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髙田光雄(京都大学大学院・教授) 土井脩史(京都大学大学院・研究員)
伝統構法の木造住宅における断熱改修手法に関する研究
京文化を学ぶ会2015 年 4 月 5
日
対象京町家部分断熱改修
敷地面積 約 214m2
建築面積 約126m2 延床面積 約 233m2
設計: 部分断熱改修研究会 京都大学髙田研究室 立命館大学近本研究室施工: 木村工務店
対象京町家平面図
断熱性能の低い木造住宅
最外壁の高気密・高断熱化
→ 伝統構法の木造住宅への適用が困難(真壁の外壁,大きな開口部)
部分断熱改修
断熱建具 断熱建具
入れ子型の断熱区画の計画による温度差の段階化
部分断熱改修
室温そのものを下げることで温度差をさらに緩和
部分断熱改修
衣文化や食文化との連携
入れ子部分断熱改修
対象京町家における部分断熱改修
1階天井裏(2階床下)断熱改修
対象京町家における断熱建具
既存建具のデザインの継承可能な限り自然素材を使用
対象京町家における断熱建具
召合せの工夫による気密性能の向上
太鼓張障子 太鼓張障子
太鼓張雪見障子
太鼓張雪見障子
凸側
凹側
(1)断熱建具製作・設置費→ 900,700 円
(2)天井断熱改修工事費用→ 173,675 円※ 金額は税抜きを示す
部分断熱改修工事費
部分断熱改修の効果に関する検証
1.温熱環境測定(環境工学分野)2.住み方調査(建築計画分野)
① 改修前後での空調停止後の温度勾配測定
②CO2 ガスによる換気回数測定
③ 建具の召合せ部分の上下温度分布測定
④ 建具の熱画像撮影
温熱環境測定調査概要(測定主体:立命館大学近本研究室)
温熱環境測定
① 改修前後での空調停止後の温度勾配測定
②CO2 ガスによる換気回数測定
③ 建具の召合せ部分の上下温度分布測定
④ 建具の熱画像撮影
温熱環境測定調査概要(測定主体:立命館大学近本研究室)
温熱環境測定
既存建具
断熱建具
データ提供:立命館大学近本研究室
① 空調停止後の温度勾配(冬期)
データ提供:立命館大学近本研究室
既存建具 断熱建具
④ 建具の熱画像撮影
居住者に対する住み方調査
◯調査対象居住者30 代の共働き夫婦と子供1名世帯
住み方調査 調査概要
◯調査方法• タイムダイアリー(生活記録)調査• 室内の温度分布測定
◯調査結果の分析① 改修前後における冬期の住み方の変更② 季節による住み方の変更
① 改修前後の冬期の住み方改修前
( 2013 年 12 月 30 日)改修直後
( 2014 年 2 月 12日)
寝室で就寝
座敷 1 で就寝座敷 2 のみの暖房 座敷 1 ,座敷 2
の一体的な暖房
②季節による住み方の変更(建具替えと建具の開閉)
夏期 冬期
②季節による住み方の変更(建具替えと建具の開閉)
夏期 冬期
②季節による住み方の変更(建具替えと建具の開閉)
冬期の暖房範囲
座敷 2 のみ↓
外気温が低い日家族が同じ行為
座敷 1,2↓
外気温が高い日家族が別々の行為
DK↓
外気温が高い日来客対応
②季節による住み方の変更(生活行為と場所の関係:夏期)2014 年 6 月 28 日 2014 年 7 月 21 日
冷房未使用 冷房未使用
座敷 2 で夕食
座敷 1 で就寝
座敷 2 で夕食寝室で就寝
②季節による住み方の変更(生活行為と場所の関係:夏期)2014 年 11 月 22 日 2015 年 1 月 31 日
子供部屋で勉強
座敷 1 で就寝
座敷 2 で勉強
寝室で就寝
1) 温熱環境測定より得られた結果
2) 住み方調査より得られた結果
まとめ
• 断熱建具を用いることによって、断熱区画内の断熱性能・気密性能が共に改善されていた。
• 改修前よりも、冬期における快適性の向上、生活行為における選択肢の広がりが見られた。
• 建具替えや開閉によって居住者自身が空調のみに頼らない温熱環境調整を行うことができていた。
• 生活行為に適した温熱環境を持つ場所を選択することが可能であった。