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薬学部実務実習 実りある集合 実習のあり方(第一報) 〇黒田 雅子 、臼澤 亜矢子 、佐藤 昌義 、柴岡 美登里 那須 英司 、篠原 昭典 公益社団法人江戸川区薬剤師会 一般演題 ポスター発表「早期体験学習、実務実習」 登録番号:10282

薬学部実務実習 実りある集合実習のあり方(第一報)

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Page 1: 薬学部実務実習 実りある集合実習のあり方(第一報)

薬学部実務実習 実りある集合実習のあり方(第一報)

〇黒田 雅子1、臼澤亜矢子1、佐藤 昌義1、柴岡 美登里1、

那須 英司1、篠原 昭典1

公益社団法人江戸川区薬剤師会1

一般演題ポスター発表「早期体験学習、実務実習」

登録番号:10282

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【背景・目的】

薬学部実務実習が開始されて4年が経過し、コアカリキュラムも見直しが行われている。薬局実習では、一店舗完結が基本であるが、薬剤師会主催の集合実習については、他区においても様々な形で取り組まれており、公益社団法人江戸川区薬剤師会(以下、本会)においても、実習開始初年度から、試行錯誤を重ねながら、よりよい集合実習のあり方について検討を重ねている。

本研究では、実務実習生の意識調査を行い、実習前後における学生の実習に対する意識の変化および薬剤師主催の集合実習のあり方について検証する。

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【方 法】

平成25年度1期から平成26年度1期に江戸川区で実務実習を行なった薬学部実習生を対象に、無記名によるアンケート調査を実習開始時及び終了時の2回実施した。

調査項目

①実習前の関心の有無

②実習終了後の集合実習の評価

③薬局薬剤師にとって大切だと感じたこと 等

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江戸川区薬剤師会における実務実習の考え方

目 標:学生(将来の仲間)に薬剤師の可能性を伝える方 法:コアカリキュラムの実施と地域医療に求められる

薬剤師業務に関する集合実習の実施

江戸川区薬剤師会ホームページ

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結果① 実習に求めるもの

Q.1 薬局実習にどのような事を期待していますか?(複数回答可)

調剤・服薬

指導43%

地域薬剤師

業務

19%

在宅医療

11%

漢方

8%

薬局製剤

5%

災害医療

3% その他11%

N=37

0% 20% 40% 60% 80% 100%

Ⅰ期

Ⅱ期

Ⅲ期

調剤・服薬指導

地域薬剤師業務

在宅医療

漢方調剤

薬局製剤

災害医療

その他

N=21

N=10

N=6

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結果② 集合実習の構築

1.地域医療と薬剤師を学ぶ在宅医療 (講義、在宅訪問同行)学校薬剤師 (学校訪問、各検査)夜間・休日診療 (江戸川区医師会

夜間・休日急病診療所訪問)医薬品卸売業者訪問(大手3社見学)

2.薬剤師のスキルを学ぶ漢方調剤 (講義、実技)薬局製剤 (講義、薬局製剤調製)無菌調製 (講義、注射薬調製)OTC販売 (講義、OTC販売実習)

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3.薬剤師の可能性を学ぶスポーツファーマシスト(講義、活動見学)災害医療 (講義、防災訓練参加)緩和医療 (講義、SGD)

緩和医療SGD 患者のためにできることを議論中スポーツファーマシストの活動を見学 防災訓練で薬剤師として参加

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結果③ 薬局実習スケジュール

集合実習

店舗実習

1週 2週 3週 4週 5週 6週 7週 8週 9週 10週 11週

漢方調剤

在宅医療

薬局製剤

夜間・休日診療

無菌調製

災害時医療

抗がん剤 OTC販売

スポーツファーマシスト

卸売業者見学学校薬剤師

薬剤師会主体 薬剤師会主導

服薬指導

処方箋の鑑査と疑義照会

服薬指導の基礎

計数・計量調剤 計数・計量調剤の鑑査

処方箋の受付

保険調剤業務の全体の流れ

情報の提供情報の入手と加工

薬剤師の心構え

特別な配慮を要する医薬品

薬局アイテムの管理と保存

調剤録と処方箋の保管・管理

薬局アイテムの流れ

調剤報酬

安全対策

患者・顧客との接遇

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結果④ 集合実習の評価

Q.2 興味が出た集合実習はありますか?(複数回答可)

在宅医療20%

災害医療15%

卸売業者12%薬局製剤

10%

OTC10%

学校薬剤師7%

漢方調剤7%

スポーツファー

マシスト5%

夜間休日診療

2%

無菌調製2%

その他10%

N=41

実習生コメント(抜粋)○スポーツファーマシスト、卸薬剤師、学校薬剤師を見て、病院薬局以外でもこの様なところで働いているんだと思いました○災害医療や薬局製剤など、薬剤師の能力が発揮できると感じた○医薬品卸の業務、卸で働く薬剤師の存在を今まで知らなかったから(もともとは興味はなかった)○OTCやサプリメント、薬局製剤も患者さんの生活を改善するという重要な役割があると分かった

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結果⑤ 実習の自己評価

Q.3 実習を終えての自己評価は?(5点満点)

N=25

5点20%

4.5点4%

4点44%

3.5点8%

3点16%

2点8%

実習生コメント(抜粋)○緊張して受け身の実習になってしまったので(2点)○甘い部分が多いと感じたので(2点)○できること、できなかったこと、色々あったけど、薬局で学べることがとっても多く、自分のためになった。でもまだまだ学べることもあったと思う(3点)○病院と比べて、何でも勉強させてもらった(4点)○約2ヶ月半薬局でさまざまな業務にふれることができた。しかし、まだやり足りない事がたくさんある(4点)

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結果⑥ 薬剤師としての意識

Q.4 薬局薬剤師として大切だと思ったものは?(複数回答可)

N=75

コミュニケー

ション能力56%

知識

16%

薬剤師的診断力

7%

その他21%

実習生コメント(抜粋)その他に必要と思ったものは

○責任感、○社会性、○向上心、○決断力、○経済感覚

○支持的精神○状況把握能力○対外連携力

etc

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結果⑦ 薬剤師会の評価

Q.5 将来、薬剤師会に入会したいですか?

N=25

入会したい, 12 前向きに考えたい, 1 好感触, 10 未解答, 2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

実習生コメント(抜粋)○薬剤師会という存在を始めて知ったのですが、多くの薬剤師と意見を交換して、よりよい町にしようとしているのを知って、薬剤師会に入りたいと思った○どれも新鮮で薬剤師の心構えというか患者との対話の仕方など、学校ではあまり教えてくれないコミュニケーションの取り方など、目から鱗でした。他の区の友達とやってる内容を比べても多く、いろいろな体験をさせていただいたなと思いました。入会してみたいです。

○自分の実習先以外の薬局実習の様子を知れたり、薬局や病院以外の薬剤師の活躍の場を見れてよかった

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【考 察】

1)薬学生の関心が、実習開始直後の「調剤・服薬指導」から実習終了時には「在宅医療」「災害医療」へと変化していることから、実務実習を通して、地域薬局が今現在、力を入れている業務への理解が興味、関心につながることが推測できた。

2)スポーツファーマシスト、漢方、学校薬剤師など、一店舗でも実施可能なコアカリキュラムについても、薬剤師会が主催、または主導する集合実習を実施することにより、地域で活躍する薬剤師の活動について個々の薬局のみでは難しい経験をさせることができることが示唆された。

3)集合実習を通して、学生同士、指導薬剤師、集合実習指導者等、様々な考え方に触れることにより、単に一薬局のみで完結させる実習に比べ社会で活躍する薬剤師の姿を幅広く示すことができ、将来への薬剤師の展望をより広げることが可能であると推測された。

4)集合実習を薬剤師会主催とすることで、地域の薬剤師会の活動およびその存在意義についての理解が深まることが示唆された。