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国土地理院の FOSS4Gへの取り組み 国土地理院 地理空間情報部 業務課長 鎌田 高造

Foss4g2009tokyo Kamata Gsi

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FOSS4G 2009 Tokyo(フォスフォージー2009東京)-フリー&オープンソースGISの祭典-http://www.osgeo.jp/foss4g2009-in-tokyo/2009年11月1日(日) ~ 2日(月)

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国土地理院のFOSS4Gへの取り組み

国土地理院

地理空間情報部 業務課長

鎌田 高造

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本日お話しする内容(概観)

地理空間情報活用推進基本法と基盤地図情報

地理空間情報が活用されるべきという機運

基盤地図情報の整備/公開がFOSS4Gにどう貢献できるか

基盤地図情報はデータ面から、FOSS4Gはアプリケーション面から、地理空間情報の活用を支えるはず

電子国土webシステム(地理空間情報の利用ツール)

FOSS4Gとの親和性を向上させる予定

役所とFOSS4Gとの親和性

技術的要素以外から親和性を見いだす

国土地理院以外の役所にもあてはまる

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議員立法

地理空間情報活用推進基本法

地理空間情報(デジタル地図情報)を活用して、社会を活性化させることが必要な時代

環境が整ってきている

ハードウェアが十分早くなった

ネット環境も整っている

GISという概念もかなり広まった

本日の聴講者には自明な話

では、地図データは?

5年前(基本法が構想された時点)は流通が不十分だった

もっと流通させるべき、折角存在するデータを活用すべき

Google に任せるのは国の安全確保上心配という声も

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日本の地図行政、地図産業-概観-

国土地理院が基本測量を实施

基本測量とは全ての測量の基礎となる測量、汎用的

それに基づいて、地方公共団体が個別に測量を实施

特定の行政目的に沿った測量、必ずしも汎用性はない

これまで十分に流通してきたとは限らない

民間会社はこれらの測量成果を適宜利用する

コンテンツビジネスは阻害されない

「地図をコピーして売る」場合は、測量法に秩序規定がある 平成19年度の測量法改正までは、「必ず申請を求める」だった

現在では、オンラインでも利用申請は可能

申請不要ケースの場合は、その旨の案内もしています

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個別の地図の限界

地図は、許容範囲内で誤差を持つ

誤差を厳しく抑制すると、コスト増になる(当然)

紙地図を利用していた時代には気にならなかった誤差も、GISで重ね合わせて利用する場合には非常に気になる

位置の基準となる地図情報が必要

こうして基盤地図情報という概念が生まれた(基本法にも中心的事項として盛り込まれた)

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基盤地図情報

基本的な性格

他の地理空間情報の位置の基準となる(基本法第2条第3項)

原則として自由に使用できる(基本法第18条第1項、第2項)

規格

国土交通省令で、該当項目と要求精度が定められている

該当項目は13種類

要求精度は次の値を下回らないこと:

① 都市計画区域内は位置精度2.5m

ただし、实際に使用している資料(都市計画図)は、大半は1mよりも

ずっと精度が高い。

② それ以外の地域は位置精度25m

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基盤地図情報の項目

測量の基準点 海岸線 公共施設の境界線(道路区域界) 公共施設の境界線(河川区域界) 行政区画の境界線及び代表点 道路縁 河川堤防の表法肩の法線 軌道の中心線 標高点 水涯線 建築物の外周線 市町村の町若しくは字の境界線及び代表点 街区の境界線及び代表点

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基盤地図情報の項目/イメージ図

1.40.9

水涯線

海岸線標高点 測量の基準点

○○二丁目△△番 道路縁

標高点

字□□

公共施設の境界線(河川区域界)

行政区画の境界線及び代表点

公共施設の境界線(道路区域界)

測量の基準点

河川堤防の表法肩の法線

軌道の中心線

建築物の

外周線

市町村の町若しくは字の境界線及び代表点

街区の境界線及び代表点

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基盤地図情報の整備・提供の状況

整備状況:H21年度末の予定 整備自治体数:約590

整備面積:約62,000km2 (2500レベル)

なお、25000レベルについては、H19全国整備済み(提供中)

提供状況:H21年11月1日 提供自治体数:206

11月1日提供自治体:32

滝沢村、七ヶ浜町、女川町、下妻市、取手市、かすみがうら市、阿見町、下野市、飯能市、新座市、ふじみ野市、伊奈町、松戸市、静岡市、焼津市、東海市、三好町、鈴鹿市、亀山市、熊野市、木曽岬町、菰野町、明和町、玉城町、南伊勢町、紀北町、御浜町、浅口市、松前町、高知市、香美市、北九州市

インターネット上で無償ダウンロード提供しています。http://www.gsi.go.jp/kiban/index.html

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基盤地図情報の提供範囲平成21年10月1日時点まで

2500レベル提供地区(174市町村)平成20年4月提供:【栃木県】佐野市、【埼玉県】さいたま市、川越市、深谷市、越谷市、三郷市、【神奈川県】川崎市、伊勢原市6月提供:【茨城県】水戸市、【栃木県】足利市、【群馬県】前橋市、【埼玉県】所沢市、【神奈川県】横須賀市、鎌倉市、 厚木市、藤沢市、 茅ヶ崎市、

【新潟県】新潟市、【石川県】金沢市、【福井県】福井市、【長野県】長野市、【大阪府】豊中市、吹田市、茨木市、【鳥取県】鳥取市、【島根県】松江市【岡山県】岡山市【愛媛県】松山市

9月提供:【宮城県】仙台市、【大阪府】泉大津市、高槻市、富田林市、寝屋川市、羽曳野市、門真市、藤井寺市、熊取町、田尻町、【兵庫県】神戸市、【和歌山県】和歌山市

10月提供:【岩手県】盛岡市【秋田県】秋田市【福島県】福島市11月提供:【京都府】京都市

平成21年3月提供:【愛知県】岡崎市、新城市、田原市、【福岡県】久留米市、【佐賀県】佐賀市、鳥栖市、【熊本県】合志市4月提供:【福岡県】大野城市、宗像市、【長崎県】長崎市、【沖縄県】南城市、南風原町5月提供:【愛知県】一宮市、瀬戸市、江南市、小牧市、尾張旭市、岩倉市、愛西市、大口町、甚目寺町、大治町 飛島村6月提供:【北海道】函館市、苫小牧市、千歳市、石狩市、厚真町、【千葉県】木更津市、市原市、八千代市、四街道市、印西市、白井市、富里市、

【神奈川県】小田原市、南足柄市、大磯町、二宮町、大井町【新潟県】 上越市、【富山県】富山市、高岡市,【石川県】小松市7月提供:【福島県】郡山市、いわき市、須賀川市,【埼玉県】羽生市,【千葉県】市川市、船橋市、野田市、佐倉市、柏市、浦安市、【山梨県】甲斐市,

【静岡県】磐田市、御殿場市、湖西市、新居町、【滋賀県】草津市、東近江市、安土町、竜王町、虎姫町8月提供:【岩手県】久慈市、岩泉町,【兵庫県】明石市9月提供:【宮城県】富谷町【愛知県】阿久比町,【三重県】津市、松阪市、伊賀市、【京都府】福知山市、 【大阪府】岸和田市、【兵庫県】加古川市、三田市、

福崎町、太子町,【奈良県】橿原市、生駒市、王寺町【徳島県】:徳島市、鳴門市、阿波市、松茂町、北島町、藍住町、板野町、上板町10月提供:【北海道】札幌市、【岩手県】花巻市、【茨城県】大洗町、 【埼玉県】鴻巣市、越生町、鳩山町、【新潟県】新潟市、 【石川県】金沢市、白山市、

野々市町、内灘町、 【長野県】安曇野市、【静岡県】伊豆の国市、長泉町、【愛知県】常滑市、大府市、知多市、知立市、豊明市、日進市、東郷町、東浦町、武豊町、【三重県】伊勢市、名張市、鳥羽市、いなべ市、東員町、朝日町、川越町、【京都府】八幡市、 京田辺市、木津川市、【大阪府】阪南市、【兵庫県】西宮市、伊丹市、宝塚市、【奈良県】川西町、【和歌山県】海南市、【島根県】東出雲町、【広島県】廿日市市、【愛媛県】伊予市、 【福岡県】苅田町

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基盤地図情報整備範囲平成21年11月1日時点

凡 例

H19・H20・H21整備市町村(約6.0万㎢)

都市計画区域(約10万㎢)

提供中(約2.2万㎢)

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基盤地図情報-閲覧サイト入口-

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基盤地図情報-閲覧サイト(2500)-

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基盤地図情報が利用される社会

自己利用目的であれば自由に使える 改変(新たな測量を行う、追加情報を載せる等)は自由

改変したデータを配布することも自由

測量の精度を確認する観点から、地理院の承認申請が必要になる場合があるが、基本的に申請は承認される

申請不要なケースも少なくない

地図整備コストが下がる 都市計画図の場合、2割~3割のコストダウンが見込める

公共測量の標準作業手順や参考積算基準を、国土地理院で制定する予定

基盤地図情報はGISと相性がよい 毎日かなりの数のダウンロードがある

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FOSS4Gと基盤地図情報

国土地理院のサイトから自由にダウンロード可能

整備したエリアから順に、公開範囲を拡大中

電子国土webシステム(後述)で閲覧も可能

変化に対応した更新も行う

精度も(緩やかにではあるが)さらに向上させる

利用しやすさを考えた制度運用を心がけている

基盤地図情報は、FOSS4Gとも相性がよいはず

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電子国土Webシステム

基盤地図情報の閲覧用システム(スライド#10、#11)

無償で利用可能

基盤地図情報以外にも、国土地理院の地図を背景に表示可能

ユーザが保有の地理空間情報を重合せ表示可能

Javascript+XMLでサイトを構築

入門Web-GISとして、予算が潤沢ではない市町村に推奨してきた

平成15年時点では良いコンセプトだったが、現在は時代に追い越されている

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電子国土Webシステムの限界①

レスポンスの向上が難しい

自前で開発していると、世の中の最前線と張り合うのは困難

もう少し早くならないか、という声が最近多い

大規模な機能追加が困難

追加機能を要望する声すべてに対応するのは困難

投入リソースが少ないためだが

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電子国土Webシステムの限界②

投入リソースが少なかった

多くの役所に共通の課題

予算的にも、人員的にも

いわゆるベンダーロックイン状態だった

全てを直営で開発するのは困難

開発を外部発注すると、ベンダーロックインになりやすい

設計思想をそろそろ全面見直しする時期かも

そんなときに、FOSS4Gと出会った

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電子国土Webシステムの今後

オープンソース化を進めたい

ベンダーロックインから解放されたい

保守性を向上させたい

サポートセンターの負担を軽減したい

外部開発者の自由度を高めたい

外部からの要望による機能拡充には限界がある

FOSS4Gの考え方ならば、自己責任改変はOk

今年度中に基本的な設計見直しを終えたい

来年度は具体的な開発に入りたい

これでも遅いが・・・・

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役所がFOSS4Gを採用する意義①

データもFOSS4Gと相性が良い

データの相互利用を進めることは、基本法の精神に合致

基盤地図情報は、すでに流通し始めている

IT時代をにらんだ利用促進の観点から、H19に測量法も一部改正した

良いアプリケーションが登場すると期待される

すでに实例も散見される

利用申請も順調に伸びている

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役所がFOSS4Gを採用する意義②

ベンダーロックインから解放される

技術を持っている会社ならば、誰でも受注して頂ける

何を以て「技術を持っている」と言うかが分かり易くなる

受注者の決定過程が透明化する

「技術を持っている会社」であることだけが受注要件

随意契約ではなく一般競争入札で受注者を決定可能

昨今の情勢では、役所にとって非常に重要なこと

標準的な仕様書というものはまだ確立していないが・・・

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役所がFOSS4Gを採用する意義③

仕様が明確になる

オープンなシステムであるから、仕様が分かり易くなる

人事異動に伴う引き継ぎも容易に

異動が頻繁に発生する行政官庁では、重要なファクター

システムの保守が容易

技術情報をweb空間上から得ることも可能になる

簡単な仕様変更、ちょっとした改良ならば、自力でできる場合もある

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国土地理院は

基盤地図情報の整備及び無償公開を続けます

FOSS4Gの考え方にも合致すると考えます

地図の整備及び更新に要する総コストの軽減に努めます

地方公共団体等へも、地理空間情報の流通を促します

FOSS4Gと今後も良い関係を持てるよう努めます

データの品質だけでなく、利用制度にも気を配ります

電子国土webシステムのオープンソース化を進めます

行政の効率化や透明化が進むことを示します

地方公共団体が比較的安価にGISを構築する際の参考となるべく努めます

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国土地理院は

地理空間情報の活用を通じて、

よりよい社会を招来できるよう努めます

いつでもご質問をお待ちしています鎌田(個人):[email protected]

基盤地図情報: [email protected]