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VR空間特有のリアルを追え 〜メイキング「エニグマスフィア」〜 よむネコ代表 (ジャーナリスト) 清士

VR空間特有のリアルを追え 〜メイキング「エニグマスフィア」

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VR空間特有のリアルを追え 〜メイキング「エニグマスフィア」〜

よむネコ代表 (ジャーナリスト)

新 清士

株式会社「よむネコ」

• 会社名:株式会社よむネコ 設立:2013年5月 代表取締役:新 清士

• ジャーナリスト、デジタルハリウッド 大学大学院准教授

• 『VRビジネスの衝撃 「仮想世界」が巨大マネーを生む』 (NHK出版新書)の著者

• VRのインパクトを受けて、どうしても自らの手でVRの開発を行いたいと考えた

よむネコのミッション

VR空間での居心地が最高に感じられる複数ユーザーのインタラクション環境の創世により社会の発展に貢献すること

ザックリ

メイキング・オブ 「エニグマ・スフィア」

https://www.youtube.com/watch?v=-QTxeROSc8k

15年12月 実現すべき3項目を議論12月中にプロトタイプで実現する3項目の仮説を決めた

①量産可能なものを保証する

【目的】1ヶ月に1本作れる謎コンポーネント群を生み出せるかを確認する

②VRならではの体感

【目的】Touchコントローラーと3Dサウンドによるおもしろさで、ゴールが楽しめるかを確認する

③ネット上でのコミュニケーション

【目的】VR内での協力プレーと、VR外のプレー動画の訴求を確認する

実はTVSの6ヶ月間はずっと悪戦苦闘

• GameJam方式を基本の開発手法とした

• プロトタイプのスクラップ&ビルドで開発を進める

• 中心にOculus Touchの体験を置いた

• 実際のハードがなかったため、すべて推測

• Razer Hydraが海外でテスト開発で行われていることを知る

• ヤフオクで2万円で購入、非常に重要な決定だった

16年1月12日のTVS開所式

• 1月5日からの1週間で、初チーム 3名で最初のゲームジャム

• UE4で何ができるのか、Razer Hydraを基準に開発

• 何とか動いている物ができて、VR開発ができる会社である証明ができた

2月20-21日のOcuFes「炎からの脱出」

• 1カ月かけて現在の脱出ゲームの要素をVRに持ち込むことを目指した

• 企画出しから、実装するも、おもしろいと感じられなかった

• 一部、FPS系の演出手法を取り込んだ

• 狭い橋を歩き、炎のエフェクトを協力に出す

• VRならではの非現実を狙った

幸い評判はよかった

ところが、そんなに甘くない

OcuFes版の課題•リプレイ性の低さ

•謎は一回答えを知ってしまうと終わり

•その後も答えが出ずに苦しむことに

•脱出ゲームの謎が解けない人が続出

•ヒントを出しても解けない人が続出

•難易度を下げるなりをすべき

•コントーラー移動では酔う人が続出

•移動体系の深刻な問題だがそれで行くと決めた…が…

3月30日のデモデイ1•GDCのために新が1週間米国に出張で、新し

い追加変更が全くできず

•Razer HydraからHTC Viveへの移植版

•結果は散々だった

•酔う!

•解けない!

•続く駄目出しに頭を抱えた…メンターたちから

•元スクエニ和田さん「FPS方向に進んだら絶対にダメ」とボロクソ

•ヒストリア佐々木さんから、ボロクソ

4月 チームはさらに混乱•「炎からの脱出」のままではダメということわかっている

が、  どう拡大すべきかもはっきりしない

• スタッフで個別に様々な企画案を出して議論したが、まるで答えが出ない

• ストーリーの追加、新しい謎の追加、新ルールの検討 ー すべて決定打にならず

• 「VRビジネスの衝撃」の最後の作業のためにホテルに3日缶詰、原稿チェック作業で計2週間が消滅

• 時間だけ過ぎていく

•正直かなり絶望的な気分になっていた

• 何かヒントがないかと必死に考える日々

• 移動方式をワープ方式を試してみることにした

転機となった一冊の本

• エリック・リース 「リーン・スタートアップ ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす」

• スタートアップの製品開発で、早い段階からデータ検証の重要性を強調

• 本自体は長く、提案されている手法もそのまま使えないが、仮説とその検証の重要性をあらためて確認

• OcuFesなどのイベントもよいがどうしても、回転率を考えると正確なデータが取れない

自分を信用しないことにした• ユーザーテストをGW期間中に行った

• メンバーの友人や関係者にお願いしまくり、20名ぐらい

• その様子を撮影し、本当に現状のゲームの何が問題なのかを客観的に明らかにすることを目指した

•「このゲームはおもしろくない」という仮説を証明!

• その後、ワープ方式の有効性を確認

• しかし、炎などの迫力が一切なくなるというゲームの根本を揺るがす状況も発覚

ユーザーテスト

• その後、ユーザーテストを繰り返した

• 一本橋や、炎の演出は捨てることにした >ワープ方式では無理

• メインプログラマーのアイデアで作っていたギミックなどをテストで試したところ効果があることを確認

• 現在のゲームのコアメカニクスが見えてくるようになった

ハンマーを使って物をぶっ壊すのは非常に楽しい

ハンマーを使って物をぶっ壊すのは非常に楽しい

探索やギミックを組み合わせた 脱出ゲームに

6月4日 Unreal Meetup Tokyoに出展

• 展示の評判はよく、自分たちの仮説が機能していることに自信を持つ

• パズル性を強調した脱出ゲームへと方向性を定めた

• その後も、いろんな人にプレーしてもらったが、アプローチの正しさを追認

• 意見の多くはゲーム全体ではなく、レベルをこう変更して欲しいとった中身へと移っていった

• 6月25日のユーザーテストでマルチプレイの検証を行い、当初の仮説通り、面白くなることが確認された

頂いたプレーの感想

(実際にイベント時にツイッターでつぶやかれたもの) • 「VR脱出ゲームの実機体験してみたけどレバー操作とハンマー投げるやつ、

やってるうちにリアルとの境界があいまいになってきて面白かった。」 !

• 「よむネコの「VR脱出ゲーム(仮)」をプレイ。 ガラスをハンマーで割るという体験が予想以上に爽快で、 歩き始めた幼児のように夢中でハンマーを振ったり投げたりした。」 !

• VR空間には「VR空間のリアル」が存在するのがわかってきた • >まだ、対応する単語がない

6月29日 デモデイ2• かなりの自信を持って挑めたが、実際に高い評価

を頂けた

• ヒストリア佐々木さん「普通に面白い」

• コアメカニクスはできあがっている状態で、どう広げるべきかも明確になっている

• 「Although still a prototype, Yomuneko’s game felt the most complete of the startups」(Tech in Asia)

• 今後は製品化を目指して物量を作るのみ!

• その状態で他の方の評価を受けられるところまで来た

①量産可能なものを保証する

②VRならではの体感

③ネット上でのコミュニケーション

 結果的に達成できていた!

企画を立てる際のゴールをチームで共有することは非常に重要

12月8日 Oculus Touch ローンチ• 製品版開発は9〜11月と、実質3ヶ月

• 相当な強行軍だった(わずか3ヶ月で5キロも太ったw 現在ダイエット中…)

• ローンチ後課題点

• 普及ハード台数と販売本数にネックがあって、マルチプレイの体験が難しい>本来目指していた体験を適切に提供できてない

• ゲームバランスを難易度を低めで、VR体験の満足度を高めるようにと目指したが、シングルでは物足りないとの感想多数

一方で 「梅田ジョイポリス」

バージョン

「梅田ジョイポリス」バージョン• 11月19日〜12月18日までの期間限定のロケーションテスト

• Oculus版の内容をViveで稼働させ、長さを短くした

• 結果は非常によかった。アンケート結果も良好VR酔いもまったくないということで、店舗も安心して勧められると好評

• VR+マルチプレイでの満足度の高さ、没入度の高まりを再確認

• 我々の仮説は現在も正しいことを確認している

• 今後の課題は「どうやって、多くの人にマルチで遊んでもらえるようにするか」

現在、 大型アップデートバージョンを

開発中 新規プロジェクトも……

仲間となってくれる方を探してます

• プログラマー(UE4だけど未経験でも可)

• ネットワークエンジニア

• 3Dグラフィッカー

を探しています。もし、ご関心がありましたら、ひと声下さい

• よむネコ採用ページhttp://www.yomune.co/recruit

第3期 春に応募が開始されます

スタートアップ参入を検討の方は、一声ください

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