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2014/11/6(木) モーニングレクチャー
呼吸器診療のABC(part 2)
呼吸器内科 牧野 英記
70歳、男性 の咳、痰、 息切れがあり、他院で喘息の疑い として定期通院中 3日まえから、 痰と咳嗽が増加し 呼吸困難が するため、 で救急外来受診。 :あり(孫や子供が気管支炎) 喫煙歴: 既往歴:HT、 服薬歴:アドエアー、ユニフィル
症例(問診編)
3年前から 労作時
(⇒COPD?)
黄色 労作時 増強
車いす
シックコンタクト
20本×40年(60才から禁煙)
小児喘息なし、心疾患なし
(400)
バイタルサイン 意識レベル:清明 体温:38℃ 血圧/脈拍:140/70/98 呼吸数:32回/分 2L:96% 一般身体所見 眼瞼結膜:貧血なし 眼球結膜:黄疸なし 咽頭:発赤、腫脹なし 口腔内:う歯なし 頚部:甲状腺腫脹・リンパ節腫脹なし Stridorなし 胸鎖乳突筋の肥厚あり 胸部:胸郭の前後径の拡大あり 呼吸音:左右差なし 呼気の延長とwheezeあり/右下肺でcrackle 心音:正常 腹部:平坦、軟(腹直筋の発達あり)、圧痛なし、腸音正常 下肢:浮腫なし、Homans徴候陰性
症例(身体所見)
血ガスラベルを発行する前に・・・
ここでワンポイント!
フリーコメントに、 酸素流量 時間(頻回にとる場合) を記入しておこう
カルテに記載する前に・・・
呼吸数 SpO2値 を記入しておこう
血液ガスのラベル発行の前に・・・
心原性肺水腫が否定的であれば、ルート確保とまずはSABAの吸入を開始 COPD急性増悪や喘息発作が疑われたら、ステロイド点滴も併用して行おう
検査結果を待っている間にできることは?
症例に戻って・・・
薬物療法(COPD急性増悪)
A: Antibiotics(抗菌薬) B: Bronchodilator(気管支拡張薬) メプチン・ベネトリン吸入 テオフィリン内服・(点滴) C:Corticosteroid(ステロイド) 内服、点滴
喘息発作の時も大きくは変わらない
ABC アプローチ
1.短時間作用型β刺激薬 (20-30分ごとに反復:HR<130)
(メプチンⓇ、サルタノールⓇ、ベネトリンⓇ)
2.ステロイド(経口、経静脈) (静脈投与:プリドールⓇ、ソルコーテフⓇ、リンデロンⓇ)
(経口投与:プレドニンⓇ、メドロールⓇ)
3.(テオフィリン製剤) 4.(エピネフリン皮下注:0.3ml)
喘息発作の治療の確認!
外来でネブライザーの指示をだしたい時
絶対にワンショットで静注しないでください!
アスピリン喘息の有無を確認してください 「痛み止めや熱さましで発作が起きたことはありますか?」 ⇒リンデロン静脈投与あるいは経口ステロイド
注意してほしいこと!
さあ、いざプレゼンだ!
胸写、心電図、ラボデータもある程度そろった・・
プレゼンテーションには二通りある
1.Full presentation
2.Short presentation
プレゼン例(Full presentation)
「 70才男性でCOPD急性増悪を疑っている方です。 Ex-smokerで他院で喘息として通院中でしたが、3日前からの湿性咳嗽、発熱、呼吸困難の増強を主訴に来院されました。 来院時のバイタルは、38℃の発熱と呼吸数32回と頻呼吸があり、SpO2は2Lで96%ですが、その他のバイタルは問題ありません。聴診上は両肺に喘鳴と呼気延長を認めますが、crackleは聴取せず、頚部での狭窄音はありません。胸写では左下肺に浸潤影を認め、WBC12000、CRP8.4、PCT0.36でした。 SABAの吸入とステロイドの点滴を開始して、症状はやや改善しましたが、酸素は必要で起座呼吸の状態で入院加療が必要かと考えました。」
プレゼン例(Short presentation)
「 70才男性でCOPD急性増悪を疑っている方です。 3日前からの湿性咳嗽、発熱、呼吸困難の増強を主訴に来院されました。 来院時のバイタルは、38℃の発熱と頻呼吸があり、SpO2は2Lで96%で、両肺に喘鳴と呼気延長を認めます。 胸写では左下肺に浸潤影を認め、WBC12000、CRP8.4、PCT0.36でした。 SABAの吸入とステロイドの点滴を開始して、症状はやや改善しましたが、酸素は必要で起座呼吸の状態で入院加療が必要かと考えました。」
意識レベルの評価
意識障害の鑑別の中に、CO2ナルコーシスを常に考える
⇒血圧上昇、興奮、縮瞳 ⇒傾眠 ⇒呼吸停止
呼吸器疾患患者を診る時に、 気をつけてほしいこと
慢性呼吸不全の患者さんのSpO2は、 90%前半でコントロールしよう!
喘鳴と呼気延長がひどく、浅速呼吸が持続 酸素化は保たれているが、かなり苦しそう・・・ なんとかしんどいのを取ってあげたい 自分にできることはないか?
スクイージングを試してみてください
もうワンステップ
Take home message
• 的確な問診で疾患を絞ろう
• 急ぐ時には遠慮せず連絡を!
• SpO2だけに頼らず、呼吸数や呼吸パターンを確認しよう
いきなり検査じゃなく
• プレゼンの練習をしよう
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