2章 データについての理解 - Kansai U...8 2. クロスセクションデータ...

Preview:

Citation preview

1

2章 データについての理解

1. フローのデータ、ストックのデータ、それ以外のデータ

2. 時系列データとクロスセクションデータ

3. 実質データの作成方法

4. 時系列データの時間変化率、寄与度などの計算

5. 質的データと比率、ディフュージョンインデックスとは何か

6. 離散データと連続データ

2

0.データの変数表示

経済データでは、変数に添字が2つ付いていることが多い。

x1t

x2t

𝑡 時点における 円/ドル レート

𝑡 時点における 円/ポンド レート

x it 𝑡 時点における 円/第 𝑖 国通貨 レート

3

表の形に表すと

為替

レート

2000年

2001年 ・・・・・・

ドル 121円

128円 ・・・・・・

ポンド 𝑖 = 2

205円

213円

・・・・・・

・・・・・・

11x

1t 2t t

1i

i

12x tx1

tx2

itx

21x 22x

1ix 2ix

4

データの変数表示(その他)

最初の添字は、国、県、会社などのコード番号。最後の添字は時点を表すのが普通。

tx1

tx2

北海道の 𝑡 年度人口

青森県の 𝑡 年度人口

x it 第 𝑖 県の 𝑡 年度人口

5

表の形に表すと

府県別人口

𝑡 = 1

1985年

𝑡 = 2

1990年 ・・・・・・

𝑡

𝑖 = 1

北海道

5649

𝑥11

5644

𝑥12 ・・・・・・ 𝑥1𝑡

𝑖 = 2

青森

1524

𝑥21

1483

𝑥22 ・・・・・・ 𝑥2𝑡

𝑖 𝑥𝑖1 𝑥𝑖2 ・・・・・・ 𝑥𝑖𝑡

6

1. フローのデータとストックのデータ

フロー変数:一定期間内に計測される量。(例)所得、消費、GDP

ストック変数:その時点迄に蓄積された量。 (例)資産、貯蓄

その他:ある瞬間の均衡価格として決定する量。(例)株価、為替レート

自動車で言えば、年間走行距離がフロー、総走行距離がストック、速度がその他の変数となる。

体重はストック、1ヶ月の増減がフロー。

7

例題2.1 一人当たりの年間消費額は一人当たりの年間所得とその年の物価水準で決まる?

𝑖 県の1990年の消費者物価指数が、月毎に

12321 ,,,, iiii yyyy

と発表されているとしよう。

この県の一人当たりの年間所得と、一人当たり年間消費額がわかっている(フロー)。

年間消費額に対応する、1990年の年間消費者物価指数を算出してみよう。

8

2. クロスセクションデータ

と時系列データ

2つの添字を持つデータは、2次元の表になる。都道府県人口の推移データを考えてみよう。

都道府県を固定して、1県の人口の経年変化を見る。データを横方向に一行切り取ったデータを時系列データと呼ぶ。

年度を固定して、都道府県間の比較を行う。データを縦方向に一列切り取ったデータをクロスセクション・データと呼ぶ。

9

時系列データ

クロスセクショナル・データ

10

2. クロスセクションデータと時系列データ

時系列データは、時間を横軸にしてグラフ化すれば、時間的変化を視覚的にとらえることが出来る。株価の推移を見るのに使われることが多い。

クロスセクション・データの場合、一定時点の状態を見るためにグラフを描く。ただし、添字の順番に意味がないことが多い。

都道府県人口の推移

時系列グラフ

11

都道府県別人口(2000年) クロスセクショナル・データのグラフ

12

13

時系列データのグラフ表示

14

平均気温(2005年)の比較 クロスセクションデータのグラフ

例題2.3 表2-2を分析せよ

15

例題2.3 表2-2 そのままグラフ化すると

16

例題2.3 表2-2 出費割合をグラフ化すると

17

例題2.3 表2-2 消費額の変化を見るには、

18

例題2.3 表2-3 収入階級別データ

(クロスセクショナル・データ)

19

例題2.3 表2-3 収入階級別データ

(クロスセクショナル・データ)

20

例題2.3 表2-3 収入階級別データ

(クロスセクショナル・データ)

21

3.名目データと実質データ 名目値(額面値)の経年変化

年度

名目 (円)

消費支出 教養娯楽 可処分所得

2000 341,896 33,796 474,411

2001 336,209 33,537 466,003

2002 331,199 33,008 453,716

2003 326,566 32,181 440,667

2004 331,636 33,549 446,288

2005 329,499 32,847 441,156

2006 320,231 31,421 441,448

22

2006年の消費支出額(名目) 320,231円は、2000年の341,896円の、何%に当たるか?

2006年の教養娯楽支出額(名目)31,421円は、2000年の33,796円の、何%にあたるか?

3.名目データと実質データ 名目値(額面値)の経年変化

年度

名目 (円)

消費支出 教養娯楽 可処分所得

2000 341,896 33,796 474,411

2001 336,209 33,537 466,003

2002 331,199 33,008 453,716

2003 326,566 32,181 440,667

2004 331,636 33,549 446,288

2005 329,499 32,847 441,156

2006 320,231 31,421 441,448

23

2006年の消費支出額(名目) 320,231円は、2000年の341,896円の、何%に当たるか?

%67.939367.0

896,341

231,320

2006年の教養娯楽支出額(名目)31,421円は、2000年の33,796円の、何%にあたるか?

%97.929297.0796,33

421,31

3.名目データと実質データ 消費者物価指数(CPI)の経年変化

24

年度

CPI

総合 教養娯楽 教養娯楽用耐久財

教養娯楽用 品

書籍 ・ 他の印刷物

教養娯楽サービス

2000 102.2 109.4 226.2 108.1 98.6 102.6

2001 101.5 106.1 178.1 106.9 98.8 101.5

2002 100.6 103.8 150.9 104.8 98.9 100.6

2003 100.3 102.3 130.1 102.7 99.1 100.6

2004 100.3 100.9 114.0 100.9 99.6 100.1

2005 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

2006 100.3 98.5 81.4 100.1 100.5 100.7

消費者物価指数は、総合では、

教養娯楽では、

物価が値下がりしているということは、額面は同じ(名目値は同じで)でも、2006年の方が、商品・サービスの実質的な価値が高いことになる。

3.名目データと実質データ 消費者物価指数(CPI)の経年変化

25

年度

CPI

総合 教養娯楽 教養娯楽用耐久財

教養娯楽用 品

書籍 ・ 他の印刷物

教養娯楽サービス

2000 102.2 109.4 226.2 108.1 98.6 102.6

2001 101.5 106.1 178.1 106.9 98.8 101.5

2002 100.6 103.8 150.9 104.8 98.9 100.6

2003 100.3 102.3 130.1 102.7 99.1 100.6

2004 100.3 100.9 114.0 100.9 99.6 100.1

2005 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

2006 100.3 98.5 81.4 100.1 100.5 100.7

消費者物価指数は、総合では、

%1.98981.02.102

3.100

教養娯楽では、

%0.900.90.04.109

5.98

物価が値下がりしているということは、額面は同じ(名目値は同じで)でも、2006年の方が、商品・サービスの実質的な価値が高いことになる。

練習:名目データの実質化

年度

名目 (円)

消費支出 教養娯楽 可処分所得

2000 341,896 33,796 474,411

2001 336,209 33,537 466,003

2002 331,199 33,008 453,716

2003 326,566 32,181 440,667

2004 331,636 33,549 446,288

2005 329,499 32,847 441,156

2006 320,231 31,421 441,448

26

年度 CPI

総合 教養娯楽

2000 102.2 109.4

2001 101.5 106.1

2002 100.6 103.8

2003 100.3 102.3

2004 100.3 100.9

2005 100.0 100.0

2006 100.3 98.5

実質(円)

消費支出 可処分所得 教養娯楽

464198.6 30892.1

331240.4 459116.3 31608.9

329223.7 451009.9 31799.6

325589.2 439349.0 31457.5

330644.1 444953.1 33249.8

329499.0 441156.0 32847.0

319273.2 440127.6

3.名目データと実質データ 実質化する:基準年に揃える

年度

名目 (円)

消費支出 教養娯楽 可処分所得

2000 341,896 33,796 474,411

2001 336,209 33,537 466,003

2002 331,199 33,008 453,716

2003 326,566 32,181 440,667

2004 331,636 33,549 446,288

2005 329,499 32,847 441,156

2006 320,231 31,421 441,448

27

年度 CPI

総合 教養娯楽

2000 102.2 109.4

2001 101.5 106.1

2002 100.6 103.8 2003 100.3 102.3 2004 100.3 100.9 2005 100.0 100.0

2006 100.3 98.5

実質(円)

消費支出 可処分所得 教養娯楽

334536.2 464198.6 30892.1

331240.4 459116.3 31608.9

329223.7 451009.9 31799.6

325589.2 439349.0 31457.5

330644.1 444953.1 33249.8

329499.0 441156.0 32847.0

319273.2 440127.6 31899.5

2.4536,331002.102

896,341

5.899,311005.98

421,31

この実質化により、すべての年度の名目額を、2005年の水準に揃えたことになる。

3.名目データと実質データ グラフによる比較

28

29

4. 時間変化率と寄与度 株価の動きを観察してみよう。

30

4. 時間変化率と寄与度

時系列データでは、数値の変化率を観察することが多い。

1

1

t

ttt

y

yyx

時間変化率or 収益率

前時点の価格 現時点の価格

31

時間変化率の計算

年月 1997/1 1997/2 1997/3 1997/4

株価

18330 18557

18003

19151

変化率

32

時間変化率の計算

年月 1997/1 1997/2 1997/3 1997/4

株価

18330 18557

18003

19151

変化率

t

1

2

4

3

yt

y1

y2

y3

y4

xt

x2 y2 y1

y1

18330

1833018557

0124.0

2

233

y

yyx

18557

1855718003

0299.0

3

344

y

yyx

18003

1800319151

0638.0

変化率のグラフ

33

株式の収益率

(時間変化率の計算)

日付 Topix1002 終値

Topix収益率 (時間変化率)

20080212 1286.10

20080213 1285.35

20080214 1332.44

20080215 1334.89

20080218 1332.99

20080219 1345.29

: : : 34

1

1

t

ttt

y

yyx

株式の収益率

(時間変化率の計算)

日付 Topix1002 終値

Topix収益率 (時間変化率)

20080212 1286.10

20080213 1285.35

20080214 1332.44

20080215 1334.89

20080218 1332.99

20080219 1345.29

: : : 35

1

1

t

ttt

y

yyx

t

1

yt

xt

2

3

4

5

6

1y

2y

3y

4y

5y

6y

0011 )( yyyx

1.1286)1.128635.1285()( 1122 yyyx

35.1285)35.128544.1332()( 2233 yyyx

44.1332)44.133289.1334()( 3344 yyyx

89.1334)89.133499.1332()( 4455 yyyx

99.1332)99.133229.1345()( 5566 yyyx

寄与度と増加寄与率

国内総支出を例に考える

36

表2-5 需要項目別のGDPの推移(2000年暦年基準実質)

a.実数 (単位10億円)年度 民間需要 公的需要 海外需要 国内総支出

2000 378,867.5 120,431.9 6,322.5 505,621.92001 376,889.8 121,096.9 3,630.8 501,617.52002 378,436.1 121,254.8 7,324.0 507,014.92003 385,593.4 120,622.8 11,496.7 517,712.92004 394,978.4 118,801.1 14,213.8 527,993.32005 405,665.4 118,080.8 17,023.4 540,769.62006 416,098.0 115,901.0 21,440.8 553,439.8

海外需要は,国内総支出-(民間需要+公的需要)として求めた.

出所:内閣府経済社会総合研究所「国民経済計算」

GDPの内訳を、単純にグラフ化すると、

37

寄与度と増加寄与率

(文字化) 表2-5 需要項目別のGDPの推移(2000年暦年基準実質)

𝑡 𝑥 1𝑡 𝑥 2𝑡 𝑥 3𝑡 𝑧 𝑡

1

2

3

4

5

6

7

38

寄与度と増加寄与率

(記号で表す) 表2-5 需要項目別のGDPの推移(2000年暦年基準実質)

𝑡 𝑥 1, 𝑡 𝑥 2, 𝑡 𝑥 3, 𝑡 𝑧 𝑡

1 𝑥 1,1 𝑥 2,1 𝑥 3,1 𝑧 1

2 𝑥 1,2 𝑥 2,2 𝑥 3,2 𝑧 2

3 𝑥 1,3 𝑥 2,3 𝑥 3,3 𝑧 3

4 𝑥 1,4 𝑥 2,4 𝑥 3,4 𝑧 4

5 𝑥 1,5 𝑥 2,5 𝑥 3,5 𝑧 5

6 𝑥 1,6 𝑥 2,6 𝑥 3,6 𝑧 6

7 𝑥 1,7 𝑥 2,7 𝑥 3,7 𝑧 7

39

tttt zxxx ,3,2,1

寄与度を数式で考えると、

40

1

1

t

tt

Z

ZZGDPの成長率

寄与度を数式で考えると、

41

1

1

t

tt

z

zzGDPの成長率

1

1,3,3

1

1,2,2

1

1,1,1

1

1,31,21,1,3,2,1

1

1)()(

t

tt

t

tt

t

tt

t

tttttt

t

tt

z

xx

z

xx

z

xx

z

xxxxxx

z

zz

民間需要の寄与度 公的需要の寄与度

海外需要の寄与度

寄与度の計算(数値)

年度 民間需要 公的需要 海外需要 国内総支出

2000

2001

2002

42

9.621,505

5.867,3788.889,376

5.617,501

6.096,1218.254,121

9.621,505

9.621,5055.617,501

寄与度の計算(数値)

年度 民間需要 公的需要 海外需要 国内総支出

2000

2001

2002

43

9.621,505

5.867,3788.889,376

5.617,501

6.096,1218.254,121

9.621,505

9.621,5055.617,501

2001年民間需要

2000年民間需要

2001年国内総支出

2000年国内総支出

寄与度の計算(式)

年度 民間需要 公的需要 海外需要 国内総支出

2000

2001

2002

44

2000

20002001

z

zz

2000

2000,12001,1

z

xx

2001

2001,22002,2

z

xx

増加寄与率の計算

b.寄与率

年度 民間需要 公的需要 海外需要 国内総支出

2000        

2001 −0.391 0.132 −0.532 −0.792

2002 0.308 0.031 0.736 1.076

45

c.増加寄与率 (単位:%)

年度 民間需要 公的需要 海外需要 国内総支出

2000        

2001 49.4 −16.6 67.2 100.0

2002 28.6 2.9 68.4 100.0

増加寄与率の計算

b.寄与率

年度 民間需要 公的需要 海外需要 国内総支出

2000        

2001 −0.391 0.132 −0.532 −0.792

2002 0.308 0.031 0.736 1.076

46

c.増加寄与率 (単位:%)

年度 民間需要 公的需要 海外需要 国内総支出

2000        

2001 49.4 −16.6 67.2 100.0

2002 28.6 2.9 68.4 100.0

それぞれを −0.792 で割り100倍にすると、

合計

47

4. 質的データと比率

価格データでは、当然のように、数値データがえられる。

アンケート調査では、(好き/嫌い)、(支持する/しない)のように、(ある性質を持つ/持たない)というデータが普通である。このようなデータでは比率をとれば、数値データとなる。

48

表が出たら1,裏が出たら0とする.

裏,表,裏,裏,裏,表は,0,1,0,0,0,1 と表される.

表の出た回数は,0 + 1 + 0 + 0 + 0 +1 = 2 回.

記号で表せば,

コインの場合

1,0,0,0,1,0 654321 xxxxxx

654321 xxxxxx

49

質的データと比率

0

1ix

𝑖 回目の試行が表のとき

𝑖 回目の試行が裏のとき

nn xxxxA 321は、𝑛 回目までに出た表の回数を表す。

n

xxxx n 321

は、𝑛 回目までの,表の出た比率を表す。

50

質的データのコード化について

コインのように、表/裏 の2通りの結果しか考えられないときは、0/1のコード化が可能。

(賛成・どちらかと言えば賛成・どちらかと言えば反対・反対) の場合、(4, 3, 2, 1) とコード化できる.数値が大きいほど賛意が強い.

( 農林漁家・勤労者・自営・その他) を (1,2,3,4) とコード化できるが,数字の大小に意味はない.

51

ディフュージョン・インデックス

日銀短観(主要企業短期経済観測調査)

大手企業700社を対象に4半期毎に実施されている。

1

0

1

ix

第 𝑖 企業が「よい」と答えたとき

第 𝑖 企業が「不変」と答えたとき

第 𝑖 企業が「悪い」と答えたとき

n

xxx n 21 Diffusion Index

52

ディフュージョン・インデックス

n

xxx n 21

n

0111011101

n

111001111

nn

1111111

良いと答えた企業の割合

悪いと答えた企業の割合

ディフュージョン・インデックスの推移

53

54

5. 離散的データと連続的データ

データには、速度や重さのように物理的に測定される量と、1個・2個・3個と数え上げるデータとがある。

離散的データ:交通死亡者数、エイズ患者のように、数え上げることができるデータ。

連続的データ:速度や重さのように、いくらでも正確に測定できるデータ

金額は、連続的であるとして扱われる。

55

キーワード

フローとストック

時系列データとクロスセクション・データ

家計調査

名目データと実質データ

変化率、収益率寄与度と増加寄与率

質的データと量的データ

0 − 1 データ、ディフュージョンン・インデックス

離散的データと連続データ

Recommended