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ABH-21FとMFX-21EecoにおけるTMPと溶質除去特性について
(医)大田姫野クリニック
小林幸造 坂本純平 福村宏
角昌晃 滋野和志
はじめに
旭化成メディカル社製ABH -21F(以下ABH),
ニプロ社製MFX-21Eeco(以下MFX)の5時間
前希釈オンラインHDFにおけるTMPとそれに
伴う溶質除去特性ついて検討した.
対象と方法
対象患者 治療中の状態が安定している維持透析患者6名
年齢 63.7±8.8歳 透析歴 93.8±57.1カ月
QB 250ml/min T-QD 700ml/min
QS 9・12・15L/時 時間 5時間
測定項目 動脈圧,静脈圧,透析液圧,TMP,除去率,除去量
除去率 BUN,Cr,UA,P,β2MG,α1MG
除去量 β2MG,α1MG,ALB
差圧TMP
日機装DCG-03を用いて,開始時,60,120,180,240,300分で測定した.
低分子量蛋白についてはHt補正を行った.統計学的検定はStudent`s-t検定を用い危険率5%未満とした.
ヘモダイアフィルタ仕様
フィルタ ABH-21F MFX-21Eeco
膜素材 PS PES
構造 ストレート リップル
内径(μm) 220 200
ポアサイズ(Å) 82 76
有効長(mm) 266 290
充填率(%) 73 60
UFR(ml/hr・mmHg) 84 78
除去率(9L/h)
0
20
40
60
80
100
BUN Cre UA IP β2MG α1MG
(%)NS NS NS
※※ ※
※P
除去率(12L/h)
0
20
40
60
80
100
BUN Cre UA IP β2MG α1MG
(%)
NS NS NS※ ※
NS
MFXABH ※P
除去率(15L/h)
0
20
40
60
80
100
BUN Cre UA IP β2MG α1MG
(%) NS NS NS ※NS
※P
除去量(β2MG)
234.2 234.4 234.4 245.1
262.7 255.6
0
50
100
150
200
250
300
9L/h 12L/h 15L/h
(mg) NS NS NS
※P
除去量(α1MG)
99.5 110.4
130.1
92.0 93.3
96.6
0
50
100
150
200
9L/h 12L/h 15L/h
(mg)
NS NS※
※
※P
Alb漏出量
1.2 1.4
1.8
1.3
1.5 1.3
0
1
2
3
9L/h 12L/h 15L/h
(g)NS NS
※
※
※P
80
100
120
140
160
180
200
開始直後 1 2 3 4 5
9L 21eco 9L 21F 12L 21eco
12L 21F 15L 21eco 15L 21F
(h)
(mmHg)
TMPの経時的変化
ABH21F
MFX21eco
**
**
**P<0.001
**
75
80
85
90
95
100
105
110
115
開始直後 1 2 3 4 5
9L 21eco 9L 21F 12L 21eco
12L 21F 15L 21eco 15L 21F
差圧の経時的変化
(h)
(mmHg)
ABH21P
MFX21eco
**P<0.001
**
**
**
考察①
小分子量物質の除去特性は,MFXで高値を示
した. 透析液側のチャネリング防止目的で
MFXは中空糸をウェーブ状にしたリップル構造
になっている.そのため有効面積が拡大し拡散
効率の向上に繋がったと推察された.
考察②
α1MG,Albの除去量は,QSの増加に伴いABHで有意に増
加したが,MFXでは除去量の増加は認められなかった.
TMPも同様にABHでは高値で,また経時的にも上昇してい
た.このTMPの差は,中空糸内径・有効長・充填率等のハウ
ジング設計の違いで,血液側・透析液側の圧力損失・シェア
フローが変化し,膜内表面濃度や動脈圧(ファウリング)に影
響してると示唆された.その結果透水性にも関係していると
推測される.また,差圧からもMFXが高値でした.これは
ハーゲン・ポアズイユの式より有効長が長く,内径が小さい
ために圧力損失が大きく,TMPに影響していると考えられ
た.
考察③
今回の結果からヘモダイアフィルタはキャラクタの
違いにより,差圧,TMPの圧力変化や溶質除去特
性が異なるため,それぞれの特徴に見合う条件で
治療を行うことが重要である.
TMPは従来,透析装置の静脈圧,透析液圧の2点
または動脈圧を含む3点で測定されており正確に
測定されているとは言い難い.今後正確なTMPを
知るために,4点法の装置開発に期待したい.
結語
ABHはQSを9L/hから15L/hに増加させると
TMPの上昇に伴いα1MG,Albの除去量も増
加した.
MFXはQSを9L/hから15L/hに増加させても
TMPの上昇はABHに比べ緩やかでα1MG,
Albの除去量は不変であった.
日本透析医学会学術集会・総会
COI開示
筆頭発表者名 小林 幸造
演題発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業などはありません。
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