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本書は、このITの基礎的な知識と最新のトレンドに関する最低限の常識を整理するための教科書です。MS word形式(本文54ページ)で掲載致しました。必要に応じて改変しご利用ください。 http://libra.netcommerce.co.jp/
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企業の仕組みと情報システム [情報システムの基礎]
1 © 2011-2014,NetCommerce
目次
はじめに ................................................................................................................................. 2
I. 情報システム基礎 ............................................................................................................ 4
1. 情報システムと通信の基礎 ........................................................................................... 4
① コンピューターの基礎 ............................................................................................ 4
② ネットワークの基礎 .............................................................................................. 23
2. 情報システムの生まれてきた歴史と現在 ..................................................................... 30
3. 情報システムについての 新のキーワード ................................................................. 32
① クラウド・コンピューティング ................................................................................. 32
② 仮想化 ................................................................................................................ 41
③ お客様のニーズと情報システムへの期待 ............................................................. 57
企業の仕組みと情報システム [情報システムの基礎]
2 © 2011-2014,NetCommerce
はじめに
私達のお客様である「企業」は、日々様々な活動をしています。その活動により、私達は快適に、そ
して便利に生活することができます。
この快適さや便利さはタダで手に入るわけではありません。私達はお金を支払い、この恩恵を手に
入れているのです。しかし、その金額が高ければ、人々はそれを購入できません。また、他の会社がも
っと低価格で、あるいはもっと便利なものを提供すれば、お客様をそちらにとられてしまいます。
モノが売れない、サービスが利用されないでは、企業の経営は成り立たちません。そこで、さらに魅
力的な商品やサービスをより安く提供するために、企業は日々工夫と努力を重ねているのです。
企業活動とは、このような「お客様に高い満足を提供しつつ、安定した売り上げや利益を上
げ続けるための取り組み」です。そして、そのような企業の努力があるからこそ、私達の生活はます
ます便利で豊かになり、雇用の機会も得ることができるのです。
時代の移り変わりや社会、経済環境の変化に対しても、企業は対処しなければなりません。時代の
変化はお客様のニーズを変えてしまいます。昔よかったものが、今もいいとは限らないのです。この変
化に対処できなければ、企業は存続できません。
情報システムは、これら企業の苦労や課題を解決する手段として、今や欠くことのできない存在とな
っています。
企業の仕組みと情報システム [情報システムの基礎]
3 © 2011-2014,NetCommerce
本書は、この企業活動と情報システムとの関わりについて整理するための教科書です。
企業とその活動について理解し、その企業が抱える課題について考えます。また、その課題を解決
するための手段として、情報システムがどのように使われているのかを学びます。さらに、情報システ
ムの歴史と基礎、 新のキーワードや各社の取り組みについても学びます。
私達のお客様には、情報システム関連企業が数多くいらっしゃいます。そのお客様に質の高い仕事
を提供することが私達の使命です。その使命を全うするためにも、企業と情報システムに関わる常識を
しっかりと身につけておくことが大切です。
あなたがお客様と自信を持って会話し、お客様に質問し、お客様の話を正確に理解するための基本
となる知識が本書にはまとめられています。
わからなければ何度でも読み返してください。それでもわからなければ、先輩や上司に質問してくだ
さい。そのような努力が、きっと、あなたの仕事力を向上させてくれるでしょう。
ところで、本書で使われるいくつかの言葉について、あらかじめ解説しておきます。
まず「情報システム」と「IT」という言葉です。
情報システム(Information Systems)とは、情報を扱う仕組みを意味します。つまりコンピュー
ターなどの機器類やそこで動くプログラムなどを組み合わせたものです。例えば、会計情報システ
ムというと、コンピューター装置とそこで動く会計業務を処理するプログラムの組み合わせた全体
の仕組みのことです。
一方、IT(Information Technology)は、「情報システムを実現する技術」を意味する言葉です。
例えば、後ほど登場するスマートフォンやクラウド・コンピューティング、仮想化などがこれに該当
します。
つまり両者は「IT を使って情報システムを構築する」という関係にあります。本書では、この意味
を前提に解説をしています。ただ、一部では慣例を優先させて使用している部分もあります。
「費用」と「コスト」という言葉も頻繁に登場します。こちらについては、特に意味の違いはありま
せんが、慣例を踏まえて使い分けています。
2014 年 3 月 31 日
企業の仕組みと情報システム [情報システムの基礎]
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I. 情報システム基礎
私達の生活や企業活動に不可欠な情報システム。それは、どのようなものでしょうか。その歴
史と基礎を振り返りながら、その 新動向を紹介してゆきます。
1. 情報システムと通信の基礎
情報システムは、様々な情報を処理する「コンピューター」と、コンピューター同士を通信でつな
ぐネットワークによって構成されています。まずは、このふたつについて、整理してみましょう。
① コンピューターの基礎
! コンピューター 五大機能
コンピューターとは、入力された情報を様々な加工や編集などの処理を施し、その結果
を再び情報として出力する仕組みです。
コンピューターを利用するユーザーは、「コンピューターで、何ができるか」が重要です。
例えば、ワープロ、ゲーム、ホームページ、会計業務などに関心があります。
しかし、コンピューターがその希望をただ願うだけでかなえてくれるわけではありません。
そこでユーザーの求める処理を実現するために、その手順を教え込ませる必要がありま
す。その手順を記述したものがプログラムです。プログラムは、実現する処理の特性に応
じて、プログラム言語と言われる様々なタイプの記述方法、文法を使い分けています。例え
ば、銀行業務のような事務計算処理に使いやすい COBOL、どのよう業務にも幅広く使え
る Java、ホームページ上でプログラムを動かす JavaScript、技術計算を得意とする C や
Fortran など様々な言語があります。
このプログラムを記述する人が、プログラマーです。プログラマーは、「コンピューターを、
どのように動かせばいいか」を考えます。そして、コンピューターのもつ様々な機能を組み
合わせて、ワープロやゲームなどができるようにします。
コンピューターは、入力、記憶、演算、制御、出力の機能によって構成されています。こ
れをコンピューターの五大機能と言います。プログラマーは、この五大機能をうまく組み合
わせることで、様々なユーザーの望む処理を実現しているのです。
それでは、この五大機能のそれぞれについて、整理してゆきましょう。
企業の仕組みと情報システム [情報システムの基礎]
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" 入力
データやプログラムをコンピューターに送り込む部分です。データとは具体的には、
文字を入力するキーボード、画面に表示された記号やボタンを指定するマウスやタッ
チパネル、動画や写真を入力するカメラやスキャナー、音声ならマイクなどがその役
割を果たしています。
" 記憶
入力されたデータやプログラムを保管しておく仕組みです。この仕組みは「主記憶
装置」と「補助記憶装置」に分けることができます。
主記憶装置とは、コンピューターが後ほど説明する演算を行なうために必要なデー
タやプログラムを一時的に保管しておくためのものです。主記憶装置は、データやプ
ログラムの出し入れを高速に行なうことができる反面、電源を切ると消えてしまいます。
また、記録できる容量あたりの単価が高額な半導体メモリーといわれるものを使いま
す。そのため、大量かつ長期間にわたってデータやプログラムを保管することには向
きません。
そこで、使われるのが補助記憶装置です。磁気ディスク装置がその代表的なもの
です。また、 近では、出し入れの速度はあまり速くはありませんが(と言っても磁気
ディスク装置よりは高速です)主記憶装置に使われるものよりは安価な半導体メモリ
企業の仕組みと情報システム [情報システムの基礎]
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ーが使われ始めました。これは、フラッシュ・メモリーと言われるもので、USB メモリー
や SSD(Solid-state Drive)と言われるもので、磁気ディスクの代替として普及し始め
ています。
" 演算
プログラムに書かれた手順に従いデータを処理する機能を提供します。四則計算
や加工、編集などの様々な処理を行ないます。
" 制御
コンピューター全体の動きを管理し、無駄なく確実に処理の流れを制御します。記
憶と演算の間のデータやプログラムのやりとり、入力や出力の機能の制御などに関
わります。通常、「演算」と「制御」は CPU(Central Processing Unit 中央演算装置)
と言われるひとつの部品に収まっています。
" 出力
演算結果は、一旦「記憶」装置に格納されます。それを取り出すものが出力です。
例えば、文字や図表ならばプリンター、動画ならばディスプレー、音声ならばスピーカ
ーなどがこれに当たります。
コンピューターは、この五大機能をうまく組み合わせることで、様々な業務、例えば、ワープロや
表計算、音楽や動画の再生、会計処理、ホームページの閲覧などを実現しているのです。
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! ハードウェアとソフトウェア
コンピューターは、ハードウェアとソフトウェアに分けることができます。
ソフトウェアとは、ハードウェアに様々な処理をさせるために必要な手順を記述した「プロ
グラム」とその処理に必要な「データ」です。ハードウェアは、このソフトウェアを使って五大
機能を動かすための電子装置です。この両者の組み合わせによって、様々な処理が行な
われます。このふたつの部分を詳しくみてゆくことにしましょう。
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" ソフトウェア
ソフトウェアのうち、プログラムに相当する部分は、アプリケーション、ミドルウェア、オ
ペレーティング・システムの 3 つに別けることができます。
# アプリケーション
個別業務プログラムとも言われ、個々の業務に固有の処理を行うソフトウェアで
す。銀行、製造、販売、流通などの会社業務に対応したものやブラウザー、ワープ
ロ、表計算などの個人業務に対応したもの、ゲームや動画再生などで、ユーザー
が直接利用する様々な機能を提供します。
# ミドルウェア
複数のアプリケーションで共通の処理を行うソフトウェアです。データベース、ア
プリケーション・サーバー、大規模データ管理、セキュリティ・システム、システム運
用管理などで、ユーザーから直接みることはありませんが、様々なアプリケーション
がこのプログラムを使って、個別業務を実現しています。例えば、顧客情報などは、
販売管理や請求管理など、複数のアプリケーションで利用されますからそれらを、
これらをデータベースに格納し、それぞれから参照するようなときに用いられます。
# オペレーティング・システム
「基本ソフトウェア」、「OS」とも言われ、ハードウェアとソフトウェアのやり取りを仲
介し、無駄なく、効率よく、安全・確実にシステム全体の動きを制御・管理するソフト
ウェアです。Windows や Linux あるいは、UNIX などがこれに相当します。
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" ハードウェア
中央演算装置(CPU)、主記憶装置、入出力装置に分けることができます。これら装
置により、先ほど紹介したコンピューターの五大機能を実現しています。
# 中央演算装置(CPU: Central Processing Unit)
プログラムに組み込まれた手順に従い、処理の流れの「制御」とデータを処理す
る「演算」を行います。単にプロセッサーという場合もあります。
# 主記憶装置(Main Memory)
データやプログラムの手順(命令)を一時的に記憶させて置くための装置です。
# 入出力装置(Input / Output Device)
先ほど説明した五大機能の入力と出力を担うものです。また、補助記憶装置に
当たるストレージやネットワークの接続を担う装置も含まれます。