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3 > [email protected] 000 000 西調調調調×20 西使Profile 写真= 山本 遊児 水中文化遺産カメラマンアジア水 中考古学研究所 ARIUA研究員水中考古学研究所会員南西諸 島水中文化遺産研究会会員The International Research Institute for Archaeology and Ethnology 研究員 使×50 調西西19 調Profile 解説= 小野 林太郎 東海大学海洋学部海洋文明学 科 准教授専門は海洋考古 東南アジアオセアニア島嶼 考古学日本オセアニア学会理 東南アジア考古学会運営委 日本イコモス国内委員会会員

Yamamoto Y. - 石垣島海底遺跡と海洋考古学調査 - 15.12.2016

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Page 1: Yamamoto Y. - 石垣島海底遺跡と海洋考古学調査 - 15.12.2016

考古学3つの原則「遺物には触らない」「遺物を動かさない」「遺物を取り上げない」

考古学では何がどこにどのような状態であるかを確認することがもっとも重要です。3つの原則を守り、遺物かな?

と思うものがありましたら、

月刊ダイバー編集部までお知らせください☟>

hp@diver-w

eb.jp

屋良部崎

名蔵湾

大崎

御神崎灯台

石垣島

平久保崎

玉取崎

伊原間湾

野底崎

南ぬ島

新石垣空港

崎枝湾

嘉弥真島

小浜島

黒島

竹富島

川平湾

川平石崎

屋良部沖

海底遺跡

000000

 

八重山諸島の中心地とな

る石垣島とその周辺には、海

底遺跡が少なくない。その

多くが沈没船かその積み荷

だ。これは石垣島が琉球王国

時代における海上交易の中

継地であったことが背景にあ

る。そんな石垣の海底遺跡の

うち、石垣島西岸に位置す

る屋良部沖海底遺跡について

は2014年9月号にても紹

介したが、今回はこの遺跡を

含む石垣周辺の海底遺跡群

における海洋考古学の調査

方法やその風景について紹介

したい。

 

屋良部沖海底遺跡では、

沖縄県初の大小7点に及ぶ四

爪鉄錨のほか、複数の沖縄

本島産陶器壺が良好な保存

状態で発見され、2012年

より沖縄県立博物館や東海

大学らによる共同調査が行

われてきた。たとえば四爪

鉄錨の位置座標を記録する

石垣島海底遺跡と

海洋考古学調査

海底遺跡調査の一端を知る

水中考古学其の二十

山本

遊児

× 小野 林太郎

陸の遺跡とは違いまだ手つかずのものが多い水中遺跡、遺物の数々。

そんな、水中に眠る日本各地の遺物を追う。第20回目は沖縄県、石垣島。

沖縄本島産陶器壺と四よ

め爪鉄て

ついかり錨

が眠る

石垣島西岸部に位置する屋良部沖海底遺跡などでは、

精密機器を駆使し、遺跡のデータをより正確に、

素早く記録する取り組みが行われている。

Profile写真=山本 遊児水中文化遺産カメラマン/アジア水中考古学研究所(ARIUA)研究員/水中考古学研究所会員/南西諸島水中文化遺産研究会会員/ The International Research Institute for Archaeology and Ethnology 研究員

水中考古学

其の二十

水中考古学

其の二十

【鉄錨】1号四爪鉄錨にロープと

ブイを設置している様子

には、GPSを使う。しかし、

人工衛星からの電波を利用

するGPSは、水中では利用

が難しい。そこで鉄錨のでき

るだけ垂直上にブイを設置

し、海面に浮かぶブイの位置

座標をGPSで図る方法を採

用した。

 

また鉄錨を実測する際に

は、2×2m四方のアルミ枠を

作り、さらにロープで50㎝に

区切りを入れ、遺物の周囲

に配置した。実測は陸上の考

古調査で行う方法と同じで、

方眼紙上に錨の各部のサイズ

を正確に写していくが、作業

時間の限られる水中では設

置した枠からの距離を参考

にすることで、より素早い実

測が可能となる。さらに作業

過程は、東海大学海洋学部

が開発した低コスト型水中ロ

ボットによるハイビジョン映像

撮影でも記録した。

 一方、石垣島と西表島の間

に広がる水深の浅い石西礁湖

にも、座礁したと推測され

る沈没船と関わる海底遺跡

が存在する。このうち黒島

の沖合い近くにある遺跡では、

近世琉球王国時代のマーラン

船と思われる船材の一部とそ

の積み荷となる陶器片が発

見された。遺物が木材の場合

は、炭素年代測定による年

代の把握や木材の種類同定

もできる。そこで一部を採取

し分析した結果、19世紀頃

のイスノキであることが判明

した。この木は船材としても

利用された記録が古文書に

残されており、遺物がまさに

船の一部であったことが確認で

きた。そこで今後は、発掘を

含めたさらなる調査の実施

を計画中だ。

【水中ロボット】

作業過程を記録する低コスト型水中

ロボット

【木材片】黒島沖で発

見されたマー

ラン船の一部と推測される

【実測】アルミ枠を用いた鉄錨の

実測風景

【記録】陶器壺(壺焼き)の

集積には、遺物ご

とにラベルを設置し、記録していく

Profile 文・解説=小野 林太郎東海大学海洋学部海洋文明学科 准教授。専門は海洋考古学、東南アジア・オセアニア島嶼考古学、日本オセアニア学会理事、東南アジア考古学会運営委員、日本イコモス国内委員会会員