ktarn.or.jpssigyo/kuuhaku/kuuhaku.pdfCreated Date 2/15/2006 10:05:46 AM

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矢筈岳右岸壁下部壁 大いなる空白 (3P 5.11a 60m)

アプローチ 比叡山三峰のトンネルを 500 m程北上すると,左脇に鋭角ターン

が必要なコンクリート舗装の農道がある.大型車では困難が予想さ

れるこの農道を廃屋まで下り,車三台分の空き地に車を止める.廃

屋脇から杉林を抜け沢に降り,沢沿いに 100 m程北上すると,三角

錐の形状のボルダーがある.ここから対岸の杉林の斜面を水平道へ

上がる.水平道を南下すると,数メートルのトンネルと 20 m程度

のトンネルがあり,更に 100 m程進むと頭上に大きなルーフが見え

てくる.このルーフのクラック直下のコーナー部分のフェイスから

取り付く.ここまでの所要時間は車から降りて約 20分.取り付き

からはハンガーボルトが三本確認でき,更に 3P目の中間部分まで

確認できる.下降は 3P目終了点の立木より懸垂下降.

使用ギアキャメロット # 0.5 ~ 4 (# 0.75 ~ 2は 2セット )

1P 目 (5.11a 30m B4 NP) コーナー部分のフェイスから始まり,小ルーフのコーナークラッ

クを越えるとハンドサイズの易しいクラックとなる.終了点は立

木.2005年 6月 5日,下部コーナー部分のフェイスに陳内氏がハ

ンガーボルトを設置.この部分が核心でグレードを 5.11a (B4)とし

た.10m登るとレイバックで始まる小ルーフ越えのコーナークラッ

クとなり,この部分のグレードは 5.10b (NP).6月 5日,橋井参二

氏が初登.10月 8日終了点の立木下部にバックアップ用ハンガー

ボルトを 1本設置.

2P 目 (5.10b 10m NP) ルーフ直下の水平クラックを左へトラバースする.フェイスの要

素が強い.終了点はハンガーボルト 2本.スタンスの下には綱の瀬

川が見える.5.10bというグレードは,初登者曰く,あのロケーショ

ンで先の全く見えない状態でトラバースに入ることを加味したとの

こと.足が震えなければグレード以下に感じるのであろうか.6月

5日,橋井・山口・荒巻・執行で偵察を行い,宮川氏らにより 21

年前に設置された朽ちた RCCボルトを確認.10月 8日ハンガーボ

ルトに打ち換え終了点とした.10月 9日,荒巻悦子氏が初登.

3P 目 (5.9 20m NP) チムニーから始まるルーフクラックのチョックストーンを越え,

クラック沿いにブッシュ帯へ入る.終了点は立木.水平道から見る

とチョックストーン越えは困難そうに見えるが,登ってみるとハン

ドの効きもよく意外に易しい.往年のクライマーにはグレード以下

写真 1 1P目を試登する執行.小ルーフのコーナークラック及び 3P 目のルーフクラックのチョックストーンが確認できる. (写真提供 橋井氏 )

写真 2 2P目を偵察中の橋井氏.頭上にはルーフクラック. (写真提供 橋井氏 )

 最近ではハイカーに人気の矢筈岳水平道.トンネルを越え徒歩で南下すると,上部に右岸壁上部壁マスターズルーフより大きな張り出しが見える.このルーフの弱点であるクラックのチョックストーン部分を水平道から 3 ピッチで抜ける.このルートは 1984 年に宮川 章 ( 故人 )・兵藤 勝・陳内安幸氏により偵察されており,この年は白岩孝行・内藤直也氏らにより岩と雪 111 号に発表された矢筈岳右岸壁上部壁開拓の 1 年程前である.2005 年 10 月 9 日完成.ルート名を大いなる空白とした.見た目より手頃なナチュラルプロテクション (NP) 主体のルートで,アプローチも近い.

執行 信介

に感じられることと思う.陳内氏によると未登とのことであるが,

真相は如何に.ブッシュ帯の方が長いのが玉に瑕.10月 9日,執

行が初登 ( 初見 ).

 なお,ボルト設置に関して,矢筈岳右岸壁下部壁及び上部壁は金

属の腐食が激しいので,ステンレス等の腐食に強い材質を選択する

方が好ましい.

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