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JをI Profile・ブロフィー屋 -■■b一 一一一一一一 ---一一-一 ------- 語る ひるま・ちづこ 若年認知拝*+会参加支援センター言 #素直観一謹饗剛 ヨイント所長。作業疲法士。 大学病院でリハビリに従事しなが三 障害者の地域支援にも参画してきた。 特定非営利活動法人若年認知症サテ 若年認知症について相談できるところがなか ったため、家族が情報交換等をする目的で、平 ほし 成唱年に家族会「彩星の会」を設立しました。 家族を支援することで、ご本人と家族の関係が 良好になる効果は大きいのです。家族会の本人 交流の中で、ご本人たちから「もっと働きたい」 「もっとできることがあるはずなんだけど」とい う話が出てきました。そこで、若年認知症社会 参加支援センタージョイントを設立しました。 社会とつながる活動にしたいということ、仕事 を通して役割や責任をもつということから、「就 労型活動・地域貢献活動」の拠点としました。 ジョイントでは、過剰なケアを控え、「自分の ことは自分でする」ことが原則です。社会で生 きるということは、自分にできることを自分で 行い、分からないことは聞き、手伝えることは 手伝うことだと思うのです。できる.できない 若年認知症は、人生で円熟を迎え る時期である65歳未満に発症する 認知症です。ご本人や家族の戸惑し. や不安も大きいため、社会参加の活 動や就業をとおし、能力を活かして 生活を立て直すための支援が必要 になります。 今月号では、若年認知症社会参加 支援センタージョイント所長の比 留間ちづ子さんに、若年認知症の特 徴や、ケアの中で気をつけること等 について、お話を伺います。 就労型活動・地域貢献活動の 拠点としてジョイントを設立 まざまな公的支援もありますから:一緒に頑張 りましょう」と伝えて、具体的な社会的支援に つなげることが必要です。 一トセンター副理事長、全国若年認 蕊麓患fl ●若年認知症社会参加支援センター ジョイント所長 比留間ちづ子さん 議会幹事。 日本障害者協 一r ,‐Ii# 議会理事。 としう結果ではな く、やっていくプロ セスが、自分の価値 の開発につながりま す。 ジョイントに参加 されるメンバーのほ とんどは、通い始め て5年目ぐらいの男 性も、電車を乗り継 ー」 優劉 劃三 一一一 いで、自分で通っています。発症初期の、自分 なりに判断して考えられる段階で身につけた能 力は衰えないため、迷わずに通うことができる ようです。発症後の協力的な体制や支援の厚み が、人とつながり、残存能力を維持できる要因 になっているなと、最近しみじみ思います。 ジョイントでは、革のパスケースやペン入 れ、メッセージカードなどを作成し、新宿御苑 の売店などに納品しています。安心して作業が できるように、「1動作」の原則を貫いていま す。作業工程を整理して、分かりやすく説明し、 「1つできた」という積み重ねをしていきます。 説明するときは、見本や目的をはっきり示しま す。戸惑ったり失敗したりしても、すぐに手を 貸さず、少し見守るようにします。本人が試行 錯誤し、気づいて修正する瞬間を大事にするた めです。そして、「工夫して作りましたね」など と、フィードバックします。作業のことは忘れ てしまうかもしれませんが、声かけによって瞬 間ごとに自分が再認識されていくのです。 雰囲気づくりも大切にしていて、いろいろな 話題に応じて、たくさん話し合っています。ジ ョイントのメンバーは、みんな底抜けに明る ちようちょうはっし く、丁々発止の会話を楽しんでいます。 メンバーの中には、高齢者の施設でボランテ ィアとして配膳の手伝いなどをしている方もい ます。一方で、その方はその施設の利用者でも あります。自分にできることを役割として果た していく中で、徐々に自分のことも自覚してい きます。支援する人の輪も広げ、お互いに自分 ができることを手伝い合うというように、地域 にソフトランディングすることが大事だと思っ ています。地域の人に理解してもらい、地域で 自分自身への違和感が大きい 若年認知症 髄歳未満で発症する認知症を「若年認知症」 といいます。高齢の方の認知症との大きな違い は、生活そのものの行動能力がある程度保たれ ているところです。そのため、手順を整理する などの手助けがあれば、もともと持っている能 力を発揮できるのです。病気によって影響され た部分も当然あるので、できることとできない ことのギャップが大きく、「なんでこうなっち ゃったんだろう」という自分自身への違和感や 糧期 迷いが大き 側緋敬服唯維脈 「若年認知症」という言 ながりが断たれてしまう きましたが、対応方法を体系 窓口は、まだ整備されていません 知症施策も始まったばかりで、平成型 当事者と家族向けのハンドブックが整備 ところです。認知症施策は、いわゆる高齢者 策の中にあるため、例えばデイサービスを利用 しても、高齢者向けのプログラムしか用意され ていない場合が多いのです。ご本人の能力を活 かしたり、家族支援も みなさんがお勤めの事業所でも若年認知症 の方が利用されることがあると思います。若年 認知症の方は、できなくなったことへの気づき が強く、家族や社会に引け目や負い目を強く感 じていることが多いため、最初は対応や行動が かたくなかもしれません。介護職のみなさんに は、ご自分なりのアプローチ方法で、素直な気 持ちで向き合っていただけたらと思います。 周辺症状(BPSD)で、不機嫌になったり 暴力的になったりする方もいらっしゃると思い ます。その根本には、わかっていてもできない、 家族に迷惑をかけてしまっている自分自身への 怒りがあるのです。本当に針の穴の小さなとこ ろから、信頼や心のあたたかさを求めていらっ しゃいます。だからこそ、本当に理解しようと いう気持ちで接していただきたいですね。「今、 ここにいてくれることが大事だし、うれしい」 という気持ちを、正面から気持ちをこめて伝え てノ、ださい。 「若年認知症」という看板だけに注目するの ではなく、その方がどんな仕事をしていたの か、家族との関係はどうか、どんな思いなのか など、一歩踏み込んで興味をもって向き合って いきたいですね。 ことがあり、それが適応障害とされることもあ ります。 若年認知症の場合、脳血管性、アルツハイマ ー病等の病気の特性によって症状が異なりま す。ご本人の個性や性格によっても、また、ど のような仕事に就いていたかによっても対応が 異なります。医学的な分類もまだ遅れており、 医療の面からも地域生活を支援するような専門 職連携は、ようやく始まったばかりです。 医師からの告知では、「このような病気で、こ のような症状が出ます。ただし、生活とケアの 工夫で能力を伸ばしていくこともできます。さ 素直な気持ちで ご本人に向き合いましょう 役割を果たしながら生活できるように全国各 地に居場所の拠点が広がるといいと思います。 私たちが就労支援の活動をしてきたこともあ ったのか、最近は、厚生労働省でも「若年認知 症といえば就労支援」が支援のテーマとされ、 就労支援への研究補助金も出されています。 蛋需 できるような総合的な る霊嬢達 「なんで自分は高齢者 ばかりのところに来な ければいけないのか」 と嘆きや反発が生じる 91 “REWORk 介護

Carework 2014年2月号 介護を語る 比留間先生

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Page 1: Carework 2014年2月号 介護を語る 比留間先生

JをIProfile・ブロフィー屋

-■■b一 一一一一一一 ---一一-一-------

語るひるま・ちづこ

若年認知拝*+会参加支援センター言

#素直観一謹饗剛

葦ヨイント所長。作業疲法士。

大学病院でリハビリに従事しなが三

障害者の地域支援にも参画してきた。

特定非営利活動法人若年認知症サテ

若年認知症について相談できるところがなか

ったため、家族が情報交換等をする目的で、平

ほし

成唱年に家族会「彩星の会」を設立しました。

家族を支援することで、ご本人と家族の関係が

良好になる効果は大きいのです。家族会の本人

交流の中で、ご本人たちから「もっと働きたい」

「もっとできることがあるはずなんだけど」とい

う話が出てきました。そこで、若年認知症社会

参加支援センタージョイントを設立しました。

社会とつながる活動にしたいということ、仕事

を通して役割や責任をもつということから、「就

労型活動・地域貢献活動」の拠点としました。

ジョイントでは、過剰なケアを控え、「自分の

ことは自分でする」ことが原則です。社会で生

きるということは、自分にできることを自分で

行い、分からないことは聞き、手伝えることは

手伝うことだと思うのです。できる.できない

若年認知症は、人生で円熟を迎え

る時期である65歳未満に発症する

認知症です。ご本人や家族の戸惑し.

や不安も大きいため、社会参加の活

動や就業をとおし、能力を活かして

生活を立て直すための支援が必要

になります。

今月号では、若年認知症社会参加

支援センタージョイント所長の比

留間ちづ子さんに、若年認知症の特

徴や、ケアの中で気をつけること等

について、お話を伺います。

就労型活動・地域貢献活動の

拠点としてジョイントを設立

まざまな公的支援もありますから:一緒に頑張

りましょう」と伝えて、具体的な社会的支援に

つなげることが必要です。

一トセンター副理事長、全国若年認

蕊麓患fl ●若年認知症社会参加支援センター

ジョイント所長

比留間ちづ子さん議会幹事。

日本障害者協

一r

,‐Ii#

議会理事。

としう結果ではな

く、やっていくプロ

セスが、自分の価値

の開発につながりま

す。

ジョイントに参加

されるメンバーのほ

とんどは、通い始め

て5年目ぐらいの男

性も、電車を乗り継

ー」

優劉

劃三一

遍尋

一一一

いで、自分で通っています。発症初期の、自分

なりに判断して考えられる段階で身につけた能

力は衰えないため、迷わずに通うことができる

ようです。発症後の協力的な体制や支援の厚み

が、人とつながり、残存能力を維持できる要因

になっているなと、最近しみじみ思います。

ジョイントでは、革のパスケースやペン入

れ、メッセージカードなどを作成し、新宿御苑

の売店などに納品しています。安心して作業が

できるように、「1動作」の原則を貫いていま

す。作業工程を整理して、分かりやすく説明し、

「1つできた」という積み重ねをしていきます。

説明するときは、見本や目的をはっきり示しま

す。戸惑ったり失敗したりしても、すぐに手を

貸さず、少し見守るようにします。本人が試行

錯誤し、気づいて修正する瞬間を大事にするた

めです。そして、「工夫して作りましたね」など

と、フィードバックします。作業のことは忘れ

てしまうかもしれませんが、声かけによって瞬

間ごとに自分が再認識されていくのです。

雰囲気づくりも大切にしていて、いろいろな

話題に応じて、たくさん話し合っています。ジ

ョイントのメンバーは、みんな底抜けに明る

ちようちょうはっし

く、丁々発止の会話を楽しんでいます。

メンバーの中には、高齢者の施設でボランテ

ィアとして配膳の手伝いなどをしている方もい

ます。一方で、その方はその施設の利用者でも

あります。自分にできることを役割として果た

していく中で、徐々に自分のことも自覚してい

きます。支援する人の輪も広げ、お互いに自分

ができることを手伝い合うというように、地域

にソフトランディングすることが大事だと思っ

ています。地域の人に理解してもらい、地域で

自分自身への違和感が大きい

若年認知症

髄歳未満で発症する認知症を「若年認知症」

といいます。高齢の方の認知症との大きな違い

は、生活そのものの行動能力がある程度保たれ

ているところです。そのため、手順を整理する

などの手助けがあれば、もともと持っている能

力を発揮できるのです。病気によって影響され

た部分も当然あるので、できることとできない

ことのギャップが大きく、「なんでこうなっち

ゃったんだろう」という自分自身への違和感や

糧期

迷いが大きいという特徴もあります。また、業8

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「若年認知症」という言葉は、だいぶ知られて唖

ながりが断たれてしまう場合もあります。

きましたが、対応方法を体系的に教えてくれる

窓口は、まだ整備されていません。国の若年認

知症施策も始まったばかりで、平成型年度には

当事者と家族向けのハンドブックが整備された

ところです。認知症施策は、いわゆる高齢者施

策の中にあるため、例えばデイサービスを利用

しても、高齢者向けのプログラムしか用意され

ていない場合が多いのです。ご本人の能力を活

かしたり、家族支援も

みなさんがお勤めの事業所でも若年認知症

の方が利用されることがあると思います。若年

認知症の方は、できなくなったことへの気づき

が強く、家族や社会に引け目や負い目を強く感

じていることが多いため、最初は対応や行動が

かたくなかもしれません。介護職のみなさんに

は、ご自分なりのアプローチ方法で、素直な気

持ちで向き合っていただけたらと思います。

周辺症状(BPSD)で、不機嫌になったり

暴力的になったりする方もいらっしゃると思い

ます。その根本には、わかっていてもできない、

家族に迷惑をかけてしまっている自分自身への

怒りがあるのです。本当に針の穴の小さなとこ

ろから、信頼や心のあたたかさを求めていらっ

しゃいます。だからこそ、本当に理解しようと

いう気持ちで接していただきたいですね。「今、

ここにいてくれることが大事だし、うれしい」

という気持ちを、正面から気持ちをこめて伝え

てノ、ださい。

「若年認知症」という看板だけに注目するの

ではなく、その方がどんな仕事をしていたの

か、家族との関係はどうか、どんな思いなのか

など、一歩踏み込んで興味をもって向き合って

いきたいですね。

ことがあり、それが適応障害とされることもあ

ります。

若年認知症の場合、脳血管性、アルツハイマ

ー病等の病気の特性によって症状が異なりま

す。ご本人の個性や性格によっても、また、ど

のような仕事に就いていたかによっても対応が

異なります。医学的な分類もまだ遅れており、

医療の面からも地域生活を支援するような専門

職連携は、ようやく始まったばかりです。

医師からの告知では、「このような病気で、こ

のような症状が出ます。ただし、生活とケアの

工夫で能力を伸ばしていくこともできます。さ

素直な気持ちで

ご本人に向き合いましょう

役割を果たしながら生活できるように全国各

地に居場所の拠点が広がるといいと思います。

私たちが就労支援の活動をしてきたこともあ

ったのか、最近は、厚生労働省でも「若年認知

症といえば就労支援」が支援のテーマとされ、

就労支援への研究補助金も出されています。

蛋需

できるような総合的な

る霊嬢達

「なんで自分は高齢者

ばかりのところに来な

ければいけないのか」

と嘆きや反発が生じる

91“REWORk

介護