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2017.2.17 末梢からの血管作動薬投与の安全性について

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カテコラミンの投与は原則中心静脈から!?→ 末梢から投与すると血管障害や皮膚障害がおきやすく、末梢血管抵抗が高くなり薬剤が流れにくいと言われているでも CV をすぐに留置できるような状況じゃないときや ( 救急外来や病棟で呼ばれたショックの患者とか ) 、 CV ってすぐ感染をおこすイメージがあるし、手技も侵襲的・・・本当に末梢じゃダメなの?!?

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Background

• 循環作動薬 (Vasoactive medications;VM) はショック状態を改善するためによく用いられる• 末梢静脈カテーテル (peripheral intravenous;PIV) は

VM が血管外へ漏れることで、組織障害をおこすと考えられ、 VM を使用する際は一般的に中心静脈カテーテル (central venous catheter;CVC) を用いる• しかし、 CVC は合併症 ( 感染など ) のリスクが高い• 本研究では循環作動薬 ( ノルエピネフリン、ドパミン、フェニルエピネフリン ) を PVC から投与することの安全性を評価した

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Study design

• この研究は、 2012 年 9 月から 2014 年 6月の間に Long island jewish medical centerの 18 床ある内科集中治療室 (MICU) で行われた• Primary outcome は PIV から VM を投与した結果、組織障害が発生する割合とした

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Protocol for administration VM via PIV access

• PIV から VM を投与するプロコトールを医療従事者に配布した• MICU の看護師はプロトコールが開始する前に血管外漏出に気づくことや使用されるラインの種類についてトレーニングをうけた• MICU ローテート中の病棟医もプロトコールに関する特別な教育をうけた

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Patient management

• VM の治療に関しては臨床マネジメントチームが決定した• PIV からの VM の標準濃度は ノルエピネフリン 8or16mg/ 生食 250ml ドパミン 400or800mg/5%TZ250ml フェニルフリン 80or160mg/ 生食 500ml・ PIV を確保できない場合は CVC が確保された

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Patient management

• CVC の種類や投与する量、期間はマネジメントチームが決定した• バソプレシンは PIV から使用しなかった• PIV が標準通りに留置できないようであればエコーを用いて訓練された者が留置した

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Patient management

• 同ルートからは一種類のみ VM が投与され、他は VM に影響を与えないような薬剤が投与された• 看護師は二時間おきに逆血の確認をした• 血管外漏出を疑う所見があれば病棟医に報告した• 血管外漏出部位は少なくとも 48 時間はルート抜去された• 組織障害の定義としては紅斑や腫脹、壊死を認めることとした

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Statistical analysis

• 解析は SPSS21 を用いて行われた• 連続変数は標準偏差であらわされた

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Results

• 期間中に 2462 人が MICU に入院した• 血液透析や血漿交換のために 267 人は CVC を用い、そのうち 170 人がトリプルルーメン、

97 人が太いゲージのカテーテルを用いた• 入院患者のうち 953 人が VM を用い、うち

783 人 (82%) が PIV を、 170 人 (18%) が CVC を留置された• PIV のうち 18G が 192 人 (25%) 、 20G が 590人 (75%) 、 22G が 1 人だった。

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Results

• PIV 留置の場所は公式に記録しなかったが、ほとんどが上腕の橈側皮静脈、尺側静脈だった• PIV の留置期間は 49±22 時間• PIV を最初に留置して最終的に CVC 留置が必要とされたのは 95 人 (13%) だった

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Results

• 20 か月の研究期間の間 PIV から VM 投与されたのは 734 人• 49 人が 2 か所以上 PIV を留置された• 783回中 19回 (2%) で血管漏出を認めたが、その部位にフェントラミンを注入、ニトログリセリンを塗布したため、その部位に組織障害はおこらなかった• PIV からの感染は認められなかった• フェントラミン、ニトログリセリンによる血圧低下 (mean BP 65mmHg≦ )は生じなかった

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Discussion• 今回の研究では PIV からの VM の投与は安全であり、合併症が少なく、 CVC のかわりとなるということがわかった• 今回のプロトコールは様々な文献から選りすぐって作り上げたものであり、また実施するために MICU の看護師はラインの管理について徹底的に指導をうけた• 当直医も血管漏出が起こった際の対応についての教育もしっかりうけていた• 重要な点としては難しいルートはエコーを用いて留置されたことである• また頻回にルートをチェックすることや早期に血管漏出に気づくこと、血管漏出した際の迅速な対応は今回の試験の結果に重大に影響をおよぼした要因であった

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Discussion• 今回血管漏出する頻度が低かった (2%) のは、難しい症例 (肥満、浮腫、血管確保が過去に困難であった者 ) に対してエコーを用いて、血管内に本当に入っているかを確認してルートを留置したからかもしれない• フェントラミンを注射することとニトログリセリンを漏出部位に塗ることで、漏出部位の虚血を抑えることができるといった報告がある• フェントラミンもニトログリセリンも低血圧の副作用があるが、今回の研究ではそういった事例はなかった

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Discussion• CVC 留置を考慮する状況としては下記のものがある①循環作動薬を投与するとき ( 末梢からだと血管外漏出をおこすから )→ だが今回の研究で安全性がわかった②中心静脈圧を測定するとき→しかし実際に明確に測定できているのかは不明との報告がある➂解剖学的に末梢を確保することが困難であるとき④大量の薬剤を投与するとき⑤PIV で血管漏出がおきたときに代わりなる末梢が無く、ただどうしてもルートが必要であるとき

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Limitation

• この研究が単一施設の観察研究であるということ• 効果や患者の outcome に対する影響、なぜ

CVC をいれなければならなかったのかなど評価できていない• また誰が末梢を確保したのか、 CVC を留置した群の人種、どんな疾患だったのか、末梢留置する際にどの段階までエコーを用いたのかデータを集計していなかった

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Limitation

• 血管漏出の危険因子を定義することなく、人種や病気の種類による PIV と CVC 間の差を評価しなかった• コントロール群を欠くことで PIV からの投与は CVC からより安全であるということを確実に言うことができない• 単一施設研究なため、他の医療現場で同じような結果を得られるとはいえない ( 特にエコーの技術は人それぞれちがう )

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Conclusion

• 末梢からの循環作動薬投与は安全である• 組織障害のリスクを減らすためにはエコー下に留置すること、血管漏出にすぐに気づくこと、漏出に気づいたらすぐに対応することである• ICU はもちろん ICU以外でも CVC を使う頻度を減らすことができる• 今後は安全性や効果に関して他施設研究で評価されていく必要があるだろう

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Conclusion

医師は血管内作動薬の使用において、中心静脈からの投与をルーチンとすべきではない

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ちなみに• 当院では①ノルアドレナリン 1mg/ml の 2ml のアンプル 1A を生食 48ml にとかし、 0.04mg/ml として使用 → 0.032or0.064mg/ml②0.3%or0.1% ドパミンキット 3mg/ml,1mg/ml として使用 →1.6or3.2mg/ml➂フェニルエピネフリン 1mg/ml の 1ml のアンプル 1Aを生食 19ml にとかし、 0.05mg/ml として使用 → 0.16or0.32mg/ml