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みんなで作る位置情報サービスと本機構の事業構想
NPO 法人位置情報サービス研究機構 代表理事
名古屋大学 教授 河口 信夫
自己紹介
河口 信夫 (かわぐち のぶお)• 名古屋大学大学院工学研究科 教授• NPO 位置情報サービス研究機構 (Lisra) 代表理事
研究テーマ ユビキタス・コンピューティング• 無線 LAN を用いた位置推定ポータル「 Locky.jp 」
• カウントダウン時刻表サービス「駅 .Locky 」• 人間行動センシングコンソーシアム「 hasc.jp 」• NEDO IT 融合プロジェクト (2012/10 採択 )
西鉄、名鉄、 IIC 、九大、名大の 次世代の社会向けの共同プロジェクト
駅 .Locky
「移動体データ銀行で実現する次世代交通情報共通基盤アジアモデルの構築」
3
位置情報サービス研究機構 ご紹介Location Information Service Research Agency
「リスラ」と呼んでください
・位置情報に関する技術・サービスの研究・開発・位置情報関連技術の教育・振興・位置情報登録を行なうボランティアの支援
本機構の目的
1. 位置情報に関する技術・サービス等の情報提供事業2. 位置情報に関するシンポジウム・セミナー開催事業3. 位置情報に関する情報システムの開発・実験事業4. 位置情報や位置依存情報の収集・提供及び流通支援事業5. 位置情報に関するボランティア活動の支援事業6. その他この法人の目的を達成するために必要な事業
法人の事業内容
(2012年9月設立)
代表理事: 河口信夫 (名古屋大学 教授) 顧問: 柴崎亮介 (東京大学 教授)
4
本日の話題
• なぜ「 Lisra 」か?– G 空間 EXPO/Geo アクティビティフェスタ – これまでの経緯
• 事業構想– 屋内位置情報 WG– POI WG– 位置連動広告 WG– 「みんなで作る位置情報サービス」
G 空間 EXPO / Geo アクティビティフェスタ
NPO 位置情報サービス研究機構 / 名古屋大として、展示を行いました。
また、発表では、「地理空間情報ボランティアを支える枠組みの提案」 において、国土地理院長名で最優秀賞を頂きました!
2012 年 6 月 21 日 ~23 日
6
Locky.jp プロジェクト
• 無線 LAN による位置情報ポータル• 無線 LAN 基地局 (WiFi AP) + 位置情報の
収集• AP の位置情報があれば、端末位置が特定可能
• 無線 LAN による位置推定の研究が目的
• 2005 年7月よりデータ収集開始• ボランティアがデータ収集
GPS
Note PC
WiFi Antenna / Card
Battery
Stumbler
自転車を使った データ収集
8
Locky.jp で集められた WiFi 基地局
ボランティアベースで大規模データ収集が可能なことを示した
ただし、ボランティアの数は限定的 (2600 人 )
• 2012 年1 0 月時点で
• 106万 基地局
名古屋の地下鉄の無線 LAN 基地局を全調査
• 83 駅 356 フロア
• 28620箇所• 1777 AP を収集
11 月 26 日付け日刊工業新聞
名古屋地下鉄実証実験
2008/11
Locky.jp プロジェクト による iPhone アプリ群
• 駅 .Locky (2009.10~ ) –電車用の時刻表カウントダウン
• 時刻表 .Locky (2010.6~ )–バスや飛行機など、任意の時刻表に対応– 国際対応 .
• 路線 .locky (2009.11~ ) – リアルタイム路線図 ( 名古屋市営地下鉄のみ )
• App.Locky (2010.12~ )– コンテキストに応じたアプリケーション
推薦システム
140万DL
40万 DL
6.8万DL
1.8万DL
2012/11/12 現在
スマホアプリ : 駅 .Locky
• GPS / WiFi測位を利用して最寄りの駅の次の列車の時刻をカウントダウン
• 時刻表は「ボランティア」による情報提供 (7875 人 )
• 現在までに 140万ダウンロード
• 毎日約 10万アクセス
Android 版も数日前にリリース
http://eki.locky.jp
14
「駅 .Locky 」用の Web サービス兼サポートサイト
Oct 25 2009 Feb 25 2010
時刻表の提供状況 ( 現時点では 99% カバー )
ここでも、ボランティアの力を確認した
16
時刻表がアップロードされた駅の数
登録ユーザ: 7875 (2012/3)
Oct-09
Nov-09
Nov-09
Dec-09
Jan-1
0
Jan-1
0
Feb-10
Feb-10
Mar-10
Mar-10
Apr-10
Apr-10
May-10
Jun-1
0
Jun-1
0Ju
l-10Ju
l-10
Aug-10
Aug-10
Sep-10
Sep-10
Oct-10
Nov-10
Nov-10
0
2000
4000
6000
8000
10000
12000Stations uploaded timetable
Uploads / week
99%の駅が登録済
アップロードされた時刻表
Twitter での評判
Locky プロジェクトで得られた経験
• ボランティアベースでのデータ収集は有効
• 例:駅 .Locky で集められた「時刻表データ」は 誰のもの?誰が使って良いの?– こういったデータを他のサービスでも利用可能に
するための枠組みも重要– 地域毎や情報種別毎に、個別のサービスが立ち上が
るのはいかがなものか?
サイバー空間の位置情報ボランティア
位置依存情報の提供や流通の支援も必要
19
時刻表 .Locky
駅 .Locky は 電車用
時刻表 .Locky は 任意の時刻表(バス、船、飛行機)
似ているが少し違うの
で、共通化は難しい
20
草の根:位置情報サービス (他者事例)ポストマッ
プ
21
草の根:位置情報サービス (他者事例)トイレマッ
プ
22
愛知県の事例
23
このままだと。。。。(予想される未来)• 外出する前に、、、
– 時刻表のために → 時刻表 .Locky ・駅 .Locky– ポストのために → ポストマップ– トイレのために → トイレマップ– AED のために → AED マップ– ロッカーのために → ロッカーマップ– 車を借りるために → レンタカーマップ–食事のために → 食事マップ
コンテンツ提供者は、データをかかえこんでしまいがち
利用者からすると
自分に特化したサービスが欲し
い
地域限定高齢者向き身障者向き
必要なサービスを、必要な時に見つけられますか?
位置情報サービスの課題
• 地図サービスは複数存在している– といっても、現時点では、 G○○gle の独断場
• 位置コンテンツ(位置に依存した情報)も多数• しかし、これらを自由に選択・組合せする仕組みが欠けている
24
もう、単一のサービスで十分、という時代は終わりました
基盤地図情報
マップサービス
マップサービス
マップサービス
マップサービス
マップサービス
×コンテンツ
サービス×コンテンツ
サービス
コンテンツ
サービス
利用者にとって便利なサービスが選択できるように
25
オープンデータだけでは単純に解決できない• すべての組織が、オープンデータ化のコスト
を払えるわけではない
• 推進、活用する仕組みが必要– 実は多くのオープンデータの成功は、
アプリケーションのコンテストが重要
• 地理空間情報では、特にボランティアの力が有効に働く
地理空間情報の流通を支える枠組みの必要性
26
• 民間と公的機関、ボランティアの間に立つ基盤
公的機関
ボランタリ地理空間情報インフラ・組織
地方自治体
公共交通機関
民間事業者
民間事業者
民間事業者
データ提供データ提供
地理空間情報ボランティア
データ提供草の根サービス
草の根サービス
地理空間情報の流通を支えるNPOの設立
27
• 民間と公的機関、ボランティアの間に立つ基盤
公的機関
地方自治体
公共交通機関
民間事業者
民間事業者
民間事業者
データ提供データ提供
地理空間情報ボランティア
データ提供草の根サービス
草の根サービス
28
自治体と位置情報サービス
• 自治体には様々な位置に関する情報が存在–避難所情報– 学校 / 学区情報–危険箇所情報– 工事情報– etc.
• さらに、交通情報なども有する場合も
これらの情報は市民に開放できるはず
データ変換や、データ内容に関する対応は NPO で実施可能。(自治体側の負担は、可能な限り少なくできる)
自治体GIS
29
実証実験と民間サービスの間を埋める
実証実験位置情報サービ
ス
民間位置情報
サービス事業
規模のスケール 大小
収益性
有
無
通常のパ
ス
事
業化も
可能
収益性
が高
まれ
ばニッチな位置情報
サービス事業
研究機関
民間事業者民間事業者
我々の提案
30
本機構の事業構想
31
NPO (特定非営利活動法人)における事業
• NPO=非営利団体ですが、営利事業も可能• NPO は、構成員に収益を分配せずに、主たる事業
に利用する点で、一般企業と異なる
• の主たる事業分野–保健、医療又は福祉の増進、まちづくり、観光、農山漁村・中山間地域、学術・文化・スポーツの振興、環境の保全、災害救援、地域安全、国際協力、情報化社会の発展、科学技術の振興、消費者の保護、 NPO の支援
(つまり、位置が関係するすべての分野が対象)
32
ワーキンググループ (WG) 活動様々なWGの活動を始めています。• 屋内位置情報サービス WG
– 屋内における位置情報についての検討– すでに2回開催、実証実験を行う準備– 他団体との連携、予算獲得申請など
• POI(Point of Interest) WG–様々な位置に依存した情報の共通化・流通検討
• 位置依存広告 WG– 駅 .Locky のバナーエリア( 10万 /day) を
使って、位置 ( 駅 ) に依存した情報提供実験
33
大規模ユーザの力
• 一つ一つは単純でも、多くのユーザが集まると、大量の情報となり(ビッグデータ)様々な情報が獲得できる
• いくつかの例を紹介– 駅 .Locky バナー情報システム– App.Locky
バナー情報システム
• 「駅 .Locky サーバ」は Lisra が運用• 駅 .Locky にバナー表示機能• 表示内容は、位置等で制御可能
• Google App Engine 上で動作 .
• 100,000 アクセス / 日
バナー
アクセス状況
App.Locky
• ユーザ状況に依存したアプリケーション推薦システム .
• しかし、“ユーザ状況”の推定は簡単ではない• まずは、“ユーザに聞く” ことから始めた
駅にて
時刻表アプリを紹介
よるの繁華街にて
レストラン検索を提案
App.Locky Demo
検索ログ収集状況
検索ユーザ数 6500 人以上
総検索回数 21382
「今の状況」での検索回数 15310
「このアプリを入手」が選ばれた回数 2793
「このアプリは不要」が選ばれた回数 1136
38
0 時 3 時 6 時 9 時12
時15
時18
時21
時0
200400600800
100012001400
検索回数 ( 実験期間 31 日間 )
時刻・曜日別アクセス状況
月 火 水 木 金 土 日0
500
1000
1500
2000
2500
3000 自宅 7035
暇 3746
普通 2962
電車 2067
眠い 1782
疲れた 1659:
合計 46,182
状況タグの選択回数
検索回
数/時
間
検索回
数/曜
日
状況タグの時間依存性
39
「通勤」の時間別選択確率 「夕食」の時間別選択確率
00.0050.01
0.0150.02
0.0250.03
0.0350.04
0.045
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
00.10.20.30.40.50.60.70.8
0
0.05
0.1
0.15
0.2
0.25
0.3
「職場」の時間別選択確率 「自宅」の時間別選択確率
• 状況タグ がある時間 で選択される条件付き確率
P(通勤
|T)
P(夕食
|T)
P(職場
|T)
P(自宅
|T)
( 時刻 T)
( 時刻 T)
( 時刻 T)
( 時刻 T)
状況タグの位置依存性
40
東京都内での検索位置の分布(約 5000 クエリ)
状況タグの位置依存性
• 日本全国の駅周辺 300m以内での選択率が高い状況タグ– ある状況タグ が駅周辺 で選択される条件付き確率
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今どこにいる? 今何してる? 今の体調は? 今の気分は?
あなたはどんな人?
駅、停留所 0.77
地下鉄 0.77
電車 0.76
駅 0.71
居酒屋 0.67
…
寝る 0.83
鉄道 0.82
帰宅 0.76
出勤 0.75
下校 0.75
…
疲れた 0.58
普通 0.57
元気 0.56
腹痛 0.56
眠い 0.56
…
暑い 0.64
空腹 0.64
病気 0.61
いつも通り 0.60
満腹 0.60
…
40 代 0.76
60 代 0.69
サラリーマン 0.66
30 代 0.63
男 0.60
…
状況タグ同士の共起関係
• 共起度の指標として相互情報量を利用– 2つの状況タグ x,y の相互情報量 I(x,y)
42
電車 職場 買い物
登校帰宅下校出勤帰省通勤出張移動空腹出張中…
休憩ミーティング仕事営業中バイト仕事、勉強昼食自営業出張中忙しい…
デパートコンビニショッピングモールショップ観光地屋外フェリー道路自転車テーマパーク…
人間の状況に関する知識モデル
・時刻・日付 (絶対的 )・曜日、季節 (周期的 )・何の日か?
・緯度経度・地名・近くの施設カテゴリ・近くの施設の名前
・性別・血液型・職業
時間 位置
プロフィール・年齢・趣味・嗜好
自宅
職場
電車
カフェ
仕事
休日
夜
昼
通勤
暇
男自宅
学生買い物
誕生日
20 代
パーティ
コンテキスト情報
状況タグ
タグ同士の相関
状況依存型推薦サービスに再利用可能
大規模実験から得られた知見
• 「自分の現在状況を入力する アプリ検索サービス」によって 統一的な表現での検索ログを大量に収集できた– アプリの自動推薦に必要な学習情報を獲得
• 検索ログには、さまざまなユーザの 「生の姿」が繁栄されている
• 多様な応用可能性が存在44
6500 ユーザ、 20000件の検索ログ
45
Lisra の事業
• 大規模ユーザ(認知度)を活用した、実験とサービス導入の方法論を検討したい
• NPO は、様々な可能性の入口を担うことが可能 (しかも、低コストで運用できる可能性) → サービス品質( Best Effort であることを宣言) → 可能な限りの継続性 (継続すると、ある日、急に流行ることが)
新しい事を行うための、インキュベーターに
46
「みんなで作る位置情報サービス」
• 社会に広がる「ボランティア」の枠組み– これまでは、災害支援、福祉といった領域が中心
• 情報技術を使ったボランティア活動– データ提供者=「位置情報ボランティア」–誰でも、どこでも活躍する場がありえる
• 観光データ /写真の登録など– 「プロボノ」=専門知識を生かしたボランティア
• ハッカソン・アイディアソン• IT 技術者のスキル社会貢献になりえる
– これらを支えるための NPO としても活動• 会場費、サーバ費、広報支援、維持管理支援など
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NPO としての Lisra の特徴
• 会員 ≠ ボランティア• 会員は、事業の方向性を決める
–何に投資するか–何を支援するか–どんな実験を行うか
• 誰でも会員になれる– 目的(位置情報技術の研究・開発など)に合致
していれば NPO は新会員の参加を拒めない• 将来は → アドボカシー(政策提言)
そのためには、実績(成功事例)が重要
48
Lisra が想定する循環
位置情報サービス
データ登録システム
地理空間情報ボランティア
一般ユーザ
サービス提供
データ登録
データ変換
良質なサービス提供により、より多くの
ボランティアの参加を目指す
駅 .Locky サーバを始めとした様々な、
実サービスの運用を実施
サポートいただいている皆様(会員企業)
49
50
連携教員(特別会員)
• 立命館大学 情報理工学部 西尾信彦 教授• 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科
砂原秀樹 教授• 千葉工業大学 情報科学部 屋代智之 教授• はこだて未来大学 システム情報科学部 角 康之 教授• 京都産業大学コンピュータ理工学部 秋山豊和 准教授• 九州大学システム情報科学研究院 荒川 豊 助教
(他にも多数)
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すなわち
+X政府自治体民間企業研究機ボランティア実証実験・・・・
52
本日の参加者内訳( 181 名!)
53
入会のお勧め• 多様な事業可能性がありますが、
実際に進めるのは「会員」です。• 会員になって、一緒に
「新しい位置情報サービス」 および、取り巻く環境を実現しましょう。
Lisra 会員種別 団体正会員 入会金 5万円,年会費 1 口 5万円 個人正会員 入会金1万円,年会費 1 口 1万円 準会員 入会金0円 ,年会費 1 口 2千円 団体特別会員 入会金0円 ,年会費 1 口 2万円 個人特別会員 入会金0円 ,年会費 0円
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今が入会のチャンス
• Lisra は年会費が 4半期で分割されています → 今 (12 月 ~2 月 ) ご入会いただくと、 今期( 2012 年 5 月末)の会費
は、 1/4 まずは「お試し入会」してみませんか?Lisra 会員種別
団体正会員 入会金 5万円,年会費 1 口 5万円→ 12,500円 個人正会員 入会金1万円,年会費 1 口 1万円→ 2,500円 準会員 入会金0円 ,年会費 1 口 2千円→ 500円 団体特別会員 入会金0円 ,年会費 1 口 2万円 個人特別会員 入会金0円 ,年会費 0円
55
まとめ
• サービスやボランティアを支える仕組み– 地理空間情報ボランティアを支える枠組みとして、NPO法人 位置情報サービス研究機構 を設立
• 多様な事業計画– すでに動いている WG– いろいろなジョイントプロジェクト–将来は、アドボカシー(政策提言)まで
• 公共政府・NPO・ボランティア・民間企業の協働を実現し、よりよい社会を実現しましょう。