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角錐や円錐が、角柱や円柱の体積の3分の1であることを積分・極限抜きで証明してみる

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Page 1: 角錐や円錐が、角柱や円柱の体積の3分の1であることを積分・極限抜きで証明してみる

角錐や円錐が 角柱や円柱の体積の 3分の1であることを

積分・極限抜きで証明してみる

H.Hiro

http://hhiro.net/

Twitter: http://twitter.com/h_hiro_

Page 2: 角錐や円錐が、角柱や円柱の体積の3分の1であることを積分・極限抜きで証明してみる

角錐や円錐の体積は、

• [底面積]×[高さ]÷3 で、

• 底面積と高さが同一である角錐や円錐の3分の1

• なんだけど、何で「3分の1」なのか 小学生のとき疑問に思いませんでした?

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証明方法

• 積分を使えばすぐ

• なんだけど、あまり面白くない

• 図形の変形として証明したい

今回の証明方法

• 微分積分、極限は使わない

• ただし、カヴァリエリの原理は使う (そもそもそれがないと、「同じ高さの角柱で頂点の 位置が違うもの」が同一の体積だと証明するのも難しい)

Page 4: 角錐や円錐が、角柱や円柱の体積の3分の1であることを積分・極限抜きで証明してみる

補足:カヴァリエリの原理(1)

• Wikipediaの説明がわかりやすい https://ja.wikipedia.org/wiki/カヴァリエリの原理

• 体積の場合だと、「高さが同じで、高さkでの 切り口の面積が任意のkについて同じである 二つの立体は、体積も同一である」

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補足:カヴァリエリの原理(2)

• ちなみにWikipediaの記事には、球の体積を 経由して円錐の体積を算出する方法が載って いるものの、そもそも球の体積の計算方法を 証明するのに積分ないし極限が必要なので除外。

下図:Wikipedia (Wikimedia commons) より、Pajs氏作

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cavalieriho_princip.svg

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証明手順1:上半分を反転する

• 底面積S、高さhの角錐や円錐を考える

• 高さにして半分のところで切り、反転する

h

S

h/2

S

S/4

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証明手順1:上半分を反転する

• このとき、元の錐体の体積をVとすると、 反転した部分の体積は、V/8 (相似比1/2であり、体積比はその3乗となる)

h

S

h/2

S

S/4

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証明手順1:上半分を反転する

• さらに、元の錐体から反転した部分を削った 残り(右図の青い部分)の体積は (7/8)V-(1/8)V = (3/4)V

h

S

h/2

S

S/4

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証明手順2:高さごとの面積計算

• いま作った立体において、底面から高さkの 断面の面積は

S

S/4

k

[補足] 最初の行における 1-k/h や k/(h/2) は、切断面が錐体の頂点から どれだけ離れたかの比率(頂点が0、底面が1)である。 また、その比率を2乗しているのは、錐体の切断面の面積なので 頂点から離れるにつれて2乗で拡大していくためである。

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証明手順3: カヴァリエリの原理を適用

• カヴァリエリの原理を使えば、いまの立体の 体積を求める代わりに、「高さが h/2、

高さ k での断面積が

である別の立体」の体積を求めてもよい。

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証明手順3: カヴァリエリの原理を適用

• 「高さが h/2、高さ k での断面積が

である別の立体」としては、以下のようなものが 考えられる。 なぜなら、「k/(h/2)」は「断面の高さ k に比例して面積が小さく なる」ことだからである。

h/2

S

S/4

h/2

S

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証明手順3: カヴァリエリの原理を適用

さらに、このように変形できることから、 求めたい体積は角柱(円柱)の半分、 つまり [S×(h/2)]÷2 = Sh/4 となる。 なお、上図のように貼り合わせられるのは角柱の場合のみであるが、 そうでなくても逆さまに二つ並べれば「どの高さkでも面積がSになる立体」 となるので、カヴァリエリの原理により角柱(円柱)の体積に一致する。

h/2

S

h/2

S

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まとめると

• 証明手順1により、角錐(円錐)の上半分を 反転させて削ったものの体積は、(3/4)V (V:もとの角錐(円錐) の体積)

• 証明手順3により、その体積は Sh/4

• ゆえに、(3/4)V = Sh/4 ∴ V = Sh/3