オープンデータを活用したマイクロ人口統計の開発

オープンデータを活用したマイクロ人口統計の開発

合同会社マイクロベース代表　仙石裕明

2013年12月18日（水）オープンデータカフェ＠千葉 h(p://microgeodata.com/

Copyright © 2013 microbase, LLC. 本資料の無断転用・転載は固くお断りしております。

会社紹介

2


3


4

本日の発表スタンス

いつものアカデミックorビジネスっぽい感じで

はなく、今日は市民活動家色を強くして

発表いたします。


5

自己紹介

実はまちづくり活動が大好き神奈川県大和市まちづくり推進委員


目次

6

1 マイクロベースが目指すもの

2 データを巡る諸問題

3 マイクロジオデータから見えてくること

4 マイクロ人口統計のつくり方

5 一緒に活動しませんか？


7

1 マイクロベースが目指すもの


8

これから概念的なこと話します（語り口調なスライドのはじまり）


9

‘It’s important to appreciate the incompleteness of cities—that they can constantly be remade, for better or for worse, and that they are re-made on their own terms even when the technologies used are similar. ‘!

都市は不完全であることが重要である。不完全であるからこそ（多様な主体によって）良い方向にも悪い方向にもつくり直されようとする。

Prof. Saskia Sassen 経済社会学者。都市社会学、グローバル都市論、移民研究が専門。コロンビア大学教授。

引用：　Forbes “Open Sourcing The Neighborhood” 　　　　 h(p://www.forbes.com/sites/techonomy/2013/11/10/open-‐sourcing-‐the-‐neighborhood/


10

つまり…

※以下、仙石の個人解釈も含まれます


11

行政がすべてを用意してあげなくても、不完全なところは市民が勝手に補う。


12

むしろ、不完全性がないと市民が自立する理由がなくなってしまう。


13

不完全は市民をただの消費者から都市の生産者に変える


14

日本の場合


15

待機児童や介護施設の不足

の問題など問題は挙げれば

沢山あるけれど


16

住民のすべての要望を満たしてあげるのは大変。労力的にも財政的にも。


17

少子高齢化、大都市化が追い打ちをかける。


18

だんだんと市民にも理解が広がってきている。いつまでも頼り切っていてはいけないと。


19

オープンデータの文脈に期待されていること


20

それは…


21

市民ができることをみつけること


22

もっというと…


23

市民が自身の手で自治できることを探すこと


24

オープンデータはそのお手伝いをする


25

言い換えると...


26

オープンデータによって都市の不完全をみつける


27

ではない


28

もちろんこれも重要。しかし、先述のとおり既に用意されていることばかり。 ※これは従来のアプローチ。成長路線のときのやり方


29

というよりは…


30

オープンデータによって都市が不完全で良いところを探す


31

＝市民で解決できる　ことを探す

データは大事な根拠になるがデータだけで全部判断しようなんてしないデータ集めにはキリがないし、データから見つけられることには限りがあるリアルな人間関係（主体）やコミュニティ活動（行動）にどうつなげるかこそ


32

減らす行政がやらなければならないことを


33

たまプラ電力プロジェクト弊社小林がワークショップを開催横浜市×東急から助成


34

パラダイム・シフト

“行政ができることは行政がやるべきだ”

今までの文脈

“自分達でできることは自分達でやろう！”

これからの文脈


35

自分達の手で自分達のまちをつくっていこう

という空気をつくれるかどうかにかかっている


36


37

オランダにおけるオープンソースシティプロジェクト空きビルの分布状況を公開

h(p://oscity.nl/


38

市民自治を支援するためのツール

CitySourced

FixMyStreet

OpenPlans

Electorate.Me

NaTonBuilder

OpenPublic

Open311

Granicus SeeClickFix

Open City

引用：　Engaging CiTes “10 Tools for Open Source CiTes” 　　　　h(p://engagingciTes.com/arTcle/10-‐tools-‐open-‐source-‐ciTes


39

マイクロベースが目指す市民自治支援ツール


40


41

デモ


42

2 データを巡る諸問題


43

データ解析

データ

予測解析

検証仮説収集加工

課題施策

アルゴリズムシステム

データ解析のプロセス


44

解析アルゴリズム　が容易に利用可能に


45

ビッグデータ解析環境　がこれまでになく充実

コンピューティングサービス

システム

データベース


46

データ、特に位置情報を持つデータは…


47

網羅性

高網羅性

低

解像度　低

解像度　高

GPS POS

交通量調査

アメダス

住民基本台帳

ネット調査

アンケート調査

求人DB

不動産DB 記事DB


48

網羅性

高網羅性

低

解像度　低

解像度　高

GPS POS

交通量調査

アメダス

住民基本台帳

ネット調査


求人DB


高価である場合や個人情報保護・プライバシー等の問題により利用が難しい

網羅率・更新度ともに高く、高度な解析が可能

パーソナルデータ


49

網羅性

高網羅性

低

解像度　低

解像度　高

GPS POS

交通量調査

アメダス

住民基本台帳

ネット調査


求人DB


オープンに公開され、行動記録や人間関係図など応用可能性は広い。ただし、網羅率は必ずしも高くなく、ノイズ除去等の加工の手間が大きい

ソーシャルデータ


50

網羅性

高網羅性

低

解像度　低

解像度　高

GPS POS

交通量調査

アメダス

住民基本台帳

ネット調査


求人DB


統計データ（いわゆるオープンデータ系）

政府による調査となるため、網羅率は高い更新頻度が遅く、個人の特定ができないように集計単位が粗い場合が多い


51

網羅性

高網羅性

低

解像度　低

解像度　高

GPS POS

交通量調査

アメダス

住民基本台帳

ネット調査


求人DB

不動産DB 記事DB それぞれのデータが可能性と課題の両方を内包している


52

網羅性

高網羅性

低

解像度　低

解像度　高

GPS POS

交通量調査

アメダス

住民基本台帳

ネット調査


求人DB


まだ加工の余地が高そう


ないのなら　　つくってしまえ　　　　　ほとどぎす

53


54


55


56

仮想都市モデル

芸術科学会論文誌 Vol. 10, No. 4, pp. 241 – 250. セルの相互作用による仮想都市の. 区画変化シミュレーション. 古田尚之 †. 水野一徳 †. 今佐和子 ‡. 西原清一 ‡. 福井幸男 ‡. † 拓殖大学工学部情報工学科. ‡ 筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻.

区画変化シミュレーション

仮想データにより対象課題のシミュレーションを実施


57

疑似（シミュレーション）


58

データそのものを疑似的につくってしまっては？


59

網羅性

高網羅性

低

解像度　低

解像度　高

GPS POS

交通量調査

アメダス

住民基本台帳

ネット調査


求人DB


統計データを疑似データとしてより細かく使えるようになると、“新しく”見えてくることがあるのでは？


60

3 マイクロデータから見えてくること


61

建物単位で世帯属性を推定

建物面積・階数・築年代・建物構造等の情報をもとに政府統計（国勢調査等）を配分

マイクロ人口統計の開発

集計データ（統計）をもとに非集計化


62

6次メッシュ

街路単位

適切な空間単位で再集計


63

事例①：　延焼シミュレーション

地震発生時における延焼被害範囲・規模の推定

延焼クラスター

��

建物耐火性能の推定

延焼限界距離の計算

東京大学生産技術研究所加藤孝明　准教授


64


65

延焼運命共同体


66

マイクロ人口統計


67


68

事例②：　将来人口に基づくシミュレーション

津波発生後の気仙沼市の被災推定は津波情報を地図上に被せれば表示可能。知りたいのはその先の気仙沼の姿。


69

津波発生後における人口減少の様子を建物単位で表現。


70

地域需要・供給の可視化

コーホートによって必要な施設・立地は異なる。需要サイド（住民）と供給サイド（施設等）のバランスがとれていることが望ましい。

アクセス商業文化レジャー医療福祉保育

地域充実度

△ △

△ ○ ○ ○ ○

子育て世帯

◎ ○ ○ ○ ○ △ ◎

高齢世帯

○ ○ ○ △ ◎ ◎ ×

基本的に需要に合わせて供給が決定。地域単体の理想としては、需要体制を維持・成長させていくことが望ましい。

過供給


71

自治体が地域の成長・維持をかけて人口バランスをどう維持していくか？

地域経営課題

自治体が人口バランスに対応して供給体制を柔軟に変えていけるか？

全国的に若い世代が不足。若い世代をいかに呼び込み・住み続けてもらうか？

問題が顕在化する前にいかに対応し、損失を最小化していけるか？

h(p://www.tv-‐tokyo.co.jp/mv/wbs/feature/post_46798/ 高齢化しない街づくり参考）


72

4 マイクロ人口統計のつくり方


73

建物単位で世帯属性を推定

建物面積・階数・築年代・建物構造等の情報をもとに政府統計（国勢調査等）を配分

マイクロ人口統計の開発

集計データ（統計）をもとに非集計化


74


建物情報の取得および推定

統計情報の配分


世帯数の比較（町丁目集計）居住者数の比較（町丁目集計）

y = 0.9798x + 16.874 R² = 0.98061

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500

世帯数（

国勢調査

真値）

世帯数（マイクロ人口統計）

y = 0.9858x + 17.768 R² = 0.97179

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000

居住者数（

国勢調査

真値）

居住者数（マイクロ人口統計）

N: 287 t-‐value: 120.0550 p-‐value: 4.6×10-‐246

N: 287 t-‐value: 99.0848 p-‐value: 7.3×10-‐233

75

市区町村の集計データをもとに町丁目の集計データを推定 ※本来は町丁目の集計データから建物単位の推定を行っていますが、町丁目単位未満の検証可能データが存在しないため、ここでは市区町村データを利用

マイクロ人口統計の精度検証


y = 0.9321x + 10.013 R² = 0.8312

0

200

400

600

800

1000

1200

0 200 400 600 800 1000 1200

人世帯数（

国勢調査

真値）

１人世帯数（マイクロ人口統計）

y = 0.9651x + 13.533 R² = 0.93713

0

200

400

600

800

1000

1200

0 200 400 600 800 1000 1200

人世帯数（国勢調査

真値）

２人世帯数（マイクロ人口統計）

N: 287 t-‐value: 37.4622 p-‐value: 4.1×10-‐112

N: 287 t-‐value: 65.1789 p-‐value: 2.9×10-‐173

１人世帯の場合２人世帯の場合

76




３人世帯の場合４人世帯の場合

y = 1.0187x + 3.3345 R² = 0.9578

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

0 200 400 600 800 1000

人世帯数（

国勢調査

真値）

3人世帯数（マイクロ人口統計）

y = 1.0485x -‐ 2.4799 R² = 0.93614

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900

人世帯数（国勢調査

真値）

４人世帯数（マイクロ人口統計）

N: 287 t-‐value: 80.4304 p-‐value: 6.1×10-‐198

N: 287 t-‐value: 64.6353 p-‐value: 2.7×10-‐172

77




78


79

その他マイクロデータ：　建物築年代

著作権等の問題により、Slideshareでは公開いたしません。


80

その他マイクロデータ：　商店街データ

商店街統計データ

日本全国の11625に及ぶ商店街の位置・年間販売額・販売面積等のデータを取り扱ったデータ

収録：　2002年・2004年・2007年

商業統計立地環境特性編をもとに作成


81

マイクロエネルギー統計

マイクロ人流統計


マイクロ経済統計

マイクロデータシリーズ

マイクロ建物統計

マイクログラフ統計

マイクロジオデモグラフィクス


82

ナレッジが溜まれば溜まるほど精度が高くなる組み込み可能なプラットフォームの提供

シナリオ

データ

アルゴリズム

モデル

フレームワーク

contributors


83

OSM（オープンデータ）の活用および航空写真・衛星画像から建物領域を抽出

海外における展開可能性


84

5 一緒に活動しませんか？


85

アイディアソンやハッカソン、研究活動にマイクロ人口統計をお貸しします


86

慶應義塾大学厳網林研究室　

共同研究事例

自然エネルギー活用による復興シミュレーション・計画策定

提供データ：

・将来人口統計・マイクロ人口統計


87

産学連携ための交流の場

2014年2月中旬に開催予定

h(p://geodata.csis.u-‐tokyo.ac.jp/


88

千葉と神奈川、東京を１つにするためにアクアラインでハッカソン！！？みんなで外で海をみながら・・・　春・秋がいいです

引用：　Wikipedia h(p://ja.wikipedia.org/wiki/東京湾アクアライン

希望

ハッカソン


89

まとめ

全世界でマイクロデータシリーズを展開するためのプラットフォームを開発中！！！

市民自治支援のための

リアルSimCity、疑似パーソナルデータとしてのマイクロ人口統計、


90

ご清聴いただき、ありがとうございました！！

Technology

オープンデータを活用したマイクロ人口統計の開発