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市場価格変動のハイブリッド 力学系モデルの挙動解析 (卒論紹介) 工学系研究科 システム創成学専攻 和泉研究室 37-156306 伊藤友貴 2015年4月16日 1

20140416 伊藤

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市場価格変動のハイブリッド力学系モデルの挙動解析

(卒論紹介)

工学系研究科 システム創成学専攻 和泉研究室

37-156306 伊藤友貴

2015年4月16日

1

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•出身東京大学計数工学科数理情報工学コース

卒論配属:数理第3研究室(鈴木先生)

研究テーマ:

市場価格変動のハイブリッド力学系モデルの挙動解析

(カオス性の解析)

・趣味サッカーと広瀬すず

・要望

御殿下のジムに一緒に行ってくれる方募集中

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自己紹介

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研究の背景

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市場価格変動のモデルを考案• マルチエージェント• 単純で決定論的• 離散時間H. Takayasu, H. Miura , 1992

A. Sato, H. Takayasu , 1998A. Sato, H. Takayasu, 2002

石井 , 2010連続時間モデルを提案

より基本的な,複雑性を生む仕組みについては未解析

本研究の目的

市場価格変動のミクロな視点からの解析

現実に近似

• パワースペクトル𝑓−2

に比例• ARCH(1) 過程に近似される確率的な価格変動

ダイナミクスモデルの性質を分析

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(H. Takayasu, H. Miura, 1992)

• 株や為替などの取引をする 𝑛人のディーラーの動きを単純なルールで決定

• 各ディーラーの買い注文の価格: 𝐵𝑖

各ディーラーの売り注文の価格: 𝑆𝑖

(𝐵𝑖 − 𝑆𝑖 = 𝐿(一定) )

あるペア 𝑖, 𝑗について

𝐵𝑖 − 𝑆𝑗 ≥ 0

つまり,

max{𝐵𝑖} − min 𝐵𝑗 ≥ 𝐿 (1)

のとき,取引成立.

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𝐵𝑖

𝑆𝑗

買い手

売り手

𝑆𝑖

𝐵𝑗

市場価格変動の決定論的モデル

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Ai > 0 : ディーラー 𝑖 の価格変化の速度 (石井,2010)

𝑑𝐵𝑖

𝑑𝑡=

+𝐴𝑖 (買い手)

−𝐴𝑖 (売り手)

5

ディーラーモデル (連続時間モデル)

5

𝑆𝑖

売り手 買い手

𝐵𝑖 = 𝑆𝑗

𝐵𝑗

𝐵𝑖

𝐵𝑗

𝑆𝑖

𝑆𝑗

買い手 売り手

あるディーラーの提示する買値とあるディーラーの提示する売値が一致した瞬間に取引 (𝑝 = max{𝐵𝑖}) .

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数値実験 (𝑛 = 100)連続時間モデルのシミュレーション

取り引き時刻の状態から次の取り引き時刻の状態への写像のヤコビ行列をもとにリアプノフ指数を計算.

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𝑡 × 107

𝑝(𝑡

)

• 複雑な変動,リアプノフ指数は正でカオス的な挙動

• カオス的ダイナミクスの解析が𝒏 = 𝟏𝟎𝟎では困難

𝒏 = 𝟑で解析最大リアプノフ指数 0.01

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ディーラー数 𝑛 = 3,B1(0) = 0, 𝐴1 = 1, 𝐿 = 1でシミュレーション.

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数値実験 (𝑛 = 3)

取り引きの回数 取り引きの回数

𝑝𝑝

𝐴2 = 2.8, 𝐴3 = 3.0 𝐴2 = 2.3, 𝐴3 = 3.5

発散 有界 (リアプノフ指数正)

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発散する振る舞いを起こす (𝐴3, 𝐴2)の抽出(数値実験)

ではカオス的でない発散する振る舞いをすることが予想される

発散(赤) 最大リアプノフ指数0 (緑)考察 :

𝐴1 = 1として正規化し,𝐴3 > 𝐴2 と仮定

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理論解析 : (𝐶1, 𝐶2) の推移

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価格𝐵1

𝐵2

𝐵3

𝐵1

𝐵2 − 𝐵1

𝐵3 − 𝐵1

𝐶1𝐶2

=𝐵2 − 𝐵1

𝐵3 − 𝐵1

で考える

𝐶1

𝐶2

推移の様子

• 赤い枠の中を直線的に移動

• 枠にぶつかると方向を変える (取引)

3次元 2次元

相対価格

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理論解析 :ヤコビ行列

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(𝑚は取り引きの回数,𝑡𝑚 は𝑚回目の取り引き時の時刻,𝑑𝐵𝑖

𝑑𝑡= 𝑎𝑖)

の写像のヤコビ行列 𝐽を9種に分類,(𝐶1, 𝐶2)を12種類に分類.

価格を上げるディーラーが一人 価格を上げるディーラーが二人

𝐽2, 𝐽4, 𝐽6

(𝐴3 − 𝐴2 < 2 )

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数値実験の結果との対応:(𝐶1, 𝐶2) の推移

発散する場合𝐽2 , 𝐽4, 𝐽6 をとらない(価格を上げるディーラーの数は変わらない)と予想される

A2 = 2.3, A3 = 3.5A2 = 2.8, A3 = 3.0 A2 = 2.1, A3 = 7.6

リアプノフ指数0周期的、発散

リアプノフ指数正直線的に発散

リアプノフ指数正

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周期的挙動の特徴付け

に入る場合,最終的に買い手・売り手の数が不変な,

周期的な推移になることを予想される.

複雑な挙動の特徴付け

「買い手・売り手の数が変化」 ⇒「最大リアプノフ指数正の複

雑な挙動」となることが予想される.12

理論解析の結果 : (𝐶1, 𝐶2) の推移

における発散時の推移は2パターン(数値実験). 周期的であり,リアプノフ指数は0(理論解析).

2𝑙 < 𝐴2 < 𝐴3 < 2𝑙 + 2 (𝑙 は正の整数) のとき,

「挙動が周期的」 ⇒ 「 𝑨𝟑 , 𝑨𝟐 ∈ 」を証明

「買い手・売り手の数が不変」 ⇒「最大リアプノフ指数0」を証明

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成果• 𝑛 = 3 の場合における連続時間モデルのダイナミクスを2変

数の区分線形写像として記述した.

• に入る場合においてはカオス的でない価格変動

をするという仮説に関して数値シミュレーションと理

論解析により部分的な説明を与えた.

今後の課題• に入る場合には必ずカオス的ではない変動をするのかに対する更なる解析,及び 𝐴3 − 𝐴2 > 2の場合での解析.

•ディーラー数4以上の場合,各ディーラーの提示価格の漸化式を複雑にした場合における解析.

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まとめ

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理論解析:周期的挙動の特徴付け

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状態5, または12

ループ1またはループ2を2回繰り返すことによる周期的な推移(※)

• (※)の周期的な推移• 売り手・買い手の数が変

化する推移

価格を上げるディーラーの数の変化を繰り返した後(※),の周期的な挙動になることが予想される

理論解析

ループ1 ループ2

の推移による(※)以外の周期

的な挙動の可能性

(※)の推移をしない場合,何回かの取り引き後価格を上げるディーラーの数が変化する推移

範囲の幅を拡げる推移

推移後

予想

ループ1ループ2

を含む

を含む

または

または

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写像 ,初期値 方向 に対するリアプノフ指数はヤコビ行列を用いて以下のように定義

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リアプノフ指数

の固有値を

とするとき,

はリアプノフ指数.最大リアプノフ指数が正のとき,カオス的であるとする.

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連続時間モデルの漸化式とヤコビ行列

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𝑑𝐵𝑖

𝑑𝑡= 𝑎𝑖,

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理論解析 (ヤコビ行列と推移の対応表)

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𝑑𝐵𝑖

𝑑𝑡= 𝑎𝑖

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リアプノフ指数(理論)

という5個の推移の組み合わせになる.

これらの推移の組み合わせによってできるヤコビ行列は

集合1から集合2に移ることがないような推移は

の4種類のみ

固有値の絶対値の最大値は全て1.最大リアプノフ指数は0に収束.集合2についても同様に最大リアプノフ指数は0に収束