生活・行動支援のための自律型...

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生活・行動支援のための自律型 センサネットワークに関する研究

政策・メディア研究科

後期博士課程

間 博人

アウトライン

• 背景– センサネットワーク– ベイズ推論機構

• 研究課題– センサネットワーク上で動作可能な軽量なコンテキスト

検出機構に関する研究– 複雑なコンテキスト検知を実現する効率的な送信データ

削減手法に関する研究– ノード間のパケットロスに耐性を持つコンテキスト検出機

構に関する研究

• 関連研究• まとめ

背景:センサネットワーク

• 小型の無線センサノードが様々な実空間オ ブジェクトに埋め込まれている環境を想定

• 複数のセンサノードがネットワークを構成

• 様々な応用システム

– モニタリング

– 生活・行動支援• センシング情報を実空間にフィードバックする

無線センサノード• センシング機能• 無線通信機能• データルーティング機能

センサネットワーク

モノ 人 部屋 境域環境 (屋外)広域環境

対象領域

個人

企業・組織

社会・自治体

利用主体

看護・医療・教育

物流・マーケティング

ホームセキュリティ犯罪防止

ビル管理プラントモニタリング 農場モニタリング

福祉サービス 防犯・防災

サベイランス

交通モニタリング

環境モニタリング

背景:センサネットワークの問題

• ハードウェア資源の制約

• ネットワークの切断性

• ネットワークの構成方法

• セキュリティ問題

• センサノードのコスト・サイズ

背景:センサネットワークの問題

ハードウェア資源の制約

• 電力資源

• 計算資源

• 通信資源

• メモリ資源

Micaz Mote の仕様

背景:センサネットワークの問題

ネットワークの切断性

• センサノード間は無線で接続しているためパ ケットロスや通信の途絶が生じる

• センサノードが故障したり電池切れなどでネッ トワークが切断するおそれがある

背景: センサネットワークを利用した

生活・行動支援

• 3つのフェーズ

1. センシング:センサネットワークによるデータ収集フェーズ

2. 情報の解析:情報解析・処理フェーズ– 人や環境の状態をコンテキストとして抽出

3. アクチュエーション:アクチュエーションフェーズ– コンテキストに基づいた機器制御

センシング アクチュエーション情報の解析

ベイズ推論

生活・行動支援

背景:自律型センサネットワーク

• 自律型センサネットワーク

– センサネットワーク内でセンシング、情報の解析 を行いセンサネットワークが自律的に生活・行動 支援をする

• 非自律型センサネットワーク

– センサネットワークはセンシングのみを行う

– センサネットワーク外のサーバが情報の収集、解 析を行う

背景:ベイジアンネットワークを利用し

たコンテキストの解析

• グラフ構造により視覚的にセンサデータ間の依存関 係をモデル化できる

• 条件付き確率分布の学習をすることで、確率推論が 可能となるアルゴリズムが確立している

ベイジアンネットワーク用いて環境や人の状態をコンテキストとして抽出し、その結果に基づいてユーザの生活・行動支援を行うシステムをベイズ推論機構と呼ぶ

背景:ベイズ推論機構の要件

1. 汎用性

2. 配置性

3. 省電力性

4. 応答性

5. 資源制約下での柔軟なコンテキスト表現

6. ネットワーク切断性への耐性

背景:ベイズ推論機構の分類

• 集中型ベイズ推論機構 (CBIM)– センサネットワークの全てのデータをサーバに集約し解析する

• 分散型ベイズ推論機構 (DBIM)– 各センサノードに推論エンジンを載せ、センサノード自身がベイズ推

論の計算を行う

センサネットワーク

基幹サーバ

ベイズ推論

センサネットワーク

基幹サーバ

ベイズ推論

背景:ベイズ推論機構の問題

• CBIM: 常にサーバが必要

– 配置性

– ネットワーク切断性への耐性

• DBIM: センサノードでの膨大な計算処理が必要

– 省電力性

– 応答性

– 資源制約下でのコンテキスト表現

• CBIM, DBIM 共に要件を満たしていない

研究課題設定

• 大目標:センサネットワークが自律的に生活・行動 支援をする基盤技術の提供

– ベイズ推論機構の6つの要件を満たす

研究課題A: センサネットワーク上で動作可能な軽量なコン テキスト検出機構に関する研究

研究課題B: 複雑なコンテキスト検知を実現するデータ削減 手法に関する研究

研究課題C-1: ノード間のパケットロスに耐性を持つコンテキ スト検出機構に関する研究

研究課題C-2: オフィス環境での空調制御システムと RHBIM の評価

研究課題A:センサネットワーク上で動作可能な 軽量なコンテキスト検出機構

ハイブリッド型ベイズ推論機構

(HBIM)• サーバでベイズ推論の計算を実行し計算結果であるPPTをセンサノード

に配布する

• 一度配布するとセンサネットワーク内でコンテキストの検出が可能

A

Cベイズ推論

(Likelihood Weighting)

B

Working

TemperatureLights TimeSoundMovement

1false0true1false0true

1bright0dark1bright0dark

1warm0cold1warm0cold

1warm0cold1warm0cold

1warm0cold1warm0cold

1warm0cold1warm0cold

ベイジアンネットワークを使ったコンテキストのモデル化

事後確率表(PPT)の生成

センサネットワーク基幹サーバ

• ノードグループの構築• コンテキストの検知

HBIM:サーバ側の動作

1. ベイジアンネットワークを使った

コンテキストのモデル化

2. 事後確率表(PPT)の生成

HBIM: センサノード側の動作

• 制御したい空間毎にリージョンに分割

• リージョン毎にノードグループを構築

• データの収集とコンテキストの検知

A

B C

マスターノード

スレーブノード

センサノード上で計算処理が必要ない

high

low

Region 0

Region 2

Region 1

Region 3

Region 0

Region 1

Region 2

height

消費電力の評価 実装と評価環境

• CrossBow Micaz Mote への実装– 音/光/温度/加速度/磁気/マイク/電力のセンシング

– リーダー選択アルゴリズムによるグループ構築

– PPTの受信

– PPT に基づいたコンテキストの検知

• 評価環境– マスターノードは15秒毎にスレーブノードの測定データを収集

しコンテキストを検知

– マスターノードとスレーブノードは隣接ノードとする

– 理想的な状況での通信を想定

– ベイズ推論アルゴリズムとしてLikelihood Weighting を用い

サンプリング回数は2000回とする

評価:コンテキスト検知時の消費電力の比較

• スレーブノードの消費電力はグループノード数に関係なく一定

• HBIM のマスターノードの消費電力はノードの増加に比例して大きくなる

(20台で

0.09mJ)が、DBIMの計算コスト(131.8mJ)と比較すると問題に

ならないほど小さい

HBIMのマスターノードとスレーブノードの消費電力量 HBIMとDBIMの消費電力量

0

0.02

0.04

0.06

0.08

0.1

0.12

0 5 10 15 20

グループノード数

消費

電力

(m

J)

マスターノード

スレーブノード

0

20

40

60

80

100

120

140

0 5 10 15 20

グループノード数

消費

電力

(m

J)

HBIMDBIM

研究課題A:まとめ

• センサネットワーク内でのベイズ推論が可能な ハイブリッド型ベイズ推論機構の設計・実装

• 既存手法に対し消費電力の面で有効である

研究課題B: 複雑なコンテキスト検知を実現す るデータ削減手法

複雑なコンテキスト検知を実現するデータ削減手法

• 事後確率表(PPT)はモデルが複雑になるに 従いデータ量は指数関数的に増大する

• センサノードのメモリ資源は極めて制限され ている

• 2つの手法を用いたPPTの削減

– PPTのインデックス化

– インデックスの選択送信

PPTのインデックス化(1)

• 確率変数に番号をつける

– (ex. Working を

0 とする)• 確率変数の値を数値化する

– (ex. dark を0、

bright を1 とする

)

PPTのインデックス化(2)

• 組み合わせの値に対応する数をまとめる ことで、事後確率分布の各組み合わせをイ

ンデックスに割り当てる

• 上の組み合わせの場合、5-bitのバイナリ インデックス

00000となる

dark, cold, stable, calm, day0 0 0 0 0

0 0515 (01111)

0.38 (01000)

0.034 (00100)

0.22 (00010)

0.071 (00001)

0.610 (00000)

TRUECI

組み合わせインデックス

0.0331 (11111)

0.0830 (11110)

0.1629 (11101)

0.8827 (11011)

0.0823 (10111)

0.9216 (10000)

0.0515 (01111)

0.38 (01000)

0.034 (00100)

0.22 (00010)

0.071 (00001)

0.610 (00000)

TRUECI

インデックスの選択送信

• センサノードが必要なインデックスのみを選択して送信する– 制御のトリガーとなるインデックスのみを選択する

• コンテキストの事後確率が、任意に定めた閾値よりも高いイ ンデックスのみを選択する

閾値が0.8の場合、2エントリのみを送信すればよい

threshold

num

ber o

f row

s to

sen

d

閾値を調整することで、送信量を調整できる

評価環境

• 評価環境は研究課題Aで用いたMicaz Mote での実装を使用

• 確率変数の数とコンテキストの複雑度 (complexity)を軸に評価する

– 確率変数の組合せ数(ex: 32 (2^5) )Working

TemperatureLights TimeSoundMovement

1false

0true

1false

0true

1bright

0dark

1bright

0dark

1warm

0cold

1warm

0cold

1warm

0cold

1warm

0cold

1warm

0cold

1warm

0cold

1warm

0cold

1warm

0cold

評価:コンテキストの複雑度に応じた PPTデータサイズの検証

• 確率変数の数に従いPPTデータサイズは指数関数的に増加する

• インデックス化と選択送信により大幅にデータサイズは減少している

• センサノードのメモリ容量の限界は10kB から500kB– Micaz の場合:Programメモリ

125kB, フラッシュメモリ

512kB

– 確率変数の個数が15程度であれば実現可能

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

0 5 10 15 20 25

確率変数の数

デー

タサ

イズ

(KB

)

Entire Index1/2 Index1/5 Index 1/10 Index

0

100000

200000

300000

400000

500000

600000

0 5 10 15 20 25確率変数の数

デー

タサ

イズ

(kB

)

CSVEntire Index1/2 Index1/5 Index 1/10 Index

PPTインデックス化の効果 インデックス選択送信の効果

評価:コンテキストの複雑度に応じた

解析時間の検証• インデックスの選択送信によりインデックスサイズが減ること

で解析時間も減少する

• 複雑度が1024(2^10) の時に全エントリを処理した場合でも 1.3ms で終了している

複雑度と解析時間の関係

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

0 200 400 600 800 1000 1200Complexity

Infe

renc

e O

verh

ead (

mic

rose

con

ds)

Entire table

1/2 table

1/5 table

1/10 table

b

研究課題B:まとめ

• PPTのインデックス化とインデックスの選択送信か らなるデータ削減手法の提案

• データ削減手法を用いることで送信データサイズお よび解析時間を削減できることを示した

研究課題C-1: ノード間のパケットロスに耐性を 持つコンテキスト検出機構

パケットロスに耐性を持つコンテキスト検出機構 リライアブルハイブリッド型

ベイズ推論機構 (RHBIM)• 対象とするパケットロス

– サーバからノードへPPTを配送する際のパケットロス– ノード間で測定データの受け渡し時のパケットロス

ノードグループ(ABC)

基幹サーバ

A

B

C

PPT

A,B,C

PPT

A,B,C

サーバからノードへPPTを配送する

際のパケットロス• PPTの再送率に影響する• PPT配送先ノードの選択手法

– ノードグループ内の複数のノードにPPTを配送

ノードグループ(ABC)

基幹サーバA

B

C

PPTA,B,C

PPTA,B,C

ノードグループ(ABC)

基幹サーバA

B

C

PPTA,B,C

PPTA,B,C

PPTA,B,C

PPTA,B,C

ノードグループ内に最低1つ以上のPPTが必要

一つもない場合はPPTを再送

PPT配送先ノードの選択手法

• Single node delivery (SND)– ノードグループの1台のセンサノードを選択しPP

Tを配送

• Random node delivery (RND)– ノードグループから一定割合のセンサノードを選

択しPPTを配送

• All node delivery (AND)– 全てのセンサノードにPPTを配送

• コンテキストの検知率に影響する• 送信するPPTの選択手法

– 測定データの欠損を想定して複数のPPTを配送する

ノード間で測定データの受け渡し時の

パケットロス

ノードグループ(ABC)

基幹サーバ

A

B

C

PPTセット

A,B,CPPTセット

A,B,C

A,BA,B

ノードグループ(ABC)

基幹サーバA

B

C

PPTA,B,C

PPTA,B,C

パケットロスを予測して、必要なPPTをノードに配送する必要がある

測定データ

A,B

測定データ

A,B

Quality of inference (QoI)

• PPTの評価指標として導入

• 推論モデルを構成するノード数で決定

• 推論が失敗した場合 QoI は0になる

PPTA,B,C

QoI = 3

測定データ

A,B,C

PPTA,B

QoI = 2

測定データ

A,B

PPTA,B,C

QoI = 0

測定データ

A,B

PPTA

QoI = 1

測定データ

A

Full PPTPPT

A,B

QoI = 2

測定データ

A,B,C

Expected QoI

• ノード間のパケット到達率がわかると各PPT のQoIを予測できる

A

B C

1 1

1A

B C

0.9 0.3

1

PPTA,B,C

EQoI:3

PPTA,B

EQoI:2

PPTA

EQoI:1

PPTA,C

EQoI:2

PPTA,B,C

EQoI:0.81

PPTA,B

EQoI:1.8

PPTA

EQoI = 1

PPTA,C

EQoI:0.627%

送信するPPTの選択手法(2)

• Single PPT set (SPPT)– Full PPT のみ送信する

• Random PPT set (RPPT)– RPPT1:全てのPPTをランダムに決定

– RPPT2: Full PPT を必ず入れて残りをランダムで決定

• Weighted PPT set based on QoI (WPPT)– 各ノードは隣接ノードとのQoC を測定しサーバに通知す

– Expected QoI が高いPPTから順にPPTセットを構築する

研究課題C-2: オフィス環境での空調制御シス テムとRHBIM の評価

オフィス環境での空調制御システム

• 知的生産性の向上には空調により快適な空間を提供するこ とが重要

• 従来型の空調制御は、対象空間の室温を送風機の空気吸 込口のみで計測し、送風の温度や方向を決定する

– 温度ムラ、熱だまりの発生

• センサネットワークを利用することできめ細かな制御を実現 できる

RHBIM を用いた空調制御の特徴

• 温度情報を解析するためのサーバを設置す る必要がない

– サーバの監視者が必要ないため低コストで運用 できる

• 無線センサノード同士の通信が阻害されても 解析を継続できる

実証実験

• ORF2007 において三菱電機株式会社との 共同研究の一環としてデモ展示を行う

デモシステム• ゲートウェイからあらかじめPPT を配布

• 空間を上部と下部の2つのリージョンに分割し、上部に3台、下部に4台のセンサ

ノードを配置

• 各リージョンのマスターノードはグループ内の測定データを収集し、リージョンの

快適コンテキストを検出

• マスターノードは検出されたコンテキストに応じて制御命令を空調コントローラに

送信する

• 温度、風向、風速の3つを制御

LANRS-232C

制御命令送信

ゲートウェイノード

空調NW

デモ用空調室内機

空調コントローラ 空調シミュレータ

センサノード

アプリケーションゲートウェイ

GUI

上部リージョン

下部リージョン

事前実験:実験空間の設定と センサノードの配置

n0 n1

n2

n3

室内機1 室内機2 室内機3 室内機4 室内機5 室内機6

n4

n5

n6

n7

n8

n9

n10

n11

n12

n13

n14

n15

n16

n17

n18

n19

n20

• 研究室(20.9m×7.3m×3.1m) に21台のMicaz Moteを設 置し局所的な熱だまりと運用時のパケットロスを計測

• 基準ノード(n0)から約1m間隔の同心円上にn1-n20 を配置

実験結果: 温度の測定結果

• 1時間測定した平均温度

• n8 や n3 などで熱だまりがみられる

0

5

10

15

20

25

30

35

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

基準ノードからの距離 (m)

温度

(℃

)

実験結果: パケットロス(1)• 双方向のロスの測定

• n0は1秒おきに1時間ブロードキャストで送信

• n1-20 は確認応答パケットをn0 に送信

• 確認応答パケットが得られたノード数は平均13.8 (分散1.8)• 基本的には距離に応じてパケットロス率が高くなる

• 距離だけではパケットロスを予測できない

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

基準ノードからの距離 (m)

パケ

ット

ロス

距離とパケットロス率の関係

実験結果: パケットロス(2)

• パケット到着間隔からロスパターンを調べる

• バースト的にパケットロスが発生している

0

1

2

3

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500

パケットシーケンス

パケ

ット

到着

間隔

(秒

)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500

パケットシーケンス

パケ

ット

到着

間隔

(秒

)

n1のパケット到着間隔 n17のパケット到着間隔

評価:空間モデルの作成

• RHBIM を用いた空調制御シナリオにおいて提案手法の有効性を評価

• 夏期の冷房を想定した空調制御のシミュレーションを行う

• 条件

– 各室内機は稼働時に 16℃, 1m/s の風を送風

– 非稼働時には送風を停止

– 初期温度

30℃, 相対湿度 70%

計算条件

単位面積当たりの熱負荷条件

空間モデルと環境シミュレーションの様子

評価:空間モデル上でのRHBIMの動作

• 実空間でMicaz Mote を設置した場所にモニタリングポイントを設定

• 実空間で計測したロスパターンからデータの受信が成功するか否かを決定

• マスターノードによるコンテキストの検出は10秒おき

• 3つのリージョンを設定:実験の対象とする空調制御空間を規定

– R1: n0 – n6 ロス率が低い環境

– R2: n0 – n13 ロス率が中程度の環境

– R3: n0 – n20 高いロス率のセンサノードが存在する環境

R1 R2 R3

PPT配送先ノードの選択手法の評価

• ノードグループ内の全てのノードにPPTが配送されなかった場合PPTを

再送する

• 各リージョン毎にノードグループのメンバをランダムに10通り選択(ex. R1: n1, n2, n3)

• n0からPPTを配送する

配送先ノード選択手法とPPT再送率

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

R1 R2 R3

PP

T再

送率

SNDRNDAND

オーバヘッド• PPTの送信はブロードキャ

ストで行うため、配送先ノード

が増加しても送信量は変わ

らない• ANDは複数ノードでPPTを

管理することになるため、

ノードグループ全体で見た際

のメモリ占有率は高くなる

•SND はR1では5%程度の再送率であるが、R3では50%を越える•ANDは全てのリージョンで最も再送率が低い

送信するPPTの選択手法の評価1

• 各リージョン毎にノードグループのメンバをランダムに10通り選 択(ex. R1: n0, n1, n2)

• n0 にPPTセットを送信する(n0がマスターノード)

• n0は10秒おきにスレーブノードからデータを収集しコンテキスト を検出

• RPPT,WPPTは各手法に基づき2つのPPTを選択

• RPPT は2つのアルゴリズムを用意– RPPT1:全てのPPTをランダムに決定

– RPPT2: Full PPT を必ず入れて残り1つをランダムで決定

送信するPPTの選択手法の評価2

• SPPTは検出率、NQoI 共にロス率が高い環境では大幅に低下

• WPPTはロス率が高い環境であっても検出率は低下しないがNQoI は低下する

– 構成ノードが少ないPPTを選択したため

– どのリージョンにおいても最も高い検出率とNQoI を達成している

• オーバヘッド

– SPPTの送信サイズ:

60bit– RPPT, WPPT の送信サイズ:100 bit – 60bit

PPT選択手法とコンテキスト検知率

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

R1 R2 R3

検出

SPPTRPPT1RPPT2WPPT

PPT選択手法と Normalized QoI

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1

R1 R2 R3

NQ

oI

SPPTRPPT1RPPT2WPPT

研究課題C:まとめ

• HBIM のロバスト性を改善した

RHBIM を提案

– PPT配送先ノードの選択手法

– 送信するPPTの選択手法

• オフィス環境での空調制御システムに適用し 有効性を評価

関連研究

• ベイジアンネットワークを利用してセンサデータから 特定のコンテキストを得る研究

– Donald J. Patterson, Lin Liao, Dieter Fox, and Henry Kautz: “Inferring high-level behavior from low-level sensors”, in Proc. of Ubicomp 2003, (2003-10).

• 通常の行動パターンからの逸脱度を検知する異常検知システム

– F. Sparacino: “Sto(ry)chastic: a bayesian network architecture for user modeling and computational storytelling for interactive space”, in Proc. of Ubicomp 2003, (2003-10).

• 美術館での行動からユーザに適したナレーションを提供する手法

中央集中型のアプローチ

本研究の主眼は特定のコンテキストを検知するモデルの提案ではなく、これらのベイジアンネットワークモデルが駆動するための基盤技術の提案にある

関連研究(2)• センサネットワークの信頼性を向上させる研究

• 各レイヤでの提案がある– MAC層: W. Ye, J. Heidemann, and D. Estrin: “An energy-efficient mac protocol for

wireless sensor networks”, in Proceedings of the 21st International Annual Joint Conference of the IEEE Computer and Communications Societies (INFOCOM 2002),New York, NY, USA (2002-6).

– ネットワーク層: Alec Woo , Terence Tong , David Culler, Taming the underlying challenges of reliable multihop routing in sensor networks, Proceedings of the 1st international conference on Embedded networked sensor systems, November 05- 07, 2003, Los Angeles, California, USA

– トランスポート層: Chieh-Yih Wan , Andrew T. Campbell , Lakshman Krishnamurthy: “PSFQ: a reliable transport protocol for wireless sensor networks, Proceedings of the 1st ACM international workshop on Wireless sensor networks and applications” ,Atlanta, Georgia, USA (2002-9).

ショートタームのデータ欠損には有効だが、ロングタームのデータ欠損はリカバリできない

RHBIMを使うことでロスが生じても推論品質と検出率を高めることができる共に使うことでよりRHBIM の性能を高めることができる

結論

• センサネットワークが自律的に生活・行動支援をする基盤技術 の設計・実装・評価を行った

– センサネットワーク上で動作可能な軽量なコンテキスト検出機構• HBIMの設計・実装を行い、既存手法より消費電力の面で有効であることを

示した

– 複雑なコンテキスト検知を実現する効率的な送信データ削減手法• PPTのインデックス化とインデックスの選択送信の手法を提案し、送信デー

タサイズおよび解析時間を削減の有効性を示した

– ノード間のパケットロスに耐性を持つコンテキスト検出機構• PPT配送先ノードの選択手法と送信するPPTの選択手法からなるRHBIM

を提案し、オフィス環境の空調制御システムにおいてRHBIMのロバスト性

を示した

センサネットワークの利用範囲の拡大センサネットワークの活用を促進

学位取得に向けて

• 雑誌掲載論文– 間 博人,門田

昌哉,中澤 仁,徳田

英幸,"センサ/アクチュエータネットワークにおけ

るネットワーク切断を考慮した確率推論機構", 情報処理学会論文誌 Vol.48(2), pp.459-470, 2007年2月.

– 間 博人, 戸辺義人, 徳田英幸, "無線LANにおけるチャネル状態依存スケジューリング

の実装評価", 情報処理学会論文誌 Vol.43(12), pp.3939-3950, 2002年12月.

• 国際発表論文– H. Aida, M. Kadota, J. Nakazawa, H. Tokuda "A Disconnected Bayesian

Analysis for Wireless Sensor-Actuator Networks", Third International Conference on Networked Sensing Systems (INSS 2006) Vol.46(2), pp.459-470, May. 2006.

– H. Aida, Y. Tobe, M. Saito, H. Tokuda "A Software Approach to Channel-State Dependent Scheduling for Wireless LANs", The 4th ACM International Workshop on Wireless Mobile Multimedia (WOWMOM 2001), pp.33-42, July.2001.

• 投稿中論文– 間博人, 中澤仁, 徳田英幸: リライアブルハイブリッド型ベイズ推論機構を用いた空調

制御システム, 電気学会論文誌.(投稿中)

学位取得に向けて(2)

• 博士論文

目次

概要

1. 序論

2. センサネットワーク

3. ベイズ推論機構

4. ハイブリッド型ベイズ推論機構

5. 複雑なコンテキスト検知を実現するためのデータ削減技術

6. リライアブルハイブリッド型ベイズ推論機構

7. RHBIMを用いた空調制御システム

8. 結論

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