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社団法人電子情報通信学会THEINSTITUTEOFELECTRONICS,INFORMATIONANDCOMWUNICATIONENGINEERS
信学技報
TECHNICALREPORTOFIEICE・
CAS2001-30,VLD2001-47
DSP2001-49(2001-06)
遺伝的プログラミングを用いたスタックフィルタの設計
真尾紀幸,川又政征
東北大学大学院工学研究科電子工学専攻
980-8579仙台市青葉区荒巻字青葉05
あらまし本稿では遺伝的プログラミング(GP)を用いたスタックフィルタの設計法を提案する.提案法では,ス
タックフィルタの設計は,原信号とフィルタ出力の間の平均2乗誤差を最小化する正定プール関数(PBF)を決定する
問題に定式化される.提案法は,PBFの決定問題を,PBFを構成するAND/OR演算および変数の組み合わせ問題とみなし,GPを用いてPBFを探索する方法である.本稿ではさらに,GPを用いて対称性を考慮したスタックフィ
ルタを設計する方法についても述べる.提案法を用いて設計したスタックフィルタは,インパルス性雑音で劣化した
画像の復元において,従来法で設計したスタックフィルタよりも雑音除去性能が優れている.
キーワードスタックフィルタ,正定ブール関数,インパルス性雑音,遺伝的プログラミング
ADesignofStackFiltersUsingGeneticProgrammmg●
NoriyukiMAO,MasayukiKAWAMAIIhdL
DepartmentofElectronicEngineering,
GraduateSchoolofEngineering,TbhokuUniversity
Aoba-yamaO5,Sendai,980-8579,Japan
Abstract Thispaperproposesadesignmethodofstackfiltersusinggeneticprogramming(GP).Theproposed
methodfbrmulatesthedesignofstackfiltersasthedesicionproblemofpositivebooleanfUnction(PBF)which
minimizesthemeansquareerrorbetweenthedesiredsignalandthefilteroutputsignal,Thedesicionproblemof
PBFisconsiderdasthecombinationproblemoflogicalAND/ORoperationsandvariablesconstitutingthePBF・
GPisappliedtosearchPBF・Moreover,thispaperalsodescribesaGP-baseddesi即methodofstackfilterstaking
symmetryintoconsideration・Experimentalresultsshowthatstackfiltersdesignedbytheproposedmethodhave
superlorperfbrmaceinimpulsivenoisesuppressiontoonesdesignedbythetraditionalmethod.
Keywordsstackfilter,positivebooleanfmction,impulsivenoise,geneticprogrammmg●
-9-
1まえがき
インパルス性雑音で劣化した画像の復元に有効な非線
形フィルタとしてメジアンフィルタが挙げられる.また,
メジアンフィルタを拡張したフィルタに,ランクオーダ
フイルタや荷重メジアンフィルタ{11,スタックフィル
タ{2]などがある.その中でも,スタックフィルタは上
に挙げたフィルタの他に,順序統計フィルタ131やモル
フォロジカルフィルタ141の一部を含み,非常に広いクラスの非線形フィルタを記述することができる.
スタックフィルタの最適設計は,原信号とフィルタ出
力信号の間の誤差を最小にする正定ブール関数(Positive
Booleannmction,PBF)を決定する問題に帰着できる.この問題は,フィルタ窓サイズが小さいときは比較的簡
単に解くことができる.しかし,フィルタ窓サイズが大
きくなると,PBFの数が急激に増大し,解くことが困難
になる.
これまでに,スタックフィルタの効率的な最適設計法
がいくつか示されてきた[5,61.文献{51は,適応フィルタの考え方を用いて,学習によりPBFのルックアップ
テーブルを求める方法である.また,文献{61は,メジアンフィルタのPBFを基本とし,画像のラインやコーナー
などの形状を保存するような拘束項を付け加えることに
より,PBFを決定する方法である.しかし,前者は,メ
モリの使用量が多く,設計できるフィルタ窓サイズはせ
いぜい18までとなっている.また,後者は,PBFが自
己双対(selfLdual)という性質を持つものだけに限定され,すべてのスタックフィルタが設計できるわけではない.
そこで,本稿では,遺伝的プログラミング(Genetic
Programming,GP)を用いてスタックフィルタを設計する方法を提案する.GPは進化論的計算手法に基づく探
索手法であり,計算機プログラムなどの構造表現を発見
的に探索することができる.PBFは計算機プログラムそ
のものであるため,GPによって容易に探索できる.
また,本稿では,GPを用いて対称性を考慮したスタッ
クフィルタを設計する方法についても述べる.画像処理
においては,画像の周波数スペクトルの性質が等方的で
あると仮定することが一般的である.そのため,画像処
理に用いられるフィルタは一般に対称な荷重をもつこと
が多い.スタックフィルタにおいても,対称性を考慮す
ることでより画像処理に適したフィルタが設計できるも
のと考えられる.
本稿の構成は以下のとおりである.第2章では,スタッ
クフィルタの定義について述べ,最適設計問題を定式化
する.第3章ではGPについて説明し,第4章でGPを
用いてスタックフィルタを設計する方法を提案する.第
5章では,対称性を考慮したスタックフィルタの設計法
を与える.第6章では,GPによって設計したスタック
フィルタをインパルス性雑音で劣化した画像に適用し,
110233122→F園E耐→111233222
Cしきい値分解 合合成000011000一団-000011000
000川011-回-000111111
110'''''1-m-11川'''1
図1:スタックフィルタの処理過程
フィルタの雑音除去性能や設計時間および処理時間を他
の設計手法と比較する.
2スタックフィルタ
スタックフィルタは図1に示すように,
(1)しきい値分解
(2)ブール関数fによる入出力計算
(3)ブール関数出力の合成
の3つの処理過程からなる非線形フィルタである.フィ
ルタ窓サイズ2JV+1のスタックフィルタの時刻”にお
ける入力信号列を
諺(")=[z(冗一Ⅳ),…,麺("),…,z("+Ⅳ)](1)
とする.ただし,諺(冗十ル),(ん=-Ⅳ,…,0,…,jv)は
0≦諺(泥十k)≦M-1の範囲の整数に量子化された信
号とする.入力信号2,("+片)は次式に従ってM-1個
の2値信号群zm(n十A:),(m=1,…,M-1)にしきい
値分解される.
."(州)={;蝋のと≧③以下では,mをレベルと呼ぶことにする.次に,しきい
値分解によって得られた2値信号列
錘、(")=[zm("-Ⅳ),…,zm("),…,zm("+Ⅳ)](3)
に対するブール関数fの出力zノ、(n)をレベルmごとに計算する.
ym(")=f(錘、("))(4)
最終的なスタックフィルタの出力y(”)は,レベルmに
おけるブール関数の出力zノ、(”)の和である.すなわち,
,(")=E,、(")(5)
である.
スタックフィルタを定義するブール関数は,正定ブー
ル関数(PBF)と呼ばれ,次式をみたす.
錘≦yならばf(錘)≦ノ(U) (6)
-10-
+
/ 、* +
/、 /、*
XX/、32X
図2:プログラムの木構造表現
ここで,毎とりはともに2値ベクトルである.その大小
関係は,すべてのnについて諺(")≦〃(")が成立するとき⑳≦zノと定義する.プール関数ノが式(6)をみたすための必要十分条件は,ブール関数が正論理(ANDと
OR演算)のみから構成されていることである.
次に,スタックフィルタの最適設計問題を定式化する.
スタックフィルタfの設計における評価関数を次式で与える.
,(')=注,‘(")-州冗=1
=会堂'‘(")-s州)',(7)”=1
ここで,Lは信号の長さ,8(")は原信号,y/(”)はスタックフィルタの出力,Sノ(・)はPBFノをもつスタックフィルタを表わす.γの値は通常γ=1または2である.
γ=1のとき式(7)は平均絶対値誤差(MAE),γ=2のときは平均2乗誤差(MSE)である.すなわち,スタックフィルタの最適設計は,MAEまたはMSEを最小化する
PBFノを求める問題に帰着される.
3遺伝的プログラミング
遺伝的プログラミング(GP)は,進化論的計算手法に基づく探索手法であり,計算機プログラムなどの構造表現を発見的に探索することができる.
GPでは,プログラムはLispのS式で表現される.例
えば,式勿2+2勿十3はS式では,
(+(*勿勿)(+(*2〃)3))(8)
と表わされる.S式は図2に示すように,木構造として
も表現可能である.木は関数ノードと終端ノードから構成される.図2は式勿2+2諺十3を木構造で表現した例
であり,+と*は2引数をとる関数ノード,〃,2,3は終端ノードである.
GPのアルゴリズムを図3に示す.以下に各過程の説明をする.
初期集団の生成与えられた関数ノードと終端ノードを
用いてランダム木(プログラム)の初期集団を生成する.
図3:GPの処理手順
集団内の個体数(プログラムの数)はパラメータjvbopで与えられる.
適合度の計算適合度は,プログラムがどれだけ目的の
動作に近いかを数値で表わしたものである.集団内の各プログラムの適合度は,問題ごとに設定された評価関数に基づいて求められる.適合度には目的に近い動作をするプログラムほど高い値が与えられる.
選択選択は,遺伝的操作を適用するプログラムを選ぶ
操作である.適合度が高いプログラムほど選ばれる確率が高くなる.本稿では,エリート保存選択とトーナメント選択を併用する.
エリート保存選択は,集団の中で適合度の高いプログ
ラムをそのまま次世代に残す方法である.この方法を用
いると,その時点で最も良いプログラムが遺伝的操作に
よって破壊されずに次世代に残るという利点がある.エ
リート保存選択で次世代に残すプログラムの数はエリート保存率艮蹴eによって決められる.
トーナメント選択は,集団から決められた数(トーナメントサイズ,M…)のプログラムをランダムに選択し,その中で最も適合度の高いプログラムを選ぶ方法である.
この手続きを,選択したプログラム数が個体数jvi,。pに達するまで繰り返す.
遺伝的操作遺伝的操作は,プログラムの構造を変化させる操作である.遺伝的操作には交叉と突然変異がある.
遺伝的操作は確率的に適用され,交叉が適用される確率を交叉率(具r…),突然変異が適用される確率を突然変異率(R""‘)と呼ぶ.
選択および遺伝的操作によって得られた新しい集団は
現在の集団と置き換えられる.これらの集団に対して再び適合度が計算され,選択と遺伝的操作が適用される.
適合度計算,選択,遺伝的操作の1サイクルを1世代と
-11-
MINMm
津 津M A XMAX
/、MINMIN
/、 /、MINMAXXOX2
/、/、XoX1XlX2
5GPによる対称性を考慮したスタックフィルタの設計
画像のスペクトルは等方的であると仮定することが一
般的である.そのため,画像処理に用いられる線形フィ
ルタでは,円対称の周波数特性が求められることが多い.
スタックフィルタについても,対称性を考慮することに
よって,画像処理により適したフィルタが設計できるも
のと考えられる.
前節で示した方法では,ブール関数の初期化や遺伝的
操作はランダムに行われるため,対称性を得ることは難
しい.そこで,以下のような方法を導入する.
MIN
/、XOX1
C CMIN MnI
強弛
ここで,8(j,j)は原画像,坊(',j)はフィルタ出力,Lrと
Lcはそれぞれ画像の縦および横のサイズ(画素数)であ
る.式(12)の分母は平均2乗誤差(MeanSquareError,
MSE)である.MSEの逆数を用いる理由は,MSEが小さいほど,適合度が高くなるようにするためである.
4.3適合度関数
本稿では,適合度f伽e88は以下の式から求める.
ノ伽e88= (12)
上笠(‘M-,,M),LrLcj=1j=1
図4:ブール関数z09c,+z,〃2+z2⑳0の木構造表現
する.GPは,目的の動作をする(または近い動作をす
る)プログラムが得られるか,決められた世代数jvbe”
に達するまで繰り返される.GPの解は,実行終了時に
得られる最大適合度のプログラムである.
4遺伝的プログラミングによるスタックフィルタ設計
4.1プール関数の木構造表現
スタックフィルタの設計は,式(7)を最小化するブー
ル関数ノを求める問題である.この問題にGPを適用するために,ブール関数を木構造で表現する必要がある.
例として,次のプール関数を考える.
zOz1+z1z2+z2aFO (9)
ここで,和は論理和,積は論理積を意味する.式(9)を
S式にかきなおすと,
(OR(ANDz0z,)(ANDz,〃2)(ANDz2毎0))(10)
となる.式(10)はしきい値分解後の2値信号が入力であるが,OR演算をMIN演算に,AND演算をMAX演算
に置き換えると,しきい値分解する前の多値信号をその
まま入力することができる.このとき,式(10)は次のよ
うになる.
(MAX(MINzoz,)(MINz,z2)(MINz2z0))(11)
式(11)を木構造で表現したものが図4である.提案法では,ブール関数を式(11)のように表わすことで,しきい値分解をせずにプール関数の探索をすることができる.
4.2プール関数に対する遺伝的操作
プール関数の交叉交叉は,ランダムに選ばれた2つの
プログラムに対して,それぞれの部分プログラムを交換
する操作である.交叉を木構造に適用した例を図5(a)に
示す.この適用をS式で記述すると次のようになる.た
だし,交叉の適用部位に下線を付した.
(MAX(Mmz0z,)(MINz,韮2))
(MIN(MAXzoz2)型
↓
(MAX(MINzoz,)毎,)
(MIN(MAXzo垂2)(MAX垂,z2))
(b)突然変異(a)交叉
図5:交叉と突然変異
ブール関数の突然変異突然変異は,ランダムに選ばれ
た1つのプログラムに対して,部分プログラムを別の部
分プログラムで置き換える操作である.突然変異を木構
造に適用した例を図5(b)に示す.この適用をS式で記述したものを以下に示す.突然変異の適用部分に下線を
付した.
(MIN(MAXzoz2)型
ギ
(MIN(MAXz0z2)(MAX野,z0))
- 1 2-
5.1基本対称部分木
対称性をもつ部分木をあらかじめ用意し,それらを組
み合わせてプール関数を生成することによって,ランダ
ムにブール関数を生成するよりも対称性を得やすくする
ことができる.フィルタ窓が3×3のときを考える.フィ
ルタ窓内での変数のインデックスを以下のようにとる.
MAXMIN
/、/、、MnJMAXMnWMAX
/、/、/、/、
ツIIXsXs岬X‘X61ソ〈X岬X1X9X4X6X2X8X3X7
MAXWmw
/、/、M m M A X l v ⑩ I M A X
/、/、/、/、
X6XsツWRWX4ソW〈XX5X3X7X4X6X1X9X2X8
(a)交叉
〈○
5.3対称性を考慮した適合度関数の定義
前節で初期化方法および遺伝的操作を適用し,適合
度を式(12)で求めれば,(Z1,Z9),(諺2,⑳8),(Z3,Z7),
(z4,z6)それぞれについて対称なブール関数が得られる.ただし,対称にする変数の組み合わせを(毎11躯31z71z9),
(〃21z41釘61〃8)とする場合には’適合度関数を変更しなければならない.対称性をもつブール関数に高い適合度
僻;)側一般的には(Z11z9)'(Z21Z8),(Z31Z7),(Z41Z6)がそれぞれ対称になるようにするのが普通である.そこで,次の
ような部分木を考える.
X2X8
雌八州恥》
岬八郷》唾
〈
〈畑八岬岬鋤
咽八岬八“
峠(室ゴ重ゴル雲(:;)側であり,o"-,は要素数が2冗一’ですべての要素が0の
行ベクトルを表わす.また,fは池,,…,z")の真理値表である.
f(z,,…,z")のn個の変数のうち,脆(<”)個の変数
9cルー(zj1,…,zih)について対称かどうか調べるときに
は,誕施以外の変数錘"-kに定数{0,1}を代入し,fを
”kのみの関数としてgを計算する.錘"-kの{0,1}のパ
ターンは2"一k通りあり,すべてのjについてgiの要素が
{0,1}のみであれば,fは変数勿偽について対称である.
MAX
/、lvmIMAX
/、/、
シミwx5シW尋X1X9X3X7X4X6
(MAXZpzq)または(MINZPZ9)(14)
ただし,(p’9)=(1,9),(2,8),(3,7),(4,6)である.(2,,9)
の値は,処理点z5をはさんで反対側にある点のインデッ
クスの組となっている.式(14)を組み合わせた以下の式
(MAX(ⅢNz1⑳9)(MAXz4z6))(15)(b)突然変異
図6:基本対称部分木を含むブール関数に対する遺伝的
操作
は,(範,,z9)および(諺4,z6)について対称である.すな
わち,式(14)を組み合わせた式は,(〃1,z9),(〃2,Z8),
(⑳3,⑳7),(z41z6)それぞれについて最初から対称になっている.以下では,対称性を持つ部分木を基本対称部
分木と呼ぶことにする.ここでは3×3窓の場合につ
いて述べたが,5×5窓の場合でも同様に基本対称部分
を定義することができる.なお,対称にする変数の組を
(〃1,2'3,z7,垂9)'(垂2,z41z6'〃8)とすることも考えられる.この場合には,後述するように適合度関数の変更が必要
である.
を与えるため,対称性の程度を数値評価する必要がある.
そこで,ブール関数の対称性について説明したあと,適
合度関数を定義する.
ブール関数の対称性冗変数ブール関数加,,…,〃")は,
以下の式で与えられるgの要素が{0,1}のみであるとき
に限って対称である[71.
5.2基本対称部分木から構成されるブール関数に対す
る遺伝的操作
初期ブール関数が基本対称部分木から構成されていて
も,遺伝的操作によってそれが破壊されしまっては意味
がない.したがって,基本対称部分木が保存されるよう
に交叉位置や突然変異位置を制限する必要がある.
具体的には,図6に示すように,関数ノードおよび基
本対称部分木に含まれない終端ノード(図6ではz5)で
交叉や突然変異を行えばよい.
(16)g=D”.S”・f
ただし,
D総=di昭(去去,…,志,念) (17)
-1 3 -
適合度関数対称性をもつブール関数を求めるために,
適合度fjt九es8を,対称性の評価値九と雑音除去性能
の評価値たの積で求める.
表1:GPのパラメータ
なお,文献I5lは,設計における評価関数がMAEであ
ることに注意されたい.
図8と表2から,提案法で設計したスタックフィルタ
に関して以下のように観察される.
(1)提案法による結果は全体的に良好な結果を得ている.
とくに,提案法2は画像LenaとAirplaneに対して
最も良い復元結果を与え,画像Girlの復元結果も文
意味記号 値
提案法1
提案法2
提案法3
文献[5]
文献[61
個体数
トーナメントサイズ
エリート保存率
交叉率
突然変異率
世代数
B
pw妃“雌印
恥叫恥玲恥嶋
500
25
0.5%
80%
5%
50
(19)f赫冗ess=fs・九
九は,式(16)を用いて以下の式から求める.
‘=(職)。 (20)
Bridge
79.04
80.36
7487
77.38
88.28
Ajmlane
55.88
52.71
56.63
59.91
61.34
“-{;噸{。…‘”たの値の範囲は0≦た≦1であり,1に近いほど対称
の度合いが大きい‘た=1のとき,完全に対称である.
なお,フィルタ窓サイズが大きくなると九の計算量が急激に増加するため,現実的に設計可能なフィルタ窓サ
イズは3×3までである.たは式(7)と同様に,
fe= (22)
-些競(,(")-鋤("))’LTLcf=,j=,
Lena
42、80
39.08
44.31
44.68
43.86
型9師師沌3
G53802
223
実験に用いた画像は図7に示すGirl,Lena,Airplane,
Bridgeの4画像である.これらの画像はすべてサイズ
が256×256で,8bitに量子化されている.劣化画像
は,それぞれの画像に発生確率5%のごましお雑音を加
えて作成した.提案法において,実験に用いたGPのパ
ラメータを表1に示す.これらの値は経験的に定めたも
のである.
画像Airplane(図7(c))を用いて設計した3×3窓ス
タックフィルタを図8(a)に示す劣化画像に適用した結
果が図8(b)~(f)である.また,表2は復元結果を平
均2乗誤差(MSE)で評価したものである.ここで,提
案法1は,第4章で述べた方法で設計したスタックフィ
ルタ,提案法2は(鰯1,麺9),(鰹2,Z8),(毎3,鰯7),("4,麺6)がそれぞれ対称になるように設計したスタックフィルタ,
提案法3は(諺1,z3,⑳7,鯵9),(鰯2,諺4,秘6》勿8)がそれぞれ対称になるように設計したスタックフィルタである.ただ
し,フィルタ窓内での変数の位置は式(13)と同じである.
蕊
表2:フィルタ処理結果(3×3窓,MSE評価)
識
図7:原画像
(a)Girl (b)Lena
・CPU:Athlon1.2GHz
・プログラミング言語:C
、OS:Linux
……罰罰震蕊繍鱗§
(d)Bridge(c)Airplane
で求める.
6実験
提案法を用いてスタックフィルタを設計し,文献I5lおよび文献[6]を用いて設計したスタックフィルタと,雑音除去性能や設計時間および処理時間を比較する.実験
環境は以下の通りである.
引眺魂
蕊
-1 4-
(b)提案法1
図8:フィルタ処理結果
(f)文献[6](e)文献{5]
卜
や
鯵
:”鳶
;
鳶
l中
霧
率唾
鍵;
聴蕊録 蕊
I守口。
(a)劣化画像(ごましお雑音,5%)
- 1 5 -
鷲
§蕊織識霧
(d)提案法3
§
(c)提案法2
鶴
表3:各スタックフィルタの設計時間と処理時間Isecl 表4:フィルタ処理結果(5×5窓,MSE評価)
7まとめ
本稿では,遺伝的プログラミングを用いてスタックフィ
ルタを設計する方法について提案した.提案法を用いる
ことによって,従来法を用いたときよりも雑音除去性能
の優れたスタックフィルタを設計できることを示した.
また,対称性を考慮することにより,スタックフィルタ
の雑音除去性能や信号保存性能が向上することを示した.
一方で,提案法は従来法と比べて設計時間が非常に長
いという問題点がある.これは,適合度を計算するため
に集団内のすべての個体を評価しなければならないから
である.この対策として,個体数や実行世代数を減少す
ることがあげられる.個体数や実行世代数を半分に減ら
せば,当然設計に要する時間も半分になる.ただし,個
体数や実行世代数を小さくしすぎると,GPの探索能力
が著しく低下する.したがって,個体数や実行世代数を
減少させたときのGPの探索能力について検討すること
が必要である.
参考文献
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提案法1
8135
0.41
提案法2
7767
0.43
文献{51文献[615
4.020.31
鮒一洲一棚一州
Lena
47、36
42.86
57.24
Airplane
57.32
49.23
76.29
Bridge
81.49
72.43
114.42
設計時間一
処理時間
提案法1
提案法2
文献[6}
献I61についで2番目に良い.このことから,提案法が有効なスタックフィルタ設計法であることがわ
かる.
(2)対称性を考慮した設計では,対称性の与え方によっ
てフィルタの性能が大きく異なっている.提案法2
は画像Girl,Lena,Airplaneの復元結果は良いが,
画像Bridgeの復元結果は全体で2番目に悪い.一
方,提案法3は画像Bridgeの復元結果は最も良い
が,その他の画像の復元結果は提案法2よりも悪い.
画像Bridgeは,実験に用いた4画像の中でも特に
細かな要素が多い画像である.そのため,雑音除去
の際には高い信号保存性能が要求される.提案法3
が画像Bridgeに対して最もよい復元結果を与えて
いるのは,他のフィルタよりも信号保存性能が高い
ためと考えられる.
次に,設計時間と処理時間について比較する.表3に,
3×3窓のスタックフィルタを設計にかかる時間および
フィルタリングにかかる時間を示す.なお,処理時間は,
256×256のサイズの画像を処理するのに必要な時間で
ある.提案法は文献{51よりも設計時間が非常に長くなっている.これは,適合度の計算のために,集団内のすべ
ての個体でフィルタリングを実行しなければならないか
らである.一方,処理時間は,文献161が最も短く,文
献{5]は他と比べて大幅に長くなっている.この処理速
度の差の原因は,フィルタリング実行の際,文献{51は
しきい値分解を必要とするが,提案法と文献161はしきい値分解を必要としないからである.
5×5窓のスタックフィルタによるフィルタ処理結果
のMSE評価を表4に示す.ただし,5×5窓では提案法
3および文献{5]による設計は現実的には不可能である
ので,提案法1と提案法2および文献161の結果のみを示す.5×5窓の場合にも,画像Girlを除いて,提案法
によって設計したフィルタの方が優れた雑音除去性能を
もっていることがわかる.
なお,紙面の都合上,画像Airplaneで設計した場合の
みについて述べてきたが,その他の画像を用いて設計し
た場合にも同様の結果が得られる.
-16-
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