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Osaka University

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変分量子アルゴリズムの性能評価と改良開発

大阪大学基礎工学研究科

御手洗光祐

Osaka University

2

“現在の”量子コンピュータ

Noisy

Intermediate

Scale

Quantum

A. Kandala et al, Nature 549, 242 (2017).

ノイズの無視できない

中規模 (数10 ~ 100 qubit)

スケールの

量子デバイス

Depth(~100 gates)

qu

bit

(5

0 ~

100)

U1

U2

U3

Osaka University

3

“現在の”量子コンピュータ

F. Arute et al. (Google), “Quantum supremacy using a programmable

superconducting processor”, Nature 574, 505-510 (2019)

ある特定のタスクでは…

NISQ デバイス 従来コンピュータのベストエフォート>

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近未来量子コンピュータ量子コンピュータの古典シミュレーションはqubit 数に対して指数的に難しくなる

Full-シミュレーションに必要なメモリ

# of qubits Memory

20 MB

30 GB

40 TB

50 PB

この計算能力を何か意味のある問題に使えないか?

→ NISQのためのアルゴリズム開発

Osaka University

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NISQ に向けたアルゴリズム

“浅い”量子回路

古典コンピュータ

量子的計算 その他の計算

フィードバック

• 今の量子デバイスは、単体で意味のある計算をすることが難しい。

• 古典的に簡単な計算は古典でやるべき。

量子古典ハイブリッドアルゴリズム/変分量子計算

Osaka University

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本プロジェクトの趣旨

𝑈 𝜽𝜓𝑖𝑛 𝜓𝑜𝑢𝑡(𝜽) ハミルトニアン期待値 𝐻 を計算測定

𝛉 の更新 𝐻 を小さくするように 𝜽 を決定

量子コンピュータ

古典コンピュータ

ハミルトニアン 𝐻 に変換

VQE: 量子化学 QAOA: 最適化

“変分”量子アルゴリズム

Osaka University

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NISQ を応用するアルゴリズム

𝑈 𝜽 𝜓𝑜𝑢𝑡(𝜽)

古典コンピュータ

𝐻 𝜽 =

𝑖

ℎ𝑖 𝐵𝑖 𝜽

𝐻 𝜽 を最小化

𝐵𝑖(𝜽)測定

𝜽を更新

ハミルトニアン 𝐻

例:Variational quantum eigensolver (VQE)

量子系の近似的な基底状態を求めるアルゴリズム

収束 𝜽 = 𝜽∗

𝜓𝑜𝑢𝑡 𝜽∗ ≈ 𝐻の基底状態

A. Peruzzo, et al., Nat. Comm., 5, 4213 (2014)

Osaka University

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NISQ を応用するアルゴリズム

𝑈 𝜽 𝜓𝑜𝑢𝑡(𝜽)

古典コンピュータ

𝐻 𝜽 =

𝑖

ℎ𝑖 𝐵𝑖 𝜽

𝐻 𝜽 を最小化

𝐵𝑖(𝜽)測定

𝜽を更新

収束 𝜽 = 𝜽∗

𝜓𝑜𝑢𝑡 𝜽∗ ≈ 𝐻の基底状態

古典コンピュータでは作り出せない量子状態

→ これまでは調べられなかった系が調べられる可能性

Osaka University

本プロジェクトの目的

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変分量子アルゴリズムの性能を評価し、改良を行う。

• 変分量子アルゴリズムはどの程度のノイズを許容するのか?

• 現実的なノイズ (誤り訂正しきい値付近) で有用なアプリケーション

になりうるのか?

• パラメータθの最適化アルゴリズムはどのようなものが良いのか?

• 性能を引き出すのに適した量子回路 𝑈 𝜽 はあるのか?

• アルゴリズムを改良できないか?

Osaka University

実施内容

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性能評価に関して

• VQE をシミュレータ (ノイズあり・なし) にて実装し、

• 古典コンピュータで難しい分子について調べ、

• ~12 qubit の範囲で性能評価

新規手法開発に関して

• VQE を用いたエネルギー微分、

• (軌道最適化 VQE) ← 間接的に寄与

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性能評価について

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性能評価結果

• 期待値評価のサンプル数1000 sample/term

• ノイズ設定Depolarizing noise after

each gate

p = 0.001 (1q gate)

p = 0.01 (2q gate)

• Error mitigation:(p, 2p, 3p) でサンプリング→ 線型外装

ノイズあり量子回路の場合:

勾配降下法≒ SPSA?

勾配降下法

虚時間発展SPSA

BFGS

H2 分子を例とした結果

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量子回路

𝑅𝑦0 𝑅𝑥

𝑅𝑦 𝑅𝑥

𝑅𝑦 𝑅𝑥

𝑅𝑦 𝑅𝑥

𝑅𝑦 𝑅𝑥

𝑅𝑦 𝑅𝑥

𝑅𝑦 𝑅𝑥

𝑅𝑦 𝑅𝑥

0

0

0

𝑒𝑖𝐻𝑡

𝐻 =

𝑖𝑗

𝐽𝑖𝑗 𝑍𝑖𝑍𝑗×N

Hardware-efficient 回路

粒子数保存回路

1 0 0 00 cos 𝜃 𝑒𝑖𝜙 sin 𝜃 00 𝑒−𝑖𝜙 sin 𝜃 − cos 𝜃 00 0 0 1

0

0

0

0

Kandala et al., Nature 549, 242 (2017)

Osaka University

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性能評価結果 – H4

各パウリ演算子を 1000 shots で求め、最終的に収束したパラメータ値で期待値を厳密に評価

Hardware-efficient circuit Particle-number-preserving

VQEExact

Hardware efficient 回路はよいパラメータに収束しない。

CCSD (既存手法)

Osaka University

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性能評価結果 – H6

エネルギー期待値を厳密に求め、最終的に収束したエネルギー

Particle-number-preserving ansatz 使用

VQE

Exact

この ansatz でも系が大きいと難しい

CCSD (既存手法)

depth 60 depth 120

HF

Osaka University

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性能評価結果 – H6

エネルギー期待値を厳密に求め、最終的に収束したエネルギー

Particle-number-preserving ansatz 使用

VQE

Exact

この ansatz でも系が大きいと難しい

CCSD (既存手法)

depth 60 depth 120

HF

厳密解からの誤差

化学精度

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成果の利用者価値・社会貢献価値

現時点の VQE 理論で従来アルゴリズムを超えることは非常に困難

特にパラメータ最適化に関してブレークスルーが必要。

無ければハードウェアの性能が上がっても使えない。

本プロジェクトによって得られた知見

10000 回程度の期待値測定で収束

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新規手法について

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エネルギー微分の必要性

VQE = 基底状態

+ 遷移振幅計算先行研究 (SSVQE) = 基底状態 & 励起状態探索

残るは…

エネルギーの微分値計算

構造最適化・分極率・NMR 化学シフト・… に必須

核座標微分

電場微分 磁場微分

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VQE による解析的なエネルギー微分

• 量子化学で知られている解析微分の表式と、[Phys. Rev. Res.,

1, 013006] で提案した手法を組み合わせて、VQE によるエネルギー微分の手法を構成した。

• 本プロジェクト作業で作成したコードを利用して、当手法をシミュレータにて実装。

• 成果は arxiv: 1905.04054 にて公表済み。(accepted to Phys.

Rev. Res.)

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成果の利用者価値・社会貢献価値

エネルギー微分 → 様々な物性値

e.g. 分極率・原子間に働く力・…

𝛿− 𝛿+

VQE が実現した際の応用範囲を広げる手法

従来法との比較:

本手法無し = 数値微分を使う

本手法 = 解析的な微分値

微分値の精度

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おわりに –中長期の達成目標

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中長期の達成目標

本プロジェクトで得られた変分量子アルゴリズムの課題解決= 最適化に対するブレークスルー

ハードウェアの発展

従来アルゴリズムで難しい問題 (水素分子鎖など) で実証シミュレーション

従来アルゴリズムで難しい問題 (水素分子鎖など) で実証実験

実際の分子への適用

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