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木達 一仁• 株式会社ミツエーリンクス取締役CTO
• 主にWebコンテンツのマークアップやスタイルシートの設計、関連ガイドラインの策定・運用に従事
• ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)副委員長
Webアクセシビリティとは• Access + Ability = Accessibility (A11y)
• アクセシビリティとは、対象にアクセスできるかどうかの度合い
• Webアクセシビリティはアクセシビリティの一分野
• 多くの場合、Webコンテンツを利用できるかどうかの度合いを指す
• 「アクセシビリティ」と似た言葉に「ユーザビリティ」がある
ユーザビリティとの違い(1)• ISO 9241-11の定義:ある製品が、指定されたユーザーによって、指定された利用状況において、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、およびユーザーの満足度の度合い
• 敢えて違いを強調して表現すると……
• アクセシビリティ:すべての人々にとって利用できるかどうかの度合い
• ユーザビリティ:特定の人々にとっての利用しやすさの度合い
ユーザビリティとの違い(2)• ユーザビリティが低すぎる課題は、アクセシビリティ上の課題として扱うこともできる
• 「使いにくい」と「使えない」を明確に分けることは困難
• アクセシビリティはユーザビリティにとっての礎、土台、前提のようなもの
• ユーザビリティを確保するには、まずアクセシビリティを確保すべき
欠かせぬ「品質」としてのWebアクセシビリティ
• 世界中の誰もがアクセスするため、アクセシビリティという品質はあらゆるWebコンテンツに不可欠
• 品質の高低を判断するには一定の基準が必要
• Web技術の標準化を推進するW3CのWAI(Web
Accessibility Initiative)が中心となって策定
• Webアクセシビリティの国際標準、WCAG(Web
Content Accessibility Guidelines)の誕生
Web Accessibility Initiative (WAI) - home pagehttp://www.w3.org/WAI/
Web Content Accessibility Guidelines 1.0http://www.w3.org/TR/WCAG10/
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0http://www.w3.org/TR/WCAG20/
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0http://waic.jp/docs/WCAG20/Overview.html
ISO/IEC 40500:2012 - Information technology -- W3C Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0
http://www.iso.org/iso/iso_catalogue/catalogue_tc/catalogue_detail.htm?csnumber=58625
国際標準としてのWCAG 2.0
• 2008年12月勧告
• 日本でiPhoneが発売された年
• 4つの原則(知覚可能、操作可能、理解可能、堅牢性)
• 12のガイドライン
• 61の達成基準(達成等級:A / AA / AAA)
• 技術非依存
国内規格のJIS X 8341-3
• 高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス− 第3部:ウェブコンテンツ
• 2004年6月公示
• 2010年8月改正、WCAG 2.0と整合(JIS X 8341-3:2010)
• 2015年の改正に向けた作業を現在進行中
JSA Web Store - JIS X 8341-3:2010 高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第3部:ウェブコンテンツ
http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/Com/FlowControl.jsp?lang=jp&bunsyoId=JIS+X+8341-3:2010&dantaiCd=JIS&status=1&pageNo=0
法制化の有無で異なる状況• 法制化された国(アメリカや韓国など)ではWebアクセシビリティへの取組みが活発
• 障害者・高齢者対応や訴訟の回避という側面が強い• 日本では法制化されていない
• 公的機関向けには総務省の作成した「みんなの公共サイト運用モデル」があるが、強制力はない
• 一部の企業は障害者・高齢者対応やCSR(企業の社会的責任)、あるいはSEOの観点から積極的
障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約) | 外務省http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html
障害を理由とする差別の解消の推進 - 内閣府http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html
法制化の動きには要注目• 障害者差別解消法ではWebも差別を禁止する対象分野に含まれるはず
• 2016年4月施行予定
• 米国のACAA(Air Carrier Access Act)の影響は日本の航空会社にも及んでいる
• ビジネスのグローバル化に伴い、国際競争力の観点からWebアクセシビリティが無視できなくなりつつある
Device Lab https://www.flickr.com/photos/adactio/12674230513
Apple - Apple Watchhttps://www.apple.com/jp/watch/
http://bradfrostweb.com/blog/post/this-is-the-web/
マルチデバイス対応の基礎としてのアクセシビリティ
• アクセシブル(≒マシンリーダブル)にすることで、ウェアラブルを含む多様なデバイスに対応させやすくなる
• Webアクセシリビリティは障害者・高齢者のため「だけ」ではない
• 多様なユーザーニーズに応えることがアクセシビリティ確保に期待される最大のメリット
Webアクセシビリティに取り組む必要性は高まる一方• 障害者・高齢者を含め、誰もがWebを自由自在に使い続けるために必要不可欠な品質がアクセシビリティ
• 誰もがいつでも、どこでも、どんなデバイスを使ってでもWebにアクセスしたい
• 誰もが障害者になり得るし、いずれは高齢者になる
• 激しさを増すユーザーニーズの多様化に応え続けるには、コンテンツのアクセシビリティ確保が第一
“The power of the Web is in its universality. Access by everyone regardless of disability is an essential aspect.”
Tim Berners-Lee, W3C Director