設計図書の電子化の運用モデル - DEKYO設計図書の電子化の運用モデル...

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設計図書の電子化の運用モデル

2018.3.14

ICT本部 繁戸和幸

設計図書などの電子化の現状と課題およびガイドラインに期待すること

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概要

1924年(大正13年)安井武雄により創設

代表取締役社長 佐野吉彦

資本金

8,000万円

従業員

327名(一級建築士187名)

所在地

大阪(本社)

東京・名古屋

広島・福岡・仙台

台湾・ベトナムほか

業務内容

建築設計監理・都市計画

マネジメント

コンサルタント業務

その他

2

目 次

• 設計図書などの保管の現状

• 電子化の推進と情報活用

• 現状の課題とガイドラインへの期待

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設計図書などの保管の現状

4

発注図(設計図書)

• 全ての紙図面をマイクロフィルム撮影・電子化(PDFファイル)、紙図面は廃棄

• PDFファイルはMFをスキャンした電子化図面

• 現在、762ファイル(プロジェクト)、95,531枚

~2010年頃紙

2010年頃~

紙+マイクロフィルム(一部)

2010年頃~

マイクロフィルム+PDFファイル

2018年2月現在

印 あり

5

構造計算書(設計図書)

• 全ての紙文書を電子化(PDFファイル)、紙文書は今後廃棄予定

• PDFファイルは紙文書をスキャンした電子化文書

• 現在、8,892ファイル(棟)、2,013,970枚

~1990年頃紙

1990年~2010年頃

紙+マイクロフィルム(一部)

2010年

頃~

PDF+マイクロフィルム(一部)+紙(一部)

2018年2月現在

印 あり

6

完成図(竣工図)

• 2007年の士法改正により、発注図と施工者が作成する完成図を明確に区別して扱うようになった

• 過去の紙図面は全てマイクロフィルム撮影・電子化(PDFファイル)、紙図面は今後廃棄予定

• 現在、6,405ファイル(プロジェクト)、696,986枚

~1980年頃紙

2010年頃~

MF(一部)+PDF(一部)+紙(一部)

2018年2月現在

1980年~2010年頃

紙+マイクロフィルム(一部)

以前は完成図(竣工図)を設計図書のように保管していた。

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書庫(紙図面)

8

設計者の記名・捺印

その他(1)

• 竣工報告書

–全ての紙文書を電子化(PDFファイル)して保管

–紙文書は廃棄

–現在、5,619ファイル(プロジェクト)

• 竣工写真

–紙プリント+画像データ(JPEG)として保管

–過去の写真は主要カットのみ電子化(JPEG)

–現在、1,675件(プロジェクト)、36,644枚

9

2018年2月現在

印 あり

その他(2)

• その他の保管資料

–業務記録台帳、工事監理報告書、検査済証、確認済証、契約書、重要事項説明書などを紙文書および電子化文書(PDF)として保管

• 安井武雄アーカイブ

–創業者・安井武雄(1884年~1955年)の図面、ス

ケッチ、写真、映像などの原本と一部を電子化(PDFファイル、JPEGファイル)して保管

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2018年2月現在

設計図書などの保管方法

• 紙原本は社内または社外貸倉庫にて保管、マイクロフィルムは社外の専用貸倉庫にて保管

• 電子データは社内(国内)サーバーで保管し、リアルタイム・遠隔地バックアップにより多重化

• プロジェクト・職階に応じたアクセス制御、暗号化PDFファイルなどによるセキュリティ対策を実施

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電子化の推進と情報活用

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設計図書などの電子化推進

• 従来の紙(原本)、マイクロフィルム(謄本)を元に電子化(スキャン)を推進

• ほぼ全ての設計図書が電子化された。紙原本は廃棄予定(一部は既に廃棄)

• 今後は法令対応、品質管理の面からだけでなく、設計情報の計画的な伝達・収集・蓄積により、建物のライフサイクルを通して活用していきたい。

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物件管理台帳

各プロジェクトは

作業番号・竣工番号で管理

保管している資料設計図書のリスト

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発注図・完成図管理

「印刷PDFファイルを開く」

「閲覧PDFファイルを開く」

• 職階・職能に応じて閲覧・印刷を制御• 社内のPCからのみ閲覧・印刷可能• PDFファイルの移動、再保存はできない• 印刷図面にはユーザー名と時間が出力される• 閲覧・印刷はログに記録される

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暗号化PDF作成・公開システム

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暗号化PDF公開用ファイルサーバー

LAN

変換監視・暗号化PDF変換サーバー

資料管理用サーバー

非暗号化PDFファイル

変換監視対象フォルダ

非暗号化PDFファイル

バッチによる深夜自動コピー

暗号化PDF変換ソフト

監視による自動変換開始

検索用インターフェイス

検索用DB

検索結果表示

クライアントパソコン

専用ビューア

図面表示ボタン

専用ビューアによる図面表示

暗号化PDFファイル印刷不可

暗号化PDFファイル印刷可

公開用フォルダ

ジョブによる自動変換

暗号化PDFの設定

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ファイルサーバーの構成

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設計部 構造部 環境・設備部 ○○部・・・

部門単位

≪部署フォルダ≫ 部署別・職階別のアクセス権

Aプロジェクト

Bプロジェクト

Cプロジェクト

Xプロジェクト

・・・

プロジェクト単位・部署横断的

プロジェクトメンバーのみアクセス可能

プロジェクトフォルダ≫ 2種類の共有フォ

ルダを使い分け

プロジェクトデータのライフサイクル

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Aプロジェクトマネジメント(品質管理)

デザイン(作業用)

デザイン(成果物)

作業番号プロジェクト名称

記録管理規定で定める保管対象データを移動

移動

業務完了後のプロジェクトデータの流れ

移動

移動

削除

業務完了後削除

保管用サーバーで保管

保管用サーバーで保管

保管対象図面・文書データ

電子データのバックアップ体制

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アーカイブ部門

プロジェクト

東京部門・PJBCP

名古屋部門・PJBCP

アプリケー

ション

バック

アップ

バック

アップ

バック

アップ

大阪アーカイブBCP

大阪部門・PJBCP

部門

プロジェクト

部門

プロジェクト

クローズド

広域イーサ網ゲートウェイ

ファイアウォール

インターネット

東京 

名古屋 

 大阪(福岡・広島) 

リアルタイムバックアップ

リアルタイムバックアップ

リアルタイムバックアップ

遠隔地バックアップ

遠隔地バックアップ

遠隔地バックアップ

リアルタイム・遠隔地バックアップによる多重化

設計図書などの設計情報の活用

設計・監理業務の成果物から収集

(紙図面・文書、プロジェクトデータなど)

情報コンテンツの整理と共有(社内グループウエア・ファイルサーバーなど)

・ 物件管理台帳 ・実績シート

・ プロジェクト管理 ・竣工報告書

・発注図・完成図 ・ コンペ・プロポ資料

・ 構造計算書 ・書籍管理など

・ 竣工写真

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MF撮影・電子化

紙図面の貸出回数(月別)

22

0

5

10

15

20

25

30

35

40図面提供回数

図面提供回数

PDF社内公開開始

(回数)

紙図面貸出業務の省力化

電子化図面の閲覧・印刷回数(月別)

23

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1000

2013.11 2013.12 2014.01 2014.02 2014.03 2014.04 2014.05 2014.06 2014.07 2014.08 2014.09 2014.10 2014.11 2014.12 2015.01 2015.02 2015.03 2015.04 2015.05 2015.06

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(回数)

電子データの共有・活用

現状の課題とガイドラインへの期待

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社会的な背景(1)

• 少子高齢化にともなう人口減少により、ストック型社会の到来が予測され、今後、中古住宅市場の活性化、建物の維持管理や資産価値の評価を適正に行っていく必要がある。

• 震災復興やBCP対策、耐震偽装や杭偽装、その

他の不法行為責任などにより、建築にもリコールやトレーサビリティのため、建物の長期的な記録管理の重要性が高まっている。

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社会的な背景(2)

• 不動産市場や建設産業の国際化、デジタル化やBIM(3D CAD)化の進展などにより、電子デー

タによる迅速かつ効率的な設計図書の流通が求められ、また、電子データの原本性を長期間に渡り保証するセキュリティ対策などを検討する必要がある。

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現状の課題(1)

• 建築士法では、設計図書の具体的な保存・管理方法が明示されていないため、長らく慣習および独自の法解釈などによって、紙・マイクロフィルムなどによる保存・管理が行われてきた。

• 時代ごとに利用可能な技術や利用目的の違いなどによって、設計図書を紙・マイクロフィルム・電子データなど、複数の媒体で重複して保存・管理せざるを得なかった実態もあった。

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図面・書類の電子化ガイドライン

• 建築三法下における図面・書類の電子化などに関わる各種ガイドライン

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建築確認検査電子申請等ガイドライン

建築基準法

建築工事における書類・図面の電子化/保存ガイドライン(第二版)

建設業法

建築設計業務における設計図書の電磁的記録による作成と長期保存のガイドライン

建築士法

現状の課題(2)

• 建築関連法の規制強化により設計図書の長期保存が義務化され、また、民法改正やリスク管理の観点から、建築士事務所が自主的に長期保存・管理する必要が生じている設計図書なども増加している。

• 非効率な紙中心の設計図書の運用・保存・管理は、建築士事務所の業務改革の足かせとなる。また、高齢化などの進展に伴う建築士事務所の廃業によって、士法で定める設計図書の適正な保存・管理が困難となる可能性がある。

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現状の課題(3)

• 設計業務においても、CADやBIMなどで作成した

設計図書を一度紙で出力し、紙と印鑑による承認・保存・管理を行うといったような、煩雑で非効率な運用を強いられている。

• 紙やマイクロフィルムでは情報の検索や流通に時間がかかり、今日の建築を取り巻く社会的な要請に迅速かつ的確に応えるのが難しくなっている。

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出展:JIIMA「建築設計業務における 設計図書の電磁的記録による作成と長期保存のガイドライン」

設計図書の作成と保存(現状)

CADデータ

マイクロフィルム電子化(スキャン)

紙出力+押印

紙出力+押印

紙(押印)CADデータ

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マイクロフィルム電子化(スキャン)紙(押印)

CADデータ

紙(押印)+MF+PDF+CADデータ

建設業おける労働生産性

• 建設はオンサイトで行う仕事が多い

• 関係者が多く情報の連携や共有に課題が多い

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出展:日本建設業連合会「建設業ハンドブック2017」

ガイドラインへの期待

• 今回のガイドラインに基づき設計図書などの電子化を行うことで、煩雑で非効率な紙中心の運用・保管から脱却でき、建築士事務所業務の働き方改革にもつながるのではないか。

• 建築主や不動産関係者においてもその方法を準用することで、原本性を担保しつつ、設計図書の電子データを安心・確実に保存・管理し、流通させることが可能となり、さまざまな社会的ニーズにも応えられるようになるのではないか。

33

END

ご清聴ありがとうございました

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