528 急速圧縮装置を用いた多段噴射の燃焼影響解析 -100 0 100 200 300 400 500...

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dq/dt : ROHR [J/msec]

dp/dt : Pressure Change per Time[Pa/msec]

p : Pressure[Pa]

V : Cyrinder Volume[m3 ]

k : Rate of Specific Heat (1.33)

10𝑚𝑚3/𝑠𝑡

Fig.4 Injection Pattern

(d) (e)

(a) (b) (c) 20𝑚𝑚3/𝑠𝑡

15𝑚𝑚3/𝑠𝑡 5𝑚𝑚3/𝑠𝑡

10𝑚𝑚3/𝑠𝑡

10𝑚𝑚3/𝑠𝑡 5𝑚𝑚3/𝑠𝑡

300𝜇𝑠 300𝜇𝑠 300𝜇𝑠

350𝜇𝑠

5𝑚𝑚3/𝑠𝑡 5𝑚𝑚3/𝑠𝑡 5𝑚𝑚3/𝑠𝑡 5𝑚𝑚3/𝑠𝑡

650𝜇𝑠 490𝜇𝑠

10𝑚𝑚3/𝑠𝑡

急速圧縮装置を用いた多段噴射の燃焼影響解析

Analysis of Multiple Injection Influence on Combustion with Rapid Compression Machine

○学 二上 泰輔(愛工大院) 正 藤村 俊夫(愛工大)

Taisuke FUTAGAMI, Toshio FUJIMURA, Aichi Institute of Technology, 1247 Yachigusa Yakusa-cho, Toyota 470-0392, Japan

Key Words: Diesel Engine, Spray Combustion, Fuel Injection

1.緒言

地球温暖化や大気汚染が問題視されている中で,自動車に

おいては燃費改善・排気ガスのクリーン化を図ることが急務

である.本研究は,エンジンの圧縮・燃焼行程のみを取り出

し,一回の等容燃焼を行わせることが可能な急速圧縮装置(CI-RCM: Compression Ignition Rapid Compression Machine)(1)

を用いて,低圧縮・低流動燃焼による低燃費化・クリーン化

の実現に向けた燃焼コンセプトの確立を目的とする.昨年度

は低圧縮比・低スワール化することで混合気形成が不十分と

なるため,燃焼は悪化傾向となった(1).プレ噴射,パイロッ

ト噴射によりメイン噴射の着火遅れは改善できたが,単気筒

ディーゼルエンジンで評価すると,拡散燃焼割合が高くなり

PM,Smoke の排出が多いことがわかった(3).そのため,本年

度は低圧縮比・低流動化のもとで,多段噴射化により空気導

入率を向上させ,燃焼への影響を可視化によって解析する.

2. CI-RCMの詳細

2.1作動原理

エアタンクからパルスジェットバルブにかけて圧縮エア

を充填させる.その後,パルスジェットバルブを開放し,ピ

ストンが押し上げられ燃焼室内の空気を圧縮する.燃焼室内

に燃料を噴射し、そのときの圧力を圧力センサ(KISTLER

6125C)で計測し,燃焼の様子を高速度カメラ (Photron

FASTCAM SA-X2)で撮影する.

2.2 燃焼室の概要

Fig.2 に高速度カメラ側から見た燃焼室(φ52)の断面を示す.

CI-RCM での可視化は実エンジンでピストン下面から燃焼室

を可視化したものに相当する.また,オリフィス径を拡大す

ることで低圧縮比,低スワール比化を実現できる.

Fig.3 に N2 ガスを満たした状態での燃焼室内部の噴霧の様

子を示すが,スワールによって噴霧が流される様子がわかる.

3.実験条件

Table.2 に示すように,燃焼室壁面温度,シリンダ壁面温度,

初期の燃焼室内チャージ圧力,コモンレール圧力,噴射量を

設定し,噴射時期は着火時期がTDCになるように決定した.

Fig.4 に今回評価した,多段噴射のパターンを示す.それ

ぞれのインターバルは燃焼室に N2ガスを満たした状態で噴

霧を観察し,噴霧が重ならない最小のインターバルを確認し

て決定した.

熱発生率(ROHR)は計測した燃焼圧力より,下式で算出した.

𝑑𝑞

𝑑𝑡=

1

𝑘 − 1𝑉

𝑑𝑝

𝑑𝑡

Bore×Stroke[mm] 115×105

Displacement[cc] 1091

Piston Speed[m/s] 4.94

Equivalent Engine Speed[rpm] 1411

Injection System Piezo Common Rail System

Specifications of Injector Piezo Drive Type(φ0.09×9)

Orifice Diameter[mm] φ14

Compression Ratio[-] 14.5

Swirl Ratio 7.85(TDC)

Combustion Chamber

Temperature[℃] 120

Cylinder Body

Temperature[℃] 120

Charge Pressure[MPa]

0.135 Common Rail Pressure[MPa]

40

Total Fuel

Injection[mm3/st] 20 Injection Timing

BTDC

1.1msec

Table.1 Specifications of CI-RCM

Fig.3 Injection Spray

Fig.2 Combustion Chamber (⑤in Fig.1)

Exhaust

Piston

O-ring

Orifice

Combustion Chamber(120℃)

Intake Air or N2

(0.135MPa)

Pressure Sensor

Air

Thermocouple

Cylinder Body(120℃)

Table.2 Experimental Conditions

Fig.1 CI-RCM

① Air Tank (0.4MPa)

② Pulse Jet Valve

③ Cam

④ Piston

⑤ Combustion Chamber ⑥ High Speed Digital Video Camera (13500 frame per sec)

a) View from Upper

Side

b) View from Left Side

日本機械学会東海支部第 65期総会・講演会講演論文集(’16. 3. 17-18) No.163-1

528

-1000

100200300400500600

RO

HR

[J/m

s]

-1 0 1 2 3

(a) (b) (c) (d) (e)

ⅰ) ROHR, Injection Timing and Ignition Timing

(a) (b) (c) (d) (e) In

ject

ion

Pat

tern

4.実験結果および考察

4.1噴射パターン変更による熱発生率への影響

Fig.5 のⅰ)にそれぞれの噴射パターンごとの熱発生率,燃

焼重心,噴射パターン内に丸印で着火時期を示す.Fig.5 の

ⅱ)に予混合燃焼割合を示し,図中の数値は着火遅れ期間中

の燃料噴射量を示す.噴射パターンの 1 段目の噴射量を減ら

し,多段化すると着火遅れ期間中の燃料噴射量が減ることで

予混合燃焼割合が低下するため,熱発生率のピーク値が減少

し,拡散燃焼中の熱発生率が増加することが確認できる.ま

た,噴射の多段化により単発噴射と比較して燃焼期間が長く

なるが,多段噴射のパターン変化に対して燃機期間の差が小

さいのは,本装置が等容燃焼させていることによると考える.

4.2噴射パターン変更による燃焼火炎への影響

それぞれの噴射パターンで,燃焼火炎が広がる様子を示し

た画像と着火から火炎が広まるまでの様子を,同一画面上に

スケッチした図を Fig.6 に示す.スケッチは時間経過ごとに

暗色から明色に変化させ火炎の広がる様子を示し、着火箇所

を黒塗りで,一段目以降の噴霧が火炎に突入する場所を白枠

で示した.図中の時間は着火からの時間としている.単発噴

射の(a)は噴射量が 20mm3/st と貫徹力が強いため,壁面付近

で着火し,予混合火炎は壁面から中央に向かって伝播する.

2段噴射の(b)では 1段目の噴射量が 15mm3/stと少なく貫徹力

が若干弱まるため,(a)と比較すると 1 段目の噴射中に壁面の

内側から壁面に向かって着火し,その後中央に向かって火炎

は伝播する.続く 2 段目の噴射量は 5mm3/st と貫徹力が弱い

ため噴霧はあまり広がらず,燃焼室中央の空気を使って燃焼

する.2 段噴射の(c)では 1 段目の噴射量は 10mm3/st と更に少

なく貫徹力も弱まるため,2 段目の噴射開始と同時に壁面の

内側で着火する割合が増える.2 段目の噴霧は壁面と壁面の

内側の火炎に突入するため,酸素不足での燃焼が進む.2 段

噴射の (d)のパターンでは 1 段目の噴射量が 5mm3/st と噴霧

の貫徹力が非常に小さくなるため,2 段目の噴霧によって外

に押しやられる混合気もあるが,壁面よりむしろ中央付近で

着火する割合が大幅に増える.一方 2 段目の噴射量は

15mm3/st と貫徹力が高いため,噴霧は中央付近と壁面近くの

火炎に突入し,Fig.7 の①と②に示すよう非常にリッチな状

態での燃焼となることがわかる.4 段噴射の(e)は噴霧の空気

導入率の向上を期待したものである.1 段目の噴射量が

5mm3/st と貫徹力は非常に弱いが,2 段目の噴霧によって壁

面に押しやられるため,比較的壁面近くで着火していること

がわかる.また,3 段目の噴射量も 5mm3/st と貫徹力が弱い

ため,(d)と比較すると火炎に突入する噴霧の量は少なく,(b)

と同じように燃焼室内の空気をうまく利用し局所リッチの

少ない燃焼が行われていることがわかる.

5.結言

1) 2 段噴射において 1 段目の噴射量に比べ 2 段目の噴射量が

増加する(c)10mm3/st-10mm3/st,(c)5mm3/st-15mm3/st では,

火炎中に噴霧が突入する割合が増え,リッチな環境下での

燃焼となり黒煙は発生し易くなる.

2) 4 段噴射では,単段噴射(a)20mm3/st,2 段噴射

(b)15mm3/st-5mm3/st に比べ拡散燃焼割合は増加するが,燃

焼室内の空気をうまく利用した局所リッチの少ない燃焼

により,PM,黒煙を同等にできる可能性がある.

3)また,単発噴射(a)20mm3/st,2 段噴射(b)15mm3/st-5mm3/st

に比べ 4 段噴射の貫徹力は弱いため,壁面クエンチ減少に

よる HC,CO 低減の可能性がある.

謝辞

研究推進にご支援をいただいた,トヨタ自動車株式会社エ

ンジン先行制御システム開発部 伊藤寿記殿,高速度カメラ

を供試いただいた,株式会社フォトロン 名古屋営業所 相澤

啓助殿に御礼申し上げます.

参考文献

(1) 山田,二上:自動車技術会中部支部 学術講演会 講演

予稿集(2013)

(2) 深津,二上:自動車技術会中部支部 学術講演会 講演

予稿集(2014)

(3) 代田,中村,國井:自動車技術会中部支部 学術講演会

講演予稿集(2014)

ⅱ) Premixed Combustion Ratio and Injection Quantity

0

50

100

(a) (b) (c) (d) (e)

Pre

mix

es

Co

mb

ust

ion

Rat

io[%

]

Injection Pattern

14.1mm3

11.0 10.0 9.9 9.2

Fig.5 Influence of Injection Pattern

Fig.6 Combustion Picture

Fig.7 Flame Development 0.04ms 0.11ms 0.11ms 0.04ms

① ②

0.04ms 0.11ms 0.26ms 0.18ms

(e)

(a)

(b)

(c)

(d)

0.33ms 0.18ms 0.26ms 0.41ms

0.11ms 0.18ms 0.33ms 0.26ms

0.11ms 0.18ms 0.33ms 0.26ms

0.04ms 0.11ms 0.26ms 0.18ms

0.04~0.41ms

0.04~0.33ms

0.18~0.70ms

0.11~0.33ms

0.11~0.48ms

TDC Time[ms]

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