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関根裕治

有村桔梗

小山美由紀

麻数

麦野結香

佳作集

黛海里

若杉有紀

千原こはぎ

紡ちさと

実岡まつ

編集後記

思い出すのが

痛みなら

たぶん私は

まだ夢のなか

どうしても降りられなくて乗り過ごす

かなしい駅がわたしにはある(

関根裕治)

季節のはじまりを

意識すること

きちんと生きる

私のルール

切符いちまい箱に喰はせて

無人駅の改札を出たところから秋

(有村桔梗)

世界の仕組みに

触れるように

正しいことは

選ばれていく

品川駅は品川駅で降りそうな

ひとだけきちんと降りてゆく駅

(小山美由紀)

小さな勇気と

踏み出した

その日のことを

覚えています

ホームとはよく言うものだ。

決心は玄関でなく降りたった時

(麻数)

ふるさとが再開発を終えてなお

記憶のままで駅裏と呼ぶ

(麦野結香)

心の中にある

もうひとつの世界に

こんにちはって

声をかけてみる

誰もいない駅のホームの自販機と肩を寄せ合う冬の朝焼け(川上

森)

品川の駅で迷子になる君を探す過程も好きだってこと(西島まどみ)

駅前のからくり時計は楽しげに3度目の曲鳴らし始める(阿坂れい)

改札に蝶の定期がとまり降り新学期へととび立ってゆく(真昼乃月)

駅員が総動員で幼子の落とした靴と戦う平和(からすまぁ)

改札の向こうに君が行ったときほっとしたんだ ただいま、世界(朧)

行政の再開発の恩恵を受け(る北側/

ない南側)(u

nNatural

二番線ホームを春が通過して乗りそこねた人同士ほほえむ(深影コトハ)

手を繋ぐ高校生が増えてゆく文化祭後の駅のホームに(松本未句)

容赦ない往復ビンタのようにゆくこの駅を通過する急行は(ともえ夕夏)

借りたまま返さぬひとが多いのか東京駅の星は少ない(t

oron*

待ちびとがあらわれるまでこのひとがしていた顔をぼくは知ってる(たろりずむ)

いくつものさよならを見せつけられて駅員の目は海を湛える(えんどうけいこ)

いうなれば駅なのだろう我が子らがふっとわたしを振り向く時は(衣未(

みみ)

降りるべき駅を逃した 降りるべき駅はわたしを逃がしてくれた(袴田朱夏)

検索をかければ行ける気もするが案内所で聞く方言混じりの(田巻由美子)

どこまでも廃線のうへ歩み行くどんな駅にも出会へぬままに(阿坂れい)

走ること課せられているぼくたちを日々停まらせる眠りとは駅(関根裕治)

赤ちゃんの駅 各停の赤ちゃんが快速の赤ちゃんを待ちます(おいしいピーマン)

駅のない町に住みたるちちははのそぞろにいつも旅人のかほ(太田宣子)

迷うほどに

人生は有意義だ

そう語ったら

君は笑った

おまわりさんあたしの彼氏はどこですか

迷子の迷子の新南口

(黛海里)

心を軽くするために

少しのあいだ

街から私を切り離す

快速の通過待ちする顔をして

昼休憩の談笑を聞く(

若杉有紀)

先回りして

微笑むような

無自覚な悪に

世界は満ちる

あきらめるために打ち込む駅の名を

検索窓は覚えてしまう

(千原こはぎ)

終点を最果てと呼ぶ通勤を

ドラマチックに仕立てる金曜

(紡ちさと)

つまらないのは

自分のせいで

どうせだったら

遊ぼうじゃないか

ささやかな孤独に

温もりが寄り添って

生きていることが

嬉しくなった

降車して静かに壊すルーティーン

知らない駅で缶コーヒーを

(実岡まつ)

最後までご覧いただきありがとうございました!

今回のテーマは「駅」。出発点であり、終着点でもあ

るこの場所を詠んだ作品はどれも面白く、どの作品を

紹介するか非常に迷わせていただきました。日常生活

に紐づくテーマだと作者の実感が伴う作品の割合が増

えるのが良いですね。たくさんのご投稿、本当にあり

がとうございました!

一方で写真は駅の風景を撮るとどうしても色味の少な

い世界になってくるため全体として締まった印象の一

冊に仕上がりました。急な依頼にも関わらずモデルを

してくれた前田妃奈乃さんにもありがとうを。

次号の発行でうたらばは 10 周年。長きにわたる歌人

のみなさんのご協力にあらためて感謝しつつ、制作を

頑張りたいと思います!では!

Twitter / @utalover Website / http://www.utalover.com/

「うたらば」では、いつでも短歌を募集しています。 下記 URL か Twitterより募集概要をご確認ください。 投稿短歌より10 首選ばせていただき、写真作品を制作。 次号にて紹介させていただきます。

うたらば vol.26【駅】 ○2020 年 2 月 10 日発行 ○企画・写真・編集 / 田中ましろ ○モデル / 前田妃奈乃○短歌 / 投稿者の皆様 ○連絡先 / utalover@gmail.com 感想など、お待ちしています。

あなたから始まる道があることを

告げれば駅の匂いのあなた

(田中ましろ)

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