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小林龍生

2014.05.27 今、改めて字体と字形の関係を考える

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2014.05.27 文字情報技術の最新動向 小林龍生 氏 日本電子出版協会

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小林龍生

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すべての〈書記〉は情報の蓄蔵である

小松英雄

All writing is information storage

Albertine Gaur

文字の機能は、一定の順序に組み合わされることによって発揮される。制約的社会慣習(以下、煩瑣を避けて「社会慣習」と呼ぶ)とは、それに従って行動することが不文律として要求されているところの、当該社会に定着した慣習である。書記について言うなら、特定の順序で組み合わされた表音文字の連鎖や表語文字の特定の字形が、どういう事物や概念を表すかは、社会通念として定まっており、その慣習に従わなければ意図どおりの情報伝達が保証されない。

小松英雄

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高田智和の説 具体的・個別的に,目に見える形で実現された文字の形を「字形」,人間の脳裏にあって,社会的な約束事として存在する抽象字形を「字体」と呼ぶ。

形は異なるが,音義が共通する「字体」同士の組を,常用漢字表では「字種」と呼んでいる。

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図形文字(graphic character):制御機能以外で、通常、手書

き・印字・表現の可視的表現をもち、一つ以上のビット組合せからなる符号化表現をもつ文字。

通常、一つの図形文字は一つの字体に対応する。 一つの図形文字が複数の字体を包摂もしくは統合する場合がある。

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文字概念と字体概念の区別が未成熟だった 「この規格の解釈に関して、規定外の参考資料である“解説”の1文だけを根拠に“JIS X 0208は、文字概念の符号化を行っている”との誤解が生ま

れ、広く信じられている。この誤解は、現在の国内での文字コードの混乱、及びこの規格の解釈の混乱を生んでいる要因の一つである。第2次規格改正は、この誤解に基づいて混乱した改正を行い、第3次改正も同様の問題を残した。」

「1978年の第1次規格で、規定外である“解説”の2ページ目に1箇所、用

語を間違って用いた箇所がある。《この規格は、文字概念とその符号を定めることを本旨とし、その他字形設計などのことは範囲としない。》“解

説”が規格本文の規定に反することを述べてはならないことを考慮すると、この一文は明らかに間違いである。しかし、この一文が、そのまま理解され、その後の改正を間違った方向に誘導し、一般にも広く受け入れられてしまったと考えられる。」

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文字の表は字形集合という側面と字体集合という側面を持つ

文字の表を構成する字形は、それぞれと一対一に対応する字体を表象する

字体弁別の粒度は文字表によって異なる

字体弁別の粒度は文字の表を構成する字形の相対関係で決定される

(文字の表の外側にある)ある字形と文字の表を構成するある字形を対応づけることが出来る

対応づけられた二つ以上の字形の関係を同一の字体に属するという

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CAMELかDROMEDARY

うさぎかアヒルか

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JIS X 0213:2004では、高と髙は包摂するが、ISO/IEC 10646:2004では、統合されない。

JIS X 0208:1997では、鴎と鷗は包摂されるが、JIS X 0213:2004では、包摂されない。

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J+BD6B J+908A J+BD5E J+BD5F J+BD60 J+BD61 J+BD62 J+BD6A J+C0D6

住基ネット統一文字

445320 445400戸籍統一文字

MJ026199 MJ026200 MJ026201 MJ026202 MJ026203 MJ026204 MJ026205 MJ026206

文字情報基盤MJ文字図形名 MJ026207

字体 字体 字体 字体 字体 字体 字体 字体 字体

字体 字体

UCS U+908A

UCS U+908A

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戸籍統一文字と住基ネット統一文字それぞれの字体弁別粒度を縮退させずに統合整理すること戸籍統一文字で区別される字体は文字情報基盤文字図形名としても区別される

住基ネット統一文字で区別される字体は文字情報基盤文字図形名としても区別される

文字情報基盤事業としては新たな区別も統合も行わない

情報通信/情報交換とは、差異を差異としてありのままに送受すること