と強制同期 7. まとめ
1. 構成
構成図
curl (h+ps) WebSocket (wss)
(詳細はサーバサイドの塚原さんの発表で…)
リアルタイム通信 n プロトコル WebSocket : ブラウザでは定番 UDP : MMOでよく使われる RUDP : UDPとTCPの良いとこどり HTTP : ポーリング
n ミドルウェア Node.js : すべての処理を自前で実装, JavaScript Photon : クラウドあり, C#, WIndowsServer モノビットエンジン : クラウドあり, C++, LinuxServer
クライアント構成 n ゲームエンジン
Cocos2d-x v3.2.0
n 使用言語
ソケット通信 n iOS
AZSocketIO [ SocketRocket, AFNetWorking ]
n Android
Socket.IO-Client for Java [ Java-WebSocket ]
どちらも独自に改造済み
AZSocket Socket.IO-‐‑Client for Java
GRWebSocket
ポコロンダンジョンズ
実装構成
発生した問題 • バックグラウンド時の通信維持 • ソケットライブラリのメモリリーク • ソケット切断後GC多発 • 特定端末(Nexusなど)専用対応 • 意図的な切断と偶発的な切断の区別 • 通信保証 (再送) • 再接続
ソケット通信Libの改修 n iOS host, port, pathによる接続先設定 SSL対応 切断/再接続処理
n Android SSL対応 SSLContextのプロトコル複数対応 切断処理 (GC多発) JNI/マルチスレッド対応 イベント名+JSONデータ送受信
2. 同期方法
同期方法 n クライアント分散方式 サーバが中継, 各クライアントが処理 n イベント同期 特定のイベントをトリガとして同期 演算に必要なデータを送受信
なぞった!
中継役
その他の同期方法 n サーバ集中方式 入力をサーバに送信し、サーバが処理 結果を各クライアントに配信 n リプレイ再生 クライアント側は演算せず、再生のみ n フレーム同期 毎フレームに同期を行う
端末間の同期 • 盤面の色, 配置 • 敵の情報 • プレイヤー, 召喚モンスターの情報 • 被ダメ/与ダメ • ターン数 • ドロップ情報 全てをやり取りするとデータ量多い!
端末間の同期 • ポコダン は ターン制 → 他プレイヤーの操作を自端末で再現すればデータ量削減
(2, 4), (2, 5), (3, 6) をなぞった
再現します
通信保証
受領通知が来るまで一定間隔で再送 サーバ→クライアントの場合も同様
①送信
②受領通知
• 端末間ではなく端末-サーバ間で保証
3. 具体例
部屋生成〜クエスト開始
①部屋生成要求 ②接続確立&部屋情報同期
n ホスト
部屋生成〜クエスト開始
①部屋一覧要求
②部屋参加要求
n ゲスト
③接続確立&部屋情報同期
クエストの流れ
プレイヤーターン開始
なぞる A.スキル
なぞったマスを 歩きながら攻撃
C.スキル
敵ターン開始
移動前行動
移動中行動
移動後行動
クエスト中 (送信) n ターンの操作権限者が送る情報 • プレイヤ番号 • 行動タイプ (なぞり/スキル/リタイア/コンティニュー) • コマンドインデックス (送信情報のシーケンシャル番号) • (なぞり情報) • (使用したスキル情報)
プレイヤー : 2 コマンド : 0 タイプ : なぞり始め なぞり : (1, 4)
プレイヤー : 2 コマンド : 1 タイプ : なぞり中 なぞり : (2, 4)
・・・
プレイヤー : 2 コマンド : 5 タイプ : なぞり終わり
クエスト中 (受信) n なぞり始め 盤面を暗転 n なぞり中 なぞり情報を元に光るラインを再現 n なぞり終わり なぞりルートを確定 「送信者側の端末で起きた事象を自身の端末で再現」
4. 確率で発生する事象は どうする?
クリティカル, 回避, 状態異常 etc…
乱数(擬似乱数)
乱数生成器シード値 : A
乱数列 x1, x2, x3, x4, x5, …
乱数生成器シード値 : B
乱数列 y1, y2, y3, y4, y5, …
同一のシード値で初期化すれば、同一の乱数列が得られる
乱数同期
乱数生成器
乱数生成器
乱数生成器
乱数生成器
シード:X
全端末で同じ乱数列
複数の乱数生成器 n 可能な限りズレを抑止するために乱数生成器は複数
キャラクター毎に専用の乱数生成器
演出用の非同期の乱数生成器
乱数生成器 n メルセンヌ・ツイスター <random>ヘッダ 決定的 周期が長い 一様分布 高速 GRRandomUtility とライブラリ化して使用
OSとSTL n iOS libc++ (LLVM C++ standard library) n Android APP_STL := gnustl_static [Application.mk] C++標準ライブラリが異なるので、そのままではシード値を同期しても生成される乱数列が異なる
OSとSTL n AndroidをiOSに揃える
NDKのリファレンス APP_STL := c++_static (cocos2d-x v3.2の推奨NDKバージョンは r9d ですが r10dを使用)
5. 待ち合わせ
待ち合わせ
Ready Ready
Ready
待ち合わせ開始をサーバに通知
待ち合わせ
AllReady AllReady
AllReady
部屋の人数分揃ったらクライアントに通知
6. 再接続と強制同期
意図的/偶発的な切断 n 意図的な切断 専用のイベントをサーバに送信してから切断
これによって偶発的な切断と区別が可能 ・偶発的切断の発生件数検証 ・ゲーム内の通知メッセージ出し分け
疎通ロスト判定
Verification Verification
1P 2P 3P
疎通確認データを送信
疎通ロスト判定
VerificationResult
疎通を確認できたプレイヤーリストが返却
VerificationResult
VerificationResult
疎通確認プレイヤーリスト 1P, 3P
疎通ロスト判定 n 疎通ロストしたプレイヤーがターン操作権限を持っていた場合、ターンをスキップする
n (共通の仕様として)スキップ3回で部屋からキック
マナーの悪いプレイヤーの排除 安定した通信環境のプレイヤーのプレイを保護
再接続 1. 偶発的切断発生 2. 一定時間、再接続を試みる 3. 再接続に成功したら、クエスト復帰
キャリア回線とWi-Fiの切り替わりなど瞬断は起こりうる 「通信は切れるもの」として対策をする
強制同期 n 検証用の盤面情報を相互に送受信し、差異があった場合はホスト権限者の盤面に強制的に揃える
n 中断セーブデータ シングルプレイの仕組み クエスト情報をJSONに書き出しファイルに保存
シングルプレイで使用している中断セーブデータを流用 差異が生じたらホストのデータに全員ロールバック
7. まとめ
まとめ n 複数のプレイヤの情報を互いに送受信しつつ整合性を保つ、のがリアルタイム通信によるゲームのキモ
n ゲーム性に合わせた技術/同期方式を選定するのが重要
n 通信時間がどうしても発生するので、データ量は可能な限り削減する