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2014.10.11の第30回(仮名)PostgreSQL勉強会で使用した講演資料です。
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PostgreSQLの パラレル化に向けた取り組み
2014.10.11 (仮名)PostgreSQL勉強会 株式会社メトロシステムズ
花田茂
Who am I?• 氏名:花田茂 • 所属:株式会社メトロシステムズ • 連絡:@s87 • 経歴:
• PostgreSQLは7.4から • 周辺ツール開発(pg_bulkload/pg_rman/pg_lesslog/Etc.) • 最近は外部テーブル関連で本体開発 • 勉強会やOCSなどで講演
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パラレル化って?
パラレル化って?• definition of Parallel
• (of lines, planes, surfaces, or objects) side by side and having the same distance continuously between them: parallel lines never meet | the road runs parallel to the Ottawa River.
• definition of Concurrent • existing, happening, or done at the same time: there are three concurrent art fairs around the city.
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出典:アメリカ英英辞典 on OS X Mavericks
パラレル化って?• parallel=パラレル=並列
!
!
!
• concurrent=コンカレント=並行
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難しいことは 置いといて
パラレル=高速化• 一人でやるよりみんなでやる方が早いよね! • ただし…
• 誰が何をやれば良い? • いつから始められる? • 終わったらどうすればいい?
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当然、一筋縄では 行きません
どのあたりが難しいのか?• 対象の決定
• どの処理を高速化するか? • 問題の分割
• どの部分をパラレルに分けるか? • 動作の協調
• 処理主体(=プロセス)をどのように起動するか? • どうやって、各自が何をすべきか知るか?
• 情報の受け渡し • 入力・出力をどのように受け渡すか?
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対象の決定• 性能改善の基本は「ボトルネック解消」
• ボトルネック以外を速くしても効果は薄い • 「クリティカルパス」を明確に
• 例)データロードの場合 • 最大テーブルのロード
• 例)PostgreSQLのクエリ • SQLパース+プラン生成+最大テーブルのスキャン
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対象の決定• パラレル化で早くなるか?
• ボトルネックの原因がパラレル化で解消されるか? • リソースさえあれば分割可能な処理か? • 処理単位の依存関係が整理されているか?
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対象の決定• PostgreSQLでいうと?
• クエリ実行の要素 • プラン生成 • テーブルスキャン • 結合 • ソート • Etc.
• クエリ実行要素間 • 結合の片側をソート中にもう片方をスキャン、など
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対象の決定• PostgreSQLでいうと?
• その他 • WAL書き込み • チェックポイント • テーブルメンテナンス
• VACUUM、ANALYZE、REINDEX • ALTER TABLE • バックアップ取得
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問題の分割• どう分割したら早くなるか?
• まじめに考えると論文書けるレベルの問題がてんこ盛り • スーパーコンピュータの超並列処理はここを頑張ってる? • PostgreSQLの中の人たちの腕の見せ所
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例題:100人分のカレーを作る
問題の分割• カレーの調理手順
• 米を研ぐ • 米を炊く • 肉を切る • 肉を炒める • 野菜を切る • 野菜を炒める
14
!
• 鍋に入れる • 煮込む • カレールーを入れる • 皿にご飯を盛る • 皿にカレーを盛る • 配膳
問題の分割
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肉を切る
肉を炒める野菜を炒める
野菜を切る
鍋に入れる
米を研ぐ
米を炊く
煮込む
カレールーを入れる
皿にご飯を盛る 皿にカレーを盛る 配膳
問題の分割
16
Seq Scan
SortSort
Seq Scan
Merge Join
Index Scan
Aggregate
Sort
Aggregate
Limit Append Limit
PostgreSQLの アーキテクチャ
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動作の協調• PostgreSQLはプロセスベース
• セッション障害がインスタンス全体に波及しない • オーバーヘッドはスレッドより大きい
• インスタンスに所属するプロセスの一覧を管理 • PGPROCという構造体の配列を共有メモリ上に配置 • postmaster(≒インスタンス)起動時に初期化 • PGPROCは同期機構のラッチを持つ
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動作の協調• プロセス間のやりとり
• 共有メモリ • シグナル
• プロセス間の同期 • スピンロック:超短期間(数十命令程度)用 • 軽量ロック:共有メモリ資源の保護 • ラッチ:複数プロセスからセットできる真偽値
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動作の協調• MVCC
• 概要 • Multi Version Concurrency Control • 更新時に古いバージョンを残したまま新しいバージョンを追加することで、特定タプルの可視性を効率的に判断する仕組み
• 判断材料 • 自TXのID(XID) • スナップショット(アクティブなTXのリスト) • タプルの作成/削除TX(xmin/xmax/cmin/cmax)
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情報の受け渡し• 基本的には共有メモリを使用
• 既存の仕組みをそのまま共有メモリに展開すれば…と思いますが、一筋縄(ry • PostgreSQLはヒープメモリの管理に独自アロケータを使用
• 細かく確保した後に「コンテキスト」という単位で一括解放が可能
• 共有メモリには非対応 • 既存ルーチンで扱うには「ヒープ→共有→ヒープ」というメモリコピーが必要
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パラレル化への 取り組み
パラレル化への取り組み• 9.2
• スナップショットエクスポート • 9.3
• pg_dumpの--jobsオプションサポート • pg_upgradeの--jobsオプションサポート
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パラレル化への取り組み• 9.4(予定)
• 動的バックグラウンドワーカー • Allow background worker processes to be dynamically registered, started and terminated (Robert Haas)
• 動的共有メモリ • Allow dynamic allocation of shared memory segments (Robert Haas, Amit Kapila)
• 共有メッセージキュー • Add single-reader, single-writer, lightweight shared message queue (Robert Haas)
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パラレル化への取り組み• 9.5(予定)
• On partitioning (Alvaro Herrera) • 1st class objectとしてのパーティション • 議論/開発継続中
• Introducing coarse grain parallelism by postgres_fdw(Kyotaro Horiguchi) • postgres_fdwでリモートクエリを非同期実行して待機時間を節約
• 設計見直しが必要
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スナップショットの共有• pg_export_snapshot()関数
• 現在のトランザクションのスナップショットを$PGDATA/pg_snapshotsに書き出すし、スナップショットIDを返す
• ファイル名=スナップショットID • SET TRANSACTION SNAPSHOT ‘スナップショットID’; • 指定したIDのスナップショットを現在のトランザクションで使用する
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動的バックグラウンドワーカー• 概要
• 9.3で導入されたカスタムバックグラウンドワーカーの拡張 • 9.3ではインスタンス起動時にのみ起動できたが、9.4からは、バックエンドからのAPI呼び出しで任意のタイミングで起動可能
• 動的に起動したバックグラウンドワーカーの終了はSIGUSR1で通知可能
• 起動数はmax_worker_processesで制御可能 • つまり…
• クエリ内容に応じて特定処理のバックグラウンドワーカーを起動し、その終了を起動したバックエンド側で検知可能
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動的バックグラウンドワーカー• API(バックエンド用)
• RegisterDynamicBackgroundWorker() • バックエンドから動的BGWorkerを登録
• WaitForBackgroundWorkerStartup() • 動的BGWorkerの起動を待機
• GetBackgroundWorkerPid() • BGWorkerのPIDと状態を取得
• TerminateBackgroundWorker() • PostmasterにBGWorkerの停止を依頼
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動的バックグラウンドワーカー• API(BGWorker用)
• BackgroundWorkerInitializeConnection() • ローカルデータベースに接続
• BackgroundWorkerUnblockSignals() • BGWorkerプロセスへのシグナルブロックを解除
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共有メッセージキュー• 概要
• 共有メモリ上に配置したプロセス間メッセージキュー • 書き込み一人、読み込み一人の制限
• 書き込み/読み込みはロックフリー • 読み書きはそれぞれPGPROCにエントリのあるプロセス
• 読みと書きの間はプロセスラッチで同期 • メッセージ長は任意 • キューは固定長でリングバッファ構造
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共有メッセージキュー• API
• shm_mq_create() • メッセージキューを生成
• shm_mq_set_receiver()/shm_mq_set_sender() • 読み出し/書き込みプロセスを設定
• shm_mq_get_receiver()/shm_mq_get_sender() • 読み出し/書き込みプロセスのPGPROCを取得
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共有メッセージキュー• API
• shm_mq_attach() • メッセージキューにアタッチしてハンドルを取得
• shm_mq_wait_for_attach() • メッセージキューへのアタッチを待機
• shm_mq_detach() • メッセージキューからデタッチ
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共有メッセージキュー• API
• shm_mq_send()/shm_mq_receive() • 可変長のメッセージを書き込む/読み出す • ラッチでキューの空き/メッセージの到着を待機することも可能
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こんなことが できるようになる(仮)
スキャンの分割• あるテーブルのスキャンを複数プロセスで分担
• ページで分割 • テーブルで分割(パーティション/シャーディング)
• 課題点 • 複数プロセスでのタプル可視性の共有 • 結果のとりまとめ
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スキャンの分割
36
ページ1
ページ2
ページ3
ページ4
ページ5
ページ6
ページ7
ページ8
ワーカー
ワーカー
ワーカーがスキャン
バック エンド
起動
起動
キュー経由で結果を渡す
ソートの分割• ある結果セットのソートを複数プロセスで分担
• ページで分割 • テーブルで分割(パーティション/シャーディング)
• 課題点 • 入力の分配(HadoopでいうMap処理) • 結果のとりまとめ
37
ソートの分割
38
ワーカー
ワーカー
ワーカーが部分ソート
バック エンド
起動
起動
キュー経由で結果を渡す
バックエンドで最終ソート
集約の分割• 概要
• ある結果セットの集約を複数プロセスで分担 • MAX()/MIN()やCOUNT()は多段集約が容易 • AVG()などはやや困難?
• 課題点 • 入力の分配 • 結果のとりまとめ
39
集約の分割
40
ワーカー
ワーカー
ワーカーが部分集約
バック エンド
起動
起動
キュー経由で結果を渡す
バックエンドで最終集約
データロードの分割• 概要
• バルクINSERTやCOPYを複数プロセスで分担 • 文字列→内部表現変換もパラレル化できると効果大 • 複数セッションでのINSERT/COPYと異なり1トランザクションで完結
• 課題点 • 追加先の衝突回避 • WALバッファのボトルネック化
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もう少しローレベルに
I/OとCPUの分割• 概要
• I/O待ちってもったいないよね? • その間にCPU使う処理できるんじゃない?
• スキャン開始時にfadvise()などでread ahead • postgres_fdwなどで非同期クエリ
• 課題点 • 先読み(投機的実行)はパイプライニングと相性が悪い? • effective_io_concurrencyで十分?
• スピンドル数に基づいて同時I/O発行数を制御
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CPU処理の分割• 概要
• スキャン結果のフィルタリング(WHERE句適用)などはCPU処理
• 対象行数が多い場合はCPUでの並列処理にも限界 • GPUでSIMDしちゃえば?
• 課題点 • 任意のコードをGPU側でコンパイル・実行する機能が必要 • pg_stromが開発中
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残っている課題• パラレル実行のプラン生成
• パラレル実行のコストを正しく見積もれるか? • コスト算出を現実的な時間で完了できるか?
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残っている課題• リソース制御
• プロセス数やメモリ量、CPU使用率といったリソースを核処理がどこまで使用してよいか?をクラスタ全体よりも細かい粒度で制御する仕組みが必要 • これがないと、リソース枯渇でシステムダウンも • work_memなども意味を変える必要あり?
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ご清聴ありがとうございました。
Questions?